~ 前編:USBオーディオインターフェイスなど6製品 ~ |
Rolandの東京営業所において、EDIROLの新製品群の発表会が5月16日に開催された。同社では、2001年にDTM製品群のブランドを「EDIROL」として以来、次々と製品のリリースを行なっている。2001年9月に第1弾、10月に第2弾、2002年2月に数は少ないながら第3弾を発表していた。
つまり、今回が第4弾ということになる。半年でこれだけの製品をリリースするというのは、かなりの気合いの入れようが伺える。
まずは、今回リリースされた製品を以下に列挙してみた。
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※印はメーカー希望小売価格。そのほかは店頭予想価格 |
では、これらの製品について、それぞれ順番に紹介していく。ただし数が多いので、今回と次回の2回に分けて掲載するのでご了承いただきたい。
■ UA-700
UA-700 |
UA-5が1Uハーフラックサイズであったのに対し、こちらはラックマウント型ではなくなったため、使いづらいと感じるユーザーもいるかもしれない。しかし、設定するパラメータが数多くあるため、専用モジュールとして割り切って使ったほうがいいだろう。
そのエフェクトというのは「COSM(Composite Object Sound Modeling)テクノロジー」採用のアンプ・モデリングと、マイク・モデリングの2種類。もう少し具体的にいうと、ギター用として11種類のアンプ・モデリング・エンジンを搭載し、パネル上のつまみ操作で切り換えが可能となっている。スピーカー・キャビネット・タイプも5種類から選択可能。また、マイク用にはさまざまな特性・特徴を備えた6種類のモデリング・エンジンが搭載されている。
このCOSMテクノロジーとは、楽器から発生する原振動が人間の耳に達するまでの過程にかかわる物体の構造、素材、電気系、電子系、磁気系などの要素を、最先端のDSP技術で再構築する技術。これまで色々なRoland、EDIROL製品に搭載されてきた。
Cool Edit Pro LE |
こうしたCOSMテクノロジー採用のサウンド・モデリングの他にも、ギター用エフェクト類、マイク用コンプレッサー/センター・キャンセル/システム・エフェクトなど多彩なエフェクトも内蔵されている。これらのエフェクトはPCと接続しなくてもスタンドアローンで動作し、すべてのパラメーターをパネル上で操作できる。また、本体に6種類の設定をセーブ可能。
なお、ドライバはWindowsおよびMacintosh対応で、WDMとASIO2.0の2つが用意されている。またアプリケーションとしてWindows用にSyntrilliumの「Cool Edit Pro LE」、Macintosh用にTC Worksの「SPARK LE」が同梱されている。
□UA-700の製品情報
http://www.roland.co.jp/products/dtm/UA-700.html
■ UA-20
UA-20 |
UA-3Dなどが16bit/48kHzであったのに対し、24bit/44.1kHzに対応。またドライバもUA-700と同様にWDMおよびASIO 2.0に対応するようになった。このASIO 2.0により、CubaseVSTなどと組み合わせて利用した際には、ゼロレイテンシーのダイレクトモニタリングが行なえる。さらに、ASIO 2.0対応のアプリケーション以外でも、INPUT MONITORというスイッチを用いることで可能になる。
SPARK LE |
このUA-20にもUA-700と同様、アプリケーションとしてWindows用にSyntrilliumの「Cool Edit Pro LE」、Macintosh用にTC Worksの「SPARK LE」が同梱されている。
□UA-20の製品情報
http://www.roland.co.jp/products/dtm/UA-20.html
■ UM-550
UM-550 |
もともとUM-880は、古くからあるRolandの「A-880」というMIDIパッチャーのコンセプトをそのままに、まったく新たに設計しなおした製品。MIDIインターフェイスとして利用できるだけでなく、接続されたMIDI INとMIDI OUTをスイッチ1つで自由に切り替えることを目的としている。MIDIパッチャーとして利用する際には、PCとUSBで接続することなく、スタンドアロンでの使用も可能である。
そして、このUM-550は5IN/5OUTであること以外は、基本的にUM-880と同スペック。もちろん、FPTにより、MIDIの安定した動作が可能であるし、HDMR(Hardware Direct MIDI Routing)により低レイテンシーでのパッチングが可能となっている。
ただし、このUM-550では、サイズ的にちょっとユニークな形状となっている。厚さは1Uなのだが、幅が19インチのラックマウントサイズではなく、その半分のハーフラックサイズというわけでもない。横280mmというやや中途半端なサイズ。しかし、19インチにするためのアダプタが同梱されているので、ラックに収めることができ、縦置きするためのスタンドも同梱されている。このため、デッドスペースの有効利用もできる。
□UM-550の製品情報
http://www.roland.co.jp/products/dtm/UM-550.html
■ SD-80
SD-80 |
それに対し、SD-80の見た目は大きく異なっている。こちらは、UM-550とまったく同じサイズの横幅280mmの1Uラックタイプのモジュール。UM-550と同様19インチにするアダプタ、および縦置き用のスタンドが同梱されている。
では、実際の機能はというと、基本的にはMIDI音源機能はそのままに、オーディオインターフェイス機能が省かれた。スペック的にみれば、要するに1,050音色30ドラムセットを持った音源だ。ただし、リアパネルにフォンジャックのオーディオ出力4つが用意されているため、ステレオ2系統またはモノラル4系統のマルチアウトが可能となった点では、SD-90よりも向上している。
なお、SD-80にもSD-90と同様にWindowsおよびMacintoshで利用可能な専用エディタが同梱されている。これを用いることで、音色はもちろん、パート、エフェクトのパラメータをグラフィカルに操作できる。また、エディットしたデータをSMF形式でエクスポートしたり、SD-80本体に保存することも可能となる。
SD-80の専用エディタ | ラックマウントされたSD-80とUM-550。一番下がUM-880 |
□SD-80の製品情報
http://www.roland.co.jp/products/dtm/SD-80.html
■ SD-80 Home Studio Edition/SD-90 Home Studio Edition
「ミュージ郎」の名がつかないが、DTMパッケージの「SD-80 Home Studio Editon」および「SD-90 Home Studio Editon」は、SD-80、またはSD-90にソフトウェアをバンドルしたセット商品のこと。
バンドルされているのは、「Cakewalk Home Studio 2002」というソフト。「SONAR 1.0」の下位バージョンともいえるもので、ユーザーインターフェイスなどは同じながら、機能が制限されているエントリー版。もっとも、さらにその下に「Cakewalk Music Creator」という「今日からはじめるパソコン・ミュージック」などにバンドルされているものもある。「はじめてDTMにチャレンジ」という場合には、無難な組み合わせといえそうだ。
以上今回は6製品を紹介したが、引き続き次回残りの6製品を紹介する。
□Cakewalk Home Studio 2002の製品情報
http://www.roland.co.jp/products/dtm/CW-HS10.html
□ローランドのホームページ
http://www.roland.co.jp/
□関連記事
【2001年9月10日】【DAL】第26回:Rolandが発表したDTM新製品群の実力
~ EDIROLブランドで本格展開を開始 ~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010910/dal26.htm
(2002年5月20日)
[Text by 藤本健]
= 藤本健 = | ライター兼エディター。某大手出版社に勤務しつつ、MIDI、オーディオ、レコーディング関連の記事を中心に執筆している。以前にはシーケンスソフトの開発やMIDIインターフェイス、パソコン用音源の開発に携わったこともあるため、現在でも、システム周りの知識は深い。最近の著書に「ザ・ベスト・リファレンスブック Cubase VST for Windows」、「サウンドブラスターLive!音楽的活用マニュアル」(いずれもリットーミュージック)などがある。また、All About JapanのDTM・デジタルレコーディング担当ガイドも勤めている。 |
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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp