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iPod nano対抗や動画対応プレーヤーで国内参入
一風変わったオーディオプレーヤー
SIREN 「DP200(512MB)」、「DP300(1GB)」
8月25日発売
オープンプライス
実売価格:9,980円(DP200 512MB)
      12,800円(DP300 1GB)



■ オーディオプレーヤー市場に新顔登場

 近年急拡大を続けてきたデジタルオーディオプレーヤー市場だが、一方で低価格化や大手のブランド確立により、新規参入メーカーは減少傾向だ。数年前は韓国メーカーが牽引していたが、国内大手メーカーが本格的に参戦し、iPod nanoの投入によるフラッシュメモリプレーヤー市場が大幅に変化した2005年以降、Appleを除く海外メーカーの存在感は薄れている。

左からDP200、DP100、DP300

 そうした中、米国でオーディオプレーヤーやデジタルフォトフレームなどを製品展開しているSIREN(サイレン)は、日本法人を立ち上げ、日本国内で本格的にSIRENブランドの製品展開を図るという。

 SIRENは北米でもブランド展開をしているが、日本参入にあたり、売れ筋やユーザーニーズを分析し、日本向けに製品開発。首掛け型の「DP100」、薄型カードタイプの「DP200」、カラー液晶とスピーカー搭載の「DP300」の3シリーズを8月25日より順次発売する。


モデル名 メモリ容量 カラー 発売日 店頭予想価格
DP100 512MBシルバー、オレンジ、ホワイト 8月25日 5,980円
1GB 7,980円
2GB 9月発売予定 12,800円
DP200 512MBシルバー、ブラック 8月25日 9,980円
1GB 13,800円
2GB 18,800円
DP300 1GB シルバー、ブラック 14,800円
2GB 19,800円

 いずれも、低価格だが、特にDP100の1GBの7,980円、2GBは12,800円という設定は、相場から見てもかなり安価。また、全製品USBストレージクラス対応というのも、パソコンでのフォルダ管理にこだわるユーザーには注目される部分だろう。今回は、薄型の「DP200」とカラー液晶搭載の「DP300」を試用し、プレーヤー市場のニューカマーの実力を検証した。


■ 薄型デザインが目新しい「DP200」

・高級感あるデザイン。指紋の処理が課題か

 ブラックを基調にし、ピアノ調の仕上げを施したデザインを採用。外形寸法約81×33.5×7.5mm(縦×横×厚み)と非常に薄く、iPod nano(90×40×6.9mm/42g)よりも一回り小さい。重量は約26g。

 手に持ってみるとかなり軽いが、本体の高級感は十分。ネックストラップが付属することからも、基本的には首掛けで利用するのがいいだろう。ディスプレイの表示品質もよく、タッチパネルの白色LEDもまぶしい。ただし、指紋が付きやすく、また、外光を反射して、指紋が非常に目立ってしまうのが難点だ。

 本体前面に128×64ドットの有機ELディスプレイを搭載し、その下に発光するタッチパネルキーを採用。上下左右に加え、中央の[M]の文字部の長押しでメニュー呼び出しとなっている。上部にストラップホール、左脇にヘッドフォン出力とHOLDスイッチ、右脇にUSB端子と再生/停止ボタンを備えている。

 同梱品はUSBケーブルのほか、カナル型のイヤフォン、ネックストラップ、ライン出力ケーブルなど。

本体前面に有機ELディスプレイとタッチパネルを装備 側面に再生ボタン。カバーで覆われたUSB端子は角形 左側面にヘッドフォン出力とHOLDスイッチを備える

iPod nanoとの比較

・USBストレージクラス対応。シンプルな検索/操作性

 USBストレージクラスに対応しており、転送ソフトなどは不要。WMA DRMファイルの転送時のみWindows Media Playerを利用する必要がある。パソコンとの連携はUSBで、USB 2.0ながら、転送速度は最大12Mbps。そのため、転送にかなり時間がかかる。また、端子は標準的なUSBミニBではなく、角形となっている。

 対応オーディオ形式は、MP3/WMA/OGG Vorbis/WAVで、MP3は8~320kbps、WMAは20~192kbps、OGGは96~350kbpsをサポート。WMA DRMにも対応する。

タッチパネル部

 再生ボタンを押すと起動し、タッチパネル中央の[M]の部分を長押しすると、メニュー画面が立ち上がる。メニューではタッチパネル左右を押して、ナビゲーション/音楽データ再生/プレイリスト/FMラジオ/録音/録音データ再生/テキストビューワ/設定メニューの各項目が選択可能で、項目選択後、Mボタンを押すと決定となる。

 ナビゲーションでは、DP200のフォルダ階層をそのまま表示して、フォルダ/ファイル選択を行なえる。タッチパネル左で上階層、右で下階層に移動し、同一階層の各フォルダ/ファイル移動はタッチパネル上下を押す。楽曲を選択して、右脇の再生ボタンもしくはタッチパネル右を押すと再生開始する。

 フォルダ階層をそのまま表示するので、パソコンでフォルダ階層管理をしっかりしていればわかりやすい。フォルダ/ファイル移動のレスポンスも良いのだが、タッチパネルの操作には慣れが必要かもしれない。なお、最大フォルダ数は50まで、ファイル数は500まで、との制限がある。


ナビゲーションを選択し、フォルダ階層を移動 再生画面

 一昔前は、フォルダ階層を表示しながら検索する製品も多かったが、iTunesやWindows Media Playerなどのプレーヤーソフトとの連携を強化した製品に慣れると、懐かしさすら感じる。

 [音楽データ再生]メニューは再生画面の呼び出しが可能。機能的にはシンプルだが、注意したいのがファイルの管理について。というのも、DP200では、100曲の楽曲を転送した場合、再生中の曲は100曲中の何曲目、という楽曲の管理になっている。そのため、ナビゲーションから[フォルダ]-[楽曲]を選択してアルバム再生をしているつもりでも、そのアルバムの再生が終わると、次のアルバムが再生されてしまう。アルバムの楽曲順には再生できるのだが、ちょっと解せない動作ではある。

 これを回避するためには[プレイリスト]機能を活用したい。[プレイリスト]は、人気の楽曲を登録して管理する機能で、フォルダを選んで、Mボタンを長押しすると楽曲/フォルダのプレイリストをプレイリスト登録。プレイリストメニューから登録した楽曲を再生できる。また、歌詞作成ソフト「SIREN LDB Manager」で付与した歌詞データの表示機能なども搭載する。

 基本的にはベーシックなプレーヤーだが、気になるのは有機ELディスプレイの視認性。室内や電車内などではあまり問題がないが、日中の屋外では、ディスプレイ表示が確認しづらい。パッシブ型の有機EL搭載プレーヤーの弱点だが、DP200でも特に改善はされていない。


・音質はSRS WOWの使いこなしがカギ

付属のカナル型イヤフォン

 イヤフォン出力は10mW×2ch(16Ω)。5モードのイコライザのほか、SRS WOWも備えている。付属のイヤフォンはカナル型で、装着感は良好だ。イコライザをノーマルに、SRS WOWをOFFにして再生音質をチェックしてみると、高域が詰まった感触が残り、低域もやや物足りない。初期設定でSRS WOWがONになっているので、SRS WOWを活用しながら、好みの音質設定を決めていくといいだろう。

 SRS WOWは、低域強調のTruBassが最高値の10、セパレーションとセンター定位を向上させるFOCUS強/弱の2段階が用意されている。TruBassが3~5、FOCUS弱が一番汎用的に活用できそうだが、ボーカルものを楽しむときはFOCUS強もいいだろう。それでも高域は若干ヌケが悪く、ヘッドフォンを変更してもあまり印象は変わらない。

 また、FMチューナやボイスレコーダ機能も装備。ADPCM形式での録音に対応する。FMチューナはオートスキャンでチャンネル登録できるが、あまり感度は良くない。なお、USB端子部はライン入力も兼ねており、付属のケーブルを用いてがADPCM形式でのライン録音も行なえる。

SRS WOWの設定 ボイスレコーダも備えている ディスプレイ設定。有機ELだがLCDとなっている

 バッテリは内蔵リチウムポリマー充電池で、USB充電に対応。連続再生時間は約11時間、充電時間は4時間となっている。


■ 動画再生に対応する「DP300」

・カラー液晶搭載でUSBコネクタ直付型

DP300

 128×128ドットのカラー液晶を搭載したSIREN DPシリーズの最上位モデル。オーディオプレーヤー機能に加え、動画再生機能も備えている。

 外形寸法は71×33.5×17mm(縦×横×厚み)、重量は約43g。本体背面側にUSBコネクタを備えているため、USBケーブルを持ち運ばずにも出先などでパソコンと連携できる。

 本体前面にカラー液晶を備えるほか、液晶下部に上下左右キーと中央にメニューキーを備える。本体上部にライン入力とヘッドフォン出力を、右側面にはHOLDスイッチを備える。また、右側面には再生/停止ボタンのほか、SRS WOWボタン、録音ボタンを備える。デザイン的には全く違うのだが、基本的なボタン配置はDP200によく似ている。

本体前面。128×128ドット液晶を装備する 上部にヘッドフォン出力とライン入力を装備。2系統をヘッドフォン出力とすることも可能 右側面に再生/停止、WOW、RECボタンを装備

 同梱品はラインケーブルやネックストラップ、カナル型イヤフォンなど。DP300用の動画を作成するソフトウェア「M-Video」は同社のホームページで公開している。

・DP200と同様の操作性。カラー液晶の視認性は良い

USBコネクタを引き出して、PCに接続できる。HOLDスイッチも備えている

 PCとの連携はUSB経由で行ない、背面のUSBコネクタを引き出して、直接PCに接続する。対応音楽ファイルはDP300と共通で、MP3/WMA/OGG Vorbis/WAV。WMA DRMもサポートする。USB端子はDP200と異なり、最大転送速度480MbpsのUSB 2.0 High-Speed対応。

 DP200と異なり中央の[M]ボタンを押すとフォルダナビゲーション画面が現れる。ここで任意のフォルダ/ファイルを選択し、再生/停止、もしくはMボタンを押すと再生が開始される。

 また、Mボタンを長押しすると、利用モード選択メニューが現れる。メニュー項目はナビゲーション/音楽データ再生/動画データ再生/プレイリスト/FMラジオ/録音/録音データ再生/ビューワ/エンターテインメント/設定メニューの各項目が用意される。


ナビゲーション画面 再生画面

 ボタンのタイプこそ違うが、基本的なナビゲーション方法はDP200とよく似ている。ただし、中央キーの長押しという一回の動作でナビゲーションに移れるため、DP200よりかなり直感的に扱える印象だ。また、ナビゲーション時の表示行数も、DP200の3行に対し、DP300の4行と広く視認性も良い。WOWボタンでイコライザや、SRS WOWのON/OFFを切り替えられるなど、純粋にオーディオプレーヤーとして使う分にはDP300のほうが使い勝手がよいと感じた。また、屋外での視認性もDP300のカラー液晶が上回っている。

 フォルダや、ファイル数の制限はDP200と同じで50フォルダ、500曲までとなっている。

・使い道がよくわからない動画再生機能

 カナル型のイヤフォンが付属。音質については、基本的にはDP200と同傾向だが、若干再生レンジが広い印象も。いずれにしろ、SRS WOWのセッティングで好みの音を作れればクオリティに大きな不満を感じることはないだろう。

 ライン入力をヘッドフォン出力に切り替える「デュアルイヤフォン」機能も搭載。[設定メニュー]の[音設定]から、デュアルイヤフォンのONを選択すると、2人で同じ音楽を聴くことができる。ポータブルDVDプレーヤーなどの採用例は多いが、オーディオプレーヤーとしては珍しい。また、背面にはモノラルスピーカーも搭載している。出力はあまり大きくなく、音質もさほど良くないが、複数人で音楽を聞いたり、FMラジオを聞く、といった活用もできそうだ。

デュアルイヤフォンを選択 スピーカー出力も可能

M-Video

 もう一つの大きな特徴といえるのが動画再生機能。専用ソフト「M-Video」を用いてAVI/MPEG/WMV/ASF/DivXのビデオファイルを専用のSMV形式に変換。DP300の「VIDEO」フォルダに転送した動画ファイルを再生できる。

 M-Videoは製品貼付されず、同社ホームページからダウンロードする。入力ファイルを選択し、画質と解像度を選択するだけのシンプルなもので、画質はMedium/High、解像度は128×128/128×96ドットが用意される。

 再生操作は、再生/停止のほかは左右キーで早送り/戻し程度で、オーソドックス。WMVやDivXファイルをSMVに変換し、転送/再生してみたが、128×96ドットの映像にしてはそれなりに画質は悪くない。ニュース番組のスタジオの引いた映像でも出演者の顔の特徴がなんとなくわかり、背景も認識できる。

動画再生を選択 動画再生画面

 ただし、バラエティやニュースの字幕判別はほぼできない。テレビ番組を見る分にはもう少し大きなディスプレイの方が満足度は高いだろう。最近は、ZEN V PLUSや、Sandisk「Sensa e200シリーズ」など小型ディスプレイに動画再生機能を備えた製品がトレンドになっているようだが、個人的には今ひとつ使い道がよくわからない。飼っているペットの動画を転送して、仕事場で癒される、的なツールとしての利用はありなのかもしれないが、そういう用途でも携帯電話のカメラ機能を使った方が簡単な様に思えるのだが……。

イメージ/テキストビューワも装備する

 また、ビューワではJPEG画像の表示も対応。[PHOTO]フォルダ以下に写真を転送することで、JPEG画像を表示できる。ボイスレコーダやライン入力、FMチューナ機能も搭載する。ボイス/ライン/FM録音では、MP3形式での録音が可能で、ビットレートは64/96/112/128/160kbpsから選択可能。FMは録音予約も行なえる。

 ブラックジャックなどのゲームのほか、「バイオリズム」機能も備えている。これは生年月日を入力すると、その日の金銭運や健康運を表示してくれるというもの。実際に使うかと言われると微妙だが、毎日持ち歩くきっかけとして、これはこれで面白い機能だとは思う。


MP3形式の録音に対応 バイオリズム機能も搭載

リモコン機能

 テレビリモコン機能も装備。メニューの[エンターテインメント]から、[リモコン]を呼び出してテレビの電源ON/OFFなどが可能。PanasonicやSharp、Sony、Samsungなどのテレビ用リモコンコードが用意されている。ただ、「Panasonic11」とか言われても、それがどのテレビに適用されるのかはよくわからないが……。

 可能なテレビ操作は電源ON/OFFとボリューム、チャンネル上下。DP300のメニューをたどってリモコンを呼び出すより、リモコンを探した方がいいようにも思えるが、他社との差別化という意味ではユニークな機能だ。

 また、時計表示やアラーム、スリープ機能なども備えている。電源は内蔵リチウムポリマーで連続駆動時間は約24時間(動画再生時約8時間)。充電はUSBで、充電時間は約5時間。



■ 派手さはないがユニークなプレーヤー製品

 音質や機能面では他社を圧倒するような特徴はないが、バイオリズムやリモコンなどユニークな提案が多く面白い。手に取ってみるとDP200のデザインはなかなか魅力的で、USBストレージクラスにこだわるユーザーにとっても、価格面での魅力とあわせて購入しやすい製品だ。

 細かい不満点はあれど、操作性は十分こなれており、機能的にも充実している。ポータブルオーディオ市場は、メーカーやモデルによって出来不出来の多い「玉石混淆」という時代ではなく、一定の水準を保ちながら細かな機能差とデザインで勝負する時代になったといえそうだ。そうした点でSIRENの提案は、面白いところを突いているように感じる。

□SIRENのホームページ
http://www.sirenjp.com/
□ニュースリリース
http://www.sirenjp.com/company/press/20060821_2.html
□製品情報(DP100)
http://www.sirenjp.com/products/dp100/index.html
□製品情報(DP200)
http://www.sirenjp.com/products/dp200/index.html
□製品情報(DP300)
http://www.sirenjp.com/products/dp300/index.html
□関連記事
【8月21日】SIREN、5,980円の首掛けプレーヤーなどで日本市場参入
-7.5mm厚の「DP200」や、動画再生対応など3機種
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060821/siren.htm

(2006年8月25日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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AV Watch編集部

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