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第184回:松下とソニー、同日にプレスカンファレンスを開催
~ DVD+R対応「DIGA」や3CMOS採用DVカメラなど ~


■ CES 2005開幕

 いよいよ明日から「CES 2005」が幕を開ける。だが会場では前日から多くのプレスカンファレンスが開催されており、多くのメーカーから開催前日のこの日に、多くのニュースリリースが出されることになる。

 本日はその中でも、特に注目されるPanasonicとSONYのプレスカンファレンスの模様をお伝えする。



■ コラボレーションを強化するPanasonic

Panasonic Corporation of North AmericaのCEO 山田喜彦氏

 セントラルホール手前のひな壇の上といういつもの定位置にブースを構えるPanasonic。本日のプレスカンファレンスは、このブースの一角で行なわれた。まだ設営中ではあるが、それでも現場で一部の製品は見られるとあって、多くの報道関係者が詰めかけた。

 Panasonic Corporation of North AmericaのCEO、山田喜彦氏は冒頭のスピーチで、「これからPanasonicは、ハイディフィニション(HD)に対応したプラズマディスプレイのリーディングカンパニーとなる。現在国内2カ所と上海のプラントで一カ月に15万ユニットのPDPを生産。加えて尼崎のプラントを今年11月に操業開始し、これにより世界のプラズマ市場で40%のシェアを目指す。大画面テレビの勝者はプラズマである」と自信を見せた。

 国内メーカーではすでに、ソニーや東芝などがプラズマディスプレイ事業から撤退する動きもある。プラズマディスプレイに関しては、生産力の面からもPanasonicが中心となることは十分考えられる。

最初に発表されたHPとのコラボレーション

 また最近のPanasonicは、IT系企業とのコラボレーションを強化する傾向にある。この日もいくつかの強力なコラボレーションが発表された。まずHPとのコラボレーションでは、DVD-RAMとDVD+Rのコンパチビリティ強化ということで、HPのPCのドライブはDVD-RAM対応に、一方PanasonicのDIGAはDVD+R対応となる。

 事実だけ見れば、双方ともお互いのデバイスにスーパーマルチドライブ搭載ということなのだが、方やDVDフォーラムの盟主、方やDVD+RWアライアンスの立役者という両者がそれぞれの推奨フォーマットで手を組むあたりに、時代の趨勢を感じる。

 これにあわせて、ブース内ではDVD+R対応の新DIGAがお目見えした。「DMR-EH50S」は、フロントパネルのセンターにSDカードスロットが大きくフィーチャーされたモデル。HDDは100GBと日本のレコーダ事情から比べれば少なめだが、DVD系は録画がDVD-RAM、DVD-R/RW、DVD+R、再生がDVD-RAM、DVD-R/RW、DVD+R/RWと豊富なのが特徴。そのほかDVDオーディオ、音楽CD、ビデオCD、CD-R/RWに記録したMP3/JPEGの再生/表示もサポートしている。また電源投入後1秒で再生・録画や番組表表示が可能な「1 Second Quick Start」機能を備えている。

 「DVR-ES10」は、EH50SからHDDとSDカードスロットを外したエントリーモデル。「DMR-EH30V」は、DVDとVHSのハイブリッドモデル。ともにDVD+R記録対応などの特徴は、EH50Sと同じ。価格、発売時期ともに現状では未確認だが、日本の現状では+Rをサポートする必然性もないので、おそらく国内での販売はないものと思われる。

DVD+Rに対応した上位モデル「DMR-EH50S」 DVDのみのレコーダ「DVR-ES10」 VHSとDVDのハイブリッドモデル「DMR-EH30V」

PC用のBDドライブはまだモックだが、HPのマシンに搭載されるかもしれない

 また将来的には、PC用ブルーレイドライブの採用という面でも、HPとのコラボレーションが行なわれるという。ケースなしメディアでリライタブルも可能な薄型ドライブの製造など、「技術的には2006年あたりに可能」としながらも、DRMはもちろんDTCPなどの著作権保護規格面がどのようになるのかは、「まだ先が見えてこない」という。ユーザーとしてはもどかしい限りだ。

 そのほかブルーレイ関係では、DVDオーサリングなどでおなじみのSONICとのコラボレーションも発表された。ブルーレイの商用タイトル作成用ソフトウェア技術で提携していくという。

 カムコーダの新製品としては、3CCDのラインナップを下の方に拡充する動きが見られた。今回発表された3モデル「PV-GS250」、「PV-GS150」、「PV-GS65」は、それぞれ国内モデル「NV-GS200K」、「120K」、「55K」の後継モデルと見られる。また、3CCDのハイエンドモデルとして「PV-GS400」が展示されているが、これはすでに国内で販売されている「NV-GS400K」と同型だ。

3CCD機のミドルレンジ「PV-GS250」 若干エントリーモデルを意識した「PV-GS150」 3CCDの新エントリーモデル「PV-GS65」

DVDカムコーダの最上位モデル「VDR-M95」

 DVDカムコーダとしては「VDR-M54」、「M75」、「M95」の3モデルの名前が挙げられたが、現時点では会場にはM95のみ展示してあった。今までPanasonicのDVDカムは日立との共同開発のため、日立からも同型のモデルが出ていた。今回のモデルも、デザイン的に前モデルと共通点が多い。

 とはいえ、なにしろブース全体が設営中で説明員もおらず、製品の細かい情報はまだ不明だが、明日以降ならもう少し詳しい情報がわかるだろう。

□関連記事
【1月6日】松下、世界最小・最軽量の3CCD DVカメラ
-従来比2倍の手ブレ補正搭載の上位モデルも
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050106/pana.htm
【2004年1月9日】【ブルーレイ/DVD編】~ブルーレイをDellとHPが支持~
DVD-Rの2層記録をパイオニアがデモ、DVD+Rは2層規格を1月に策定
DVD-RAMは2005年前半に16倍速
http://av.watch.impress.co.jp/docs/link/ces2005.htm


■ ビデオカメラが充実のソニー

SONY Electronics Inc.プレジデント兼COOの小宮山英樹氏

 現地時間夕方5時15分から行なわれたソニーのプレスカンファレンスでは、米SONY Electronics Inc.プレジデント兼COOの小宮山英樹氏が、プロからコンシューマ、制作から視聴までを一社で網羅する、ソニーの包括的なHD戦略についてスピーチを行なった。特にハイエンド市場においては、グランドベガのセールスが今回のホリデーシーズンでトップに立ち、50%のシェアを獲得したと発表した。

 ただ残念ながら今回のプレスカンファレンスは、昨年のようにキュリオが踊るといったパフォーマンスもなく、国内ですでに発売されている内容も多かったこともあって、全体的に地味な印象を受けた。

 その中でほぼ唯一と言えるほど気を吐いているのが、ハンディカムだ。DVDハンディカムは米国で爆発的にヒットした商品となり、今期は昨年からの継続モデル1つを含む6モデルと、一気にラインナップを拡充する。

今期市場に投入されるDVDハンディカムシリーズ6モデル

 今期モデルの全体的な特徴は、新たにDVD+RW対応となったこと。+RWの特性を生かして、撮影後もファイナライズなしでDVDプレーヤーなどで再生できるという。また価格も、エントリーモデルは599ドルからと、大幅にスタートラインを引き下げた。従来のリッチな顧客層ではなく、もっと若い層を取り込もうという狙いで価格設定がなされたという。

 中でも注目のモデルは、従来のDVDカムコーダとはディスクの向きを全く変えて、斬新なデザインとなった「DCR-DVD7」だ。従来のDVDカムコーダは、ディスクドライブをカメラの横にくっつけた形で、DVカメラとデザイン的な差異がほとんどなかった。違和感なく移行するということも必要だが、新しいメディアなりのインパクトに欠けていたのも事実だ。

 DVD7は、正面から見るとビデオカメラとしてはかなり平たいが、体積では従来モデルと遜色ない。2.5インチの液晶タッチパネルモニタもドライブの蓋部分にそのまま収まっており、撮影中は可動部がほとんどなく、がっちりした作りになっている。ボディは光沢のあるピアノブラックで、質感もいい。予定価格は699ドル。米国では今年春から夏にかけてのリリースになる模様。

斬新なデザインでソニーらしさが光る「DCR-DVD7」 背面にはタッチパネル液晶モニタ ドライブの蓋が大きく開くのもソニーの特徴

 DVDハンディカムのフラッグシップ「DCR-DVD403」は、ビルトインマイクでそのまま5.1chサラウンド収録ができる意欲作。カメラ上部に、前後左右4つのマイクが仕込まれており、ここから演算を行なって5.1chを作り出す。液晶モニタに16:9の2.7インチワイド液晶を採用、3メガピクセルの静止画撮影機能を持ち、原色フィルタと、画質面でも期待できそうだ。

DVDハンディカムシリーズの最高峰「DCR-DVD403」 上部に4つのマイクが仕込まれ、本体だけでサラウンド収録が可能

 画質面で新しいチャレンジとしてはコンシューマで世界初の、3CCDならぬ3CMOSを採用したDVカメラ「DCR-PC1000」が登場した。CMOSはトイカメラなどに使われたために、画質や反応速度の面で「安かろう悪かろう」と思っている人も多いが、NHKが研究している走査線4,000本の高精細カメラもCMOSを採用している。コストをかけて製造すれば、反応速度はCCDの比ではなく、次世代撮像素子として研究が進められてきた。

コンシューマ世界初、3CMOS採用の「DCR-PC1000」 2.7インチワイド液晶タッチパネルを搭載

 価格はおそらく1,000ドル台の前半ぐらいになるというから、高くても1,499ドルあたりか。CMOSもDCR-PC1000の登場でコンシューマでの普及が進めば、将来的にはCCDに取って代わる日が来るかもしれない。

 リーズナブルなDVカメラとしては、4色のカラーバリエーションがある世界最小のDVカメラ「DCR-PC55」もよくできている。従来の世界最小をうたったモデルでは、長さを短くする方向で小型化が進められたため、縦型では持ちにくいという欠点があった。だがPC55は適度な長さを持ち、ボディを薄くすることで、非常にスマートな世界最小を実現したのが特徴だ。言われなければ、メモリ記録のビデオカメラモドキだと思ってしまうほどだ。また、ハンディーカムとしては特別な意味を持つ「55」型番を付けていることからも、その意気込みが伺える。

世界最小DVハンディカム「DCR-PC55」 本体が薄く、スマートなデザイン

 さて、明日からいよいよ本格的にCES 2005が始動する。どんなものが飛び出すのか、今度もCESレポートにご注目頂きたい。

□2005 International CESのホームページ
http://www.cesweb.org/
□関連記事
【2005 International CES レポートリンク集】
http://av.watch.impress.co.jp/docs/link/ces2005.htm
【2004年1月8日】2004 International CESレポート 【ソニー編】
再生専用ブルーレイ「BD-ROM」や、Hi-MDの米国モデルなど
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040108/ces02.htm

(2005年1月6日)


= 小寺信良 =  テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「ややこしい話を簡単に、簡単な話をそのままに」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンピュータのフィールドで幅広く執筆を行なう。性格は温厚かつ粘着質で、日常会話では主にボケ役。

[Reported by 小寺信良]



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