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第164回:マジメ生徒会長の隣家にポルノ女優がやってきた
1本900円の衝撃!! 「ガール・ネクスト・ドア」

怒涛のように発売されつづけるDVDタイトル。本当に購入価値のあるDVDはどれなのか? 「週刊 買っとけDVD!!」では、編集スタッフ各自が実際に購入したDVDタイトルを、思い入れたっぷりに紹介します。ご購入の参考にされるも良し、無駄遣いの反面教師とするも良し。「DVD発売日一覧」とともに、皆様のAVライフの一助となれば幸いです。


■ 2本買えば1本1,000円以下!
ガール・ネクスト・ドア<特別編>
価格:1,780円
   1,995円(キャンペーン製品2本)
発売日:2004年2月18日
品番:FXBS-25005
仕様:片面2層1枚
収録時間:本編約110分
       特典約40分
画面サイズ:ビスタサイズ(スクイーズ)
音声:1.英語(ドルビーデジタル5.1ch)
    2.日本語(ドルビーデジタル5.1ch)
字幕:日本語
発売元:20世紀フォックス

 昨今、DVDビデオタイトルの低価格化が進んでおり、洋画の大作は2,000円台から新作が購入できるようになった。さらに、最近では新作も「2枚買ったら1枚タダ」とか、「2枚で2,980円」とかいったキャンペーンの中に最初から組み込まれていたりする。

 そんな折、インパクトがあったのはFOXのDVD2枚で1,990円のキャンペーン。対象製品は1本だけだと1,780円だが、2本買えば1,990円になるというもので、一本あたり単価は1,000円を切る。同キャンペーンは「ロボコップ 2」やエイリアンシリーズなどの再販タイトルも含んでいるが、この中に11もの新作タイトルも含まれている。

 そんなにビックタイトルは入っていないのだが、その中でひときわ目を引いたのが「ガール・ネクスト・ドア」。TVドラマ「24-TWENTY FOUR-」シリーズのキム役で人気のエリシャ・カスバートが、キムのイメージとはかなりかけ離れたセクシー路線でポーズを取ったジャケットもインパクトがある。出演はエリシャ・カスバート、エミール・ハーシュなど。監督はルーク・グリーンフィールド。

 本作の海外盤を見たライターの西川善司氏に結構面白かったという話を聞いて、通販サイトで検索してみたところ、なんとキャンペーンの2本セットという条件を無視して1本単位で販売していた。価格は896円。新作が1,000円以下で買えるというのも相当のインパクトだ。

 とはいえ、せっかくのキャンペーン製品なので、ほかの対象製品(スパニッシュ・アパートメント)とあわせて購入した。購入価格は1,990円の10%引きで2本で1,792円(1枚あたりで896円)。



■ “若さ故の過ち”のオンパレード

 平凡で青春を持て余していると感じる学級委員のマシュー(エミール・ハーシュ)。学校行事をリードし、カンボジアからの天才留学生サム・ヤンの受け入れ基金集めに奔走するなど、忙しい毎日を送っていながらも、なにか物足りない気分を感じている。

 校内で人気を集めるスポーツ選手や、ワル達とは一線を引きつつも、どこか彼らの「イカれた」行動や馬鹿騒ぎに魅力を感じている。ジョージタウン大学への進学を決め、既に授業に出る必要など無いのに、学校をふけて海に連れ出っていく悪ガキどもとは一緒になれず、いつも自制を利かせてしまう。マシューの仲間は、映画監督を目指すといいながら、アダルトビデオばかりみているイーライと、イエール大への進学が決まっている保守的なクリッツ。仲のいい三人だが、“ハメを外す”には誰もオクテで、ぱっとしない日常が続く。

 両親やその友人との会話も至って優等生的。そんなマジメ一徹のマシューの目標は奨学金をスピーチで得ること。JFKの演説などを参考にスピーチを練習に余念が無く、しかもそのスピーチの題目は「モラルについて」。しかし、ある日マシューの家の隣にセクシーかつ大人の魅力を振りまくダニエル(エリシャ・カスバート)が住み着く。

 ダニエルに一目ぼれしてしまったマシューは、思わず窓から隣家のダニエルの着替えを覗き見しまい、ダニエルに気づかれる。すぐに早足でマシューの家に駆けつけ、ドアをノックするダニエル。両親に告げ口されると戦々恐々のマシューだが、ダニエルから出た言葉は「このあたりを案内して欲しい」というものだった。

 突然のダニエルと車内で2人きりとなってしまったマシューは、緊張しながらも会話を切り出してみる。しかし、唐突にダニエルから“覗き”について問い詰められ、オドオドしてしまい、ビクつくマシューをダニエルはからかって遊ぶ。

 必死にイキがるマシューを見透かすように、今度はやさしく問い詰めるダニエル。最初は強がっていたマシューだが“「イカれた」行動ができないのが悩みの種だ”、などと打ち明けてしまう。そうしたある意味素直なマシューの態度に好感を抱いたダニエルは、マシューを次々に“イカれた”イベントへ誘い、何時しかマシューも自信を抱いていく。しかし、ある日イーライが放送室にマシューを呼び出す。そこで見せられたのはアダルトビデオに出演するダニエルの姿だった……。

 基本的には、純朴な少年と人生経験豊富な女の子の物語という、オールドスタイルな青春グラフティものなのだが、「恋人がポルノ女優」といいう変化球が目新しい。見所はなんといってもマシューの戸惑いと成長だろう。まっすぐな恋に自信を持ちながらも、性急に周りから大人の、しかも彼が目指していた成功とは、逆のダーティな世界に適応しようと、もがいていく姿が魅力だ。

 ラブコメらしく、マシューの必死な姿は確かに笑えるのだけれど、見ているうちに若かりし頃の失敗や、痛い思い出、不用意な虚勢など、他人事とは思えない“若さ”をこれでもかというぐらい感じさせてくれる。監督はコメンタリで「18才の身に起こる様々な事柄をマシューの目線から感じて欲しかった。大人になれば大して重要に思えないことでも、18才には重要だ」というが、マシューはまさにそうした“若さゆえの痛々しさ”を体中から発している。

 相手役となる、ダニエルも大人の雰囲気をマシューに感じさせながらも、マシューのたどたどしさと、実直さに惹かれていく。また、ダニエルのプロデューサで、マシューの兄貴分となるケリーや、マシューのもてない仲間であるイーライとクリッツなどのキャラクタも魅力的。時折ストーリ展開に無理がある箇所もあるが、勢いで楽しめる映画になっている。


■ 画質も満足。特典はそれなり

 DVD Bit Rate Viewerでみた平均ビットレートは6.56Mbps。110分とさほど長くない本編ということもあり、ビットレート的にはまずまず高い部類に入るだろう。基本的に明るめのシーンが多いこともあり、画質的の悪さを感じるシーンはほとんどない。学園生活は往年の青春映画を髣髴とさせる、屋外の開放感を感じさせる画作りで、夜のアダルトな雰囲気を対比させながら、マシューの陥った世界のねじれを画調からも感じ取ることができる。

DVD Bit Rate Viewerでみた平均ビットレート

 また、ダニエルの登場シーンなどスローモーションを多用しているのも気になるところ。学内で楽しそうにはしゃぐ生徒達の姿などを印象的に表現するとともに、そこには常に傍観するマシューを配することで、“楽しみきれない”マシューの姿を印象付ける。もっとも、コメンタリを聞くと「これはプラトーンのオマージュ(イーライ率いる撮影隊の転倒シーン)」など、必ずしも必要があってやっているわけでも無さそうなのだけれど……。

 音声は英語と日本語をドルビーデジタル 5.1chで収録。ビットレートは448kbps。別段聞かせどころはないのだが、校内イベントやプロムパーティ風景などの包囲感はやはりマルチチャンネルならではのものがある。

 特典は監督によるオーディオコメンタリと、エミール・ハーシュ、エリシャ・カズバートによるシーン別の音声解説。さらに、いたずらビデオ的な「イーライ体験者」、監督らによる「作品の裏話」、未公開シーンなど。

 メイキングに相当する「作品の裏話」は、10分弱と短く、監督やエミール、エリシャなどが見所や苦労などを紹介するというもの。監督によれば、当初の脚本は「もっと下品なコメディで、R指定のワイルドで危険な作品を目指していた。10代のリアルな生活を描こうとした」という。しかし、なぜより穏やかな作品になったか、ということについて説明してくれないのが残念だった。

 監督のオーディオコメンタリでは、スタジオの意向などから、R指定を逃れることを目標にしたことが語られているほか、R指定を逃れるために劇場版でカットしたシーンもDVDで収録しているという。監督によれば「こっち(DVD)が完全版だ」とのこと。

 エリシャとエミールのコメンタリはともに各シーンごとの短いもので、エミールが素っ裸にされるシーンでは、「素っ裸にされる役は僕じゃない。代役だ」と必死に否定するところが可笑しかったのだが、監督によれば「エミールは17才だったので、素っ裸になると法律に触れるため代役を使った」とのこと。


■ ラブコメ好きからキム好きまでとりあえず買って損無し

 端的に言うと比較的低予算なラブコメディなので、ハリウッド大作のようなゴージャスな音響やCGIなどは期待すべくも無い。しかし、マシューのたどたどしい動きや受け答えに一喜一憂しながらも、同時に自分自身の過去も笑っているようななんともいえない痛々しさが残る。それこそがまさに本作の魅力といえるだろう。

 ストーリーにやや荒さはあるが、「ありがちなアメリカの高校生活」からちょっと脱線ながらも、妙にリアリティのあるキャラクターやユーモアが楽しめるので、普通のラブコメ好きでも十分楽しめるだろう。

 なによりも1本あたり1,000円以下という価格なのだから、気になったらとりあえず買っておくべき。「24-TWNETY FOUR-」のキムのファンというだけでも、十分見る価値はあるだろう。


●このDVDについて
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前回の「雲のむこう、約束の場所」のアンケート結果
総投票数1,514票
購入済み
795票
52%
買いたくなった
605票
39%
買う気はない
114票
7%

□20世紀FOXのホームページ
http://www.foxjapan.com/
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http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050120/20cfox.htm

(2005年3月1日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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