J:COMと東急電鉄が横浜ケーブルを共同取得

-「街づくり」のノウハウを生かした新規事業も


ジュピターテレコム 森修一社長(左)と東京急行電鉄 野本弘文社長(右)

 ジュピターテレコム(J:COM)と東京急行電鉄は22日、相鉄ホールディングスが所有する横浜ケーブルビジョン(YCV)の株式を共同で取得することに合意した。J:COMがYCV株の51%を、東急電鉄は49%を取得する。取得日は10月7日を予定しており、以降YCVはJ:COMの連結子会社に、東急電鉄の持ち分法適用子会社になる。

 YCVは横浜市の保土ヶ谷区、旭区、泉区周辺でCATV事業を展開しており、ホームパス(敷設工事済み世帯)は約26万世帯。同エリアはJ:COMのサービスエリアと、東急電鉄が展開するイッツコムのエリアに囲まれているため、両社の共同経営により、地理的戦略や事業戦略上さまざまな相乗効果が見込めるとする。


買収するYCVのサービスエリア。人口流入が期待される

 また、YCVのサービスエリアは、2020年の東横線と相鉄いずみ野線相互乗り入れが予定されているため、「直通で渋谷に行けるようになり、都心へのアクセスが向上し、今後人口流入が期待される。文化度も高く、これからの加入獲得も期待できる」(東急電鉄 野本社長)とする。J:COMの森社長も「相互にとって戦略的重要性の高い地域」とした。

 両社とも、テレビ、インターネット、電話のトリプルプレイサービスを活かし、今後生活支援サービスも強化する。具体的な展開は未定としながらも、スーパーマーケットなどの店舗や東急電鉄グループが展開する各種生活サービスを、J:COMの顧客基盤に展開したり、J:COMとイッツコムとで、STBやコンテンツの共同調達や融通など、「実務を通じて提携し、相互の事業シナジーを創出していく」とした。

 買収総額は75億円で、今回の買収のきっかけは、「相鉄からの申し出があった」とのこと。買収後の社名は横浜ケーブルビジョンのまま変更はない。J:COMの森社長は「これまでのCATVは地域ごとだったが、いまは大競争時代。他のサービスとの激しい競合の中で勝つためには、CATV一丸となって新しい付加価値を生まなければいけない。スピードを重視して、両方から知恵を出し、付加価値の高い経営をしていく」と共同買収の意義を説明した。

 東急電鉄の野本社長は、自社の事業を『街づくり』と紹介。電鉄だけでなく、不動産、生活サービス、小売りなどがコア事業となるが、「この20数年でCATVがようやく情報発信のインフラになってきた。コア事業と組み合わせて生活を豊かにする情報提供インフラにしていきたい」とCATV事業の重要性を強調した。

 なお、将来的なJ:COMとイッツコムの合併については、「現時点では一切視野に入れていない(J:COM森社長)」とした。


YCVの事業運営について東急電鉄のCATV事業それぞれの強みを生かして事業展開

(2011年 9月 22日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]