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衝動買いしてしまいました!!

プラズマテレビ「W32-PD2100」購入レポート その1

 プラズマテレビといえば、画面が大きく薄く軽く、いわゆる「壁掛けテレビ」を実現する最有力デバイスとしておなじみだ。ただ、価格が高いという難点があり、普及は本格化していない。しかし、ここに来てプラズマテレビにも本格的な普及の原動力となる可能性を秘めた製品が登場した。世界初の32型ALIS方式プラズマディスプレイを利用し、価格が60万円ほどに設定された、日立のプラズマテレビ「W32-PD2100」がそれだ。

 そして、一大発起して(衝動買い?)このプラズマテレビを購入! してしまった。そこで、この製品が本当にプラズマテレビの本格的な普及を後押しする可能性を秘めているのか? また気になる画質はどの程度なのか? 何回かに分けてリアルユーザーの立場からレポートする。


■ 新しいテレビがほしいー!

 ちなみに、これまで使っていたテレビは「KV-29ST91S」という、ソニー製の29型テレビ。某マイケル・ジャクソンがCMやってた昔懐かしい「キララバッソ」シリーズのとあるモデルである。すでに製造から7年を経過していたが、画質的には今でもまあまあ満足できるレベル。

 それに、バブル期設計のテレビなんで、地上波ダブルチューナ、アナログBS/CS&スカイポートデコーダ内蔵、RGB21ピン入力と、やけに高機能設計。ということで、まあいいかって感じでそのまま使っていた。ただ、DVDをいろいろ買いあさって見ていると、やっぱり4:3の29インチブラウン管では迫力に欠けると思うようになった。

 で、そろそろ16:9のワイドテレビに買い換えるかなー、と考え始めたのがちょうど昨年の夏頃。BSデジタルの本放送開始を目前に控え、マスコミでもテレビの買い換えが煽られていた時期だ。

 それに乗るのもシャクなんだけど、画面もフラットのほうが良さそうだし、DVDを楽しむなら16:9のほうが断然いい。BSデジタルだって視野に入れたい。もちろん、どうせ買うならできるだけでかいサイズのがほしい。とはいっても部屋は6畳だしなあ、置けても36型が最高かなあ、まあ最悪でも32型はクリアしないと、なんて考えつつ物色を始めた。

ソニーの「WEGA」DZシリーズ。左が36型、右が32型
 そして最初の候補として考えたのが、昨年7月に発売されたソニーの「WEVA」DZシリーズ。その中でも36型の「KV-36DZ900」が本命だ。画面サイズはもちろん、スペックも申し分なし。価格も20万円台(だったと思った)で、頑張ればなんとかなる。

 しかし、重量を見た時点でちょっと考えが変わる。そう、このテレビ、重量が約89.8kgとめちゃめちゃ重いのだ。自分の体重よりも重く、まず持ち上げられないだろう。それに、今使ってるAVラックは結構安物なんで、そんな重量まで耐えられるはずもない。まあAVラックも買い換えればいいんだけど、にしてもやっぱこの重量はきつい。今の部屋、和室なんですよこれが。畳の上に80kg近いテレビなんて……。というわけで、このテレビは断念。というか、36型のブラウン管テレビは全て断念することに。

「GRAND WEGA」の新型、KDF-50HD700。BSデジタルチューナを内蔵している
 次に候補としたのが、昨年大いに話題となったソニーのリアプロ「GRAND WEGA」。50型という大画面で、D4端子があり、デジタルハイビジョンにも対応、消費電力も少ない。しかも重量が約42kgしかないじゃないですか! これなら、29型とほとんど変わらない重量なので、そのまま置き換え可能。しかも、このクラスのプラズマなんかだと100万円オーバーの価格設定がほとんどなのに、GRAND WEGAは標準価格が72万円、実売では50万円台のところもある! 確かにこのサイズだと6畳の部屋に置くとかなりの圧迫感になるかもしれないが、やっぱ大きい方がいいに違いない。これだこれ。これに決定!!

 ただ、GRAND WEGAには別の問題があった。それは、あまりにも注文が殺到し、すでに夏の時点で納期が早くて3ヶ月後。でもまあ、60万円ほどのお金はすぐに出せないので、とりあえずお金を貯めつつ様子を見よう。そう考えて、資金を貯め始めた。

 しかし、GRAND WEGAの供給量は全く増えない。それどころか、年末になってもまったく納期がはっきりしない。そのうち年が明け、21世紀に突入。そして、GRAND WEGAの生産完了のニュースが流れることになる……。

 せっかくせっせとお金貯めてたのに。一部でキャンセル品なんかが40万円台で売られているのを見かけることもあったのだが、近い将来BSデジタルチューナ搭載の新モデルが発表されるのは間違いない(先日発表されましたね)。やっぱそれ待ちでしょう。でも金額は上がるだろうから、もうちょっとお金貯めないと。

 そう思ってた2001年2月上旬、とある製品が発表されたのだった。


■ 32型のプラズマなら理想にぴったり!

日立「W32-PD2100」
 2月7日に日立が発表したプラズマテレビの新製品、世界初の32型プラズマディスプレイを採用するプラズマテレビ「W32-PD2100」がそれだ(詳しい詳細はこちらをチェック)。32インチのテレビなのに、重量24kgほどで厚さが約9cmですよ。これなら設置場所に困ることもないはず。

 それまで、頭の隅で「プラズマもいいかなあ」なんて考えたことはあった。画質も以前に比べて断然向上しているし、とにかく薄くて軽い。ただ、それまで発売されていたプラズマテレビは、ほとんどが100万円オーバーの価格設定。中には90万円ほどで買えるものもあったが、やっぱ「買うぞ」ってところまではなかなか踏み出せない。そりゃあねえ、大画面だし軽いし画質もよくなってるとは言っても、テレビに100万円ですよ、“普通”の人の私には出せません。

 しかし、このW32-PD2100なら、まだまだ高いとはいっても店頭予想価格が約60万円。GRAND WEGAとだいたい同じかやや安い。まあ、画面サイズはかなり小さくなるけど、6畳の部屋にはこの程度のサイズがベストだろう。しかも、プラズマの32型の表示部分はブラウン管の34型に相当するサイズ。というわけで、狙いをW32-PD2100に変更することに決定。お金を貯めつつ発売日の4月10日を待つことにした。

 またまた時は流れて3月下旬。たまたま別の用事でヨドバシカメラのホームページにアクセスしてみると、トップページにW32-PD2100の紹介があり、予価598,000円で予約受け付け中とあるじゃないですか! しかも、しかもですよ。その時ヨドバシカメラのホームページでは15%ポイント還元キャンペーンをやってたんですよ! さらに、15%のポイントは期間中に予約した製品にも適用。ということは、598,000円の消費税を加えた価格の15%還元だから……、「94,000ポイント」もつく計算。さらに、Webで購入した製品は送料無料!つまり、実質53万ほどで買えることになる。

 ――次の瞬間には予約のボタンをクリックしていたのは言うまでもない。


■ ついに届いたプラズマテレビ

W32-PD2100が我が家に届いた時点での図。まだAVラックには29型テレビ「KV-29ST91」が鎮座する。もちろん手前がW32-PD2100。29型テレビと比較しても十分な存在感がある(周辺の怪しいものは無視してください)。
 ただ、予約したとは言っても、まだその時点でははっきり買うと決めていたわけではなかった。いくらそれまでのプラズマテレビより安いとは言っても、GRAND WEGAを買う予定でお金を貯めていたとは言っても、60万近い金額はやっぱ簡単には出しづらい。しかも、まだ実際の製品を見てない。とにかく高額なので、買うときには絶対に画質を確認して納得してからじゃないと不安。

 そこで、まずチェックしたのがヨドバシカメラのキャンセルに関する規定(笑)。それを見る限り、製品が届いたとしてもパッケージを開けなければキャンセル可能。しかも、今回の製品は注文時点が発売日前なので、発売日までならまず間違いなくキャンセルを受け付けてくれるはず。そこでとりあえず一安心。

 で、どうやって製品をチェックするか。おそらくヨドバシカメラの店頭や秋葉原の大型家電販売店ならば、発売日前に製品が置かれるはずだ。それを見るのもいいが、やはり見慣れたDVDを再生させたりして画質をチェックしたい。このあたりの顛末をAV Watchで話したところ、「今度日立のショールームに見に行くので一緒に行きます?」ってことになった。これは渡りに船。ぜひぜひとお願いして、同行させてもらうことにした。

 取材当日。日立のショールームで実物を前から、後ろから、横から、見せていただいた。そこで感じたのは、「これなら悪くないな」って印象だ。確かにコントラストの差が激しいシーンで明るい部分がややつぶれたようになったり、いわゆる黒浮きなど気になる部分もあったが、ブラウン管に負けない明るさや画質面は十分満足できる。というわけで、ここでほぼ購入決定。

W32-PD2100設置完了の図。ラック上がずいぶんすっきりして部屋が広くなった印象。左のBSデジタルチューナはAV Watch編集部からの借り物なので、とりあえずラック上に配置した。
 ということで、向かえた発売日当日。ヨドバシカメラから「出荷しました」の連絡が入る。届くのは翌日。そして、とうとうやってきました、プラズマテレビ。箱から取り出してみると、思っていた以上にサイズが大きく感じる。先日ショールームで見たときは、かなり広い空間で見たこともあって、それほど大きいようには感じなかったが、6畳の部屋だとかなり大きい。それまで使ってた29型テレビと比較しても、サイズが小さくなったという印象は全く受けない。

 というわけでいざ設置。しかし、約50kgある29型テレビの重いこと重いこと。それに引き替え、プラズマテレビはディスプレイ部分の重量が約23kg。軽々というわけではないが、1人で持つのも問題なし。結局、もとあった29型テレビをAVラックから外すのが最も重労働だった。

 そして設置完了。感想は「あれ、部屋が広くなった?」。そう、W32-PD2100は奥行きが9cmしかないので、29型テレビと比較しても圧迫感が全然ないのだ。これまではブラウン管表面がAVラックの最前部まで迫っていたが、W32-PD2100は画面がAVラック中央部よりもやや後方に位置する場所に置ける。それで圧迫感がなくなって部屋が広くなったように感じたのだ。これには買った本人もちょっとびっくりだった。




■ で、画質はどう?

とりあえず配線した、背面の接続ケーブルの図。借り物の機材をAVラック上に無造作に配置した関係で、やけにケーブルが這いまわっている。ちなみにディスプレイ下はビデオデッキ、その下がAVアンプ。W32-PD2100のAVCセンタは右奥のラック内最上部に配置(ケーブルがじゃまで見えませんが)。
 設置も完了し、早速画質チェックに入った。とは言っても筆者は、画質を語るのが本業ではないので、以下の画質に関するコメントは1リアルユーザーの意見として、参考程度に読んでもらいたい。

 まず地上波のテレビ映像から。電源を投入し映像を見ると、なんか気になる。とにかく赤のレベルがきつく、画面全体が赤っぽいのだ。これはショールームで見たときもやや赤が強いと感じたのだが、自宅で見るとそれ以上にきつく感じる。そこで、画質チェックの前に映像設定を変更することにした。

 W32-PD2100の映像設定には、「スーパー」、「ナチュラル」、「クリエイト」という3種類のプリセット設定が用意されており、標準では「スーパー」に設定されている。このスーパー設定では、明るさが最高レベルに設定され、色の濃さもきつく設定されている。確かに明るくメリハリのある映像だが、あまり好きな画質ではない。そこで、色の濃さを若干下げ、色合いも赤を落とす方向に調整。これでやや改善されて、それなりに納得できる画質になった。

 さて、改めて地上波テレビの画質チェックだが、実はプログレッシブ処理を行なうテレビをじっくり見るのはこれが初めてなので、やや画面にざらつきを感じてしまう。あと、映像ソースによってはプログレッシブ処理によってコーミングが発生する。特に、字幕付き映画の字幕部分が結構激しくコーミングを起こしてしまうのだ。まあ、こういった問題はW32-PD2100に限ったことではなく、プログレッシブテレビではありがちな問題だが、以前のテレビでは当然見られなかっただけにどうしても気になってしまう。とはいっても、おそらくしばらく見続けていると慣れてしまうような部分だろう。

 次にDVDの画質チェックだ。今回利用したDVDプレーヤーは、以前より使っている松下電器産業製の「DVD-A770」。プログレッシブ出力には対応していないため、コンポーネントケーブル(RCA×3)で接続してチェックした。こちらはやはりこれまでの29型テレビよりも大幅に迫力が増しただけでなく、画質も大幅に向上したというのが一番に感じた印象だった。

 ただ、こちらもテレビ映像同様コーミングが気になってしまう。映画の字幕部分はもうそれこそずーっとコーミングしている。アニメなどのビデオ映像になると、動きが早い部分でコーミング。うーん、まるで一昔前のパソコン用ソフトウェアDVDプレーヤー状態だなあ、これは。

 でも、W32-PD2100は当然ながら525Pや750Pなどのプログレッシブ信号の入力がサポートされている。ということは、プログレッシブ出力に対応したDVDプレーヤーを接続してチェックしないことには、本当の実力はわからないはずだ。

 あと、ハイビジョン対応なんだから、BSデジタルのハイビジョン映像もチェックしたいし、VGA入力端子が用意されているのでPCもつないでみたい。というわけで、今後、機材をそろえていろいろやってみますか……。


 さて、本当なら、今回もっといろいろな機材を接続するなどして、もっとつっこんだチェックを行なう予定だった。しかし、実は筆者が購入した個体で、プログレッシブ入力(D2)がうまく表示できない問題が発生した。現在、修理もしくは交換の手続きをとっているところなのだ。ただ、その問題が筆者の個体固有の問題なのか、W32-PD2100全てに起こる問題なのかわからない。

 ということで、修理または交換してもらってから、プログレッシブDVDプレーヤーとか、BSデジタル、パソコンからのD3やD4出力など、詳しいチェックを行なって、そこらへんを改めてレビューするのでご期待いただきたい。もしかすると、コーミングも改善されるかもという淡い期待を抱きながら……。

□製品情報
http://av.hitachi.co.jp/plasma/index32.html
□関連記事
【4月12日】新製品プレビュー第7回「身近になった32V型ワイドプラズマテレビ 日立 W32-PD2100」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010412/npp07.htm

(2001年5月2日)

[Text by 平澤寿康@ユービック・コンピューティング]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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