【バックナンバーインデックス】

新発売のAV機器をいち早く紹介


欧州発・i.LINK装備のオーディオ機器
ソニー「LISSA(リサ)」
10月下旬出荷
標準価格/148,000円から



■ CDプレーヤー、アンプ、MDレコーダ

正面(上からCDプレーヤー、アンプ、MDレコーダ)
側面
天面 背面


■ 付属スピーカー「SS-LA500ED」(アクアマリンブルー)

正面 側面
天面 上面


■ 主な特徴

 ヨーロッパ市場向けに開発されたフルサイズのオーディオセットで、国内での取り扱いはソニーグループのECサイト「ソニースタイルドット・コム」のみ。CDプレーヤー「CDP-LSA1」、FM/AMチューナ内蔵アンプ「STR-LSA1」、スピーカー「SS-LA500ED」(ペア)をセットにした「ベーシックセット」(149,800円)と、ベーシックセットにMDレコーダの「MDS-LSA1」を加えた「コンプリートセット」(199,800円)の2種類を選択可能。CDプレーヤー、アンプ、MDレコーダにはそれぞれ専用のリモコンが付属している。

セット名セット内容直販価格
コンプリートセットFM/AMチューナ内蔵アンプ、CDプレーヤー、MDデッキ、スピーカーセット199,800円
ベーシックセットFM/AMチューナ内蔵アンプ、CDプレーヤー、スピーカーセット149,800円

アンプのアナログ入力とi.LINK端子

 最大の特徴は、各機器にi.LINK(S200、4ピン)を2系統づつ搭載すること。各機器間の音声信号をこのi.LINKでやりとりする。通常の音声端子は、アンプのアナログ入力端子(RCA)とヘッドフォン端子以外に搭載されていない。また、i.LINK搭載のパソコンと接続することもでき、パソコンから各機器のコントロールや、パソコン内のMP3/WMA/WAVEの再生、MDへの録音が行なえる。CD、MD、アンプともボディは純度95%のアルミ製で、パールシルバー塗装が施されている。

 CDプレーヤーとアンプ間、MDレコーダとアンプ間では「H.A.T.S.(High quality digital Audio Trasmission)」と呼ぶ、デジタル高音質化機能が働く。これは、入力されたデジタルデータを一時的にバッファに蓄えた後、アナログに変換する機能。これにより「ジッタの影響を受けない高音質再生が可能になる」としている。なお、H.A.T.S.はオフにすることもできる。

CDプレーヤーのトレイ ほぼすべてのボタンが光る アンプのリモコン

 CDプレーヤー「CDP-LSA1」は、CD-R/RWの再生、CD-TEXTの表示に対応。1曲/全曲/A-Bリピート、プログラム再生、ランダム再生も行なえる。また、MDレコーダの「MDS-LSA1」は、MDLPの録音、再生をサポートしている。CDP-LSA1や、i.LINK接続のパソコンとのシンクロ録音が行なえる。録音速度は等速と4倍速で、LP2とLP4時には2倍速となる。

 FM/AMチューナ内蔵アンプ「STR-LSA1」は、実用最大出力50W×2ch(4Ω)、周波数特性7Hz~20kHz(±0.3dB)。サンプリング周波数は、入力が32/44.1/48kHz、出力が44.1kHzをサポートする。スピーカー端子はネジ式を採用。前面にステレオミニジャックタイプのヘッドフォン端子を搭載している。

 プログラムソースの切り替えは、セットのCDプレーヤーとMDデッキ、i.LINK搭載パソコンの3種類。また、付属のリモコンで、CDプレーヤーとMDレコーダの再生、停止、曲送りといった基本操作が行なえる。また、低域(100Hz)、中域(1kHz)、高域(10kHz)のトーンコントロールも可能。3バンドイコライザに加え、パラメトリックイコライザも搭載し、調整した状態を5つまで本体内に保存できる。

 同梱のスピーカーは、10月10日発売の「SS-LA500ED」。単体でも入手可能な製品で、ダイヤモンドホワイト、アメジストパープル、アクアマリンブルー、トパーズオレンジ、パールブラックの5色から選択できる。

 110mm径ウーファと25mm径ツィータの2way2スピーカー構成で、インピーダンスは8Ω、再生周波数帯域は58Hz~70kHz。キャビネットにマグネシウムダイキャスト、スピーカーフレームにアルミダイキャストを採用し、曲面を取り入れたキャビネットデザインにより「定在波を抑制する」としている。

Degital Link ManagerをCDプレーヤー、アンプ、MDレコーダに切り替えたところ

PCからMDへの転送画面 3バンドEQ パラメトリックEQ

 同梱のソフト「Digital Link Manager for LISSA」は、各機器のコントロールなどをパソコンから行なうソフト。MDのタイトル記入やトラックの入れ替え、CDプレーヤーのプレイリスト作成、パラメトリックEQの設定、チューナの局名入力なども行なえる。さらに、パソコン内のMP3/WMA/WAVEをLISSAで再生することもでき、再生可能な音楽ファイルをMDに転送することも可能。対応OSは、Windows 98 SE/Me/2000。

 なお、CDプレーヤー、アンプ、MDレコーダの単品発売は予定されていない。欧州でもコンプリーセット相当のパッケージ+サブウーファの構成のみが販売されている。また、同セットとi.LINK接続可能な機器は、現在のところ上記の3モデルとi.LINK搭載PCのみなっている。


■ 編集部のファーストインプレッション

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物 欲
ゲージ
■物欲の考証
 予想を上回る音でMP3を聞けたのが今回の収穫。今までMP3を馬鹿にしてごめんなさい。個人的にはアンプだけ欲しいのですが、残念ながらセット販売のみ。また、他の装置とつなげないというのは、セパレートオーディオ機器としては非常にもったいない。寝室などのセカンドシステムにも良いと思いますが、私はまずメインシステムを充実させないと。
 パソコンとつなげるフルサイズのオーディオセット。これまでMDレコーダなど単体では実現していたが、トータルでコントロールできるところがi.LINK採用システムらしくて新しい。デザインも美しく、高級感も高い。

 オーディオファンとしては、ジッタをなくすという「H.A.T.S.」が気になるところ。確かにオンにすると輪郭がはっきりし、弱音が良く聞こえるようになる。実をいうと、CD再生の音はそれほど高音質とは感じられなかった。しかし、パソコンから再生したMP3ファイル(192kbps)の音は、所有しているUSB光変換ユニットで出力した音よりも格段に上。密度とスピード感がまるで別物のようだった。

 以上がヘッドフォン(MDR-CD900ST)でのモニタ結果。付属のスピーカーで聞くと、たちまちゼネラルオーディオ的なおとなしい音になる。とはいえ、変な癖もなく、解像感は高いほうだ。スピーカー端子は一般的なネジ式なので、気に入らなければ好みの音質のスピーカーに取り替えることもできる。

 ほかにも、MDの編集ができたり、MDへの音楽ファイルの録音ができたりと、パソコンとの親和性は高い。ただし、同梱の専用ソフトはプレイリストのソート(アーティストごと、ジャンルごとなど)ができないなど、不便な点も多い。パソコンからはオーディオデバイスとして認識されるので、同梱のソフトはコントロールだけに利用し、音楽再生には他のプレーヤーソフトを使うのも良いだろう。

 気になるのはやっぱり価格だろう。CDプレーヤー、MDレコーダ、スピーカーは普通なので、セットのみ20万円はちょっと高いと思う。出力端子というものがスピーカーとヘッドフォン以外一切ないので、他の機器との組み合わせも楽しめない。あとはこの統一のとれたデザインにどれだけ価値を見出せるかだろう。おしゃれな部屋に住んでいる人向き。

orimoto@impress.co.jp

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物 欲
ゲージ
■物欲の考証
 デザインが気に入って、PCとの連携に興味があるのならば買い。ただし、価格に納得できるならば。

 システムコンポとしては標準的な価格設定だが、音の印象はその価格では少々物足りないようにも感じた。

 最初に感じたのはサイズの大きさ。写真で見た印象よりも大きかった。とはいえ、幅430mmの一般的なデッキサイズ。4角がカットされた8角形に見えるスタイルで、実際の大きさよりも小さく見えるのだろう。設置場所にもよるが、機器を設置したことで部屋に圧迫感を与えることは少ないと思う。機器間の配線もi.LINKケーブル1本でつなぐだけ。インテリアとして設置してもごちゃごちゃとした配線でバックパネルに悩むことは少ないだろう。。

 なんといってもi.LINKでPCと接続することでPC側から制御できるメリットが大きいだろう。MDのタイトル編集などはPCで操作したほうが圧倒的に便利。もちろん、リモコンでの操作も可能。転送速度はS200だが、音が途切れたりすることはなかった。

 デザインについては好みの問題だろうが、個人的には悪くないと思う。スモーク処理されたシルバーの筐体はミラーのようにぎらぎらした感じはなく、落ち着いた印象。濃紺のストライプもアクセントになっていると思う。機器の高さも70mmで統一されているので、縦にスタックしても横に並べてもバランスがいい。

 セットになっているスピーカーは、金属キャビネットを採用。その特性なのだろうか、どうも硬い音に聴こえる。機器本来の音というよりも、金属筐体のスピーカーの音の影響が感じられるが、セット商品だけにスピーカーは標準で付いてきてしまう。スピーカーのデザインもスクウェアを廃したソニー独特のスタイルで、購入時には色も選択できるなどデザインにはこだわっているが、個人的に馴染めない音だった。

fujiwa-y@impress.co.jp

69
物 欲
ゲージ
■物欲の考証
 パソコンと接続して、パソコンでコントロールしながら、BGMとして流すという使い方がカッコイイのでは。音質も、そういった用途では十分なレベルにある。

 ただ、やはり、価格が問題だろう。もちろん、インテリアとしての価値を認めれば、それほど高くはないのかもしれないが。

 ソニーのオーディオ機器とパソコンをつなぐ規格といえば「Net MD」があるが、この「LISSA」ではi.LINKを採用している。元々はヨーロッパ市場向けの製品だが、パソコンのi.LINK搭載率が圧倒的に高い日本でこそ、活用できる製品だと思う。

 また、CDやMD、アンプ間もi.LINKで接続することで、配線がかなり簡単になる。入力と出力が1本になり、「入力端子」、「出力端子」という概念がなくなった。機器間をi.LINKケーブル1本で接続すればいいので、接続の変更も簡単だ。

 さらに、i.LINKを使った目玉機能の1つは、パソコンと接続して制御ができること。MDのタイトル入力はもとより、イコライザの調節などほとんどの操作をパソコンから操作できる。実際に使ってみて非常に便利だと思ったのだが、専用ソフト画面が横300ドットと小さく、サイズも変更できないのが気になった。高解像度のディスプレイを使っていると、かなり見づらいだろう。

 また、商品のコンセプトということなのか、i.LINK以外の入出力端子が極端に少ない。出力は、スピーカーとヘッドホン、入力はアナログRCA(ステレオ)のみ。このおかげで、背面がとてもすっきりしている。何かをつないでシステムアップを考えるよりは、「LISSA」の中だけで完結して楽しんだ方がよさそうだ。もちろん、i.LINKで接続できる「LISSA」用CD-R/RWレコーダなどが発売される可能性はあるが……。

 音質は、あまり飾らない素直な印象。セットのスピーカー「SS-LA500ED」では、高いところに浮く感じがして、イコライザで低音を強調すると落ち着いた。ただ、低音をバンバンならし、「ドンシャリ」やりたい人には、それでも不足に思うだろう。

 ヘッドホンで聞いてもその印象はかわらず、よりおとなしく繊細な印象。特にパソコンで「MP3 Audio Magic XPサラウンド」使用して再生したMP3ファイルは、今までMP3で聞いたことのない解像感があった。もちろん、MP3 Audio Magic XPサラウンドの音域補間技術「Supreme 2」の力も大きいのだが、その力をちゃんと再生できているともいえる。

furukawa@impress.co.jp

【主な仕様】

「CDP-LSA1(CDプレーヤー)」

「MDS-LSA1(MDデッキプレーヤー)」

「STR-LSA1(FM/AMチューナ内蔵アンプ)」



□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ソニースタイルドットコム・ジャパンのホームページ
http://www.jp.sonystyle.com/default.html
□製品情報
http://www.jp.sonystyle.com/Style-d/Lissa/index.html
□関連記事
【10月1日】ソニースタイル、i.LINK接続のオーディオシステム「LISSA」
―欧州先行発売製品を、ソニースタイルで独占販売
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20011001/sony.htm
【8月21日】ソニー、70kHzまでの高域再生が可能なスピーカーシステム
―ラウンドフォルム採用で、5色をラインナップ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010821/sony.htm

(2001年12月21日)


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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