【バックナンバーインデックス】

新発売のAV機器をいち早く紹介


MP3対応のHDD搭載カーナビを聞いてみる
carrozzeria AVIC-H09
発売日/5月下旬発売
価格/230,000円



■ 外観

上がモニタ/MD/アンプのAVIC-V07MD。下がHDDナビのAVIC-H09。両機とも1DINサイズ

車内での設置例 AVIC-V07MD(上側のユニット)のモニタを閉じた状態 リモコン。音声で操作を行なうこともできる


■ 主な特徴

 DVDプレーヤーとHDDを組み合わせたカーナビゲーションユニット。カーナビゲーションにHDDを採用したのは業界初としている。価格は230,000円。単体での使用は不可能で、別途モニタとアンプが必要となる。7型ワイドTV/MD/DSP/アンプ「AVIC-V07MD」と組み合わせたセットも395,000円で発売されている。そのほか、VICSビーコンユニット、7型ワイドテレビ付属の「AVIC-XH07V」(315,000円)もラインナップする。

 最大の特徴は、本体に10GBのHDDを搭載したこと。ナビ部分はHDDに記録されており、8GB分を使用している。HDDは東芝製の2.5インチ10GBのものを採用。HDDならではの高速検索が行なえ、JR鹿児島駅からJR札幌駅までを1秒未満で検索するという。都市高速専用の「シティハイウェイマップ」では、立体交差や建物を3Dで表示。収録された市街地図は全国1,406都市。新ウェザーライブ、自位置リンクTV番組表、iナビリンクにも対応している。

 プレーヤーとHDDの両方を搭載したことを活かし、MP3ファイルの録音・再生機能を搭載しているのも特徴。DVDプレーヤーに挿入した音楽CDを再生紙ながら自動的にMP3ファイルに変換し、次々とHDDに記録していく。日本語CDDBにも対応しているため、CDをプレーヤーにセットするだけで、タイトルなどの登録が自動的に行なえる。オプションとして、10GBの増設HDDも用意される(29,800円)。

オーディオトップメニュー 再生中画面
タイムアライメント設定 グラフィックイコライザ

 録音モードは、CD再生と同時にCD内の全曲を録音する「オート」、最初の1曲目のみを録音する「シングル」、自由なタイミングで録音できる「マニュアル」の3種類。すでに録音済みのタイトルは自動的に識別され、録音が行なわれないようになっている。

 CDDBは、約15万タイトルをHDDに内蔵。登録できるタイトル情報は、アルバムタイトル名、アルバムタイトル読み、アルバムアーティスト名、アルバムジャンル、アルバム発売年、トラックタイトル、トラックタイトル読み。本体にないタイトルは、携帯電話をつないで取り込むことも可能。日本語での曲名表示にも対応する。

 また、音楽再生に関わるほとんどの操作を、音声認識で行なうことができる。タイトル検索も声で行なうことができるが、読みが登録されている必要がある。

 DVDプレーヤー部のサンプリン周波数は44.1/48/96kHz。従来のDVDナビと異なり、ナビを使用中でもDVD-Videoを楽しむことができる。dtsには非対応。ドルビーデジタルも5.1chには対応せず、2chで出力する。

 なお、HDDにはプロテクトがかけられており、取り外した状態では使用できない。また、ナビプログラムのアップデートは、パイオニアが本体を預かり、10日ほどで書き換えて発送する予定となっている。


■ 編集スタッフのファーストインプレッション

視聴に使用したトヨタbB
 今回は、同時発売の「AVIC-V07MD」との組み合わせと、5月発売の「FH-P999MDR」をアンプ代わりに使用したケースの2通りを試した。

 AVIC-V07MDは、HDDナビ専用となる1DINのTV/MD/DSP/アンプユニットで、デザインの統一も図られている。価格は165,000円。モニタは7型ワイドで、フル電動のインダッシュタイプとなっている。

 FH-P999MDRは、5月発売の2DINサイズのMD/CD/チューナ/DSP/アンプユニット。有機ELディスプレイを搭載し、最大出力は50W×4。音楽信号の劣化を防ぐ「デジタルダイレクト伝送」や高調波成分の乱れを補正する「BBEデジタル」といった機能が搭載されている。

 視聴車はトヨタの「bB」。スピーカーはすべてパイオニア製で、フロントL/Rが「TS-C1700A」2基(31,000円)、リアがbB専用の「TS-DRC1BB」2基(73,500円)、サブウーファ「TS-WX55A」(29,800円)という構成。


フロントスピーカー。ツィータはサイドミラー取り付け位置の室内側にある bB専用のリアスピーカー。ブラックライトが点灯する トランクに設置したサブウーファ「TS-WX55A」。コーンが青く発光する

70
物 欲
ゲージ
■物欲の考証
 先進的かつ実用的なすごいアイテム。コンセプト自体は単純だが、それをパイオニアが標榜する「ミュージックサーバー」の域にまで持っていってるのは、HDD搭載機の第1号機としては快挙だと思う。今後、DVDナビと並ぶ1つのジャンルとして定着してほしい。
 とはいえ、個人的には車を所有していないので、買うか買わないかという点ではちょっとコメントできない。ただし、パイオニアカーナビのマニアである実家の弟には、力一杯勧めるつもりだ。そういう意味では70点。むろん、資金は出さないが。
 カーナビなのにMP3の記録/再生ができる! ということで、AV Watchでも視聴してみることになった。パイオニア本社にお邪魔し、AV Watchらしく音質と操作性を主に見ている。なので、ナビ部分のレビューについてはご勘弁のほどを。

 個人的にはカーオーディオとホームオーディオは異なるものと考えているが、「移動中に気軽に楽しむ」という点で見ると、ポータブルオーディオによく似ている。音質ももちろん大切なことだが、なるべく大量の曲を持ち歩き、次々にランダム再生させたいという欲求に応えることが重要になる。かつてCDチェンジャが幅を利かせたことからもわかるとおり、運転中に細かい操作のできないカーオーディオの世界では、その欲求が強い。本機の記録容量は2GB。カタログにはCD約20枚分を記録できるとあり、大抵のCDチェンジャ(12枚が多い)を越える量の曲を、常時ストレージしておける。

 MP3の音質は、ビットレートが高く、聞きやすい印象。もとのCDに比べると少し高域が薄くなり、それなりにSNが悪くなっているように感じるが、本気で比較しない限りわからないのでは。スピーカーシステムもまとまりが良く、サブウーファも思ったよりこもらず立ち上がり良い。まあ、音質がどうこうというよりも、ユーザーにとっては「一度CDをスロットに入れれば、2度とCDを持ち込まないでいい」という利便性がうれしい。

 操作はドライバーが音声認識、助手席あるいは後部座席がリモコンで行なう形になる。カーナビなので当たり前なのだが、ほぼすべての操作を音声で操作できる。音声による曲検索も可能で、曲名を言えばその曲が再生された。これには不覚にも感動。ただし、読みを登録しておかなけらばならない。基本的な音声操作についてはユーザーの声質を学習させることによって認識率を上げられるのだが、曲の読みを学習することは不可能だった。

 最後に軽くカーナビそのものについて。これは本当に高速だ。ほとんどストレスのない検索が行なえる。「ちょっと道がわからないけど、ナビで調べるのも面倒だし、まあいいか」という具合に今まであまり使わなかった人も、ビシバシ使うようになること請け合いだ。

orimoto@impress.co.jp

75
物 欲
ゲージ
■物欲の考証
 単体では機能せず、別途アンプ、TVが必要なことを考えると価格がネックではあるけれども、HDDで快適にカーナビも音楽も快適に使えることを思えば妥当かも、と感じる。でもね、自分免許持ってないのよ、免許。
 HDDを使用してジュークボックス的にリスニングできるメリットは大きいと感じた。高速リッピングは不可能だが、「一度聞いたCDを手軽に呼び出せる」のだから、利便性は高いと思う。CDDBに対応することで手入力の手間も軽減されているし、「読み」が登録された曲ならば音声による呼び出しも可能。データベースは15万曲と豊富で、メアリー・ブラック「by the time it gets dark」なんてマイナーなアルバムまで登録できた(さすがにテクノ系はNGだったが……)。ただ、洋楽系のアルバムは音声用の「読み」まで自動登録されないので、洋楽をメインに聞いている自分の場合手軽とは言いがたい。

 できればWAVEでの録音にも対応してほしいが、音が反響しやすい車内で聞くならMP3の音でも「必要にして十分」。DVDプレーヤーも内蔵し、「買い物に出かけた直後に視聴」なんてユースも考えられる。DVD再生時のサラウンド感は薄いが、車内の遮音性のおかげで比較的大音量で楽しめるため、結構迫力を感じる。「車内でなんでも、手軽に」と願うユーザーならば一考の価値はあると思う。

fujiwa-y@impress.co.jp

75
物 欲
ゲージ
■物欲の考証
単体としての完成度は高い。音質もカーオディオとしてかなりのレベル。ほとんどの人はMP3と意識しないで聞く事ができるだろう。もちろん、HDDにマップもすべてインストールされたナビ機能は、今までのDVDナビとは別次元の使い心地を提供してくれる。ナビ好きなら買いの製品だろう。
 カーオディオでMP3。CD-R/RWに記録したMP3ファイルを再生できるカーオーディオは、既に主要メーカーから発売されており、もはや珍しい存在ではなくなっている。そんな世間の動向を見向きもしなかったのが、パイオニアだった。その理由を尋ねると「MP3は音が悪いということもあって、今まで導入を見合わせていた」という。

 そのパイオニアが、いきなりHDD搭載タイプを投入してきた。完全に内部完結しているので、ビットレートなどの詳細データは公開されていない。しかし、2GBで約1,200分録音できるということから、単純計算するとビットレートは200kbpsを軽く超えていることになる。このことからも、かなり音質を重視していることが伺える。実際に音を聞いてみると、元CDと聞き比べれば、高音が少し消え、そのためか低音というよりLFEが効いた感じになるが、これも聞き比べればわかる程度の差。ブラインドテストで、CDとMP3をピタリと当てられる人はほとんどいないだろう。

 MP3エンコードの使い方は、まさに録音感覚。CDを高速リッピングし、MP3エンコードしてHDDに保存といった使い方や、CD-Rに入ったMP3ファイルをHDDにコピーするといったことはできない。その代わりといってはなんだが、FMラジオなどアナログ外部入力もMP3で録音できるのが、リアルタイムMP3エンコーダの強みだ。

 実際の操作は、自動録音に設定しておけば、再生しているCDがMP3にリアルタイムエンコードされて片っ端からHDDに保存される。同じCDをかけた場合は、自動的に判別して録音しないので、同じ曲がたくさん入っているという状況もある程度防ぐことができる。こういった機能により、知らず知らずのうちに、「ミュージックサーバー」が構築できているのだ。もちろん、普段パソコンを使っている身からすれば、USBで転送したいだの、CD-R/RWのMP3をコピーしたいだのという気持ちにもなる。しかし、スタンドアローンで使うことが前提の機械なので、「一度再生したディスクは車内に持ち込む必要がない。いつでもHDDから再生できる」というコンセプトはよく考えられていると思う。

 また、カーナビとしては当然といってもいい機能となった音声認識を、MP3再生時に使用することもできる。具体的には、曲名をいえばその曲が再生される。これこそ、まさに「サイバーナビ」というイメージだろう。ただ音声認識を使用するには、曲名の読みが入力されている必要がある。しかし、この読みがCDDBには登録されていないことが結構あり、自分で入力しなくてはいけないのが難点だ。

furukawa@impress.co.jp


■ 主な仕様



□パイオニアのホームページ
http://www.pioneer.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.pioneer.co.jp/press/release245-j.html
□製品紹介
http://www.hdd-cybernavi.com/
□関連記事
【5月9日】パイオニア、MP3録音ができる業界初のHDDカーナビ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010509/pioneer.htm

(2001年6月22日)


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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