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“Zooma!:ズームレンズ、ズームすること、ズームする人、ズズーンの造語”

「年末特別企画」Electric Zooma! 総集編
~ あの品この品でエライことでしたSpecial ~


■ 口上

 今年3月から連載を始めた当Electric Zooma!も、ここにつつがなく年の瀬を迎えることができた。これもひとえに筆者の実力である。あっウソすいませんすいません、いやそんな突っこまなくても。もちろん読者諸氏の絶大なる支持の賜ですったら。

 おとつい載ったばかりなのにどーしたのだとおっしゃる方もいらっしゃるだろう。それは筆者の担当が「タダで正月は休ませねえぜ、えしぇえしぇ」と意地の悪い笑いを浮かべたからでは全然なく、元々は筆者が言い出したことなんである。そう、本日のElectric Zooma!はいつものレギュラー枠ではなく、年末特別版をお送りする。いままで掲載してきた記事を参照しながら、激動の21世紀元年を振り返ってみようってわけだ。

 まあせっかくの年末企画である。筆者がクリスマス連休中にあんなこと言わなきゃよかったと泣きながら執筆したこの入魂の記事、ここはひとつ、こたつにでも入ってミカンでも食べながらのんびりと楽しんで欲しい。なおキーを打ち間違って本音になってしまっているところもあるかもしれぬが、それはあくまでも打ち間違いであるので関係者ご一同様は笑って読み飛ばすなどのご配慮を賜わりたい。


■ DVD篇

VAIO RX

 今年を象徴するムーブメントとしては、やはり記録型DVDの台頭が上げられる。デッキタイプのビデオレコーダは以前からあったが、今年初めにPioneerからfor General規格のドライブがリリースされた時点から、パソコン業界を中心に俄然盛り上がりを見せた。そう言う意味で、2001年という年は記録型DVD元年と記憶されることだろう。

 今年5月にSONYからDVD-R/RWドライブを搭載したVAIO RXが発売になり、その翌6月にはドライブの単体売りがスタートした。

第10回:DVD-R/RW搭載新型「VAIO RX」を世界最速!?レビュー
第14回:来た来たっ! 単体DVD-R/RWドライブ「LDR-214F」

松下電器のDVD-RAM/Rドライブ「LF-D321JD」

 さらにそれを追撃する形で、7月にPanasonicがDVD-RAMとDVD-Rのコンボドライブを発売した。おそらくこのドライブの存在をいち早く世に知らしめたのは、今年4月25日の「NAB2001リアルタイムレポート」が最初ではないかと自負しているのだが。

 この通称「RAMBO」は初出価格が大幅に安かったこともあり、発売と同時にアキバに行列を作らせたものである。このコンボドライブの成功により、DVD-RAMが再評価されたと言ってもいいだろう。

第19回:人気大爆発!の松下製DVD-RAM/Rドライブをレビュー
NAB2001リアルタイムレポート:DVD-RAMとDVD-Rのコンボドライブが登場


 とにかく記録型DVDはフォーマットの種類が多く、ドライブの他にビデオレコーダもあり、さらに1台で複数フォーマットをサポートするなど、全体的に何がどーなってんだかわかりにくいという状況になっている。またそれに関するソフトウェアも数多く登場してきたことで、さらに混迷の度合いを深めつつある。

これが小寺氏ほか豪華執筆陣による「記録型DVDパーフェクトマニュアル」

 そんな状況につけ込む形でだな(笑)、記録型DVDのいろいろな疑問に答える形でまとめた書籍がインプレスから出たので、ついでにご紹介させていただきたい。「記録型DVD活用パーフェクトマニュアル」というこの本、なんと言っても執筆陣が豪華である。

 「DOS/V POWER REPORT」でお馴染みの天野司氏、PC Watch「週刊PCホットライン」の元麻布春男氏、同じく「先週のキーワード」の鈴木直美氏、プロミュージシャンでPCサウンド系にめっぽう強い田澤仁氏という錚々たるメンバーで、そこに筆者も混ぜてもらっている。なにしろ皆さん超売れっ子で多忙な方々ばかりのため、担当者はスケジュール調整が大変であったと聞く。どのぐらい大変かというと、なんせ全員が一同に顔を揃えたのが最初の顔合わせだけいう恐るべきスケジュールの合わなさ具合である。

 いやそんなことはいいのだ、とにかく内容は充実しているのでこの本をよろしくってことと共に、記録型DVDのことをいろいろと調べていけばいくほどパソコン上におけるDVD環境は、現在のCD-Rや家電ビデオレコーダに比べてまだまだ未成熟なんだなぁと感じた。コンシューマレベルではドルビーエンコードができるエンコーダもないし、メディアの追記もままならない。

 しかしDVD-RメディアもテレビCMが始まったり、値段もノーブランドならそろそろ500円を切り始めてきたところから、2002年はいよいよ本格的な普及が始まることと思われる。「本格的な普及」の意味するところはすなわち、今までは「よくわかっているヒト」のものであったDVD-Rが、いよいよ「よくわかってないヒト」もユーザーになっていくわけだ。これに対応してパソコン上ではさらなる環境の整備を行なわなければ、各メーカーのサポートセンターの回線はパンク必至であろう。

 また現状では、DVDのライティングが可能なソフトウェアだけで20種以上もある。それにエンコーダまで加えると、DVD関連ソフトという意味ではもう30を越える。いくらなんでもそれだけの市場はあるはずがない。これらのソフトウェア群も、いろいろな観点からの淘汰が始まることだろう。

 個人的にはRW系の値段が下がって、VRフォーマットがもっと気軽に使えるようにならないかな、と期待している。オーサリングが不要で追記も可能なフォーマットこそ、映像記録メディアに必要な条件ではないかと思うのだが。


■ テレビ録画篇

カノープス「MTV1000」

 パソコンにテレビ録画ができる、いわゆるテレビキャプチャー製品は2年ほど前から安定した盛り上がりを見せているが、今年は特に高画質設計の製品に人気が集中した。

 以前からDVD相当の画質を謳っていた製品は相当あるが、その多くは単にMPEG-2の解像度やビットレートがDVD規格と同じというところをよりどころとしていたに過ぎない。しかし実際にDVD-R for Generalが幕を開け、本当にDVDと同じ土俵で勝負してみると、全然勝てないってかそれ以前に全然DVD規格と違うじゃねーかよこれ、ということが明らかになったのである。

 DVD相当の画質を得るには、高ビットレート記録はもちろん、エンコーダの性能やアナログ回路設計がものすごく効いてくるということが再認識された年であったろう。そんな今年のベストセラーといえば、やはり高画質と安定性が売りのCanopus「MTV1000」だ。またストレートにDVDまで持っていけるMPEG-2を吐く、貴重なキャプチャーカードでもあった。さらにAVI収録したファイルまでハードウェアエンコード可能という考え抜かれたスペックは、多くのビデオ系ユーザーの支持を得た。

第12回:テレビキャプチャカードの最高峰「カノープス MTV1000」


NEC「SmartVision HD40」

 またNEC「SmartVision HD40」は、従来からあるキャプチャボックススタイルを押し進めて、しまいにはスタンドアローンのビデオサーバにまでなってしまったという意味で非常に興味深い製品だ。当初USB接続でHDD搭載製品というスペックを翻して、発売延期してまでも仕様変更したNECの判断は見事だった。

 ただ筆者もあれから数週間SmartVision HD40を使い続けてみているが、ソフトウェアが起動できなくなったかと思うと予約データが使えなくなっていたりと、ちょーっと不安定になってきた。もう少し様子を見て調子が悪いようなら、本格的に手を入れてみようかと思っている。

第38回:仕切り直しての登場、NEC「SmartVision Pro HD40」



Panasonic「DMR-HS1」

 テレビ録画と記録型DVDを跨ぐものとして印象深い製品と言えば、Panasonicの「DMR-HS1」を忘れるわけには行かない。静かな動作音、そつのないプログラム、久々に「家電の良さ」を再確認させてくれた製品だ。そしてなにより値段が安い。すでにネット通販では14万を切っているところもあるぐらいで、「Panasonic DVD-RAM/Rドライブで大躍進」のさらにだめ押しの1点に相当する製品であった。

第35回:これが究極のハイブリッドDVDレコーダー!?


東芝「RD-X1」

 こういった大躍進企業の陰で、こっそり泣いた企業もあった。東芝の「RD-2000」に対する2度にわたる無償点検・修理は、このようなハイテク家電製造の難しさを物語る一例である。さりとて他メーカーではここまでの大問題はなかったわけで、やはり難しいというだけでは済まされない、企業体質そのものを問われてもしかたのない事件であった。12月20日に出荷が始まった後継機「RD-X1」の安定性に注目したい。

東芝、HDD/DVDレコーダ「RD-2000」を再び無償点検・修理
第41回:管理機能充実のハイブリッドレコーダ


「MonsterTV」

 また記憶に新しいところでは、エスケイネットの「MonsterTV」も、動作する、しないで物議を醸しだした製品だ。ちゃんと動けば基本性能は高いだけに、発売当初は「動く派」と「動かない派」で評価がきっぱり分かれるという結果となった。また不良の付属ケーブル無償交換も、相当数行なわれたようだ。

 現在エスケイネットのサイトには20を越えるトラブルシューティング項目が掲載されている。このようなことが騒がれたのも、それだけこの分野の製品に寄せる期待も大きかったということが言える。

第32回:いろんな意味でモンスターなTVキャプチャカード
 いったん失われた信用を取り戻すには大変な時間がかかる。メーカーであれば、辛抱強く製品の質で応えていくしかないだろう。


■ ビデオカメラ篇

 ビデオカメラといえばもはやDVが定番であるが、各社ともその差別化に苦心している。今年中盤あたりまではまだ「メガピクセル」という単語が魔力を持っていたが、どうも後半息切れしてしまったようである。

 特にビデオカメラの場合は高価であるため、あまりとっかえひっかえ買い換えて使うというユーザーも少ない。だから、ある程度の画像が撮れれば画質に対してあまりシビアな話にはならないようだ。そうすると次第にそのほかの部分で勝負することになる。

SONY「DCR-PC9」と「DCR-IP7」

 小型化という点でSONY「DCR-PC9」は、いくらなんでもちっちゃくしすぎだろこれ握れねえぢゃん、と思っていたのだが、さらに「DCR-IP7」なんてーのが出てさらにちっちゃくなってしまった。

 もうここまでくると、従来のビデオカメラという体裁では考えられなくなってくる。つまり撮り方や撮るものが、あきらかに従来想定してきた「子供の成長」みたいな記録映像とは違ってきているのではないか。

 SONYらしい意識変化と言えるかもしれないが、記録したあと保存までを想定せず、誰かに見せたらそれで終わり、みたいな映像大量消費型に変えていこうとする意志を感じさせる。同時にネットワーク機能を充実させたことで、従来ビデオカメラを買うような層とは違ったところに製品が流れているのも興味深い。

第20回:小型軽量のDVカメラ新モデル「SONY DCR-PC9」
第26回:文句なしの世界最小・最軽量!!「SONY DCR-IP7」


CANON「PV130」

 一方CANON「PV130」は、正面から画質で真っ向勝負を挑んだ意欲的な製品であり、個人的にその心意気を評価したいカメラだ。色味の表現もいいし、どこに向けても大抵は実際の現場状態よりもいい絵が撮れる。このあたりは従来の画質重視ユーザーを意識した作りと言える。まだまだカメラとしてやれることは沢山あるんだ、という意志が作り手から伝わってくるようだ。ただもうちょっと低消費電力設計を頑張ってくれたら、買うんだがなぁ。

第25回:画質にこだわった小型DVカメラ「キヤノン PV130」


CANON「FV20」

 それにしても「FV20」から搭載されたDVの3倍録画機能、これ書いたときはマジでイケルと思ったんだが、フタを開ければ他社が追従する気配もなく、コデラ大空振りである。それというのも今年は映像記録媒体としてDVD系の台頭がめざましく、テープメディアに対する関心が薄れたと言うこともあろう。また松下電器の調査によると、「DVカメラユーザーの撮影頻度は「月2~3回」が最も多く、全体の30%を占めている」ということらしく、なんだよその程度の頻度だったら長時間録画じゃなくても全然大丈夫なんじゃん、と思った次第である。

第1回:展開次第では大化けするかも!!「CANON FV20」



■ オーディオ篇

サラウンド聴き比べその1はヤマハ、ソニー、ティアックの3機種を紹介

 今年のオーディオ面の特徴は、サラウンドがいよいよ市民権を得たという点が上げられる。Zooma!でも計3回にわたりサラウンドシステムの評価を行なったが、アンプ込み3万円程度のセットでも結構聴ける製品が出てきているのがわかった。

第2回:3万円前後の低価格5.1chシステム聴き比べ その1
第3回:3万円前後の低価格5.1chシステム聴き比べ その2
第18回:ソニーのリベンジ!! 5.1chシステム「SA-PSD5」


その2ではNEC、クリエイティブ、オンキヨーを比較した

 今までオーディオと言えば音楽を聴くための装置であったわけだが、それがサラウンドであることによって、テレビや映画を見るための装置という位置付けに変化した。秋葉原あたりの電器店にもそう言った変化は如実に現われてきており、一時は衰退したオーディオコーナーの復権といった勢いにもなってきている。それと同時に、ユーザーのオーディオに対する考え方にも変化が見られる。

 従来の音楽中心であるオーディオの基本は原音忠実であり、お皿に記録されたデータをいかに遜色なく空気振動に変えていくかみたいな、妥協は1ミクロンもゆるさんもんね、きっ、という考え方が中心となっていた。こういう考え方を押し進めていくと、お金の面で大変コワイ結果になりがちなので、あきらかに一般ユーザーは引く部分である。

 しかし映画の音は、もともとバーチャルである。絵を作ったあとに音効さんが一生懸命こさえてくれるわけだ。そのため、原音という考え方はあまり意味がない。したがってサラウンドを求めるユーザーの意識は、もはや原音忠実ではなく、いかにバーチャルソースを楽しむかといったところにポイントがシフトしている。つまり「音ってオレたちが好きなようにいじっちゃっていいんだー」、みたいな考え方である。そのためエフェクト満載の遊べるAVアンプが人気だったり、2chでサラウンドを再現するバーチャルサラウンドシステムがものすごく面白いことになっていたりするという流れに繋がってきている。

 個人的に今年オーディオ系で素朴に感動したのは、ソフトウェアDVDプレーヤーに最近多く搭載されるようになったドルビーヘッドホンである。パソコンでDVDを見る際の弱点といえば、サラウンドで聴くのが大変、というところであった。しかしノートパソコンでドルビーヘッドホンを試してみたところ、最初はバカにしていたのだが、時間が経つにつれ次第に映像に集中できるようになっていった。つまり、ヘッドホンから聴いているという音の不自然さが感じられなくなってきたのである。元がステレオソースだと単にエコーかかっているようにしか聞こえないのでダメだが、ちゃんと5.1chの映画などはかなりいい感じだ。地味な技術かもしれないが、だまされたと思って一度聴いてみて欲しい。

VAIO MXの新製品「PCV-MXS1」

 一方で純粋な音楽のリスナーに対して大きくアピールしたのが、SONY VAIO MXの存在である。以前からオーディオ機器っぽいデザインのVAIOという位置付けで存在したシリーズだが、今年の最新モデルPCV-MXS1では、ここまでの音がするんだったら、とぐらぐらしているオーディオ寄りのユーザーもかなりいるようだ。

ソニー、Net MDに対応した新「VAIO MX」



■ 2002年は……

 こうして今年のAV機器を振り返ってみると、傾向として単機能のものをユーザーがいろいろな目的に使うというのではなく、最初から多目的であるように設計された製品というのが受けたようだ。○○なのに××ができる、しかも××はオマケレベルじゃない、従来のオマケがマジになったような製品群である。

 多目的に(無目的にも)使えるというものとしてすでにパソコンがあるわけだが、AV機器が如実にパソコン色を帯びてきたというのも今年からの傾向の1つだろう。スイッチ大好きな筆者にしてみれば、AV機器がプチプチボタンのメニュー操作になっていくのは残念だが、機能が複合化すればどうしても製品の操作が複雑になってくる。そのためにはある程度のパソコン化は避けられないのかもしれない。

 また今年ブレイクしたDVD関係だが、今現在が1番フォーマットも沢山あり、混沌とした時期であろう。来年半ばあたりまでは、複数フォーマットに対応するマルチドライブでしばらく突っ走る気配が見える。しかし2002年中にはそれぞれのフォーマットが生き残るための方向性というか自分の居場所というか存在理由というか、そういうものの確保に走ってくることだろう。このまま同じような機能のフォーマットが平行で存在していけるほどの市場はないわけだし、ユーザーもそれを望んでいない。いずれはβ vs VHS戦争のような形で、何らかの決着をつけなければならないときがくるだろう。

 さて、Electric Zooma!ではこれまで、単なるモノのレビューではなく、できる限りそれが生まれてきた背景や世の中の傾向などを分析しながら書いてきたつもりである。またユーザーの立場として、ダメなところも正直に指摘させていただいたりもした。

 近頃ではメーカーの方にお会いするたび、「いつも読んでます」という言葉をかけていただけるようになってきた。これはうれしいことであると共に、だんだんメッタなことは書けないような(笑)プレッシャーも感じるようになってきたのも事実である。しかしまあ内容に関してはこれまでメーカー各社から大したお叱りも受けず、スタンスをご理解いただいている。そしてこのようなWEBの長文記事にも関わらずおつき合いいただいている読者の皆様のためにも、より突っこんだ内容でお送りするつもりである。今後ともよろしくご支援のほどを。

□Electric Zooma!バックナンバー
http://av.watch.impress.co.jp/docs/backno/zooma.htm
□NAB2001リアルタイムレポート インデックス
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010502/nabindex.htm

(2001年12月28日)


= 小寺信良 =  無類のハードウエア好きにしてスイッチ・ボタン・キーボードの類を見たら必ず押してみないと気が済まない男。こいつを軍の自動報復システムの前に座らせると世界中がかなりマズいことに。普段はAVソースを制作する側のビデオクリエーター。今日もまた究極のタッチレスポンスを求めて西へ東へ。

[Reported by 小寺信良]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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