「NAB2002リアルタイムレポート」1日目
LVCC North Hall編:HITACHIのプロ用DVDCamなど


Las Vegas Convention Center North Hall
会期:4月8~11日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center
    Sands Expo Center



例年より若干寂しげなメインコンコース

 NAB2002初日の今日は、LVCC North Hallの模様をお伝えする。North Hallは、近年その人気をSandsのニューメディア系の展示に取られていたが、伝統的にNABのメインエントランスがあり、長年通っている来場者はまずこちらから見る、というのが通例となっている。

 正面のエントランスも昨日とは違って来場者の姿が見られたが、初日にもかかわらず、例年よりは若干にぎわいも少なく感じた。


■ HITACHI、プロ用DVDCamを展示

 HITACHIブースでは、新製品として8cmDVD-RAMメディアに直接記録するプロ用カメラ「Z-D1X」が展示された。片面1.4GBの8cmDVD-RAMメディアにMPEG-2 VBRで18分から60分の記録が可能。民生のDVDCamでおなじみのディスクナビゲーションシステムも本体に内蔵している。映像出力はアナログコンポジットとUSB 2.0、音声出力はアナログ2chのみ。基本的に出力は現場のモニタ用ーで、編集するときはメディアを取り出してノンリニアシステムなどに転送する。

 カメラ部は完全にプロ仕様で、1/2インチ3CCDを採用。展示機では、レンズはキヤノン、バッテリはアントンバウワーが装着されており、アクセサリはまったく普通のプロ用カメラのものが使用できるようだ。

 また展示で興味を引いたのは、AIRSHOというプロジェクションシステム。これはガラスなどの透明なものに半透明の特殊スクリーンを貼り付け、その後ろからプロジェクタで投影するというもの。一般家庭にはちょっと不向きかもしれないが、まるでホログラムのような投影イメージとなり、店舗のディスプレイなどにはおもしろい効果が出せそうだ。

プロ用DVDCamとしてお目見えしたHITACHI Z-D1X 新感覚ディスプレイシステム「AIRSHO」。まるで空中に映像が浮かんでいるような効果が出せる


■ Panasonic、24P撮影可能なDVカメラ

 Panasonicのブースはいつものようにひな壇の真ん中である。以前はそのすぐ下にSONYブースがあり、東西対決の様相を呈していたものだが、今回SONYブースはSouth Hallに移動したため、この付近はもうPanasonicの一人勝ちである。

 今回の展示の目玉は、なんといってもDVでありながら24Pでの撮影を可能にした「AG-DVX100」。カメラ本体にもIEEE 1394端子も搭載し、MacintoshのFinal Cut Proとの連携で安価にシステム構築が可能。9月に発売が予定され、価格は3,495ドル。このシリーズをPanasonicでは「DV PROLINE」と称している。

 また従来のVTRにも新たにIEEE 1394端子を増設する拡張カードなども発表された。今後Panasonic製品には、今回のDV PROLINEを含めDVCPro、DVCPro、DVCPro50、DVCProHDというすべてのラインナップでIEEE 1394接続が可能になる。

Panasonicブース内でも特に人気が集中したAG-DVX100 DVCPro50にIEEE1394端子を増設するカード

□AG-DVX100の製品情報(英文)
http://www.panasonic.com/PBDS/subcat/promo/NAB2002/NAB_featured/AG-DVX100.html


■ Grass Valley Group、THOMSON MULTIMEDIAに買収される

 米国で最も厚い信頼を受けるスイッチャーメーカーGrass Valley Groupは、3月をもって仏THOMSON MULTIMEDIAの傘下となった。アメリカンブロードキャストの魂とも言えるGrass Valley Groupが米国外の企業に買収されたのは、初めてのことだ。

 NAB2002の出展取り下げが間に合わなかったらしく、会場で配布されるマップにもブースの場所が記されているものの、実際には受付とソファが置かれているのみ。Grass Valley Groupの展示は、South HallのTHOMSON MULTIMEDIAブースに統合されている。

 買収されたことを知らない来場者も多く、受付嬢は次々に訪れる人をSouth Hallへ誘導するのに大忙しだ。なお、Grass Valley Groupの展示の模様は後日お伝えする。


■ NewTek、VideoToaster[2]が人気

 毎年NABではあっと驚く新発表を行なってきたNewTekだが、今年はシンプルにVideoToaster[2]を中心として、Lightwave3D、Aura[2]のデモンストレーションが行なわれた。写真の模様はLightwave3Dのデモンストレーション風景だが、多くのユーザーの興味は、デモンストレーションをサポートしているVideoToaster[2]へ集中していた。

 また今回はスーツケース型の筐体にビルトインしたPCにVideoToaster[2]を組み込んだマシンも展示され、注目を集めた。

アメリカでは根強い人気を誇るVideoToaster[2] PC、セカンドモニタ、ブレイクアウトボックスがそれぞれスーツケース型になっている

□NewTekのホームページ(英文)
http://www.newtek.com/
【EZ】完成度を高めたVideoToaster[2]
~いよいよリリースされる、伝説のマシン~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020403/zooma54.htm


■ Pinnacle、旧FAST製品をラインナップ

 恐るべき勢いで同業他社を買収し続けるPinnacle。昨年10月に買収したFASTのソフトウェア部門の製品は、「Pinnacle Liquid」というシリーズとして統合された。「blue」、「silver」、「purple」といった製品はそれぞれ「Liquid blue」、「Liquid silver」、「Liquid purple」と改められた。

 ラインナップとしては、IMX、DV、DVCAM、DVCPro25/50、MPEG-2、非圧縮に対応するオールフォーマットのLiquid blue、MPEG-2と非圧縮に対応するLiquid silver、DV系のLiquid purple、モバイル専用のLiquid Fieldの4種類となった。

 これでPinnacleは、プロ用ノンリニア部門でも一躍メインストリームに躍り出た形になった。

画面はFAST時代のblueそのもの 本体部には未だFASTの名前を残している

□Pinnacle systemsのホームページ(英文)
http://www.pinnaclesys.com/


 NAB2002の初日は、出展の傾向のせいかもしれないが、どうもアメリカ人の姿が少ないように思えた。その反面、日本や韓国、中国といったアジア圏からの来場者の姿が目立った。明日は場所を変えて、Sands Expo Centerの模様をお送りする。

□NAB2002のホームページ
http://www.nab.org/conventions/nab2002/
□関連記事
【リンク集】NAB2002レポートリンク集
http://av.watch.impress.co.jp/docs/link/nab2002.htm
【バックナンバー】NAB2001リアルタイムレポート インデックス
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010502/nabindex.htm

(2002年4月9日)


= 小寺信良 =  テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「ややこしい話を簡単に、簡単な話をそのままに」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンピュータのフィールドで幅広く執筆を行なう。性格は温厚かつ粘着質で、日常会話では主にボケ役。

[Reported by 小寺信良]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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