気になるグッズを衝動買い


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第35回:壁掛けで回るディスクをディスプレイ
DVDプレーヤー「ソニー DVP-F21」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

魔窟にもインテリア性を

 DVDプレーヤーは数々あれど、どこれもこれも似たようなプレーヤーばかり。最近でこそ薄型なボディをアピールしているプレーヤーも出てきたけれども、なんつうか、遊び心がないのですよ。

 いや、「AV機器に遊び心などいらない」とも思うのですが、AV機器って結構デカくて、デザインもバラバラなものだからインテリアとしてはどうにも。ボディカラーも「シャンパンゴールド」なんてどぎつい色使いの製品も多いし。おそらく「高級感」を狙ってのことだろうけど、自分には「単に趣味が悪い」と感じてしまいます。まだブラックのほうがマシ。

 我が魔窟は、今でこそ床が見えないようなひどい状況ですが、床はフローリングで結構見た目も良かったのです(入居当時は……)。日々「掃除しよう」との思いだけはあり、大掃除した際になにかインテリアになりそうなものがあっても良いかな、とかねがね考えておりました。

 とはいえ、一時期集めていたお菓子のオマケフィギュアも飽きてしまい、今となっては邪魔なだけ。「インテリアになりそうなデザインの実用品」があれば欲しいのに、と思っていると、面白そうなブツがございました。

 それがソニーのDVDプレーヤー「DVP-F21」なのでございます。


壁掛け可能なDVDプレーヤー

 この「DVP-F21」、ありていに言ってしまえばB5サイズのコンパクトなDVDプレーヤー。外形寸法は252×183×60mm(幅×奥行き×高さ)、重量1.5kgと小型でそこそこ軽量。ディスク挿入機構にスロットイン方式を採用して、縦置き設置も可能。と、ここまでなら「ちょっと個性的なDVDプレーヤー」と言えるでしょう。さらにスゴイのは「壁掛けも可能で、ディスク部がシースルー」なこと。つまり、挿入したディスクがくるくる回っているところを、壁掛けで見ることができる、という今までにないタイプのデザインになっているわけ。こんなDVDプレーヤー見たことねぇ!

 あえてシースルーの前例を挙げるとしたら、パイオニアがポータブルDVDプレーヤー「PDV-10」のトランスルーセントモデルと、ナカミチの「SoundSpace 12」くらいかと。壁掛けに至っては寡聞にして存じません。

 ニュースを見たときに、「あ、これならインテリアになりそうなデザインかも。壁掛けにしたら面白そう」と感じて、発売された際には実物を見て検討してみようと考えておりました。スペック的にはプログレッシブでもなんでもないノーマルDVDプレーヤーだけれども、我が家のテレビはそもそもプログレッシブじゃないから問題ナッシング。

 で、この「DVP-F21」。発売日は10月21日とされていたけれども、18日に量販店に寄ってみると、あら? もう売ってるッスよ。

 う、どうすべぇな? 部屋の掃除もすんでないし、壁掛けしようにも壁が空いてないし、そもそも賃貸だから壁にネジなんて打ち込めない。いやいやけれども実際に見てみるとデザインはなかなか秀逸じゃないか。などと、買うべきか、止めるべきか、考えがぐるぐる巡っております。あ~、どうしよう。

 が、思わぬ遭遇で不意打ちを食らった効果は大きく、思わず買ってしまいましたとさ。カラーバリエーションはシルバー、ホワイト、ブラックの3色がラインナップされておりますが、ブラックは面白みがなくて、ホワイトは汚れが目立ちそうなので、無難なセンのシルバーを選択いたしました。お値段は32,800円。D1出力のノーマルDVDとしては少々お高めの価格設定ではあるけれど、なにはともあれソニー製品で、このデザインであれば、まあ、妥当なところかと。プレイステーション 2よりは安いし。

 ちなみに、Webで検索してみると26,000円なんて価格で売ってるショップもありましたとさ。7,000円も安いのね……。ま、手近な所でゲットできたから文句ありませんとも。ええ。


コードを隠すカバーもついてます

 それでは、同梱品をあらためるとしましょう。箱の中身は、プレーヤー本体、リモコン、ACアダプタ、コンポジット/ステレオRCAの接続ケーブルのみ。付属していた縦置き用スタンドをよく見てみると、単なるスタンドではなく、リモコンの電池カバーのような機構になっていて、端子部を隠しております。コードは、カバーに開いた小さな穴からまとめて出せるような工夫も。そういや、横置き時はどうすのかな? と、本体を改めて確認すると、ちゃんとカバーがついてました。そういや本体に端子が見あたらなかったもんな。横置き/壁掛け時用カバーは、スクウェアな形状で本体に一体化しております。

 その端子部は、横置き時で見たときの背面ではなく、左側面に配置。縦置き/壁掛け時には底面に来るように配されており、端子を隠してコードをまとめるカバーと併せて、デザイン性への配慮が感じられました。この辺りの処理はこなれているようですな。

 端子の構成は、D1×1、S端子×1、コンポジット×1、光デジタル×1、ステレオRCA×1。3万円台のプレーヤーとしては必要にして最小限な構成でしょう。

 リモコンは、小さくてかわいらしい感じ。なのはいいけれども、なにかが足りないような……。って、10キーついてないやんけ! う~ん、ま、10キーはチャプター指定時しか使わないし、チャプター指定するにしてもスキップを使うことが多いから、いらないといえばいらないけれども、割り切り方が大胆だなぁ。

 リモコン上には、TV/DVDの切り替えスイッチもあり、このリモコンでTV操作することも可能。当然、対応TVはソニー製品に限られますが、自分の手持ちTVはソニー製の「KV-14AF1」なので対応しております。

 そういや、壁掛け用の穴はどこに付いているのかな……、と本体をじっくり眺めてみても、どこにもそれらしき穴が見当たらない。マニュアルで確認してみると、穴はシールで隠されておりました。一見するとアジャスタのゴムに見える色だったので気づかなかったデスよ。縦置き時に穴が目立たないための配慮なんでしょう。

同梱品一覧。本体、ケーブル、ACアダプタ、リモコンのみ 端子部。必要最小限の構成 本体上面。シースルー窓が目立つ

端子カバーをした本体底面。本体と一体化 リモコン。10キーがない分、小さくてかわいらしい


にせ壁掛け設置試してみました

 ちゅうことで、設置することにしましょうか。まずは、なんといっても壁掛けでしょう。とはいえ、我が家は賃貸のアパート。壁に穴なんぞ穿つわけにもいかないのです。どうすっかなぁ、と思いながらも目をつけたのが、TVを置いている木製のラック。

 本体に設置された壁掛け対応の穴は、直径9.2mmの穴の上部に4.2mm幅の溝を設けたタイプ。この穴を80mm幅で平行に2つ設けられている。マニュアルには、木ネジを壁に打ち込んで、この穴に掛けるように解説。ふむふむ、言い換えれば並行する80mm幅の木ネジ2つさえあれば壁でなくても設置できるわけね。木製ラックには木ネジも打ち込めるし、ラックの幅は約1m。80mmの幅は余裕ぶっこいて確保できます。

 さっそく本体の壁掛け穴に対応する木ネジを買ってきて(12本入りで80円)、ラックにねじ込んでみました。最初に1本を入れてから、それを基準にメジャーで8cmを計って鉛筆で印をつけて2本目をネジネジっと。所要時間は約5分。う、ラックが少々割れてしまったけれども、DVDプレーヤー本体の重量は1.5kg。強度的には問題ないでしょう。

 本体の目隠し用シールをはがして、木ねじにフッキング。それほど厳密に幅を計ってはいなかったけれども、問題なく引っ掛けられました。壁という安定板がないのでバランスが悪いかとも思ったけれども、特にぐらつくこともなく、ディスク再生にも問題はなさそう。うん、平坦な印象だったラックにアクセントがついて、いい感じですぜ。

 ちなみに、マニュアルには「垂直・平坦でない壁には取り付けないでください」との注意書きがあります。この設置は、あくまで個人の責任で行なった参考例ということで……。

 設置バランスに問題はないと確認できたので、電源ケーブル等を取り付け。う~ん、意外とコードが目立つね。本来の壁掛けであれば壁紙に合わせた色のテープでテーピングしたり、観葉植物などの遮蔽物を置くなどして対処できるのだろうけど、ラックに宙ぶらりんな「にせ壁掛け」ではちょっと方法が浮かばないっす。インテリアとしてはちょっとマイナス。

 ともあれ、ディスクを入れてみましょう。壁掛け時のディスク挿入口は右側っと。ディスク挿入は、これまで体験したことのない位置からとなるため、少々違和感あり。ディスク挿入口を確認しづらいので最初はとまどいます。が、中央には目印用とおぼしき窪みがあるので特に挿入しにくいこともなく、3~4回ほど繰り返せば慣れてしまうかと。

 それよりも、ディスクがスロットインでするすると本体に収められる様子を見るのはこれまでになかった体験で、面白いッスよ、コレ。シースルー窓は、少々スモークがかかっていて完全に透明ではないけれども、透過率で言えば80%程度。また、スピンドル部から120°程度は透過しないものの、ディスクの確認ははっきりとできます。再生時もくるくる回るさまも面白く、部屋のアクセントとして十分に機能すると思います。

 ただ、壁掛け設置だと、本体での操作はやりにくいっす。一応、ディスク挿入部と、操作ボタンには段差を設けて操作できるような工夫はされているけれども、操作ボタンは同じ形で、アイコン表示も壁掛け時は確認できず。まあ、本体での操作はディスク挿入後に再生ボタンを、ディスクを片付けるときに取り出しボタンを押す程度。操作のほとんどはリモコンで行なうので問題はないのですが。

本体の壁掛け穴。出荷状態ではシールで隠されている ラックのフレームにねじ込んだ木ねじ

フレームに無理やり掛けた「にせ壁掛け」状態 排出時のディスク露出範囲はこんな感じ ディスクを入れたり出したりするところ
【MPEG-1形式】
f21.mpg(739KB)


縦置き設置はどうよ?

 壁掛け設置も面白いけれど、利便性の高そうな縦置き設置も気になるところ。今、14インチテレビの脇にちょうどよさそうなスペースが開いてるんだよね。ということで、端子カバーを縦置き用に付け替えて、テレビ横に設置してみました。

 縦置用カバーは、簡単に言うと、横置き用カバーにスタンドをつけただけのもの。縦置き時の幅が60mmと、そのまま立てるには少々安定性に不安があるための措置でしょう。

 さて、ラックの隙間に押し込んだ縦置き時。そこに見えるのは幅60mm、高さ252mmのパネルだけ。これは実際のサイズよりもさらにコンパクトな印象を受けます。

 けれども、ラックの隙間に押し込んだから、横から見てもラックのフレームが邪魔をしてシースルー部からのディスク確認は無理っすね。う~ん、ちょっと残念。けれども、例えばチェストの上にテレビと一緒に縦置き、という設置であれば、パネルを正面にするか、シースルー部を正面にするかも選択可能。壁掛けと似たような使い方もできますな。

 壁掛け時には目立っていたコードも、当然のことながらまったく気になりません。それに、こちらはディスク挿入に違和感を感じることなく、同じく縦置き可能な「プレイステーション 2」のトレイ式に比べてディスク挿入が楽なスロットイン。「プレイステーション 2」はトレイ式だから左側に置くとトレイが丁度裏側になってて、ディスクが入れにくかったけれども、スロットインならば左右を気にする必要もありません。

 う~ん、壁掛けでディスクの回転を見るのも楽しいけれども、普段の利便性を考えると縦置きのほうが使いやすいですね。設置場所さえ工夫すれば、壁にかけなくてもシースルー部が見られる位置に置けるし、コードの処理も簡単だし。縦置きでもインテリアとしても有効かと思います。

縦置き時。本体ディスプレイを確認できてディスク挿入も簡単 横から見たところ。ディスクの確認はちょっと無理


プレーヤーとしての機能はどうなってるの?

 設置性にばかり目がむいていたけれども、DVDプレーヤーとしてはどうなのでしょうか? 画質的には、う~ん、フツーのプレーヤーかと。映像調節機能は基本的になく、ブロックノイズリダクション(BNR)機能を3段階調節できるだけ。「デザインを重視したユーザー」に向けた機種にふさわしいわかりやすさ、といったところでしょうか。とはいえ、画質に問題は感じません。「U-571」を中心に視聴したけれども、暗いシーン、明るいシーンともに見やすいコントラスト。解像感もシャープで、ジャギーを感じることもありません。手持ちのソフトでブロックノイズの目立つものがなかったので、BNR機能はそれほど効果を感じませんでした。元ソフトに問題がないのに無理して機能させると、逆に画面にノイズが乗るようにも感じるので、よほどのソフト以外はOFFでよろしいかと。

 対して、音声関連の機能はそこそこ充実。ダイナミックレンジの調節する「オーディオDRC」、プレーヤーの音声出力レベルを抑えて、歪みを低減する「オーディオATT」などの、パーソナルユースを想定した機能もありますが、目玉は2スピーカーでサラウンド効果をシミュレートするバーチャルサラウンド機能「TVS」でしょう。リモコンの「サラウンド」ボタンを押すだけで、サラウンドモードに変更します。

 で、サラウンド効果の程はというと、そうさねぇ「広がって聴こえる」とでもしておきましょう。サラウンド効果は感じられるけれども、音の定位感は薄く、5.1ch時ほどの臨場感はありません。けれども、ダイナミックレンジを圧縮する「TVSナイト」モードもあって、深夜の視聴には便利だと感じました。深夜に5.1ch鳴らすとかなりうるさいからね。昼間は光デジタル出力で5.1ch、深夜はダイナミックレンジを絞ってテレビのスピーカーでバーチャルサラウンド、という使い方ができて有効だと思います。

 OSDはもちろん日本語に対応しており、インターフェイスはこれまでに触ったソニー製品と同じ構成のご様子。自分はどうも馴染めませんが、まあ、時間をかけて慣れれば解決できるでしょう。

 で、リモコン。10キーがないことに当初は驚いたけれども、結果的には、特に不便を感じることなく使えました。考えてみればお気に入りシーンのチャプター番号や時間を覚えるほど気合い入れて見てるソフトってないんだよね、自分の場合。LDを使っていた昔はお気に入りのシーンのフレーム番号すら覚えていたものだけれども、最近そこまでのパワーがなくて……。

 ほとんどの方は似たような使い方をされているのではないかと想像しますが、お気に入りのソフトをしゃぶり尽くしているパワーユーザーの方にはオススメできません。


機能は普通。デザイン、設置性にお金を出せる方に

 壁掛けするユーザーは少数派だとは思うけれども、壁掛け時のデザイン性は結構高いかと。。プレーヤーとしてもフツーに使えるし、パーソナルユース用の機能も結構充実してます。デザインは好みの問題ではあるけれども、スクウェアな基調のなかに、シースルー窓のラウンドがアクセントとなって、シャープなのにまろみのあるものに仕上がっていると思います。少なくとも無骨な印象はありません。電源を落とした後でもディスクを確認できるのもメリットかと。壁に掛けなくても、例えば書棚の横に掛けたりとか、垂直な平面があるならば一考の価値はあると思います。

 プレーヤーとしては、至って普通のつくり。機能に対して価格は少々お高く、もう少し出せば安くなってきたプログレッシブプレーヤーが買えるレベル。この価格差は壁掛け/縦置きが可能な設置性と、「デザイン料」と受け取ると納得しやすいです。うん、自分は気に入りましたよ、このデザイン。利便性を考えると縦置き使用がメインになるだろうけど、気分によっては「にせ壁掛け」でも使ってみたいと思ってます。

 けど、壁掛けにしてみると、シャープなプレーヤーと汚い部屋との対比がくっきり。いいかげん部屋を片付けないといけないね、自分……。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/sd/
□製品情報
http://www.sony.co.jp/sd/products/Models/Library/DVP-F21.html
□関連記事
【8月28日】ソニー、スロットイン方式のB5サイズDVDプレーヤー
-ディスクが見えるシースルーデザインを採用
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010828/sony.htm

(2001年10月23日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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