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新発売のAV機器をいち早く紹介


MP3対応の据え置き型20GB HDDレコーダ
オンキヨー「MB-S1」
11月下旬発売
標準価格/110,000円(実勢価格88,000円前後)



■ 外観

正面
背面
天面


■ 主な特徴

見た目はちょっと薄めのオーディオ機器といった印象

 CDプレーヤーと20GBのHDDを組み合わせたHDDレコーダー。コントロール系のデジタル基板とオーディオ信号用基板を分離するなど、オーディオ機器らしい音質への配慮がなされている。

 HDDへはPCM、またはMP3フォーマットで記録でき、MP3は192/128/96kbpsの3種類の圧縮率を選択可能。96kbps時には、CD約400枚分、約450時間分録音できる。MP3のエンコーダ/デコーダには、独Fraunhofer IISのものを採用している。

 CDからHDDへの録音速度は、PCM時が5倍速。MP3はどのビットレートでも等速になる。また、CD-R/RWに記録した音楽データやMP3ファイルも再生、HDDへのコピーともに可能となっている。

【HDDへの録音時間と録音速度】
フォーマットビットレート最大録音時間録音速度
PCM約35時間5倍速
MP3192kbps約230時間等速
128kbps約350時間
96kbps約450時間

 HDDに記録した楽曲には、トラック名(曲名)、アーティスト名、ジャンルを設定できる。また、本体にタイマーを内蔵しているため、録音した日時も自動的に記録される。これらをキーに、HDD内の曲をソートすることも可能。

 また、パソコンのMP3再生ソフトと同様、HDD内の楽曲からお気に入りだけを選んでつくる「プレイリスト」機能も搭載している。曲の再生中、ボタン1つでプレイリストに加えることも可能。

USB端子を正面左下に備える。トレイ下のロゴはIISのもの CDトレイ 正面左のコントロール部。マルチノブは押し込むことが可能
入出力パネル。デジタル出力端子はHDDの再生音を出力できない リモコン下部にはジャンル入力用のボタンが並ぶ 樹脂とゴムを組み合わせたインシュレータ

 文字の入力は、本体のマルチジョグ、あるいはリモコンで行なう。リモコンでの入力は一般的な携帯電話と同じ方式。入力できるのは英数字のみで、録音元のCDにCD TEXTがあった場合は、曲名などを自動で登録する。また、リモコンにはジャンル名入力用のダイレクトボタンも備えている。

 本体の再生、停止など主要な操作ボタンにはLEDを内蔵。オレンジ(CD)または、緑(HDD)に点灯する。最も大きいマルチジョグはメニュー選択などに使用し、押し込むことで下の階層へ進むことができる。

 背面に光デジタル出力端子と同軸デジタル出力端子を搭載するが、HDDからのデジタル出力は一切行なえない。これは著作権保護のSCMS(Serial Copy Management System)に対応したためで、HDDから外部への出力はアナログのみとなっている。CDプレーヤーの再生時のみデジタル出力が可能になる。アナログ出力端子はRCAピン端子を1系統搭載。ヘッドフォン端子はない。入力は光デジタルとアナログを1系統ずつ備える。

HDD再生中の表示。Gはグループを表わす タイマーを搭載し、日時の表示も行なえる

Curry Tunes

 本体前面にUSB端子を搭載し、Windowsマシンとの接続が可能。同梱の転送ソフト「Carry Tunes」を使用し、パソコン内のMP3ファイルをMB-S1に転送することができる。

 ただし「Carry Tunes」の基本機能はMP3の再生と転送リストを作るだけなので、パソコンからMB-S1の楽曲を再生したり、グループやトラックを管理することはできない。Carry Tunesの対応OSは、Windows 98 SE/Me/2000となっている。

【HDD搭載機 主要スペック比較】
 
オンキヨー
MB-S1
パイオニア
X-HD1
ヤマハ
CDR-HD1000
実売価格88,000円前後10万円前後8万円弱
HDD容量20GB6GB20GB
光ドライブCDプレーヤーCDプレーヤーCD-R/RWドライブ
記録形式PCM
MP3
ATRAC3PCM
記録ビットレート192kbps
128kbps
96kbps
132kbps
105kbps
最大記録時間約450時間約110時間約30時間
日本語表示××
CDタイトルデータ×
(約8万件)
×
PC接続
(USB、転送のみ)
××
入力端子光デジタル×1系統
アナログ×1系統
光デジタル/アナログ兼用×1系統光デジタル×1系統
アナログ×1系統
出力端子光デジタル×1系統
同軸デジタル×1系統
アナログ×1系統
アナログ×1系統
サブウーファプリアウト×1系統
ヘッドフォン×1系統
同軸デジタル×1
光デジタル×1
アナログ×1
ヘッドフォン×1系統
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
435×348×81mm135×140×114mm
(本体部)
435×414.5×115.5mm
重量5kg1.2kg
(本体部)
8.3kg


■ 編集部のファーストインプレッション

 アナログ端子から半導体ヘッドフォンアンプに出力し、ソニーのヘッドフォン「MDR-CD900ST」で視聴した。ソースはSACDハイブリッドの「Maria and Maria」(小野誠彦)など各自が用意したものを使用。

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物 欲
ゲージ
■物欲の考証
 個人的には、このジャンルの製品に注目しているところ。もし非圧縮保存+外部DACでフルサイズCDプレーヤー並みの音質を確保できるのなら、パソコン組むより高くても買いたいくらい。まあ、パソコンでも静音マシン+高級オーディオインターフェイス+外部DACなら結構いけそうな気がするのだが……。
 ただし、いまMB-S1を買うかと聞かれるとちょっととまどってしまう。CDR-HD1000もそうだが、音はフルサイズのCDプレーヤーに負け、操作性はパソコンに劣るという自分にとっては中途半端な状態にあるからだ。結局、BGM用と割り切った場合は、音質を我慢しながらのパソコン再生が一番の近道なのかも。
 HDD搭載のフルサイズオーディオ機器といえば、CD-R/RWドライブ搭載のヤマハ「CDR-HD1000」が競合機として思い浮かぶ。両者の特徴と違いは、「CD-R/RWドライブに書き戻せるCDR-HD1000」、「MP3エンコーダを積んで大量保存が可能なMB-S1」、といったところ。実売価格はMB-S1の方が1万円ほど高い。

 最初に箱から出したときは、予想以上の高級感に少したじろいだ。オーディオ機器らしく、前面や側面のパネルはなかなか剛性が高そう。CDR-HD1000と違ってファンがないのも特徴。静音性に気を使ったためだろう。ただし、天板にはスリットが大量に空いており、少し力を加えただけで大きくたわむ。上に物を置くのは控えたほうがいいと思う。

 PCMの音質は、中高域に少し色がついたオーディオ機器っぽい音。軽めで聴きやすく、個人的には好き。ただし、SN比はいまひとつ。「定価10万円以上のフルサイズ機器の音」と考えると、解像度やダイナミックレンジで物足りなさを感じた。もちろん、所有のパソコンで聴くよりはずっと良いのだが。

 一方、驚いたのはMP3の音。192kbps、128kbpsとも、ほとんどPCMとの変化を感じることはなかった。機器そのもののSNの低さもあるのだろうが、十分に実用的だ。192kbpsなら約230時間も入るし、当たり前だがCDチェンジャよりも切り替えは速い。BGM用途としては、とりあえず問題ないのでは。

 一番気になったのは、早送りボタンなどを使って手動で曲を切り替えたとき、時々「ブチッ」というノイズが入ること。貸出機だけの症状かも知れないが、ぜひとも改善して欲しい。それと、CDプレーヤーの作動音が耳につく。トレイの開閉時はともかく、待機中にもガタガタと何かを読み出している。もっとも、HDDにコピーしてしまえばCDトレイを空にしておけるので、実用上それほど問題になることはないだろう。

 次機種が出るなら、CDタイトルデータのHDD搭載を強く希望。「面倒なので曲名は入れない」と思っていたのだが、ソートができると分かったとたん利用したくなった。

orimoto@impress.co.jp

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物 欲
ゲージ
■物欲の考証
 MP3で圧縮して、大量のデータを溜め込むことができるメリットは大きいが、PCと比較するれば操作性は劣る。「どうしてもコンポでMP3を聞きたい」というニーズがなければそれほど必要性を感じることはないだろう。しかし、大量にMP3データを持っているユーザーであれば、そのデータを有効に活用できると思う。
 そこでネックになるのはやはり価格。店頭では7~8万円程度で販売されているが、それだけの価値があるかどうかはユーザーの価値観で判断するしかないだろう。自分はMP3データを大量にもっているものの、そのほとんどは手持ちのCDからリッピングしたもの。それに1枚のCDを比較的長期間聞き込むリスニングスタイルなので、この価格は少々高いものに感じてしまった。
 ヤマハ「CDR-HD1000」と似たコンセプトの製品であるが、ヤマハ製品との違いで、こちらにアドバンテージがあるのはMP3圧縮できる点。音質的には、やはりPCMとは比べ物にならないが、何よりも多くの曲を貯めておけるメリットは大きいだろう。

 とはいえ、プレイリストの編集や参照などはヤマハ製品と同じく少々難解。PCやシリコンプレーヤーでの操作に慣れている身としては直感的には理解しがたい。しかし、押し込み可能なジョグダイヤルなどを装備し、音響機器としての操作方法でプレイリストなどの操作ができるような工夫がされているのは好感が持てる。

 逆に、ヤマハ製品と比較して、デメリットとなっているのはCD-R/RW書き込みに対応していない点だろう。PCからデッキへのファイル転送には対応していても、デッキからPCへの転送に対応していないところも少々物足りない。溜め込んだデータをバックアップする手段がないのは痛い。とはいえ、PCにためたMP3ファイルを活用できるし、PC環境では貧弱になりがちな再生環境も、デッキタイプであればコンポの一部として組み込むことも容易。満足できる環境で再生できると思われる。MP3の音がその再生環境に馴染むかどうかは疑問ではあるが……。

 機器としてみると、高さが81mmと比較的薄型なため、設置の選択肢が広いのが良い。ヘッドフォン端子はついていないが、ステレオRCAやデジタル出力端子が装備されているので問題はないだろう。それよりも気になるのはCDドライブの動作音。本体上面のスリットを覗いてみると、CD部にはPC用CD-ROMドライブと思われる金属製の箱が鎮座している。動作音もPC用のそれと同じく、「フィーン」という回転音が耳につく。HDDの動作音や、ファンノイズなどは小さくて満足できるレベルであるだけに、この点だけは惜しまれる。

fujiwa-y@impress.co.jp

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物 欲
ゲージ
■物欲の考証
 「1日中音楽を聞きたい」。そんな要望に応える製品。全ては、そこに9万円弱を払えるかどうかにかかっていると思う。もちろん、こういった機能は、パソコンでも実現できが、パソコンを使いたくない人にとっては、良い選択になるだろう。
 音質は、オンキヨーの音に仕上がっているので、個人的には好みの音。HDDでの再生時には、ほとんど無音というのもいい。ただ、気軽に聞くためには、ぜひともヘッドフォンアンプとヘッドフォンジャックを搭載してほしかった。

 192kbpsのMP3で約230時間分が録音できるので、BGMのように音楽を流しっぱなしにするのに最適なマシン。もちろん、音質的には同価格帯の単品CDプレーヤーと比べれば差があるが、3万円クラスだといい勝負だと思う。

 便利だと思ったのは、CD-R/RWに書き込んだMP3ファイルを、高速にHDDにコピーできること。今までに作成したMP3入りのCD-Rが無駄にならない。

 ただ、今回試聴した個体の問題かもしれないが、気になったのはCDドライブの動作音。特にCDをマウントするときに、シュルシュルという結構大きな音がする。そのかわり、ヤマハ「CDR-HD1000」と異なり、本体にファンがないため、HDDで再生しているときはほとんど無音。CDは、HDDへの取り込み時だけ使った方がよさそうだ。

 仕様として残念なのは、ヘッドフォン端子がないことと、パソコンとの連携機能が弱いこと。USBでパソコンと接続できて便利だと思ったのだが、できるのはPCからMB-S1への転送のみ。プレイリストの編集や、曲名の入力などがパソコンからできればかなり使い勝手が向上するのだが……。

furukawa@impress.co.jp

【主な仕様】



□オンキヨーのホームページ
http://www.onkyo.co.jp/
□製品情報
http://www3.onkyo.co.jp/product/products.nsf/view/0164E724F34CCD1649256A680007418E
□関連記事
【10月10日】オンキヨー、音楽専用の据え置き型20GB HDDレコーダ
-リニアPCM/MP3での録音/再生に対応
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010606/onkyo.htm
【10月1日】新製品プレビュー:HDDを内蔵したCD-R/RWレコーダ ヤマハ「CDR-HD1000」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20011001/npp16.htm
【10月23日】パイオニア、メモリースティック/HDD内蔵オーディオシステム
―HDD 6GB、ATARC3で最大110時間録音
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20011023/pioneer.htm

(2001年11月29日)


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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