NAB2001リアルタイムレポート
LVCC編:DVD-RAMとDVD-Rのコンボドライブが登場、ほか


会期:4月22~26日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center
     Sands Expo Center


 NAB2001リアルタイムレポート2日目は、Las Vegas Convention Center(LVCC)の模様をお伝えする。LVCCの展示は、放送局やポストプロダクション用のハードウエアが中心。SANDSではほとんど見かけない日本企業のブースが集中しているのが特徴だ。まさに、ソフトウエアのアメリカ、ハードウエアの日本、といった産業構図が浮き彫りになっている。

 昨日のSANDSの大混雑に比べると、LVCCはいくらか人が少なめ。ホテルからのシャトルバスでも、SANDSで降りる人がほとんどで、LVCCの来場者は年々少なくなっているようだ。業界が求めるソリューションが、徐々にコンピュータ寄りにシフトして来ているのを感じる。

 今日は、日本でお馴染みのメーカーが作る放送機器を中心に見ていこう。


■ DVCProを完全に浸透させたPanasonic

一段高いところにあるPanasonicブース 展示でそれとわかるのはこのパネルだけ

 Panasonicのブースは、雛段のようにちょっと高くなっているエリアが定位置。ちょうどSONYブースを見下ろす場所にあり、なんとなくそのあたりに両社の確執を垣間見るようだ。

 そんな Panasonicブースは、DVを拡張したプロ用独自規格であるDVCProが展示の中心。DVCProは、業界の間でも完全に定着し、ブライダル業務から放送用HDTVまでカバーする幅広いラインナップで、設備投資の大幅な削減に貢献している。

 またPC系デバイスとしては、DVD-RAMとDVD-Rが一台で書けるというコンボドライブが発表になった。しかし具体的な仕様や、型番などはまだ決まっておらず、ブースでは小さなパネルと無記名のそれらしきドライブが展示されているだけであった。


■ NAB2001で最大規模のSONYブース

全会場でもっとも巨大なSONYブース

 VTRを始め、ビデオカメラ、スイッチャーで放送業界を席巻するSONY。ブース入口のロゴマークはあまりにも巨大すぎて、カメラに収めきれないほど。業界での力を見せつけた感じだ。しかも、ここでの展示は主にソリューション紹介で、具体的な製品は別の場所にあるデモンストレーション センターで行なわれている。そのセンター内は、日本人の姿が多く、全体の3割ぐらいが日本からの見学者で占められていた。

初めて稼動する実物が一般公開されたMVS-8000 新ノンリニアシステムのXPRI。豊富なコントローラがSONYらしい
 そして、今回初めて一般公開されたのが、AV Watchでも4月3日にニュース記事を掲載した、マルチフォーマットスイッチャーシステム「MVS-8000」。

 HDTVとSDTV両方に対応したハイエンド スイッチャーで、最大の特徴は、操作パネルが細かいユニットに別れていること。ユーザーが使いやすいレイアウトにカスタマイズできる。パネルまで自由に組み替えられるスイッチャーは、史上初だ。

 ノンリニアシステムでは、新製品の「XPRI」が注目を集めていた。様々なフォーマットに対応できるが、展示ではHDの1080 24Pのシステムでデモを行なっていた。


■ HDTVまで対応したD-9シリーズのJVC

 業務用Digital-Sとして歴史のあるD-9が、ついにHDTVにまで対応した。「BR-HD95F」は、720p/24フレームに対応したDigital-S VTR。720p方式は、国内ではテレビ朝日と日本テレビが推進しており、今後の動向が注目される気になる製品だ。

業務ユースとプロユースの両方をカバーするJVCブース ついに登場したD-9のHDTV対応モデル


■ NTTとTBS、共同でHDTV+カメラ制御の電送デモ

NTTとTBSのコラボレーションによって実現したHDTV電送 ここから渋谷の屋上カメラをリアルタイム制御できる
 NTTとTBSは、NTTのATM回線を使用して、HDTV画像を電送するデモンストレーションが行われていた。HDTV映像のリアルタイム電送にプラスして、カメラコントロールまで1本のATM回線で行なう。

 展示ではラスベガスの会場から、直接渋谷交差点付近に設置したTBSのHDTVカメラを、リアルタイムでリモートコントロール。操作には約1秒ほどのタイムラグがあるものの、昼間のラスベガスから真夜中の渋谷の風景を自在に見ることができるデモンストレーションは、衝撃的であった。


■放送局に強いHitachi

 Hitachiブースでは、HDTVのスタジオ用カメラなどを展示。より放送局に近い、大掛かりなシステムを得意としているHitachiらしい、展示となっていた。

放送局を中心に展開するHitachiブース HDTV用スタジオカメラを多数展示


■ センスがいいブースが多いLVCC

 LVCCでは、SANDSよりもベンチャー企業の出展が圧倒的に少なく、いわゆる常連のメーカーが立ち並ぶ。それだけに展示方法もこなれており、一目で何をやっているのかがわかるものや、センスのいいデザインのブースが多い。

 また同時に出展メーカーも、放送全般なんでもやっている巨大企業か、1つのこと専門という企業の2種類にキッパリ別れている。したがって来場者にとっては、誰もがかならず立ち寄るブースと、関係ない業種には全く無関係のブースが明確であり、広い会場でも効率よく見てまわることができるのだ。

一目で何屋さんかわかるディスプレイ まるで美容院のようにおしゃれな展示

 明日は再びSANDSに戻り、コンピュータ ハードウエア系のソリューションをお送りする。


□NAB2001のホームページ(英文)
http://www.nab.org/conventions/nab2001/attendees/exhibitors.asp
□関連記事
【4月3日】ソニー、HD対応など放送用システム新製品
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010403/sony.htm

(2001年4月25日)


= 小寺信良 =  無類のハードウエア好きにしてスイッチ・ボタン・キーボードの類を見たら必ず押してみないと気が済まない男。こいつを軍の自動報復システムの前に座らせると世界中がかなりマズいことに。普段はAVソースを制作する側のビデオクリエーター。今日もまた究極のタッチレスポンスを求めて西へ東へ。

[Reported by 小寺信良]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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