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第193回:1TB HDD+4チューナの衝撃、「Link de 録!!」
〜 PCもテレビもネットワークで繋がる世界 〜


■ 究極のマルチチューナ?

 アナログ放送最後の一花とも言えるマルチチューナ録画は、家電ではダブルチューナという形で開花した。一方PCのほうでは、複数のPCカードを搭載するとか、複数のUSBユニットを接続するといった方向で動いている。

 双方のアプローチともに、チューナを複数積むと便利なのは仕組みとして理解できるが、番組予約時におけるチューナの配分など、統合環境としてどうなのかといった部分まで含めると、成熟にはまだ多少の時間が必要のようだ。

 そんな中、USBキャプチャユニットをPCではなくNASに直結して、テレビ録画を実現するユニークな試みが現われた。バッファローの「Link de 録(ロック)!!」というソリューションである。

 NASに映像を録画するという考え方は、実は家電メーカーからも注目されている。チューナを搭載したHDDレコーダがネットに繋がるようになれば、次のステップはネットワークテレビ+NASという発想に至るわけだ。東芝の「face LZ150シリーズ」など、すでにその方向に動き出している製品もある。

 今回は、昨年末に発売されたバッファローの1TBのNAS「TeraStation」に、USBキャプチャユニットを4台繋いで、PCレスのマルチレコーディングに挑戦してみる。潤沢なリソース環境は、我々に何をもたらしてくれるのだろうか。


■ PCユーザーなら設定は簡単

昨年10月に発売されたUSBTVキャプチャユニット「PC-MV7DX/U2」

 いきなり実験を始めてもなんのことやらわからないと思うので、まず背景を順に説明していこう。今回使用するTVキャプチャユニットは、バッファローの「PC-MV7DX/U2」。もともとはPCとUSB接続する、MPEG-1/2/4対応キャプチャユニットだ。

 この製品がソリューションの一つとして持っていたのが、同社のNAS「LinkStation」のUSBポートに直結して録画できます、という「Link de 録!!」という仕組みである。この機能は昨年末ベータ版が公開され、正規版は後日ダウンロードで提供ということになっていたのだが、2月14日にその正規版がリリースされた。

 LinkStationにはUSBポートが2つあるが、その上位モデルとも言うべきTeraStationにはUSBポートが4つある。今回はこのポート全部に、TVキャプチャユニットを繋いでしまおうというわけだ。

 TeraStationには容量の差でバリエーションがあるが、今回使用するのは最初に発売された1TBのモデル。250GBのHDDを4つ搭載して、合計1TBである。デフォルトでは4つのドライブが1つに見える「スパニングモード」になっているが、RAID 1やRAID 5にも変更可能だ。だが4チューナ同時録画時には、NASのCPUパワーの問題もあり、速度的なパフォーマンスを考えると、スパニングモードで使用すべきだろう。

 実際にチューナを動かすのはNASなので、準備としてはまずTeraStationのファームウェアのアップデートなどを行なう必要がある。今回配布されたアーカイブには、ファームウェアも含めて一連の必要なソフトが含まれており、順に実行するだけで必要なセットアップが完了する。

 ハードウェアの接続は簡単で、TeraStationにPC-MV7DX/U2を4つプスプスとUSBポートに接続するだけだ。いやもちろんそれぞれに電源とかアンテナ線とかも繋ぐんだが。

必要なアップデータなども配布アーカイブに含まれている TeraStationにPC-MV7DX/U2を4台繋いでみる

 ネットワーク関連製品の多くは、設定をブラウザ経由で行なう。TeraStationもそのあたりは同じだ。NASとしての設定も沢山あるのだが、ここではテレビ録画用の設定のみを取り上げることにする。

 PCではなくTeraStationが直接チューナを動かして録画するということは、チャンネル設定などの基本的なことも、TeraStationに覚えて貰う必要がある。テレビ関係の設定項目「PCast」で、初期設定を行なう。ここではメディアサーバー機能を使えるようにして録画フォルダを指定することから始まり、チャンネル設定などもこのブラウザ経由でする。

ブラウザ経由でTVキャプチャに関する設定を行なう チャンネル設定も同様

 Link de 録!!ではiEPGを使っての予約も可能なほか、iEPGサイト「テレビ王国」で提供しているiCommandにも対応している。これはメールを使ったリモート予約サービスだが、ソニーの「おまかせまる録」機能をWEB上で実現する自動録画サービスにも対応している。このあたりもあとで試してみよう。


■ さすがに4チューナもあれば十分

 インストールと設定が完了したところで、実際に録画を試してみよう。「Link de 録!!」のソリューションをもろもろコントロールするには、PC上で「PCastLink」というソフトを使う。

 これはTV視聴を行なうためのモニタとコントロール部、予約や再生などを管理する部分が一緒にくっついたようなソフトだ。予約管理部分は閉じることもできるし、設定を変えればそれぞれがバラバラにもなる。

PCベースの視聴兼コントロールソフト「PCastLink」 各ウィンドウをバラバラにすることもできる

 注目すべきは、ここにチューナ1〜4のボタンがあるところだ。4つのチューナに対して、放送中の番組を見たり、録画したり、録画番組を再生することが別々にできる。一人で使っている場合は4つチューナがあっても面白くはないが、数人で使うことを考えれば面白いだろう。

 ネットワーク上に共用テレビがあるようなものである。人数も4人に限らない。放送中の番組でも同じチャンネルで良ければ、チューナ1を数人で見てもいいわけだ。ただヘヴィな使い方をするならば、トラフィックを考えてLAN環境をGigabit Ethernet化するなどの強化は必要になるだろう。

 次に予約を見てみよう。PCastLinkで「番組表から予約を追加する」をダブルクリックすると、設定したiEPGサイト(ここではテレビ王国に設定している)が立ち上がる。予約を行なうと、予約ダイアログではデバイス選択として、チューナ番号を選択できる。時間が重なっている予約は、別チューナを指定すればいいわけだ。もちろん最大で4番組同時録画が可能なわけで、やれることを考えればかなりゴーカイなレコーダ相当と化す。

 予約時に設定できるのは、MPEG-2かMPEG-4の選択と、画質設定ぐらいだ。それぞれに対して「高画質」「標準画質」「低画質」「ストリーミング画質」が選択できる。録画時間の延長や繰り返し設定は、いったん予約完了後にPCastLinkの「予約一覧」から変更を行なう。また予約の変更は、WEBブラウザを使っても可能だ。TeraStationにログインして「予約一覧」から同様の修正ができる。予約追加と修正だけなら、PCastLinkを起動せずに行なうことができるわけだ。

予約時にチューナを指定できる いったん予約を入れたのち、修正で毎週録画設定などを行なう 予約や修正はブラウザでも可能

 iEPGを使うとはいえ、基本的には人間が番組表をチェックして予約を入れるわけだから、半自動というか半手動予約である。だがテレビ王国が会員向けに提供している自動録画サービスを使えば、特定のキーワードで番組を検索して自動的に予約を入れる、ソニーのスゴ録などに搭載されている「おまかせまる録」と同じことができるようになる。

 この自動録画サービスは、いまのところ対応機種が限られていて、ソニーVAIOの2004年夏モデル以降、エプソンダイレクトの一部の機種、カノープスのキャプチャ製品が対象となっている。これに新しくバッファローのLink de 録!!が加わったわけだ。

 登録方法などはWEBサイトを見ていただくとして、実際に使ってみよう。まず基本設定として、キーワードを登録し、ジャンルや時間帯などで絞り込みを行なう。さらに任意で特定のキーワードを含まないなどの除外設定を行なうことができる。キーワード設定が複数ある場合は、その実行のプライオリティを決めておく。

キーワードを登録して番組を自動検索する 検索結果をプレビューする機能もある

一定時間経過すると、自動的に予約が登録されている

 一方Link de 録!!側は、この自動録画サービスでどのチューナを動かすかを指定しておく必要がある。例えばチューナ4は自動録画専用にしておいて、自分で予約するものはチューナ1〜3を使い回すと決めておけばいい。あとはTeraStationが定期的にサイトにログインして予約情報を受け取り、自分が管理している予約項目に、チューナ4の新規予約として追加する。

 自動録画サービスで複数のチューナを動的にアサインできればすばらしいのだが、それはテレビ王国側のシステムにも絡むので、なかなか難しいだろう。だが考えてみれば、通常は1つのチューナで自動録画とユーザー指定の予約録画をこなしているわけだから、それ専用チューナが用意できる環境というのはなかなか贅沢だ。


■ ノンPC操作とPCの利用価値

対応するLinkTheaterは「PC-P3LWG/DVD」と「PC-P3LAN/DVD」の2モデル

 ここまでの使い方では、録画の実行動作自体にPCが関与するわけではないが、視聴や予約などの実行にはPCが必要であった。プライベートでもPCが手放せない人ならばそれでもいいだろうが、もうちょっとAV寄りの人には別の使い方もある。同社のネットワーク対応型DVDプレーヤー「LinkTheater」をLink de 録!!のコントローラとして使用する方法だ。

 LinkTheaterとLinkStation(NAS)を使った再生環境は、以前レポートしたことがあるので、参考にして欲しい。前回はLinkStationに仕込んだコンテンツを再生するだけだったが、今回はもう一歩進んだ使い方をやってみよう。

 LinkTheaterからTeraStationにログインすると、新たにLink de 録!!というボタンが増えている。この中には、テレビを見たり録画予約を行なうためのボタンが並んでいる。技術的には家電系HDDレコーダとはずいぶん違うが、結果はかなりそれに近い。

Link de 録!!機能をLinkStationからリモコン操作できる 予約時には各チューナの空き状況がわかる

 例えば番組表での予約画面では、4チューナの空き状況を見ながら予約設定ができ、ある意味PCで予約するよりも動作の状態が把握できる。番組の検索では任意のキーワードは入力できないものの、ジャンルによるしぼり込みや、出演者の一覧などが利用できる。目的の番組1つにしぼり込むほどの検索機能はないが、とりあえず気になった番組をバンバン予約していっても、なんせ容量1TBである。容量が不足することは(たぶん)ない。

出演者を捜して予約することもできる 録画一覧では録画形式と画質も表示される

PCからはMPEGファイルとして引き出すことも自由

 録画番組の一覧では、番組タイトルと同時に、録画形式や画質などが表示される。このあたりのセンスも、家電ではなくやはりPC寄りだろう。アンテナ線がそこになくても、LinkTheaterとテレビモニタがあれば、放送を見ることも録画番組を見ることもできる。

 PC寄りといえば、録画した番組をPCで自由に利用できるというのは、あまり家電系レコーダにはないプロセスだ。所詮は、という言い方はヘンなのだが、TeraStationはNASなので、PCではネットワーク上のフォルダとして録画フォルダを見ることができる。中味を見ると、iEPGで録画予約したファイルには番組名+日付のファイル名が付けられている。

 もちろんこれらのファイルは、LAN上のPCから自由に引き出すことができる。専用の転送ソフトを使う必要もないし、転送したファイルは編集や別コーデックへの再エンコードも自由だ。


■ 総論

 「パソコンでテレビ録画」というソリューションは、今や伸るか反るかの難しい時期にさしかかっている。マーケティングの立場では、「今どきテレビチューナが乗ってないと他社と競合できない」という事情はあるのだが、実際にはパソコンの汎用性や拡張性が原因でテレビ録画機能が不安定になり、日常的に使うのは難しい。

 録画した番組を編集してビデオCDやDVDにしたり、ポータブルプレーヤーやケータイ、ゲーム機を使ってテレビ番組を見るためには、家電レコーダにそれらが直結できない現実から考えると、間にPCがポータルデバイスとして必要なのである。そういうことを考えると、現在はアナログ放送をPCで録画したものが、実は一番自由度が高いということになる。

 バッファローのLink de 録!!は、「そういう製品」というよりも、「1つの考え方」だと言える。デバイスとして元々あったものを、横に繋いでみせたということなのである。だがそれによって実現される環境は、非常に自由度が高い。

 スケーラビリティという意味でも、HDDは1TBもいらんということであれば、もっと安いLinkStationでもいいし、チューナ4台もいらなければ1台から始めて、必要に応じて買い足せばいい。

 ホームネットワークの実現を目指すDLNAも、ある意味ゴールは同じところのような気がする。だがいろんなパートの規格化を待っていては、いつまで経っても全体像が描けない。そこを独自規格ではあるものの、将来のホームネットワークが目指すべきビジョンを「今」実現して見せたのが、Link de 録!!というソリューションと言えるのではないだろうか。

 本来ならば最先端を行くべきPCで、最先端のメディアが録画はおろか視聴もできないという状態が、PC業界失速の要因の1つと考えても、あながち間違いでもないだろう。デジタル放送でも、Link de 録!!ぐらいまでのことができれば、言うことないのだが。

□バッファローのホームページ
http://buffalo.jp/
□ニュースリリース
http://buffalo.melcoinc.co.jp/products/new/2004/083_1.html
□Link de 録!!解説ページ
http://buffalo.melcoinc.co.jp/products/catalog/multimedia/pcasttv/ldr/index.html
□関連記事
【2月14日】バッファロー、PCレスでLAN HDDに録画できる「Link de 録!!」
−最大4台までの同時録画に対応
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050214/buffalo.htm
【2004年12月27日】バッファロー、PCレスでLAN HDDに録画できるソフトを公開
−2番組同録に対応。LinkTheaterからiEPG予約/再生も可能に
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20041227/buffalo.htm

(2005年2月16日)


= 小寺信良 =  テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「ややこしい話を簡単に、簡単な話をそのままに」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンピュータのフィールドで幅広く執筆を行なう。性格は温厚かつ粘着質で、日常会話では主にボケ役。

[Reported by 小寺信良]



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