気になるグッズを衝動買い


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第54回:「MPIO」のCDプレーヤー買ってみました
WMA/MP3対応CDプレーヤー「アドテック AD-CMG300」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

「RioVolt SP250」でも解消されない問題は

 初代「RioVolt」の発売以来、すっかり定着した印象のあるMP3/WMAなどの圧縮フォーマット対応ポータブルCDプレーヤー。「現時点での最強」を挙げるとすれば、文句なく「RioVolt SP250」でしょう。MP3/WMA対応の高機能で、液晶ディスプレイ付きリモコン標準搭載。FMチューナまでついていて、ついでに本体充電も可能。まあ、これ以上はない、というくらいの充実ぶり。

 しかし、不満がないわけではありません。まず、デカイ。そして重い。ノーマルのCDプレーヤーは最近薄型化が進行して、比べるべきもなき携帯性の差が。「クラムシェル」型のデザインもちょっと好みが分かれるところ。ボディカラーも面白みのないブラックですしねぇ。

 ついで、大変便利であるが故に、逆に使いづらい部分も目立ってしまう液晶リモコン。なんといってもデカイのが問題。容積比で言えば「小型シリコンプレーヤー?」というくらいデカイ。感覚的には松下のAAC/MP3/WMAプレーヤー「SV-SD80」と似たようなものです。

 それから、AVEXから発売されたコピーコントロールCDが再生できないのも不満。今のところ自分が聞くような曲は発売されていませんが、将来どうなるかわからないのも不安ですからねぇ。

 そんな悩みを抱えているところに、このたびアドテックから「MPIO」の名を冠したCDプレーヤー「AD-CMG300」が発売されるというじゃないですか。「MPIO」と言えばシリコンプレーヤーではかなり評判の高い製品。CDプレーヤーになっても期待が持てそうじゃないですか。

 パッと見たところ、リモコンに液晶は付いていないけれども、肝心のリモコン部は小型で使い勝手も良さそう。本体には漢字表示対応の液晶ディスプレイを備えているので、フォルダ単位でのリピートをかければ使用上はさほど問題はないでしょう。で、発売日は3月中旬となってましたが、アドテックのサイトを覗いて見ると、ほうほう、15日に出荷ですか。では、ゲットに向かいますかね。


ゼンハイザーのステレオイヤフォン付いてます

 ということで、秋葉原に到着。比較的小規模な店舗を回ってみたところ、まだ入荷されていない様子。じゃあ、大型店を回ってみますかねぇ。

 大通りに面した大型店に場所を変えてみると、おお、あるある新製品として山積みですよ「AD-CMG300」。え~と、販売価格は22,799円ですか。ま、発売されたばかりだからこんなもんでしょう。他の店舗を探してもモノがまだ入荷してなさそうだし、ここで手を打っときますか。

 では、同梱品を改めましょう。構成はプレーヤー本体と、リモコン、ステレオイヤフォン、ニッケル水素充電池×2本、ACアダプタ、キャリングケース、「MusicMatch JUKEBOX」が収録されたCD-ROMという内容。ニッケル水素充電池が付属しているのは珍しいですな。容量は1,600mAhと標準的で、もちろん本体充電も可能。充電メインで使うユーザーにはうれしい配慮ですな。

 そして、もうひとつ目を引くのがステレオイヤフォン。なんとドイツ、ゼンハイザー製の「MX300」が付属しているのです。ゼンハイザーといえば、ヘッドフォンやマイクなどで定評のあるメーカー。そんな評判につられて、自分も「MX500」という製品を持ってます。

 しかし、この「MX300」という製品、実は扱っている店舗がかなり少ないのです。というか、特定の店舗以外で売ってるところ見たことありません。同社製のステレオイヤフォンはほかにも「MX400」、「MX500」がラインナップされていて、「MX300」は最下位モデル。売価も1,500円程度と記憶してます。が、扱っている店舗がかなり少ないため、そこそこレア度の高いステレオイヤフォンと言えるでしょう。

 まあ、その他の同梱物はかなり普通。キャリングケースは完全にカバーするタイプのもので、せっかっくの液晶部が全く見られなくなってます。う~ん、ケースに入れたまま操作できないのは少々残念。

同梱品一覧。ぱっと見は標準的ですが、「MX300」と充電池が珍しい 付属の単3型ニッケル水素充電池。容量は1,600mAh ドイツ・ゼンハイザー製ステレオイヤフォン「MX300」。地域によっては入手が困難


アルミ製で高級感あるボディ

 プレーヤー本体のつくりは、アルミ製のトップカバーがなかなか高級感が高いです。見た目も「RioVolt SP250」よりは小型な印象。が、ブツを一緒にして比べてみると、実はほとんど変わりません。外形寸法/重量は、「RioVolt SP250」が130×147×27mm(幅×奥行き×高さ)/約260g(本体のみ)、「AD-CMG300」が130×150×26mm(幅×奥行き×高さ)/約230g(本体のみ)、違いはわずかですわ。

 ううむ、まだ小型化への道は開かれていないようですな。技術的にはできそうなモンだと思いますが、まだコスト問題が解決できないんでしょうか?

 本体の上部には、液晶ディスプレイを装備。「RioVolt SP250」と比較すると、少々横幅が小さな印象。操作ボタンも再生/停止/早送り/巻き戻しなどの基本操作用以外に、メニューやリピート、選択用ボタンも装備して、フォルダ指定などでも問題なさそう。気になる点と言えば、カバーを開けるスライドスイッチがかなり固めなこと。爪で引っ掛けて、力をいれてスライドしないと開きません。まあ、頻繁にディスク交換を行なわないからさほど問題はありませんがね……。

 生産国は「Made in Korea」つまり韓国製。その下には「Manufactured by Digitalway」の文字がありました。「Digitalway」といえばシリコンプレーヤーの「MPIO」シリーズの製造会社。なるほど、「MPIO」の名を冠してもおかしくはありません。

 本体はさほど小型ではありませんでしたが、リモコンはかなり小型。ノーマルのCDプレーヤー用と言われても納得できます。しかし、そこは圧縮フォーマット対応プレーヤー。ちゃんとあるべきボタンがついてます。それが「F」の文字が付けられたリピート/選択ボタン。これはクリックすることでリピートモードの変更、長押しすることでブックマーク登録する機能が割り振られております。

 それでは、充電して再生してみましょうかね。充電池を収納しようと電池収納部のカバーを確かめると、本体から離れないギミックを装備しているのでカバーをなくす心配もナシ。いいじゃないですか。

 で、充電池を挿入して、ACアダプタを接続して。えーと、満充電までの時間はナンボかな? と製品情報を確認してみると、「約10時間」。……長い。まあ、本体充電ができるメリットは高いですからねぇ。充電池は標準的な単3型ニッケル水素充電池ですから、時間を短縮したい方は別途急速充電器をご用意ください、ってことでしょう。

本体上面。「MPIO」のロゴの上には操作キー、液晶ディスプレイを装備 トップカバーを開けた状態。設置面はフラットな状態 右側面にはLINE OUT、リモコン端子付きヘッドフォン、ACアダプタなどの端子群

左側面には「HOLD」スイッチのみ。すっきりした印象 電池カバーは本体から離れないタイプ。なくす心配はなし 生産国は韓国。その下には「MPIO」の製造メーカー「Digitalway」の文字も

「RioVolt SP250」との比較。ほとんどサイズの違いはございません


音質もそこそこでかなりの高機能

 結局、一晩寝かせて充電完了。再生停止中に充電中や満充電を知らせる表示は特になく、液晶部はずっと沈黙したままでした。ううむ、「RioVolt SP250」では一応メーターで表示してくれるんですけどねぇ。ま、気を取り直して再生してみますか。

 まずは、最近話題になっているAVEXのコピーコントロールCD「Every Heart -ミンナノキモチ-」をば。セットして、再生ボタンをポチっとな。10秒程度の認識時間とともに、トラック1から普通に再生することができました。音飛びなど、特に問題になる現象もなし。全トラックで普通に再生できました。ふう、これで将来的にも安心ですな。ま、他の形式に改められる可能性は残ってますが。

 では、本題の圧縮フォーマットCDをば。認識時間は30秒程度と標準的。CD-R/RW、MP3/WMA混在ディスク、トラックアットワンス、マルチセッション、パケットライティング、すべてで普通に再生してくれました。いやいや、特にパケットライティング対応は心強い。自分の場合、思いついたときに適当に追加ライティングしたメディアって結構ありますから結構重要なんですよ。

 付属のステレオイヤフォン、「MX300」は、ドイツ製らしく、日本人にはサイズが少々大きめ。しかし、自前の「MX500」と比較すると、直径が小さくなってる様子。耳への負担は多少軽めです。が、デカイことはデカイ。長時間の装着には向いてません。ついでに、コードもL/Rが等幅。つまり、首の後ろに回すユースは考えられておりません。

 しかし、音質はというと、なかなかの高音質。別の機器に繋いで聞いてみましたが、他のCDプレーヤーに付属するステレオイヤフォンよりもノイズ感が薄いです。が、「MX500」と比べると鮮鋭感が薄いですな。

 イヤフォンの実力は、「結構な高音質」でありますが、本体のプレーヤーの音質はといえば、まあ、普通です。MP3の音をまったりと、WMAはすっきりと再生。多少ノイズが混じる感覚がありましたが、屋外で聞くと放射雑音に紛れるようなわずかなレベル。実用上は問題ないと思います。

 「意外と使える」と感じたのは、やはり本体の液晶ディスプレイですな。横に全角7文字表示と、多少少なめではありますが、ファイルネーム、ID3タグともに漢字を問題なく表示してくれます。難点を挙げるとすれば、ちょっとフォントが細めで、しかも高速スクロール時に縦線が読みづらくなってしまうことくらい。まあ、スクロールスピードを標準にすれば、読み取りに問題はありません。

 ファイルのソート順はファイルネーム準拠。ディレクトリの表示も4ラインで、一覧性にも問題なし。再生中には、WMA/MP3などのフォーマット、ビットレート、リピートモードなど、再生に関してのさまざまな情報が表示されます。

 さらに、リピート/選択ボタンを長押しすることで、ブックマークリストに登録することも可能。ブックマークリストは、ディスク交換後も12枚分保持され、ディスク交換のたびにいちいち登録する面倒もありません。

 そのほかにも、フォルダ単位などにも対応するリピート機能や、冒頭10秒のイントロ再生、スキップボタンの長押しで10曲単位のスキップなど、大量の曲を再生するMP3/WMA対応CDプレーヤーのことを考えた機能を搭載。いやいや、本体での操作に関しては「RioVolt SP250」に勝るとも劣らぬ高機能ですよ。

 ただ、操作性に関しては少々不満が。「RioVolt SP250」では十字キーで直感的に操作できたのに対して、「AD-CMG300」は液晶部の右に配された早送り/巻き戻しボタンで左右方向の移動、液晶部左に配された+/-ボリュームボタンで上下の移動を指定するため、片手での操作がやりにくいんですよ。デザイン上はシンメトリーで美しいのですが、せめて片側にまとめて欲しかったかと思います。

 さて、問題はリモコンです。自分、「RioVolt SP250」以来、漢字表示対応液晶ディスプレイが付いてないと満足できんのであります。

 「AD-CMG300」に付属のリモコンは、再生/一時停止、停止、早送り/巻き戻し、+/-ボリューム、そして「F」の字を配したメニュー/選択ボタンを装備。が、しかし。リモコンでメニューを表示できても、本体はカバンの中。ディスプレイを参照できないため、何をやっているのかさっぱりわかりません。う~ん、このボタンは長押ししてブックマークに登録するためのボタンと理解したほうが良さそうですなぁ。

 しかし、リモコンとしての基本機能は押さえている故、フォルダ単位でのリピート演奏や、ブックマークリストに登録した曲を再生するブックマークモードでの使用感は快適そのもの。大量の曲から聴きたい曲をいつでも参照したい、という方にはオススメできませんが、1つのアルバムを選択して聞き込みたい、という方ならば問題ないと思います。

再生中の表示。再生中のファイルはID3、次曲はファイルネーム ディレクトリ表示は4ラインで一覧性も問題なし 小型のリモコン。個人的にはやはり液晶ディスプレイが欲しいところ


ニーズに合ったリスニングスタイルを求める方に

 リモコンも小型で、付属のヘッドフォンもそこそこの高音質。本体で操作する限り、「RioVolt SP250」に勝るとも劣らない高機能。さらにAVEXのコピーコントロールCDも再生可能。なかなか良いプレーヤーだと思います。

 ただ、最近「RioVolt SP250」の実売価格が2万円台のかなり前半、店舗によっては1万円台まで下がってきてますからねぇ。ちなみに、標準価格オープンプライスの「AD-CMG300」の購入価格は22,799円。税込みで約24,000円。う~ん。ま、店舗によっては1万円台に近い価格で買える所もあるようですが。

 液晶リモコンを装備していない分、機能的にはかなり見劣りのするコレをあえて買うかどうかは、まあ、「ニーズに合っている」という方ならば。本体充電も可能ですし、連続再生時間はほぼ問題なしと思われる約10時間。当然のようにパケットライティングにも対応。実用十分の高機能プレーヤーだと思います。

 据え置きで使用したり、フォルダ単位やブックマークした曲を聞き込むなどのリスニングスタイルには特にオススメ。地域によっては入手しにくいゼンハイザーの「MX300」と、1,600mAhのニッケル水素充電池×2本も付いてますから、機能以外の面で比較すれば同価格帯の「RioVolt SP250」より勝る所もあります。

 なんでもできる高機能を求める方は「RioVolt SP250」を、付属品も含めたコストパフォーマンスも重要、という方には「AD-CMG300」を、という感じでしょうか? 自分はどちらかというと「RioVolt SP250」かな。やはり液晶リモコンは必須です。デカイけど。

□アドテックのホームページ
http://www.adtec.co.jp/
□製品情報
http://www.adtec.co.jp/parts/AD-CMG300.html
□関連記事
【2月14日】アドテック、WMA/MP3対応ポータブルCDプレーヤー
―リモコン付属、日本語表示にも対応
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020214/adtec.htm

(2002年3月19日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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