【バックナンバーインデックス】



第96回:International CES特別編
〜 東芝、松下、ソニーなど各社の最新映像技術 〜
  LEDバックライトやプラズマ発光高効率化など


■ 東芝の最新映像技術(1)
  〜次期REGZAに搭載される映像エンジンはこうなる!?

 東芝は次世代REGZA向けの技術とCELLプロセッサを活用した次世代映像処理技術を展示していた。次世代REGZA技術として展示されていたのはLEDバックライト技術、超ハイコントラスト液晶駆動技術、垂直方向ベクトル検出に対応したIP変換技術の3つ。これ以外に液晶の倍速120Hz駆動による残像低減技術、適応型の映像処理技術の「PixelPure4G」、「Color Burst Ultra」も展示されていたが、こちらは最新メタブレインに既に実装されている技術なので省略する。

東芝の液晶向けエリア駆動型のLEDバックライト技術

 LEDバックライト技術はエリア駆動によるハイダイナミックレンジな液晶表示を行なうもので、前回紹介したDOLBYのHDR液晶技術特許に抵触するものになる。

 東芝のこのLEDバックライト技術では横12×縦8=96エリアに領域を分割して駆動する。説明パネルには白色LEDアレイとあるが、技術スタッフに取材したところでは白色LEDではなくRGB-LEDを1つにまとめた白色LED“モジュール”のアレイだそうだ。LED総数は1,152個で、96エリアに分割された1エリアあたり12個のLEDが配されることになるが、これはRGBのLEDが12個という意味になる。さらに詳しく聞いてみると、R1:G2:B1の比率でRGB-LEDがまとめられているという。

 液晶パネル側の映像表示で暗い領域についてはLED発光を押さえ、明るい領域では発光を高輝度に駆動することにより、ネイティブコントラスト性能で10万:1が実現される。また、LED発光の高速応答性を利用し、黒フレーム挿入や上から下へのLEDの発光走査を行なうことで残像低減も出来るとしている。

黒の沈み込みが良好 表示映像が黒い時もガンマを調整し、LED輝度をローカル調整することで立体感と深みのある映像表現ができる 緑や赤の原色発色の良さが写真でもよくわかる

新Dyna Lightは新型REGZA向けのサムスンパネルと組み合わされる新技術

 もう一つは、次期REGZAに採用されると思われる新液晶パネル+新液晶パネル駆動新世代「Dyna Light」。前述のLEDバックライト技術よりも早く次期REGZAに導入される見込みで、早ければ2008年第二四半期モデルには盛り込まれる。

 これは表示映像フレームの平均輝度に適した明るさのCCFL(冷陰極蛍光ランプ)バックライト駆動を行なう、いわゆる動的バックライト駆動技術を新型液晶パネルに対して行なうものだ。新型液晶パネルはサムスンと共同開発されたものだという。

 1つは偏光板に工夫。一般的に液晶画素は、液晶素子を偏光板で挟み込んで構成しており、液晶分子に複屈折させられた入射光がどのくらい偏光板を抜け出てこられるかで各画素の階調を作り出している。通常、こうした偏光板はヨウ素系物質をコーティングさせて作られるが、新パネルではヨウ素分子の配列をより整然とさせて偏向精度を上げている。

 また、カラーフィルタも改良。入射光が白色光の場合、液晶画素を通った出射光をRGBなどのフィルタに通して初めて色が付く。フィルタには色素粒子がコーティングされているが、粒子の大きさをそろえ、なおかつその密度を整えることで、フィルタ通過時点での散乱や迷光を低減。なおかつ色精度を上げているという。新世代Dyna Lightでは、新液晶パネルのネイティブコントラストの向上と、動的バックライト駆動による相乗効果で、実行コントラストとして3万:1が得られるようになったとしている。

黒の沈み込みがよくコントラスト感の良さは写真でも分かる

 「Vertical Motion Compensation」(垂直動き補償技術)として展示されていたのは、東芝の最新メタブレインが提供する120Hz倍速駆動技術とは別の新技術。メタブレインの倍速駆動技術は、プログレッシブ化したフレームに対して、全方向への動きベクトルを検出して補間フレームを算術合成するものだが、この垂直動き補償技術はその前段階のインタレース映像のプログレッシブ化処理時に行なわれる処理系になる。

 インタレース映像において垂直方向に動くものがある場合、これを普通にラインダブラー等のプログレッシブ処理を行なうと、映像がちらついたり、あるいは映像を構成する画素が太ったりやせたりの振動を見せてしまう。東芝では、垂直方向の動きベクトルを検出し、算術合成した走査線を生成。これをラインダブラー処理と組み合わせて高品位なプログレッシブ処理を行なう。繰り返しになるが、ここでプログレッシブ化された映像がメタブレイン処理に回されることになる。この技術も新パネル、新DynaLightと同様に、2008年第2四半期のREGZAへの採用が検討されているとのこと。

垂直方向に動き補償処理をしたIP変換技術


■ 東芝の最新映像技術(2)
  〜CELLプロセッサによる適応型映像処理

CELLプロセッサを活用した次世代映像処理技術

 次世代REGZAや次世代VARDIAの新機能となるのか? まだ詳細は決まっていない実験的な映像処理技術が東芝ブース内に展示された。どちらもCELLプロセッサを活用したものだ。

 1つは適応型の解像度変換処理「Image Super Resolution」。低解像度から高解像度へ変換するアップスケール処理に応用される新技術で、通常、低→高への解像度変換は新たに生成するピクセルをどう生成するかがキーポイントになり、最も基本となる処理系は元画像からサブピクセルレベルでのサンプリングを行なう方法。

 今回の新アップスケーラはこうした単純なサブピクセルサンプル法ではなく、映像のエッジを認識したり、模様のパターンなどを識別し、元々存在していたであろうテクスチャパターンを予測して再構築する適応型アップスケール処理を施すもの。まさに映像頭脳のメタブレイン的アプローチのスケーラだ。しかし、時間軸方向への処理は行なわず、あくまで単一ストリーム内で処理している。おそらくは、映像のスペクトラム解析などを応用した技術と予測されるがアルゴリズムの詳細は非公開としている。

 実際の映像では、解像度変換によるボケやジャギーが無いばかりか、セーターの網目模様が復元されていたり、果物の表皮模様を事細かく再現されるなど、通常のスケーラとは異なった見栄えとなっていた。特に感動的だったのは文字情報を含んだ映像。低解像度映像をアップスケールしただけのはずなのに高解像度に変換された映像の方が、映像中の文字が断然と読みやすくなっているのだ。

 SD→HDといった使い方でなく、ハイビジョン映像のより鮮明化といった使い方も出来るため、REGZA開発チームからも高い関心が寄せられているとのこと。こちらの処理はCELLプロセッサのSPE(Synergistic Processor Element)を4〜5基ほど活用しているという。

女性のセーターの編み目と酒瓶のテクスチャの精細度の違いに注目

元フレームが左で、これを高解像度変換処理したのが右。元の情報量が同じ映像をここまで高解像度化できる ハイビジョン映像の一部を切り出して拡大した例

 もう一つは48個のSD解像度のMPEG映像を同時に表示するというもの。48個のサムネイル状にポイントするだけで瞬間的にその映像を大きくして見られるため、視聴映像を選択する際のインタラクティブプレビュー機能として使い勝手がよい。

48個のMPEGビデオストリームを同時並列デコードして表示。選択フレームは瞬間的に拡大表示に切り換えられる

 ユニークだったのは、同時48MPEGデコード技術を応用し、単一のMPEGストリームを48分割して、48カ所の各時点からループ再生させるデモ。例えば48分間の映像ならば48箇所の地点から1分間のループ映像のサムネイルを表示できる。録画機能付きテレビやレコーダの映像選択メニュー画面などで使えそうな機能だ。なお、処理はCELLプロセッサのSPEをフル稼働させて実現しているという。

 SD映像では48、HD映像では8ストリーム程度の同時処理が可能という。実際にはCELLプロセッサ単体ではもうちょっと多くのストリーム処理が可能そうなのだが、HDDからのデータ読み出しやメインメモリ容量、メインメモリ帯域の方が不足してボトルネックか発生してしまうのでこのあたりが限界なのだ。なお、今回使われたCELLプロセッサは、1基のPPEと8基のSPEからなるフルスペック版CELLプロセッサとのこと。つまり、4SPU+DSPからなる東芝版のメディアストリーミングプロセッサ「Spurs Engine」ではない。

単一フレームを48分割してそれぞれのポイントからのループ再生を行う。ビデオストリームのチャプタープレビューを自動生成するような機能イメージ


■ パナソニック、新世代プラズマ技術を一挙公開
  〜LIFIはどうなる?

 パナソニックブースの目玉は150インチの4K2Kプラズマと、1インチ厚の薄型プラズマ。だが、それ以外にも最新の映像技術が紹介されていた。

パナソニックブース 次世代プラズマVIERAを支える技術ポイントは?

 画素サイズが小さくなり開口率が下がるフルHD解像度プラズマには、暗くなりがちという弱点がある。パナソニックは逆転の発想で「プラズマは眩しすぎない」というマーケティング的な名言(迷言?)を生み出した。だが、技術のパナソニック。いつまでも迷言に頼っていては沽券に関わる……とばかりに技術的ブレークスルーを打ち出してきた。それが発光高効率化技術だ。

左が現行プラズマパネル。右が新プラズマパネル。同一輝度を出すのに62%の消費電力で済んでいる……というデモ

 実はパナソニックのここ最近のプラズマ製品群の劇的な改良は、この部分で大きく加速させられた経緯がある。技術的工夫は多岐にわたるが、最大のキーポイントは画素セル内に形成させるガラス質物質層の改善、画素セルに封入する希ガスの工夫、画素セル内の蛍光体の改良、画素駆動の高速化などだという。

 これにより従来の約半分の消費電力で同一輝度が得られ、現実的な消費電力で高解像度パネルも実現できるようになったという。関係者によれば厚さ1インチの薄型パネルも、この発光効率改善技術がなければなしえなかったとのこと。

 ブース内では実効コントラスト比が100万:1のスーパーハイコントラストプラズマも展示。2008年内に発売されるVIERAに採用されるという。

コントラスト比100万:1の超ハイコントラストプラズマディスプレイパネル

「SMPTE RP 431-2-2007」に準拠したカラーモードはPZ800シリーズ、PZ85シリーズに実装される見込み

 蛍光体の改善は色域拡大をもたらし、sRGB同等のハイビジョン映像色域ITU-REC709規格よりも広くカバーできるようになった。これに伴い、ハリウッドスタジオとも関係が深いパナソニックは、広色域規格であるデジタルシネマ・ワイドカラー「SMPTE RP 431-2-2007」に準拠した色域モードを次期VIERAから搭載することを明らかにしており、これにまつわる展示も行なっていた。

 この「SMPTE RP 431-2-2007」に準拠したカラーモードはPZ800/PZ85シリーズに実装されるという。デモではNEC製のキセノンランプ光源の業務用3板式DLPプロジェクタ(デジタルシネマ規格のため解像度は2,048×1,080ドット。アスペクト比17:9)からの投射映像の再現色が、次期VIERA試作機とほぼ同一であることをアピール。筆者も映像を見てみたが、赤と緑の色ダイナミックレンジが広く、発色はきわめて良好。人肌もナチュラルで美しく、PZ800/PZ85シリーズへの期待が膨らんだ。

左がデジタルシネマ・ワイドカラーに対応したプラズマテレビの映像。右がキセノンランプ搭載のDCIカラー準拠のNEC製業務用3板式DLPプロジェクタ。色の出方はほぼ同一であることが見て取れる

 また、今年もリアプロ向けの新光源システム「LIFI」に関連した展示も行なわれていた。LIFIは光スペクトラム的に赤と青についてLEDを超える出力があり、緑についてもLEDには及ばないが、水銀系ランプは超える伸びがあり、トータル表現色域としてはsRGBの144%を有する高性能光源ランプ。寿命も平均的な水銀系ランプの10倍の25,000時間以上。動作原理等の技術詳解は第81回を参考にして欲しいが、次世代光源ランプとして注目されているものなのだ。

 しかし、ソニーに続き、パナソニックも2008年はリアプロTV製品開発に関して消極的で、2008年の新製品はなし。従来機の継続販売を行なうのみだという。とはいえ、LIFIという光源技術そのものには可能性があると捉えており、フロントプロジェクタ光源への転用なども含めて研究開発が行なわれているそうだ。TH-AEシリーズのプロジェクタにこのLIFIが採用されればかなりおもしろいものになりそうだ。

左が61インチサイズのPT-61LCZ70、右が56インチサイズのPT-56LCZ70。ともに光源ランプとしてLIFIを採用。LIFI採用機の新モデルの追加は今のところ無く、寂しい限り。将来の行方は!?


■ ビクターの最新映像技術(1)
  〜超薄型液晶テレビ誕生の魔法の種明かし

ビクターブース

 テレビの超薄型競争に、ビクターも液晶で参戦。厚さは最薄部で39mm、最厚部でも74mm。テレビチューナを内蔵した上で実現した数値だ。

 液晶パネルは社外から供給されたものなので、この部分の工夫には限界がある。そのため、バックライトユニットやその光学ユニットを独自開発する方向で薄型を実現したという。今回のバックライトユニットは、従来と比べて40%の薄型化と狭額縁化を実現しており、具体的には厚さが35mmから20mm、額縁幅が22.4mmから13mmになったという。

左が新開発の超薄型液晶パネル。右が従来液晶パネル

 薄型化の基本的なアプローチはCCFL(冷陰極蛍光ランプ)バックライトと液晶パネルの距離を縮めることだ。しかし、これをやると問題も起きる。CCFLからの光は反射板と光拡散板を利用して液晶パネル全域に均等に照射する必要があるので、距離を縮めすぎるとCCFLの実体周辺のみが明るくなるような輝度斑が生じてしまうのだ。

薄型化の基本的なアプローチはCCFLバックライトと液晶パネルの距離を縮めること。ただし、これをやっただけでは輝度斑が生じてしまう

 これを解決する単純な方法は、CCFLの配置密度を上げることだ。ただ、これをやると当然消費電力と発熱量が増してしまう。ビクターではこの問題に対して、CCFLの後ろに配する反射板、そしてCCFLからの直接光を拡散させる拡散板の光学設計を最適化。CCFLと液晶パネルを超接近させるも、CCFLの本数を増やすことなく、輝度斑を低減する仕組みを完成させたのだという。

そこで、輝度斑を改称する光学設計を開発。さらに液晶パネルの端側では狭額縁化を実現するように光学設計を最適化

 この光学設計の最適化により液晶パネルの端部分を狭くすることも可能となり、狭額縁化も達成できたとしている。また、駆動システムに直接電源供給基板を配した設計もスリム化に貢献し、ひいては軽量化、放熱効果改善と省電力効果にまで結びついたという。なお、同サイズパネルで比較すると、重量は15kgから12kg、消費電力は165Wから145Wとなる。画質面においては、従来機から劣る部分は全くなかった。

46インチのLT-46SL89。画質は上々。3HDMI入力。2コンポーネントビデオ入力。PC入力対応

 製品は42インチのLT-42SL89と46インチのLT-46SL89の2タイプがラインナップされ、北米での発売は2008年夏頃を予定。日本での2008年内の発売を予定している。ともに解像度は1,920×1,080ドット。価格は未定としながらも、同画面サイズ、同スペックの従来機と比較すると若干の価格上昇が見込まれる。
同時に発表されたiPodドッキングステーション内蔵型液晶テレビ「TeleDock」シリーズ。iPod内の音楽や映像をテレビで直接楽しめるというユニークな製品。1,366×768ドットパネルの32V型「LT-32P679」、1,920×1,080ドットの42V型「LT-42P789」, 47V型「LT-47P789」、52V型「LT-52P789」をラインナップ。日本での発売予定はなし


■ ビクターの最新映像技術(2)
  〜次世代ジェネッサ向けの技術を続々公開

 ビクターも、同社次世代テレビへの搭載を想定した新映像技術を展示していた。いくつかはCEATEC2007において公開されているものだが、細かな仕様と技術解説までが公開されたものもあるので触れておくことにしよう。

 1つは液晶パネルの表示における残像低減技術。現在主流は標準60fps(毎秒60コマ)の映像の倍である120fpsで駆動する倍速駆動。ビクターでは180fpsで駆動する3倍速駆動技術を研究開発中だ。技術的なアプローチは倍速駆動と同じで、次の実在フレーム表示までに、2枚の中間表示フレームを算術合成するのが3倍速駆動になる。プロセッサとメモリの高速性がさらに要求されるが、その効果は意外に大きい。

画面右領域が180Hz駆動。写真で撮影してもその違いは現れる

公開されたビクターの128エリア個別LEDバックライト駆動技術

 LEDバックライトの技術デモも公開。CEATEC2007では仕様詳細を非公開としていたが、今回の展示では約1,100個のLEDを使用し、画面を128個の領域に分割してのエリア駆動を行なっていることを明らかにしている。LEDのタイプについては非公開だが、色味やLEDの個数などからRGB-LEDの方式だと思われる。図解パネルから察するに16×8の128エリアで、1エリアあたり9個のR,G,BのLED(あるいは1モジュール化したもの)を配列させているのだろう。

 色域はNTSC比116%の広色域表現が可能としており、エリア駆動の恩恵で実効コントラスト比も10万:1を達成する。消費電力は平均的にCCFL利用時の半分であり、128エリアのLEDが点灯するケースでもCCFLと同程度かそれ以下だという。LEDバックライトのエリア駆動は前回紹介したようにDOLBYの特許に抵触する。ビクターとしてはここの折り合いをどう付けていくのかが注目される。

明暗のはっきりしたシーンでは、CCFLではなしえない強いコントラスト感が得られる。赤の純色も鋭く、そして美しい

 次の2つは年内に投入される液晶テレビ、次期ジェネッサへ搭載を予定している技術だ。1つは映像中のグラデーションをより美しく見せる「Real Bit Driver」(RBD)。RGBが各8bit駆動ではどうしても階段状のマッハバンドが見えてしまう階調表現あるいはグラデーション表現を、12bit駆動相当に拡張して滑らかに見せる処理を行なう。

 処理の工夫は階調分解能の上げ方にある。従来のように単純にグラデーション表現の境目付近だけを滑らかに繋いでしまうのではなく、映像中の色変化を全方位に、なおかつ大局的に見つつ分解能を上げる。これにより、後段の処理のリアルタイムのガンマ補正処理においても高品位な色決定計算が行なわれるため、原映像のディテールに悪影響を及ぼさない。映像中の画素色の周波数分布に適応させてシャープネスコントロールするメタブレインとはちょっと違うアプローチで面白い。

着物の左のスポットライトのグラデーションに注目。RBD有りでは滑らかで美しい。それでいて着物の模様のディテール感は失われていない。一番上のグレーのグラデーションにも注目。写真でもその違いは分かる

 2つ目は時間軸方向の新しいノイズリダクション機能で「i-ClearMotion Noise Reduction」(iCM-NR)。通常、時間軸方向にも映像を監視してノイズリダクションを行ばうと、残像が出たり、ぼやけたりしてしまう。iCM-NRでは、動画像に対して、その映像の動きとは無関係に一様に入っているノイズを検出して除去してくれる。時間軸方向のノイズの周期性を複数バンドで認識し、その動画像の動きに適したレベルで低減させているのだ。RBDとiCM-NRの2つの新テクノロジーが搭載される新ジェネッサは、メタブレインの良きライバルになりそうだ。

左がiCM-NRあり。右では画面全体に乗っているランダムドットのようなノイズが、左では消えているのが分かる


■ ソニー
  〜27インチ有機ELテレビと、フルHD×4の82V型液晶テレビ

 ソニーブースで注目を集めていたのはやはり有機ELテレビ。北米では11インチの有機ELテレビ「XEL1」は、日本から遅れること1ヵ月、丁度CES会期中に新発売となった。1月8日にラスベガスのソニーショップで10台が入荷したが瞬間的に完売したという。ブースの注目の的は、より大型でフルHD解像度をもつ27インチの有機ELテレビだ。

ソニーブース 注目度の高かった27インチ有機ELテレビ試作機。有機ELの大画面競争ではサムスンの31インチに負けた格好

ソニー有機ELテレビ高画質の秘密はSuper Top Emission構造にある

 コントラスト比は公称100万:1。最大輝度は600cd/m2とかなり明るい。寿命は約3万時間。画質は見事としか言いようがないくらい美しい。サムスンの試作機よりも階調表現能力に優れており、発色も美しく自然だ。特にこの色の良さは有機EL画素自体の発光色だけでなく、ソニー独自のカラーフィルタを組み合わせた設計が大きく起因しているとされる。

 関係者によれば、今回展示されていた27V型試作機はそのままでの発売の予定はないとするも、大型画面サイズの有機ELテレビの発売計画はあるとのこと。当面、有機ELテレビ製品には「BRAVIA」ブランド化する予定はないとも語り、「有機ELテレビは富裕層向け」とし、しばらく一般向け薄型テレビ製品は液晶主力でいくとのこと。

ソニーブース コントラスト、階調、発色……オールラウンドに高画質。「富裕層向け」と言い切る大型有機ELテレビは一体おいくらに?

 もう一つ注目は82インチの大型液晶テレビ。解像度は3,840×2,160ドット。DCIの「4K2K」(4,096×2,160ドット)ではなく「4xフルHD」相当であり、ソニーではこれを「4x2K」と呼称していた。バックライトにはLEDを使用。LEDタイプやエリア駆動の有無については非公開。発売の予定はなく、あくまで技術展示としている。発色は非常に鋭く、とにかくコントラスト感が凄かった。

LEDバックライトを採用。薄型とは言い難いが、画面が大きいせいであまり厚いという印象もない。解像度は「4x2K」

試作機ながら画質はよい。LEDバックライトの恩恵か発色も素晴らしい。デモでは40インチ相当の画面サイズで4面のフルHD表示化できることをアピールしていた

 リアプロTV製品の終了アナウンスもありSXRD関連展示は大幅縮小。ブース内には、なぜか業務用のDCI準拠のSXRDプロジェクタ「SRX-R110」が展示されていた。

業務用SXRDプロジェクタ「SRX-R110」。こちらは4,096×2,160ドットの4K2Kに対応。最大輝度は1万ルーメン


■ 日立
  〜次世代の超薄型テレビの試作機を展示

日立ブース

 厚さわずか1.5インチ(39mm)の超薄型液晶テレビ「UT」シリーズを発売したばかりの日立製作所のブースは「1.5 IS HERE」のキーワードを前面に押し出した。製品ラインナップは32V型の「UT32X802」、37V型の「UT37X902」、42V型の「UT42X902」の3タイプで「UT37X902」と「UT42X902」がフルHDモデルとなる(型番は北米向けのもの)。日本モデルの発売については既に報道されているのでここでは省略する。

 ブース内の特設最新技術展示コーナーでは、このUTシリーズよりもさらに薄型化を推し進めた32インチの第2世代超薄型テレビの試作機を2台展示していた。

 1台目は画面サイズ32インチ、厚みは0.75インチ、19mmの液晶テレビ。詳しいスペックは非公開とされるが、液晶パネルはIPSα、光源はLEDバックライトとなっていた。チューナは分離別体型。発売は2010年頃を予定とのこと。

左が厚さ39mmの次世代超薄型プラズマテレビ試作機。右が厚さ19mmの次世代超薄型液晶テレビ LEDバックライトによる発色とコントラストは鮮烈

 2台目は画面サイズ50インチ、厚み1.5インチ(39mm)のプラズマテレビ。こちらも詳しいスペックは非公開だが、解像度はフルHDではなく、1080ALISパネルの1,280×1,080ドットとなっていた。こちらもチューナは分離別体型。発売は2009年頃を予定。

プラズマらしい鋭いコントラスト感は薄型になっても健在

液晶プロジェクタをリアに配し、スクリーン変わりに液晶パネルを配することで超ハイコントラスト800万:1の映像表示を実現したハイブリッドディスプレイも展示。理論上は1ドット単位の動的バックライト駆動ができる

□2008 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
□2008 International CESレポートリンク集
http://av.watch.impress.co.jp/docs/link/2008ces.htm

(2008年1月14日)

[Reported by トライゼット西川善司]


西川善司  大画面映像機器評論家兼テクニカルライター。大画面マニアで映画マニア。本誌ではInternational CES他をレポート。僚誌「GAME Watch」でもPCゲーム、3Dグラフィックス、海外イベントを中心にレポートしている。渡米のたびに米国盤DVDを大量に買い込むことが習慣化しており、映画DVDのタイトル所持数は1,000を超える。

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AV Watch編集部

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