2001年 夏のボーナス商戦特集

機能・画質でチェックする
低価格プログレッシブDVDプレーヤー



【プログレプレーヤーに注目】【編集スタッフの評価】【各機種の詳細】

■ プログレプレーヤーに注目

 DVDプレーヤーにおける今年の夏商戦の話題は、2万円台の低価格DVDプレーヤーの台頭と、4~8万円台のプログレッシブ機の登場だろう。プログレッシブ出力のできるプレーヤーは、昨年まで実勢価格で10~20万円台と、気軽に買えるものではなかった。しかし、ここに来て一気に半額以下に低価格化。AVファンのあこがれだった「DVDのプログレッシブ表示」が、いつのまにか普通に入手できる状況となったのだ。

 また、単にプログレッシブで出力できるというだけでなく、DVD-AudioやDVD-RAMへの対応、基本画質の向上など、昨年よりも明らかな進化を見せている。そこでAV Watchでは店頭に並ぶ廉価なプログレッシブ機から4台をチョイスし、主に機能、画質、操作性を検証してみた。


 今回検証したのは、以下の4機種(アルファベット順)。

●松下電器産業「DVD-RP91」 【背面写真など詳細情報はこちら】
 標準価格79,800円。3月に発売された機種だが、ようやく潤沢に出回るようになった。店頭では現在、6万円弱で購入できるケースが多い。ビクターの「XV-P300」と並ぶ売れ筋モデルだという。

 DVD-VideoやVideoCDだけでなく、DVD-AudioとDVD-RAMの再生に対応しているのが特徴。同時に比較したソニーやビクターの機種に比べると、価格の点からもユーザーターゲットが違うのは明らか。しかし、豊富な機能や高級感のある外観などから、お買い得感の点ではひけをとらないと考え、選択肢に加えた。


●ヤマハ「DVD-S12001」     【背面写真など詳細情報はこちら】
 上記「DVD-RP91」のコンパチ機と思われるプレーヤー。前面パネルとリモコン以外、ほとんど差異はない。標準価格は98,000円、実勢価格は8万円前後。DVD-RP91と同じく、DVD-RAM、DVD-Audioにも対応している。

 24ビット192kHzのオーディオD/Aコンバータや、映像信号をカットする「ビデオオフ機能」を搭載するなど音楽再生にも力が入っており、店頭ではヤマハ機器ユーザー向けのDVDプレーヤーとして、システム例のコーナーに展示されるケースが多い。


●ソニー「DVP-NS500P」     【背面写真など詳細情報はこちら】
 オープンプライスだが、実勢価格は5万円弱。ビクターの「XV-P300」とともに、「プログレッシブプレーヤーは高い」という、これまでの常識をうち破った機種。この価格でディスクの反りに反応する「プレシジョン・ドライブ2」や、12ビット54MHzビデオD/Aコンバータを搭載するなど、上位機種と同じ技術を取り入れている。



●ビクター「XV-P300」       【背面写真など詳細情報はこちら】
 現在最も廉価なプログレッシブ機で、店頭実売価格は4万円弱。エントリータイプで最近流行している薄型の本体デザインを採用しており、画質にうるさいAVファンだけでなく、一般ユーザーにも人気を博しているという。

 上位機種と同じ「デジタルダイレクトプログレッシブ回路」を搭載しており、プログレッシブ表示画質にも期待できる。また、他機種にはない特徴として、MP3ファイルの再生が行なえる。



■ そもそもプログレッシブ表示とは

【2-3プルダウンとプログレッシブ変換の例】
 プログレッシブとは、地上波放送などで採用されている「インターレース方式」と異なり、画面上の走査線を一括してスキャンし、毎秒60フレームを奇数フィールド、偶数フィールドともに1枚絵として描いていく方式。走査線を奇数フィールド、偶数フィールドに分けて表示するインターレースに比べ、ちらつきがなく密度の濃い映像が得られるという利点がある。

 DVD-Videoは、もとの素材がフィルムなら、その多くが毎秒24フレームのプログレッシブで記録されている。走査線は525本で、地上波放送と同じ。また、ビデオ素材なら毎秒30フレームのインターレースとなっている。

 ビデオ素材はそのまま再生できるが、フィルム素材は1コマ目を2フィールド、2コマ目を3フィールドというように割り当てていき、インタレースの30フレーム/秒に変換する必要がある。これを「2-3プルダウン方式テレシネ(テレビシネマ)変換」と呼ぶ。

 2-3プルダウンで変換した映像をプログレッシブの60フレーム/秒で描くためには、フレーム数を2倍にしなけらばならない。ただし、上記のようなフレームを分散させる単なる補間では滑らかな動画を表示できないため、この技術は各メーカーが様々な工夫を凝らしている分野となっている。

ビクターのデジタルダイレクトプログレッシブ方式
 例えば、ビクターの「XV-P300」では、フィルム素材をインターレースに変換せず、直接プログレッシブ処理する「ダイレクトプログレッシブ」を採用。ソニーはフィルム素材とビデオ素材を画素データから判別し、ビデオ素材に対しては3段階の動き検出を行なう「バイ・ピクセル・アクティブIP変換」を使用している。これらの違いを検証するのも本企画の趣旨の一つだ。

 また、ビクター以外の3機種は、ビデオD/Aコンバータに12ビット54MHzのものを搭載。DVD-Videoの8ビット13.5MHz記録よりサンプリングレートを拡張することで、折り返しノイズの減少や、周波数特性の向上を図り、高度なプログレッシブ化に対応するとしている。なおビクターの「XV-P300」は、10ビット54MHzのDACを採用している。

 DVD-Videoをプログレッシブで表示するには、対応ディスプレイが必須となる。また、ディスプレイとは色差ケーブル(RCA/D端子)による接続を行なわなければならない。対応ディスプレイの具体的なスペックは、具体的には、D2以上のD端子を搭載しているタイプなら問題ない。また、D2端子ではなく、RCAやBNC形式のコンポーネントビデオ端子で接続してもディスプレイが対応していれば表示可能。


■ 各機種の主な仕様

機種名 松下電器
DVD-RP91

ヤマハ
DVD-S1200

ソニー
DVP-NS500P

ビクター
XV-P300

発売日 3月25日 6月21日 6月1日 6月1日
標準価格 79,800円 98,000円 オープンプライス オープンプライス
実勢価格 6万円弱 8万円弱 4万円代後半 4万円弱
【再生可能なディスクフォーマット】
DVD-Video
DVD-RAM × ×
DVD-Audio × ×
VideoCD
CD-DA
CD-R/RW
MP3 × × ×
【出力端子】
D1/D2出力 1系統 1系統 1系統 1系統
コンポーネントビデオ出力 1系統 1系統 1系統 1系統
Sビデオ出力 2系統 2系統 2系統 1系統
コンポジットビデオ端子 2系統 2系統 2系統 1系統
同軸デジタル音声出力 1系統 1系統 1系統 1系統
光デジタル音声出力 1系統 1系統 1系統 1系統
アナログ音声出力 1系統 1系統 1系統 1系統
5.1chアナログ音声出力
(ドルビーデジタル/dtsデコーダ内蔵)
1系統 1系統
サブウーファ出力 1系統
【その他のスペック】
ビデオD/Aコンバータ 12ビット54MHz 12ビット54MHz 12ビット54MHz 10ビット54MHz
ダイナミックレンジ(DVDリニアPCM) 103dB 103dB 103dB 106dB
消費電力 12W 12W 14W 15W
外形寸法(幅×奥行き×高さ) 430×265×99mm 449×281×99mm 430×256×74mm 435×267.5×73mm
本体重量 3.5kg 3.5kg 2.7kg 2.6kg



□関連記事
【2000年3月22日】今からでも間に合う! "実践的"DVDビデオ入門(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000322/dvd_i.htm

[→次へ]

(2001年6月29日)


00
00  AV Watchホームページ  00
00

ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.