気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】


第29回:8cm専用MP3CDプレーヤーの新製品
プライムコーポレーション「MP3 HUNTER 3.0」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

使い勝手の悪いMP3プレーヤー

 前に扱った8cm専用MP3CDプレーヤー「mpzip」は、あまり満足のいくものではありませんでした。「8cm専用でコンパクト」というイメージありますよね? でも、サイズは少々大きめで確かに12cmタイプよりは小さいのだけれども、その差はわずか。それに厚さがハンパなくブ厚いのです。なによりも電池の持ち時間が短いのが難点。ん~、本体充電ができて、音質もかなり良好なんですがねぇ……。結局、ほとんど使ってません。

 しかし、またまた気になる製品が出てきました。それが「MP3 HUNTER 3.0(以下3.0)」であります。プライムコーポレーションが販売するもので、この会社は「mpzip」と同じモノと思われる「MP3 HUNTER 2.0」という8cm専用MP3CDプレーヤーを出してます。

 見たところ「mpzip」よりも幅が狭まってコンパクトになり、電池持続時間も8時間と大幅に増えたご様子。内蔵用電池ボックスも単4型から単3型になっているのでユーティリティが高くなっているのもポイント高し。おまけに300MBの高密度8cmCD-R「CD+R」の再生もサポートしているじゃないですか。ふむ、なかなかよろしげな仕様ではないですか? やはりここは手を出さない手はありませんぜ!


幅1cm短縮でガラッと変わった印象

 というわけで、買ってきました。お値段14,780円。ふむ、メインストリームの12cmタイプ製品と同じくらいですな。外箱はプレーヤーの外観を線で描き、製品名を記しただけのシンプルなもの。「保証期間6カ月」というシールが目立ってました。そういや購入時に「初期不良の場合、交換ではなく修理になります」と念を押されたな~。ま、不良ということはないでしょう。

 箱を開けると、そこにはまた箱。今度は何も書かれていない真っ白な箱。なるほど、輸入した状態から日本で外箱を追加したのね、多分。それ以外はいたって普通な、プレーヤー本体、ACアダプタ、ステレオイヤフォン、キャリングポーチ、そして単3型乾電池×2本という構成。

 「mpzip」には外付け乾電池ボックスがついていて、少々面食らったけれども、今回はそういう「イロモノ」系の同梱物はなし。外付け電池ボックスは貧弱な再生時間を延長してくれるナイスな同梱物でしたが、やはり使い勝手がよろしくないのであまりうれしくはなかったんだよねぇ。「3.0」は再生時間も長くなり、電池を外付けする必要もない、ということなんでしょう。よきかなよきかな。

 あ、いや、ステレオイヤフォンが少々フツーではありませんでした。コードにボリュームが付いていて、なぜかクリップまで装備。ううむ、リモコンが付けられなかったので、せめてボリュームだけでも、という配慮でしょうか? ま、無いよりはあったほうがいいかも。もちろん、リモコンを付けていただいた方がよろしいのですが。

 さて、特に気になるのはプレーヤー本体のサイズ。8cm専用のメリットといえばコンパクト性なわけで、「mpzip」でその期待を裏切られ、大変残念に思っていたのであります。が、「3.0」ではなんとまあ、コンパクトになったこと。少なくとも12cmプレーヤーよりは小さくなり、シャツの胸ポケットにも入ります(かなり無理はありますが)。タバコの箱と比較してふたまわりほど大きくしたくらい。厚さはほぼ同等です。

 外形寸法85×106×25mm(幅×奥行き×高さ)と、95×108×27mmの「mpzip」から幅を1cm短縮しただけの様ですが、その差は歴然。なんと8cmCDの幅とほぼ同等。8cmCDから2まわりは大きいと感じた「mpzip」と比べると断然コンパクトに思えます。あとは「奥行きと厚さを短縮すればほぼ完璧なのに」、と思うのですが、まあ、そこはまだまだ発展途上、ということなのでしょう。

外箱と中箱。おそらく輸入品に日本で箱をつけた物と思われる オープン状態。幅は85mmと8cmCDから5mm大きいだけ 同梱物一覧。構成はいたってシンプル

タバコ箱との比較1。やはりまだ大きめだが胸ポケットには収納可能 タバコ箱との比較2。厚みはタバコ箱とほぼ同等 ボリューム付きのステレオイヤフォンが同梱。リモコンが欲しいです


ドライブが対応してませんでした……

 8cmCD-Rといえば、容量が180MBと少なめなのがちょっと使い勝手の悪いメディア。しかし、このプレーヤーは300MBの「CD+R」をサポートを謳っているので容量面でのネックはかなり改善されるでしょう。「CD+R」は普通のCD-R/RWドライブで書き込みが可能なのがウリ。コストもかかりません。

 しかし、プライムのWebサイトで「CD+R」の書き込み対応ドライブを確認したところ、愛用のTEAC製ドライブ「CD-W512E」は対応していない旨が記されておりました。……が~ん……。

 なんということか。まだまだ少ないリストの中で、他のメーカー製ドライブはほとんど対応しているというのに、TEAC製ドライブは全滅。まぁ、対応ドライブを調査して公開してくれるのは大変ありがたいし、今後も対応ドライブを調査して追加していくという姿勢は評価できます。が、持ってるドライブが対応していない、というのはショックでかいです。

 ま、MP3データなら180MBのメディアでもCDアルバム分くらいのデータを焼けるでしょうから、それなりに使えますが……。


ディスプレイは数字情報のみ

 では、使ってみましょう。操作ボタンは再生、停止、早送り、巻き戻しの基本操作用が4つ。リピートなどのモードセレクト、インデックス、プログラム、音飛び防止機能のANTIのサブ用が4つ。その他に側面の左側にホールド、右側にMP3のON/OFFスイッチがあり、スイッチ類は計10個。ディスプレイは小さめで、表示情報は数字のみ。ううむ、ディスプレイが数字のみとはさみしいですね。

 モードは、オールリピート、1曲リピート、イントロ再生、ランダム再生の4モード。プログラムは再生曲順の設定が可能。まあ、操作関係はこんな感じ。基本は押さえてあるといっていいでしょう。

 とりあえず、プロディジーの「MUSIC FOR THE JILTED GENERATION」のオマケについていた8cmシングルをリスニング。初めは付属のステレオイヤフォンで聞いてみる。ん~、ちょっと物足りないかも。音域が少々狭く感じ、鮮鋭感もいまいち。では、いつも聞いているKOSSの「PORTA PRO」で聞いてみましょう。ふむ、なかなかよろしいですよ。いつも使っているCDプレーヤー、ソニー「D-E700」と同じように聞こえます。認識時間は5秒ほど、といったところで、早送り/巻き戻しも音声付き。使い勝手も他のCDプレーヤーと変わらないかと。

 それでは、MP3を試しましょう。300MBの「CD+R」は焼けるドライブがないので試してませんが、「MUSIC FOR THE JILTED GENERATION」のオマケシングルを128kbpsで焼いたCD-R/RWそれぞれを用意しました。

 認識時間は約10秒。うん、かなり優秀ですね。再生ボタンを押してからの反応も一瞬、何よりも早送り/巻き戻しも音声付き。ただし、曲をまたいでの巻き戻しはできません。音飛び防止機能は、MP3時にはONで固定。ま、メモリに読み込まないと再生できないから当然ですな。R/RW共に再生に問題はありませんでした。

 音質はなかなか良好。圧縮でやせた感覚は当然あるけれども、鮮鋭感などはなかなか。曲間ノイズもなし、いたってフツーに聞けます。しかし、曲情報が数字のみというのはやはり使いにくいッスな。

ディスプレイ部。数字情報のみ表示対応でさみしい 本体右横スイッチ類。ボリュームとMP3のON/OFF 本体左横スイッチ類。こちらはホールドのみ


ビットレートを変えても問題なし

生産国は「MADE IN TAIWAN」
 今度はディレクトリを切ったり、ビットレートをいろいろ変えたCDを焼いて再生してみる。ここで問題発生。あれ? なんか曲数少ないッスよ? 具体的に言えば、ファイル名が一番若いディレクトリの曲しか認識していないご様子。別メディアを改めて焼いて検証してみると、あら、こちらは大丈夫。ちなみに原因は不明です。ほかのメディアでも対応しているので、ディレクトリにはちゃんと対応してるんでしょう。

 次にビットレートがどこまで対応しているかを試してみるべ。128kbpsで焼いたファイルの再生はまったく問題なし。可変ビットレートの224kbpsなどでも問題なし。ふむ、ま、この辺は当然ですな。

 ただ、320kbpsで焼いたファイルは再生中にぶつぶつとノイズが乗ってしまいます。けど、320kbpsでMP3ファイルにすることって少ないからなぁ、おまけに容量の少ない8cmCD-Rではあまり使わないと思われるので、これはこれでよろしいかと。

初出時に「ディレクトリ未対応」という旨の記述をしておりましたが、改めてメディアを作成ましたところ、ディレクトリ対応を確認いたしました。訂正し、お詫び申し上げます。(9月14日追加)


ポータブル環境での使い勝手は?

 では、ポータブル環境で使ってみましょう。とりあえず胸ポケットに入れて歩いてみる。ヘッドフォンプラグが少々引っかかるだけで、胸ポケットへの収納は問題なし。けど……重いね、コレ。でも、しばらくすれば慣れてしまいます。あとは妙に膨らむ厚みが気になるのが問題かと……が、現状はこの厚さが限界なんでしょうなぁ。

 電源は、付属のACアダプタと単3型乾電池のみで、充電池には対応していない。ちなみに、家で1時間、外出中に3時間ほどリスニングしていても切れる気配はまったくなし。というか、電池残量表示がないのでどれくらい電池が残っているのかわかりません。

 操作は、やはり胸ポケットからはやりにくいッス。操作ボタンがポケット内に入ってしまうので、スキップしたいときなどは結局ポケットから出さないと操作できません。かといって操作ボタンを上面に持ってこられても使いにくいんですが。上面操作ボタンの使いにくさは「mpzip 」を使って思い知りました。

 結論としては、胸ポケットよりカバンの隙間に入れたほうが使いやすいです。小さい故に取出しやすいので、スキップしたいときに取り出す手間は、胸ポケットから取り出すのと大差ありません。じゃあ、このまま連続再生時間のテストということで、オールリピート!


ユーザーを選ぶ製品か?

 お、ようやく電池切れたみたい。ふ~ん、電池残量表示は切れる寸前でないと表示されないのね。これはちょっと不便かも。連続再生時間は、ほぼカタログスペックどおりの約7時間。充分に「使える」範囲といっていいでしょう。サイズも小さくなったし、良くなってることは確かです。

 けどねぇ、12cmタイプの使いやすさと比較するとやはり見劣りしてしまうのですよ。不満点は、ディスプレイが数字表示のみという点。ん~、「アルバムを8cmサイズに焼きなおして持ち歩く」というユースならば使えるかな~? 12cmだと結構スペース取るからこれはこれでメリットがあるかと。「CD+R」を使えばアルバム2枚分といったところ。「アルバム2枚連続再生」という使い方もできそうです。

 認識時間もすばやく、早送り/巻き戻しも音声付。無理すれば胸ポケットに入るサイズだし、音質もちゃんと聞けるレベル。なので、8cmCDの可搬性にメリットを感じて、CDと同じような使い方しかしない、というユーザーさんなら「使える」プレーヤーに仕上がっていると思います。え~、自分は、多少持ち歩きにくくても「RioVolt」か「MOJO」を使います。多分。

□プライムコーポレーション(メディアエンポリアム)のホームページ
http://www.me-i.co.jp/
□製品情報
http://www.me-i.co.jp/mp3player/hunter3/hunter3_top.html
□関連記事
【5月15日】MP3CDプレーヤー冥府魔道 8cm専用でホントにコンパクト?「MIB mpzip」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010515/saki13.htm

(2001年9月13日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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