■ 高級感あるデザインと外装
BDP-1720Aは、中国Sinco製のポータブルDVDプレーヤーを取り扱うブルードットの製品。2003年12月発売の7V型モデル「BDP-1720」をリファインした製品になる。 BDP-1720からの主な変更点は、本体色をシルバーからブラックに変更したことと、DivXの再生に対応したこと。DivX再生機能は9V型の「BDP-1920」に続く搭載で、7V型モデルへの搭載はこれが初めてとなる。ブルードットによると発売以来、出足は上々のようで、DivX再生へのニーズの高さがうかがえる。 ブラックボディになった点以外、本体デザインはBDP-1720と同じに見える。天板など主要部品は金属製で、手の油が残りやすいものの高級感は高い。「海外ブランドポータブルプレーヤー=外観が安っぽい」というイメージがあったが、最近は国内メーカー品に引けをとらない製品も多くなってきた。この製品はその中でも最右翼といえるだろう。ただし、メニューはBDP-1920と基本的に同一で、日本語フォントを含め、人に自慢できるほどセンスが良いとはいえないのが残念だ。海外ブランドプレーヤーの今後の課題だろう。 バッテリは内蔵せず、付属のリチウムバッテリを本体後部に取り付けるタイプ。当たり前だが、バッテリも黒に塗り直されている。連続使用時間はカタログ値で約3時間(DVD再生時)。編集部で3時間使用してみたが、残量警告は表示されずそのまま使用できた。映画ソフトなどを観るには十分な持続時間といえる。フル充電までの所要時間は4時間30分。
バッテリをつけると奥行きが3cmほど増すが、ノートパソコンでいえばミニノートクラスの大きさ。9V型などの大型モデルに比べれば気軽に持ち歩ける大きさだ。7V型の下には4V型や5V型クラスの小型モデルも存在するが、「鑑賞気分」を得られるのは、7V型程度がギリギリ最小と思える。 入出力はコンポジット、光デジタル音声、アナログ音声の各入力端子と、ヘッドフォン×2を装備。出力端子周りに搭載ディスプレイと外部映像出力の切替スイッチを配置したり、デジタル音声とアナログ音声を別端子とするなど、使い勝手に問題はない。 個人的には、コンポーネント出力とはいわないまでも、S映像出力ぐらいは欲しかった。しかし、据え置き型プレーヤーの高い普及率を考えると、ポータブルDVDプレーヤーが出回り始めたころに比べ、テレビへの出力頻度は下がっているはず。高度なテレビ出力については上級機にまかせ、実用本位の設計としたのだろう。 バッテリ以外の付属品は、カード型リモコン、ACアダプタ、コンポジット/アナログ音声出力ケーブルと基本的なもの。加えて、別に買うと比較的高価なカーシガレットアダプタを同梱している。車中で使用したい人にはうれしい配慮だろう。
■ 画質・操作性は高水準
搭載ディスプレイの画質は、以前試したサイテックの7V型モデル「DVP-390C」と良く似た印象。精細感を感じる画質で、最近の高画質DVDディスクならかなり美しく表示される。小型クラスでは崩れて表示されやすい字幕も、しっかり読める程度に解像されている。一昔前のポータブルDVDプレーヤーに多かった緑かぶり、ジャギー、チラツキも目立たなない。解像度は明らかにされていないが、DVP-390Cと同じく480×234ドットと思われる。
実用的な視野角は左右が60度程度、上下が45度程度。もう少し広いと、寝転んで観たりするときに姿勢の自由度が高くて便利だと思うが、戸外で行儀良く観ている分には問題ない。むしろ他人から見えにくい点がうれしい場合も多い。ダイナミックレンジも比較的広く、ディスプレイ輝度を下げることで白とびを抑えられるし、暗部の階調も悪くない。クラスを考えれば十分なレベルといえるだろう。 気になったのは、白っぽい背景や横移動を伴うシーンで薄い横線が多数見えること。その見え方は、ピッチの荒いCRTで見える走査線の隙間のようだ。ただし注視しないと確認できない程度なので、気になる人は店頭で確認して欲しい。 画質調整は、ディスプレイ輝度とカラー(彩度)のみ。どちらも16段階と細かく、外出先でよく使うディスプレイ輝度が、本体の「MONITOR」ボタン一発で呼び出せるのがうれしい。ただし、コントラスト、色合いといった基本項目が省略されているのは残念だ。デフォルトでもうまく表示されるので、ディスプレイ輝度だけでも十分かも知れない。なお、ディスクの回転音はそれなりに認められるものの、大型モデルのような派手な音ではなく、視聴中に気になることはなかった。
本体にはカーソル、Enter、再生、停止、一時停止といった主要ボタンを大きく配置。カーソルがないポータブルプレーヤーもあるが、DVDメニューを操作するためには、やはりあったほうが良い。スキップ送り/戻しボタンは、どちらも長押しすることで早送り/早戻し操作が行なえる。早送り/早戻しは最大32倍まで可能。コマ送りも一時停止ボタンの連打で対応できる。
そのほか本体には、「MONITOR」、「TOP MENU」、「MENU」、「RETURN」、「+」、「-」の各ボタンが設けられている。字幕、音声といった比較的良く使うボタンがないが、ソフト固有のDVDメニューを活用すれば実用上問題ないだろう。リモコンがなくて困る操作はリピート関連、ズーム表示ぐらいなので、戸外での使い勝手は悪くない。 リモコンはカード型で、BDP-1920と同じデザイン。すべてのボタンが同じ大きさなので、慣れないうちはカーソルキーなどを見失いがちだ。可搬性とコストとの兼ね合いもあるので仕方がないところだが、海外メーカー品ポータブルプレーヤーは、本体での操作性がよくなってきているので、そろそろ可搬性を無視した宅内使用を前提としたデザインのリモコンも面白いのではと思う。 CD-R記録のファイル再生機能も、BDP-1920やDVP-390Cといった最近の海外ブランドプレーヤーと同一のインターフェイスとなっている。映像系では生MPEG-2とDivXの再生をDVD-R記録、CD-R記録の両方で確認した。パソコンにこれらのファイルを溜め込んでいる人には有用な仕様だ。これでVR形式が読めればレコーダとの親和性も高まるので、このクラスにも対応製品を早く望みたい。
■ まとめ
メニュー構成がほかの海外ブランドプレーヤーと同じなので、DivX再生以外に独自の操作性やアイデアは見られないものの、7V型ディスプレイという手ごろな大きさ、金属ボディ、高画質、DivX対応と見るべき機能も多い。薄い横線以外に目立った欠点はなく、低価格なポータブルDVDプレーヤーを探している人にはお勧めの機種といえる。 ライバルは、同じく7V型の東芝ポータロウおよびサイテックDVP-390Cだろう。共通点は多いものの、これらの機種はDivX再生に対応していない。そのため、DivX再生とポータビリティを重視するなら、現在最も有力な候補といえる。
□ブルードットのホームページ (2004年8月19日) [AV Watch編集部/orimoto@impress.co.jp]
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