■ 若干歩きやすい? 開幕初日 現地時間の8日月曜日、ここラスベガスではCES 2007の開幕初日を迎えた。年々規模を拡大し続けるCESだが、今年から観光客などの一般来場者の入場を制限しているため、初日にもかかわらず会場内は多少歩きやすい程度の空間的余裕がある感じだ。今回はLVCCセントラルホールに出展しているメーカーの、ビデオカメラ関連のニュースをお伝えする。世界的に見てもコンシューマのビデオカメラメーカーというのは、ほとんど日本に集中している。日本以外のメーカーでは、韓国のSamsungか、あとは台湾、中国でMPEG-4カメラを作っているメーカーぐらいだろうか。いずれにしろハイエンドのビデオカメラを探すとなると、まず日本企業のブースを回ることになるわけである。
■ 米国初のハイブリッドカムを発売した日立 日立は以前CESの会場内にブースを出しておらず、近隣のホテルのボウルルームを貸し切って独自の展示を行なっていた。だが昨年からCES会場内にも出展するようになっている。日立のビデオカメラと言えば、昨年は日本でHDDとDVDのハイブリッドカメラが人気を博した。そして今年ここ米国で初めて、ハイブリッドカムコーダを発表した。 DZ-HS300Aは、米国仕様のハイブリッドカムコーダ。日本向けモデルとは違って、光学20倍ズームレンズを備え、撮像素子を68万ピクセルCCDに小画素化して低価格にしたモデル。8GBのHDDを内蔵し、高画質モードで3時間、スタンダードモードで6時間の撮影が可能となっている。DVDの対応メディアは、DVD-R/RW/RAM、DVD+RW。撮影した動画から静止画をキャプチャする機能も備えており、SDカードに保存できる。価格は599ドルで、米国では本日8日から発売。
日本ではDVDレコーダの普及が進んでおり、ハイブリッドと言えばDVDとHDDといったイメージがあるが、米国ではDVDレコーダはほとんど普及していない。そのため「ハイブリッド」と言っても何と何のハイブリッドなのかを、米国ではこれから訴求していかなければならない。ただ本体のボタン一つでDVD Videoの作成が可能というあたりが、米国では手応えがありそうだ。
そのほか参考出品として、1.8インチの30GB HDDを搭載した大容量モデル、DZ-HS500Aもお目見えした。スタンダードモードで約22時間の録画が可能。米国では4月の発売を予定している。日本向けには、もっと画素数をアップさせた別モデルの製品化を予定しているという。
日立は元々DVDカムを最初に開発したメーカーである。せっかくなので担当者の方に、将来のハイビジョン化のお話を伺ってみた。「もちろん日本市場を始め、世界的にもハイビジョン化の動きがあることは間違いなく、開発は進めている」という。だがフォーマットとしてAVCHDを採用するか、それともダイレクトにBlu-rayドライブを搭載するかで、まだ検討中だという。
今回はデザインモックアップとして8cm BDのカムコーダを2タイプ展示しており、ブース内で参考出品のBDレコーダとともに、日立が作るBDのフルHDワールドの一翼を担う製品として紹介されている。ソニー、パナソニックがAVCHDを推進していることもあり、もしかすると「BDカム」の開発は、BDプレーヤ/レコーダともに遅れを取っている日立が一発逆転を狙ってくるかもしれない。
■ 地道にXactiを育てる三洋
三洋のブースは、その大半が「eneloop」の展示に使われている感じだが、その一角でハイビジョンXactiの新モデル「VPC-HD2」がお目見えした。 初代の「DMX-HD1」、SDHCカード対応のリファインモデル「DMX-HD1A」からの違いは、最高で7.1Mピクセルの静止画撮影に対応した点。また液晶モニタ内部には、連写モードボタンの代わりに「HIGH SENSITIVITY」ボタンを設けた。増感はこれまでもメニュー内で設定することができたが、それを表に出した格好だ。 ISO 1600まで簡単に増感でき、最低照度は9ルクスを目標としている。
さらにクレードル側の改良点として、今回新たにHDMIの出力を設けた点は大きい。すでにブースでは実働モデルが数台あり、自由に撮影できるようになっていた。米国では3月から4月ぐらいの発売で、予価699ドルとなっている。
ちなみに今回発表のモデルも、ハイビジョン撮影は720pである。しかし日本国内では放送方式は1080iがほとんどのため、720pはマイナーなフォーマットとして受け止められがちだ。担当者に伺ったところ、もちろん日本国内からは1080iを要望する声が多く、その期待に添えるべく1080iモデルも開発を進めているという。今年秋ぐらいには製品化したいという意向のようだ。 メモリ記録のハイビジョンカムコーダと言えば、AVCHDフォーマット採用のパナソニック「HDC-SD1」がある。ハイビジョンXactiも仕様としてはAVCHDとかなり近い部分があるが、三洋としては今のところAVCHDフォーマットを採用する計画はないようだ。
もともとXactiはPCとの親和性を重視して作られており、その方向性からするとDVDメディアに書き込んだり、BDプレーヤーで再生したりといったソリューションとは合わないと考えているようである。ただ米国でのXactiの反応は、かなりニッチなデバイスとして捉えられているようで、Cシリーズはたまに量販店でも見かける程度である。独自路線でハイビジョンXactiが米国で受けるためには、何かもうひとひねりする必要がありそうだ。
□2007 International CESのホームページ(英文)
(2007年1月9日)
[Reported by 小寺信良]
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