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[週刊] デバイス・バイキング
7.1ch出力可能なUSBオーディオデバイス
エムオーディオジャパン 「Sonica Theater」
発売日:4月8日
標準価格:オープンプライス
購入価格:14,700円

■ 6.1/7.1chタイトルも聞いてみたい

パッケージ

 最近、DVDタイトルで多くなってきたのがDTS-ESや、ドルビーデジタル EXなど高次サラウンドフォーマットに対応したもの。

 しかし、手持ちのAVアンプは旧型で5.1ch対応。「“サイン”のDTS-ES音声がすごい。リアセンターは重要だ」とか言われても、話についていけないわけですよ。なんとなく悔しいわけで……。

 7.1ch対応のAVアンプを購入すればいいのだけれど、そんな金は無い。とりあえず、PCベースであれば、クリエイティブの「Audigyシリーズ」をはじめ、M-AUDIOの「Revolution 7.1」やEGO-SYSの「Prodigy 7.1」などのオーディオカードも出ている。

 そんな中で面白そうだったのが、USBインターフェイスの「M-AUDIO Sonica Theater」。Sonicaシリーズといえば、USB-S/PDIFオーディオユニットの「Sonica」があったが、Sonica Theaterの特徴は8chのアナログ出力を備えていること。「これなら簡単に7.1ch環境を作れるかも」ということで購入。価格は14,700円(税抜き/10%ポイント還元あり)。


■ セットアップは簡単

同梱品

 パッケージにはUSBケーブルと、ドライバCDなどが同梱されている。本体は写真で見るよりやや小さめの印象で、外形寸法は117×81×26mm。

 インターフェイスはUSBとアナログ8ch出力、S/PDIF出力、ライン入力を備えている。アナログ出力の端子は4系統で、それぞれフロントL/R、サラウンドL/R、センター/サブウーファ、サラウンドセンターL/Rの出力が割り当てられている。

 基本的にアンプ内蔵型のスピーカーシステムと組合わせて使うため、今回はクリエイティブメディアの5.1chシステム「Inspire 5.1 5300」に、フロントL/R、サラウンドL/R、センター/サブウーファを接続し、またサラウンドセンターL/Rに同じくクリエイティブの「TravelSound」を接続するという、お手軽システムで試用してみた。

本体全面。電源を投入すると中央のLEDが青く光る 背面。USB端子、同軸デジタル端子、サラウンドセンター、センターサブウーファ、サラウンド、フロント/ヘッドフォン、ライン出力を装備

Inspire 5.1 5300 Travel Sound

 接続はごく簡単で、USB経由でパソコンと繋ぎ、それぞれのアナログ出力をスピーカーシステムにつなぐだけ。後は、パソコンにドライバや再生ソフト「WinDVD4(バンドル版)」を入れればいい。

 Windowsの場合、コントロールパネルの「サウンドとオーディオデバイス」でスピーカーを「7.1チャンネルスピーカー」に設定し、WinDVDのオーディオ出力設定で8chを選択するだけで基本セットアップは完了する。

 スピーカーの詳細設定は、M-AUDIO Sonica Theater Control Panelで設定できる。7.1ch/6.1ch/5.1ch/ステレオ/ヘッドフォンなどの基本プロファイルが用意されているほか、CreativeやCambridge、Klipschなどの各社のサラウンドスピーカーのプロファイルもある。

 設定画面では、各スピーカーのサイズやボリューム、クロスオーバー周波数などを設定できる。今回はCreativeのInspire 5.1 5300を利用したため、このプロファイルを参考に7.1chスピーカーの設定を行なった。

M-AUDIO Sonica Theater Control Panel Output Mixer 各メーカーのPCサラウンドシステムのプロファイルが用意されている

WinDVDでのスピーカー設定 Windowsのコントロールパネルでスピーカー設定



■ リアセンターの効果は絶大。バンドル版WinDVDのDTS非対応が残念

 早速DVDビデオを再生してみる。ドルビーデジタル EX収録の「A.I.」を視聴したが、サラウンド効果が控えめなタイトルと思っていたが、思いのほかサラウンド感が豊かなのに驚いた。

 リアセンターチャンネルの追加により、5.1ch設定と比較すると明らかにサラウンド感の向上が確認できる。シーンによっては、今まで聞いていたサラウンドはなんだったの? というぐらいに明確な定位感や移動感が得られる。

バンドル版WinDVD 4ではDTS音声をサポートしていない

 手持ちのソフトを見直してみようと思い、DTS-ES収録の「千と千尋の神隠し」を再生しようとして、ふと気づいたことが。「バンドル版のWinDVDはDTS音声のデコードに対応していない……」。

 よくよく製品情報ページを見るとバンドルのWinDVDは、WinDVD 4 Dolby Digital EXバージョンとのこと。デジタル出力からのDTSのストリーム出力が可能だが、それだとこの製品のウリである7.1chアナログ出力が利用できない。

 最近のビッグタイトルでは、どちらかといえば、ドルビーデジタル EXよりもDTS-ESを採用しているものが多く、できればDTS対応バージョンのWinDVDをバンドルしてほしかった。

 なお、DTS対応の「WinDVD 4」と同等の再生機能を搭載した「WinDVD Recorder」(12,800円)でDTS/DTS-ES出力を試したところ、7.1ch出力が行なえた。フルバージョン版の「WinDVD 4 Platinum」は8,800円で、アップグレード/乗り換え版では4,980円のためこちらを購入してDTS対応とするのもいいだろう。


 また、SRS Circle Surround IIも搭載しており、2chソースをマルチチャンネル化して再生することもできる。Cinema/Music/Monoの3モードが用意されており、ソースを変えて聞き具合をチェックするのも面白い。2スピーカーでマルチチャンネル再生を実現する「SRS TruSurround XT」も搭載している。

SRS Circle Surround IIも搭載 Reason

 Windows Media 9に対応しているのも特徴。7.1スピーカー設定のままでは、うまく出力できなかったので、スピーカー設定を「Creative Inspire 5.1 5300」にして、公開されているピンボールやインディカーのデモを視聴してみたが、簡単に5.1ch再生が行なえた。今後の拡張性という意味では心強いサポートだ。

 プロ用オーディオ製品で定評ある同社だけに、ソフトウェアシンセサイザー「Reason」のデモ版など、DTM系のソフトウェアのデモ版が多数付属する。さらに、ゲーム「Tony Hawk Pro Skater 3」もバンドルされている。また、今回はテストしていないが、Macintoshに対応しているのも大きな特徴といえる。



■ 簡単セットアップは魅力だが。対象ユーザーは限られる?

 簡単なセットアップと操作性で、容易にパソコンベースで7.1ch出力が行なえるというのは大きなメリットだ。ただ、パソコンをDVDプレーヤーとして使うことになるので、パソコンベースでサラウンドシステムを持っている人にはお勧めできるが、そうでないユーザーが1からセットを組むというケースでは、あまりコストパフォーマンスもよろしくない。面白い製品だがちょっとニッチな製品だなという気もする。

 基本性能に文句は無いのだが、シアターシステム用と考えれば、DVDプレーヤーソフトのDTSへの対応は必須事項だと思う。このあたりは、バージョンアップや次期モデルなどでの対応を期待したい。

□M-AUDIOのホームページ
http://www.m-audio.co.jp/
□製品情報
http://www.m-audio.co.jp/products/SonicaTheater/SonicaTheater.html
□関連記事
【3月31日】M-AUDIO、7.1ch対応USBオーディオの発売日を4月8日に決定
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030331/maudio.htm
□関連記事
【1月6日】M-AUDIO、7.1ch出力に対応したUSBオーディオデバイス
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030106/maudio.htm

(2003年5月23日)

[usuda@impress.co.jp]


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