気になるグッズを衝動買い


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第14回:番外編「MP3プレーヤーおたく道 ~HDD万歳!!~」

HDDプレーヤー借りてみました「Jukebox 6000」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

これが究極? 6GのHDDでMP3を持ち運び

 え~、先週扱いたいと書きました8cm専用プレーヤー「EGOMAN MA510」は見つかりませんでした。これはまたの機会にということで。で、今回はフォーカルポイントコンピューターのHDD内蔵型MP3プレーヤー「Jukebox 6000」が編集部にやってきたので試してみたいと思います。

 MP3といえば、もともとMPEG-1のオーディオ規格。コンピュータでの使用も前提としているわけで、それをHDDに入れて持ち歩く、というのはなかなか利にかなったスタイルではなかろうか? 実は前々から気にはなっていたのだけれども、「NOMAD Jukeboxはデカイし、高いからなぁ」などとちょっと手が出なかったのであります。

 しかし、「Jukebox 6000」は外形寸法115×82×34mm(幅×奥行き×高さ)と、サイズもコンパクト。重量は290gで手に持つと意外と重く感じるが、まあ、重すぎるという程でもない。で、HDDの容量は6GB、しかも充電池4本付きで連続再生時間が8時間と結構長め。うん、なかなか使えそうでないですか? しかもプレイリスト再生にも対応しているそうな。

 最近すっかり「MP3おたく」になってしまった自分にはかなり気になる製品。で、通販しているサイトでは価格46,800円。MP3プレーヤーとしてはちょっと高めだけれども、ユーザビリティを考えれば妥当かと。対応OSは、Windows 98 SE/2000と、Mac OS 8.6以降。元Mac信者(「Power Macintosh 8500/120」がブチ壊れた2年前に脱会)としては、Macintoshに対応しているのもポイント高いです。

同梱品の一覧。CDには「Music Mach Jukebox」日本語版が収録されている タバコの箱との比較。一回り大きい程度にコンパクト タバコの箱と厚みを比較。少々厚みを感じる

端子部その1。「Ear」はヘッドフォン、「Line OUT」はラインアウト端子 端子部その2。「Line IN」はラインの音声をスルーアウトする(メニューで設定)


HDDなのでファイル操作はラクラク

 まずは、ファイルを転送しないことには話になりません。PCとの接続はUSB。USBケーブルを接続した状態で「Jukebox 6000」本体を起動すると「USB active」と液晶に表示され、ストレージモード固定になる。起動時間は約5秒。これまでMP3CDプレーヤーで感じてきた「起動の遅さ」はあまり気にならないレベル。ただ、「ON」ボタンを3秒以上長押ししないと起動しないのは少々気になるけれど、これは誤動作防止措置でしょう。また、再生中にUSBを接続すると、自動的にストレージモードへ移行する。

 現在使っているOSはWindows Meで、対応OSには含まれていないのだけれども、フツーにUSBで接続したところ、USBストレージデバイスとしてフツーに認識してくれました。あっ、もちろんドライバのインストールは必要でしたが。

 MP3関連のファイルはもちろん、そのほかのファイルも通常のHDDと同じようにコピー可能だし、書き換えもできる。そう、USBで接続している限り、本体はいたってフツーのUSB接続HDDとして機能してくれるのです。うん、なかなか便利なヤツではありませんか。バッテリ駆動時でも問題なくファイルのやりとりもできるし、ポータブルHDドライブとしても使えそう。接続もUSBだからどこに行っても接続に困ることもないだろうしね。

 とりあえず、MP3ファイルをフォルダごと転送。容量は130MB程度で、転送にかかった時間は3分くらい。う~ん、ちょっと遅いかな? まあ、USBなのでこの程度の速度でも仕方ないか。しかし、6GB全てを使い切ろうとすると1日仕事になりそうではあるな。

 ファイル転送を終えたところで「ホットプラグ」から「USBディスク-ドライブの停止」を指定し、USBケーブルを外す。すると「Jukebox 6000」は自動的に電源OFFの状態に。HDD使用時とプレーヤー使用時の混乱を避けるためなんでしょうな。わかりやすいし、誤動作もおきなくて良いかと思います。

ストレージモード時の液晶表示。このとき本体の操作は電源OFFのみ受付る OSから見える「JUKEBOX」ドライブ。容量は5.58GB


シンプルイズベスト? わずか6個の操作ボタン

 液晶は日本語の表示には対応していないが、2行表示が可能。停止時は上段にファイル/フォルダ名、下段にファイル/フォルダの情報を示し、再生時には上段に曲タイトル、下段に再生時間と「リピート」などのプレイモードが示される。まあ、いたって普通の構成ですな。

 充電池は本体左右のスペースに埋め込まれるような形で設置。充電池使用オンリーの設計で本体充電が可能なため、電池交換の利便性は考慮していない、というよりも、電池が外れないような工夫がされている。うむ、潔い姿勢です。

 本体の操作ボタンは、電源ボタン、メニューボタン、円形ボタンの上下左右に+、-、再生/一時停止、停止の6つのみ。おお、ものすごくシンプル。「そういえばボリュームがないな」と思い、マニュアルを見てみると、メニューから指定することになるそうな。……マジっすか!?

 どうも「再生/停止ボタンで再生/停止と、±ボタンでスキップ/レビューを操作できればよろしい」という姿勢らしい。なんというか、すばらしいまでの割り切りっぷり。まあ、確かに納得できる考え方ではありますが、せめてボリュームはあっていいのでは?

 ……ボリュームに関してはメーカー側も思うところがあるらしく、メニュー項目のトップになっている。メニュー操作は、メニューボタンを押して±ボタンで項目を移動、再生ボタンで決定という感じ。メニューを再度押すことで通常モードに移行する。ボリュームを操作するには、メニューボタン→再生ボタン、という順で操作可能。ま、手順が2つ増えただけですが、やはり煩雑は煩雑。少々慣れが必要かと感じます。

 再生/停止やスキップ/キューは円形の4ボタンで普通に操作でき、プレイリストの利用は、停止時にファイルを選択して再生ボタンを押すだけ。うん、こちらは非常に簡単。リスト選択後は、リスト内でのスキップ/キューが可能で、ストレスなく選曲できる。おおお、ポータブル環境でフツーにプレイリストが利用できるなんて! これまで使いにくいプレーヤーを使っていた身には感動ものです。

  
再生時の液晶表示。2行の情報領域の上にはバッテリの残量やプレイモードなどが表示される MP3ファイルのアイコンは左下の音符マーク プレイリストのアイコンはリストマーク

充電池カバーを外した状態。衝撃緩和のゴム部に埋め込まれた形 メニュー画面。トップの項目は「ボリューム」


いたって普通の音質。悪くはないです

 で、音はいかがでしょうか、音は。とりあえず、付属のステレオイヤフォンを使ってみる。これはネックバンド式のフレームの先にイヤフォン型ドライバがついているタイプ。デザインとしては悪くないんじゃないかと。あとは好みに合うかどうかですな。

 で、その音は……、ん~、ちょっとこもり気味な感じ。音域も集まっているかな。で、最近おなじみの、KOSS「PORTA PRO」に変えてリスニング。おお、なかなかいい音がしますよ。

 付属のステレオイヤフォンは少々物足りないですが、本体自体は至って普通の音を鳴らしているよう。再生領域は中音域がベースで、音域はそれなりに伸びる、という感じ。中音域がベースなだけに、バランスは良いといえる。「Rio Volt」は高音域にヒスを感じて、長時間聞いていると疲れる音だったけれども、ヒスっぽさもほとんどなし。

 低音部は、「PORTA PRO」で聞いたところ、ブーミィな印象を感じることもなく、クリアで小音量でも迫力を感じた。ただ、これは「PORTA PRO」の持つ低音過多なパーソナリティの影響だろう。付属のステレオイヤフォンで聞いたときは中音域とのバランスが良く、まあ普通に鳴ってました。ただ、音量を上げると少々割れ気味になるのがネックかと。

 音質変更機能は、低音の「Bass」と、高音の「Treble」を±15レベルで調節できるイコライザを装備。ただ、「Bass」を+3足した状態から音が割れはじめてしまうのがどうにも。やはりノーマルが一番よいです。

 「HDDの動作ノイズを拾わないか?」と思っていたけれども、曲間、再生中でもヘッドフォンからのノイズは全くなし。もちろん、本体に耳をつけて聞いてみると動作音はバッチリで、シーク時には小音量で「ブーン」と鳴るのは感じるのだけれども、それも30cmも離せばシーク音のみわずかに聞き取れる様なレベルで、ヘッドフォンからの音には影響なし。シールドが優秀なんですかね? これだけコンパクトなのにすごいなぁ。

付属のネックバンド型ステレオイヤフォン。デザインは悪くないかと


タイムラグなく快適なリスニング

 操作の方は少々慣れる必要があるけれども、慣れた後で感じたのはシークの素早さ。といっても、スキップした後は1~3秒ほど待たされるのだけれども、これは普通のCDプレーヤーでも似たようなものでしょう。つまり、CDプレーヤーと同じ感覚でスキップが使えるというわけ。今までスキップが遅いMP3CDプレーヤーを使っていた身としては感動的な早さですわ。いいなぁ、HDDって。

 プレイリストの再生も、リストを選択して再生されるまでの時間は3秒程度で、スキップするのと同等。これまでのMP3プレーヤーを使ってきて、「便利な機能にはウラがある」と思っていたのに、特に機能がダウンすることもなくフツーの感覚で使えるのが良いです。

 HDDの動作は、スキップ時と曲冒頭と曲中の一定間隔で発生。どうも、一度メモリに転送する方式を使っているようだ。アクセスの間隔は約40秒で、再生中は回転を止めている。箱には「衝撃対策として40秒のメモリ」という記述があり、この状態を指していると思われる。ちなみに、停止状態から動作するまでのスピードも3秒程度。ううむ、速いなぁ。HDD万歳だ!


ポータビリティも……ほぼ満足

 機能に関しては大満足だけれども、気になるのはポータビリティ。まず、サイズがコンパクトで、フリースのポケットやシャツの胸ポケットに余裕で入るのがポイントが高い。

 しかし、いざフリースのポケットに入れてみると、重みで型が崩れる崩れる……。端から見てみると「お前、ナニ入れてるんだ」とツッコミが入りそうな型くずれっぷり。重量290gですからねぇ。手に持った時の第一印象も「小さい割には重い」だったので、まあ、想像通りといいましょうか。ちなみに、胸ポケットに入れた場合は、シャツが厚めの素材だったからか型くずれはさほど目立ちませんでした。けれども、重みで姿勢が前かがみに……。

 いや、でもこのサイズにHDDと充電池4本、その上液晶まで詰め込んでいるのだから重くなるのは当然といえば当然。同じくHDDを使う「NOMAD Jukebox」がCDプレーヤーサイズなのを考えれば、コンパクトなサイズを確保したことを評価すべきでしょう。何よりポケットに入るHDD内蔵MP3プレーヤーなのですから。

 今回は用意できなかったけれども、オプションでリモコンも用意されているようです。本体がコンパクトなので、ズボン側のポケットでも入るし、カバンの中でも省スペース。この状態でリモコンが付けばユーザビリティはかなり高まるのではないかと。ただ、詳細はちょっとわかりません。やはり液晶はついていないのかな?

 動作中に手で持つと、HDDの動作で振動を感じて、当初はびっくり状態であったけれども、振動で落とすようなレベルではないです。まあ、無視できるでしょう。音飛びは全く確認できず。

 操作は、やはり煩雑さを感じるけれども、プレイリストによる再生が可能なためストレスは感じない。ん~、やはりプレイリストは便利だのう。プレイリスト再生中はスキップでプレイリストに登録された曲を選択できるし、プレイリストの切り替えも楽。もちろん、フォルダ、ファイルを指定しての再生にも対応。うむ、不満点は重量とボリューム操作が煩雑なことだけ。ハラショーです。


プレーヤー/HDDドライブ両方使えるナイスなヤツ

 やはりプレイリストを使えるのは大きいです。これまでのポータブルMP3ライフがウソのような快適さ。6GBの領域を埋めるような量のMP3ファイルを持ってないから、全部ブチこんでもOK。それでもあまった領域はHDDとしても使えて、その上ポータブル(速度は遅いけど)。おお、バラ色のようなMP3ライフかと。

 ボリュームの操作に煩雑さを感じて、少々重いのがネックだけれども、サイズのメリットもあり、容量のメリットもあり、プレイリストが利用できるのは大きなアトバンテージ。音質もそこそこ満足できるレベル悪くはないです。

 贅沢いえば液晶付きリモコンだとか、日本語のタグだって表示OKで、5行表示できる液晶だとかがあれば完璧なのですが、まあ、現状で求めるのは酷かな。市場のメインであるシリコンプレーヤーでも対応している製品はごくわずかだし。あ~、MP3プレーヤーは、まだまだメインではないのですなぁ。

□フォーカルポイントのホームページ
http://www.focal.co.jp/
□製品情報
http://www.focal.co.jp/index3.html

(2001年5月22日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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