[不定期連載]

通常のレビューでは紹介しづらい小ネタを不定期に取り上げる

買い物 小鉢

第2回:話題の耳栓型イヤフォン「Shure E2」を買った
~ 比較的ソースを選ばない、バランスがとれた音質 ~


 電車に乗っている時に、他の乗客が見覚えの無いヘッドフォンや高級ヘッドフォン、最新プレーヤーなどを使っていると目を奪われる。「iPodユーザー増えたな」とか、「でかいヘッドフォン使っているな~」とか、いろいろと気になる。たからこそ、自分で使うときのチョイスも慎重に行ないたいところだ。

Shure E2

 iPodユーザーである筆者は、なるべく目立たないで利用したいので、基本的にはステレオイヤフォン派。しかし、最近気に入ったイヤフォンが無いため、Sennheiserの「PX200」を利用していた。音質や装着感に関しては満足しているものの、やや嵩張りバッグに入らなかったり、夏場に暑苦しかったり、とそれなりに気に入らない点もある。

 ということで、今春来一部で話題となっていた耳栓型の「Shure E2」に興味が湧いてきた。Shureは最近のAVファンにはなじみが薄いのかもしれないが、レコード用のカーリトッジやマイクのトップメーカー。ヘッドフォンメーカーとはまったく認識していなかったのだが、CESで小寺氏のレポート(最上位モデルのE5c)が掲載された時に驚くとともに、いつかは使ってみたいと思っていた。


パッケージはブリスターパック 同梱品 キャリングケース

 今春より一部の通販サイトなどで並行輸入が行なわれていたが、15,000円程度と高めで手が出なかった。しかし、6月に入り、Shureの代理店であるヒビノが取り扱いを開始、楽器店やオーディオショップ、家電量販店でも販売されるようになったため、購入してみた。価格は9,480円(税抜)。

 パッケージは、小さめなブリスターパックでなかなか格好いい。本体のほか、交換用のイヤパッドが6種類付属。そのほか、キャリングケースや取扱説明書が同梱されている。

 Shure E2の基本スペックをまとめると、ダイナミック型/耳栓型のヘッドフォンで、感度は105dB SPL/mW、インピーダンスは16Ω、コネクタは3.5mmステレオミニで、ケーブル長は約1.6m。重量は約33gとなっている。

耳の裏にケーブルを回すように装着

 早速装着してみるが、これがなかなかの曲者で、うまく耳にはまらない。パッケージの装着方法の解説写真を見ると、耳穴に挿入し、耳の上をケーブルを通して背中に流す、というのが正しいらしい。

 とりあえず、そのやり方で装着してみるものの、「耳に入れる」→「ケーブルを耳裏に回す」→「背中のケーブル長を調整する」などとやたらと装着までのプロセスがややこしく、しかもケーブルが太めで重量感もあり、取り回しに苦労する。「買わなければ良かったかも……」などと、早くも弱気の虫が脳裏をよぎる。KOSSの耳栓型「The PLUG」を購入してみたもののあまり気に入らず、使用をあきらめたという過去もあるので、「耳栓型はやっぱりだめか?」などと不安になる。


パッケージに記載された取り付け方 ケーブル長は1.6m。ケーブルのたるみを調整するチューブを備えている

 とにかく最初はうまく装着できなかったのだが、何度か耳につめるうちにそれなりに、耳になじんできたので試聴。音質はインナーイヤフォンとしてはかなりいい。高域にかけての解像感が高く、耳栓型らしくきちっと決まった定位が魅力的。低域の量感はないが、バスドラの定位、スピードがしっかり再現され、かつ全体的なバランスもとれている。比較的ソースを選ばない音質と感じた。

 また、用途別にイヤパッドを選べるのも面白い。透明タイプの「フレックス・イヤパッド」と、オレンジのスポンジ状の「フォーム・イヤパッド」が用意され、それぞれL/M/Sの3種類、計6種類が付属して、好みのイヤパッドが選べる。

 「フレックス(透明)」と「フォーム(オレンジ)」ではフォームのほうが、外部音の遮音性が高く、地下鉄のロードノイズなどはほぼ完全にシャットアウトしてくれる。車内アナウンスなども聞こえなくなるが、遮音性を求めるならばオレンジを選択すればいい。一方のビニールの方はやや外部音もそれなりに聞こえ、「やや遮音性の高いイヤフォン」としてE2を利用できる。音場定位に関しては、フレックスのほうがくっきりと出るが、低域のボリューム感はオレンジの方が強めなど、実際の音に関しても若干の傾向の違いがあるのも面白い。

イヤパッドは取り外し可能 6種類のイヤパッドを用意

 個人的には、外部の音が聞こえたほうが安心できるので、フレックスの一番小さいタイプをメインで利用している。また、慣れてくると、いちいちケーブルを耳の裏にまわさなくても、耳穴だけでそれなりにE2を固定できるようになったので、装着時の手間も当初よりは大分低減できるようになった。耳栓型になじんでいないユーザーは、やや修行が必要かもしれないが、慣れてくれば、当初感じていたケーブルの重さも気にならずに快適に利用できるようになった。

 ということで、当初は「失敗した!」と思ったものの、使い込むうちに体になじんで、今となっては「PX200に戻れないよな」という気分だ。ウェルバランスで、飾りの無い音も満足。やや使いこなすのに時間と手間がかかったが、逆に言えば「飼いならす魅力」も備えているといえるのかもしれない。約1万円という価格は確かに高めだが、イヤフォンでいい音をポータブルプレーヤーで聞きたいという人にとっては、もっともバランスのいい製品だと思う。

製品名Shure E2
購入元オーディオユニオン SECOND HANDS新宿店
購入価格9,480円(税抜)

□Shureのホームページ(英文)
http://www.shure.com/
□製品情報(英文)
http://www.shure.com/earphones/eseries_e2c.asp
□関連記事
【1月13日】【EZ】Electric Zooma! in CESレポート
ポータブルオーディオ/日立プライベートルーム篇
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030113/zooma91.htm

(2003年8月12日)

[usuda@impress.co.jp]


00
00  AV Watchホームページ  00
00


Copyright (c) 2003 Impress Corporation All rights reserved.