気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】


第30回:ケーブルをなくしてみました!!
無線伝送ユニット「アテックス ワープビジョン」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

機器間の距離をなくすには?

 いやぁ、自作マシンを新調したときに選んだビデオカード、「RADEON VE」はいいっすよ。マルチモニタ対応だし、TVへの出力も可能。自分の場合、ゲームは「座椅子に座ってゆったりと」楽しみたい人間なので、PCではほとんどゲームはやりません。けど、TVでやってみると結構面白いゲームもあったりするわけです(ちょっとフリッカが気になるけど)。なのでPCゲームをTVでできる「RADEON VE」はなかなか重宝するカード。が、ひとつ問題が。家の環境だとTVとPCの間が離れてるんですわ。端子間の距離は約2m。

 手持ちのケーブルで最長のものは約3mなので、接続するとケーブルが中に浮いてしまうのです。うわ~、さすがに繋ぎっぱなしじゃ暮らしにくい……。なので、「どうしてもTVでゲームがしたい」とき以外はケーブルは外してます。故に、「RADEON VE」のTV出力機能はほとんど活用されておりません。いちいちつなぐのはめんどくさいからねぇ。

 たとえ5mや10mのケーブルを買ってきたとしても、端子間にはベランダへの出口があり、そこにケーブルを引くのはちょっとためらわれる。結構出入りが激しいから、ケーブルに足を引っ掛けたりしそうだからねぇ。カゴ持って洗濯物を取り込むときとかは足元見ないし。

 「ケーブル」という物理的な要因により、PC→TV接続は半ばあきらめていたけれども、とあるサイトで気になるブツを見つけたデスよ。それが、アテックス「ワープビジョン」なのであります。


通信販売のみで販売?

 「ワープビジョン」とはなかなかトンチの利いたネーミングではありますが、これは要するに「映像/音声信号のワイヤレス伝送システム」なのであります。つまり、ケーブルをなくして接続できる機器。しかも、2.4GHz帯を使用した電波式。赤外線式の機器はたまに見ることもありますが、電波式となるとシャープの「スマートリンク」くらいしか記憶にありません。

 2.4GHz帯無線ならばそれなりに帯域が広くて、伝送による劣化も少なそう。赤外線みたいに帯域が狭くて障害物があればアウト、なんてこともないしね。オマケに赤外線受光部/発光ユニットがついていて、リモコン操作も離れたところから可能なんだとか。ううむ、なかなかに興味深いブツではありませんか。けど、店頭で売っているところは見かけたことないなぁ。

 アテックスのサイトでは、通信販売を受け付けているものの、取り扱い店舗などの記載は見当たらない。どうも通信販売専用商品の様子。う~ん、通販か……、自分がモノを購入するときは、「店頭で実物を確認して購入」が基本パターンなので少々不安だ。

 しかも、お値段も34,800円と、なかなか悩み多きレベル。基本セットのほかにも「カメラセット」や、「スケルトンTVセット」などのちょっと馴染みのないセットもあるし、サイトにある「お客様の声」と題されたユーザーの評価を列記して、なんとなく「雑誌裏表紙の通販広告」の雰囲気。どうも気後れしてしまいます。

 けど、「2.4GHz帯の電波式」には間違いはないでしょう。ついでにリモコン信号まで伝送するというのは気の利いた機能。通販には抵抗がありますが、いっちょ注文してみますか、というわけで、オーダーページに移動。

 あら? 通販サイトにしては珍しい構成してますね。@nifty「iREGi」などの支払いサービスには対応しているけれども、クレジットカードでの直接支払いはできないみたい。製品情報ページからオーダーページに跳んだのに、オーダーページは全ての製品共通で、オーダーに際しては製品名を記入しなくてはならない。う~ん、ちょっと馴染みのないシステムだなぁ。

 まあ、オーダーページの注意書きを読んでみると、特に怪しい記述もないし、代引き発送も可能なので、「代金を持ち逃げされる」なんて最悪の事態は回避できそう。25,000円以上は代引き手数料が無料になるそうなので、ここは代引きで注文しておきますか。


素早い対応、素早い到着

 少々脅えつつも、腹をくくっていざ注文。オーダーは、オーダーフォームに氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの必要事項を書き込み、支払方法などを選択して注文する製品名を記入。そのほかにも納期、質問、配達日時などの希望を書き込む欄が設けられている。とりあえずは、必要事項を記入して、支払方法は代引き、っと。配送はいつでもいいけど、とりあえず午前中だな「午前中の配送希望」っと。ということで送信。

 オーダーを送信したのは22時ごろで、「返事が来るのは翌朝かなぁ」と思っていたら、翌1時頃にはもうメールで連絡がきてました。担当者名、電話/FAX番号、住所が明記され、発送する商品名と金額、配送業者と配送予定日時も確認できる。惜しむらくは荷物の配送状況を確認できる「配送番号」がないことくらいで、しっかりした対応といっていいでしょう。

 到着予定日も注文時から中1日。午前中に注文したらきっと翌日には届けてくれるはず。当然、商品は知らされた配送日にやってきましたとも。素早い対応に感心しました。「あやしい」とか思ってすいません。けど、配送されてきたパッケージはちょっとあやしいかも……。

 配送してくれたのは日本の業者なのに、なぜかのアメリカの配送業者の袋に入っていて、中を開けると白箱があるのみ。う~ん、割り切った商売してますなぁ。確かにこのままでは店頭においてもインパクトはないかも。ま、問題は製品の実力。パッケージは些細なことです。

運送業者から手渡された状態がコレ。袋がアメリカの運送業者のもの で、袋を開けたらこの白箱が登場。……潔い。


部分的に怪しいものの製品仕様はほぼ堅実

 製品名のシールが貼られただけの味も素っ気もない箱を開け、内容物の確認。中には送信機/受信機が2台1組、ACアダプタが2個、コンポジット/ステレオRCAケーブルが2本、赤外線発光部が1個、保証書が印刷された取り扱い説明書が1枚(おそらくコピー)。そして、「プー○」か「ア○ボ」を足して2で割った(と思われる)ロボット犬型キーホルダーも入っていた。なぜ?

 まあ、キーホルダーは置いておくとして、とりあえず送/受信機本体の確認をば。送信機、受信機が各1台で、外観は一見したところ同じ。外形寸法116×155×45mm(幅×奥行き×高さ)とそこそこコンパクト。機能は送信用、受信用で固定されていて、重量も送信350g、受信420gと異なっている。見分け方は、底面にある「送信機」、「受信機」のシールが確実。接続端子は、コンポジット/ステレオRCA×1系統。う~ん、S端子はないのね……。

 アンテナは、映像/音声伝送用の2.4GHzアンテナが丸型。180°起倒式で、立てた状態では左右135°の回転も可能。また、リモコン信号伝送用にはバー型のUHFアンテナを装備。こちらは前後に180°回転する。ちなみに、信号の到達距離は15m。ちょっと微妙? とはいえAV機器とモニタなどを15m以上離すことも無いだろうから充分に実用範囲。監視カメラ用途などで長距離送信する際は4台までで中継もできるそうな。わが国の電波法は厳しいらしいので、無難なセンだと思います。

 マニュアルを確認してみると、詳しい記述はないものの、伝送は映像がアナログ、音声はデジタルのようです。変調方式の記述はないけれども、製品情報にある雑誌掲載記事には「FDM方式」とありました。え~、詳しくは解説できませんが、少し調べたところでは「周波数分割多重(Frequency Division Multiplexing)方式の略で、複数の回線を束ねて回線を共用する多重化技術。共用回線の周波数帯域を等分して複数回線に割り当て、合成波として送受信を行なう方式」なのだとか。

 リモコン信号の受信用に、受信機本体の前面には赤外線受光窓を装備。一見すると送信機側にも同じ窓がありますが、中をよくよく確認すると受光ユニットがオミットされていることが確認できます。で、送信機背面を見るとRCAジャック、電源コネクタのほかに「IR EXT」と書かれた端子があり、こちらに同梱の発光ユニットを接続する。

 操作したい機器の受光部付近に設置して、リモコンを受信機に向かって操作すれば、無線を通じて送られた信号を、送信機に接続した発光ユニットが発し、無事操作できる、というからくり。ふう、わかりにくいぜ。

 まあ、とにかく、送信(ビデオデッキなど)/受信(モニタ)を間違わずに接続し、送信側に赤外線発光ユニットを取り付ければ問題ない、ということ。

同梱品一覧。ロボット犬型キーホルダーは右下 送/受信機。外観はまったく一緒 確実に見分けるなら底面の表示を確認

アンテナはこのように回転可能 背面の接続端子群。上の送信機には発光ユニット用端子がある


伝送ロスはありませんか?

チャンネル表示。4chまで設定可能
 てなわけで、所期の目的どおりPCとTVをつないで見ました。ビデオカード「RADEON VE」はブラケット部にDIN端子を装備し、直接Sケーブルを差し込んでもOKだけれども、コンポジットへの変換コネクタも付属。今回は変換コネクタを介して接続し、音声はサウンドカードからスレテオミニ→RCAステレオケーブルを使用。

 で、ACアダプタを「ワープビジョン」に繋いで電源ON。お、受光窓に数字が表示されましたよ? なにこれ? で、マニュアルを確認すると、近辺に何台か同時使用する際に、混信しないようにチャンネル設定する機能があるそうな。おお、なるほど。これなら4台の機器を並べて接続できるわけね。どれ、チャンネル切り替えてみるか、と受信機の「CHANNEL」スイッチを押してみたところ、何か違和感が……。あれ、ボタンが押し込まれた状態で固定されてるんですが? っていうかこれ壊れてる?

 送信機側のスイッチ確認するとこちらは健在。ふむ、これは「初期不良」というヤツなんでしょうなぁ。ま、1組しかないからとりあえずチャンネル固定で問題ない故、放置決定ということで。

 では、TVはいつものとおりソニー「KV-14AF1」を接続して、いざ視聴。ふむ、ケーブルで接続したのと大差ないような画質。なかなかよろしいんでないですか? コンポジット接続故に多少にじみが出ていますが。

 しかし、やっぱフリッカが気になるわ、VGAサイズに落としても、低減はされるもののNTSC映像と同レベルにはならない。まあ、これはケーブル接続時にも気になっていた「RADEON VE」側の問題なので、「ワープビジョン」とは関係ありません。けど、たまに接続してPCゲームをする分にはガマンできるけど、常時接続して「いつでも楽しめる」という環境となると話しは別。チラついてるとやはり目が疲れてしまうから長時間の視聴は無理だからなぁ。

 これでは「ワープビジョン」の実力がわからないので、待機中のビデオデッキ、シャープ「VC-HF430」を繋いでみる。ソースは「アポロ13」を視聴。ふむ、やはり伝送によるロスは感じられません。ロケット発射シーンを中心に見てみたけれども、ロケットの輪郭も(デッキの性能なりに)シャープで、音域が狭まったような印象も特になし。へぇ、なかなかやるじゃん。気楽に見る分には問題ありませんよ。

TV側受信機の設置。赤外線式だとここには設置できない PC側送信機の設置。空きスペースに適当に 左右の関係はこんな感じ。アンテナをほぼ正対するように設置


リモコンの送信はどうよ?

 では、ちょっと趣向を変えて、三菱のビデオデッキ「HV-SX200」を、NECのTVキャプチャカード「SmartVision Pro2 EX」に接続して、リモコンが通るかどうかの確認を。ビデオデッキ→PC間も離れているので、ワイヤレス伝送システムでもなければ接続する気力が起こらなかったのですよ。送/受信機を入れ替えて、ビデオデッキの前に赤外線発光ユニットを設置。で、「SmartVision」を立ち上げて「外部」に合わせる。

 ふむ、ま、コンポジット接続故、さすがにTV放送よりはにじみが目立つけれども、充分に視聴可能。では、リモコンをぽちっとな。

 信号は無事に通ったようです。タイムラグを感じることもなく、ジョグの操作でも楽勝。機器に向かってではなく、見ているモニタに向けてリモコンを操作できるので、違和感も感じずに操作感は快適。どちらかというとPC→TVより、ビデオ→PCの方が使いでがありますなぁ。ということで、今後の使用はこちらで決定。画質も(コンポジット接続と納得すれば)問題なし。リモコン信号の伝送も便利な機能です。


価格に納得できるならオススメ

 うん、伝送ロスもほとんど感じられなかったし、多数台を接続する際の混信対策もアリ。少々品質管理に難がありそうな雰囲気もあるけれども、まあ、そのヘンは目をつぶりましょう。多分事故ですわ、事故。モノ自体は大変満足です。結局所期の目的には合わなかったのですが、PCでビデオを見られるのはなかなか快適。

 今回は試していないけれども「壁があっても送信可能」というのは電波式のメリットで、例えばCSチューナの映像を分配器で分配して、隣りの部屋でもCS放送を見るとかもできそう。あとは、やはりプロジェクタですか。ビデオデッキなどの機器は前面に、プロジェクタは背面にという設置でもくそ長いケーブルを取り回す必要なし。う~ん、スマートだ。ま、接続はコンポジットなのでそれなりの映像になりそうなのが気がかりですが。

 ともあれ、ワイヤレスで離れた位置にある機器間を接続する必要のある方にはオススメできる製品かと。ただ、購入に際して納得すべき点は、コンポジットの映像で満足することと、何よりも価格。う~ん、35,000円も出してワイヤレス接続だけの機能ってのもなぁ……。シャープの「スマートリンク」は実売5万円だから、かなり格安ではあるけれども。

 そうさねぇ、できれば1セットで4機器くらい接続できて、S/コンポーネントレベルの接続が可能、というワイヤレス伝送システムでこの値段なら納得できるかと。でも、2.4GHz帯じゃ多分そんなデータを扱えないだろうしなぁ。むむ、そう考えると現状ではこの製品はかなり貴重だと思います。繰り返しますが、価格さえ納得できれば。

□アテックスのホームページ
http://atex.pos.to/index.html
□製品情報
http://atex.pos.to/warpvis.htm
□関連記事
【7月24日】シャープ、AV機器を電波でつなぐ「スマートリンク」
―MPEG-2にエンコードして無線LANで伝送
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010724/sharp2.htm

(2001年9月17日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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