気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】


第43回:これが8cm専用プレーヤーの本命か?
8cm専用MP3 CDプレーヤー「アイワ XP-Z3」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

微妙な位置付けの「8cm専用」プレーヤー

 「8cm専用でコンパクト」。8cm専用プレーヤーが登場した当初は、こんな言葉が印象に残ってました。けど、実際の製品は、8cm専用なのにさほどコンパクトな印象はなく、漢字表示に対応した液晶リモコンが付いた「RioVolt SP250」が登場した今では、リモコンなしという潔さも少々物足りなさを感じてしまいます。

 12cm CD-Rがコンビニや100円ショップで売られている昨今では、入手性もイマイチの8cmメディアの利点はコンパクトなことだけ。最近じゃ「マキシシングル」が多くて8cm CD-DAの供給も減ってることですしねぇ。「RioVolt」で事が足りるといえば足りるのです。

 けれども、「RioVolt」の欠点のひとつは、やはり「デカイ」こと。カバンに入れればさほど気にはならないけど、そのカバンの容量めいっぱいに荷物を詰めたときはもう大変。荷物の隙間に「RioVolt」を入れるだけでもひと苦労ですわ。

 しかし。やってくれましたアイワさん。12cmメディア全盛のこの時代に「8cm専用でコンパクト」な製品を出してくれたのです。それが「XP-Z3」でございます。


丸みを帯びてコンパクト性を強調

 ということで、買ってきました「XP-Z3」。標準価格は23,000円だけれども、秋葉原の店頭価格は17,899円でした。

 では同梱品を改めるとしましょうか。内容はプレーヤー本体、乾電池ボックス、液晶リモコン、ステレオイヤフォン、充電スタンド、ガム型ニッケル水素充電池×2本、ACアダプタ、キャリングポーチ、そしてブランク8cm CD-Rメディア×1という構成。

 そう、8cm専用プレーヤーに初めて液晶リモコンがついたのでありますよ。残念ながら漢字表示には対応していないものの、全角/半角の英語、数字、カタカナの表示に対応。もちろんID3タグ情報の表示にも対応。

 そして、注目すべきは「充電スタンド」でしょう。充電池対応のプレーヤーはあったけれども、本体充電が可能な8cm専用プレーヤーは初めてのはず。しかもMDではスタンダードになっている「充電スタンド」が付いているのは、MP3対応CDプレーヤーでも初ですよ。まあ、使える機器なのかどうかは後ほど検証することにしますが。

 本体サイズは、90×104×28mm(幅×奥行き×高さ)とスペック上ではさほど小さくは感じないけれども、実際に見てみるとスペック以上にコンパクト。ホントに8cm CDをひと回り大きくしただけに感じます。その秘密は、やはり丸みを帯びたデザインにあるかと。それを実現するためにガム型充電池を採用することでスペースを確保しているのだと思います。とはいえ、厚みは28mmと、最近のポータブルCDプレーヤーに比べれば少々厚めですが、サイズがコンパクトなのでさほど気にはなりません。

 電池ボックスは、単3型乾電池×2本を収納するタイプで、本体に装着するとかなり大きくなってしまいます。むむ、これはコンパクト性をかなり犠牲にするからあまり使いたくないなぁ。充電池でどこまで使えるかがこのプレーヤーのキモになりそう。

 8cmのブランクメディアが同梱してるのは、まあ、まだ気楽に入手するのが難しいからでしょう。確かにPC専門店か、ある程度の規模の店でないと扱ってる店は少ないですからなぁ。

 それでは、充電池を挿入して(ちなみにソニー製。ううむ、グループ企業)、充電スタンドに設置。ふむ、スタンドへの設置は少々コツがいるものの、さほど手間ではありませんな。2~3回試せば慣れてしまいそう。スペースも取らないし、なによりコードを探さなくていいのが良いです。MDでスタンダードになったのも納得ですわ。

同梱品一覧。マニュアルはCD-ROMにPDF収録 オープン状態。メディアをひと回り大きくしたコンパクトサイズ 本体底面の充電池ボックス。ガム型充電池を採用してスペースを確保

充電スタンド。端子が4つあるので設置には多少コツがいる 乾電池ボックスを装着した状態。……不恰好かも


リモコンの使い勝手は最高レベル

 その間に英語、カタカナでID3タグ情報を編集したMP3ファイルを選んでメディアを焼き焼きしながら、マニュアルの確認、っと。特に注目すべきはやっぱリモコンかな。

 リモコンは上段に演奏中のアルバム番号を、下段にトラック情報を表示する、という構成。上段は数字情報のみなのね。で、下段のトラック情報は、デフォルトではトラック番号と再生時間を表示。リモコンの「DISPLAY」ボタンを押すことでトラック情報の表示が切り替わり、アルバム名、トラック名、と切り替えられるわけですね。

 ロード時間は本体底面の「QUICK」、「NORMAL」のスイッチを切り替えることで短縮が可能だとか。「QUICK」を選択するとアルバム数だけを読み込むことでロード時間を短縮。へえ、これも新機軸。実際の効果のほどが楽しみです。

 そのほかにも、プログラム演奏や、10曲スキップ、レジューム機能など、8cm専用プレーヤーにはなかった機能が満載。いやいや、さすが有名メーカー。これまでの製品とは力の入れ方が違います。

 で、充電が終わったみたいです。満充電までは3時間ほどのご様子。では、焼いたメディアを挿入してみますか。まずは「NORMAL」で試してみると、ロードまでの時間は約1分。な、長い……。これは「QUICK」でどこまで短縮されるか見ものだわ。

 で「QUICK」に切り替えてみると、ロード時間は約40秒に短縮されました。ううむ、けど、「QUICK」だとレジュームやプログラム再生が機能しないんだよね。ここは20秒のブランクをガマンして「NORMAL」にしますか。

 「NORMAL」に再度切り替えて、メディアを認識させてみたところ、ファイルソートはファイルネーム順。アルバム番号もファイルネームの順番で割り振られます。ま、順当なところかと。液晶はバックライトもついていて、夜でも簡単に視認できます。

 当初はあまり注目していなかったけれども、特に使いやすいと感じたのはカーソルキー風の「十字キー」。実はコレ、上下でフォルダの切り替えが可能なのです。

 「RioVolt SP250」でも、リモコンからフォルダの切り替えは可能だったけれども、リモコンの操作は少々わかりにくく、「直感的な操作感」とは言いにくかったのであります。しかし、「XP-Z3」では直感的な操作が可能。素晴らしい、この操作感はトップクラスですよ。ただ、、フォルダの階層表示ができなかったり、表示の設定ができなかったりするところは「RioVolt」には負けますが。もちろん、漢字表示もね。

 アイワのサイトを見てみると、このリモコンはポータブルMDの新製品「AM-HX400」「AM-HX300」と同じ形状のものを採用しているみたい。なるほど、MDで培ったノウハウがこのプレーヤーにも投入されているわけですな。まあ、漢字表示に対応していないのもMDの影響を感じるのですが。

 ロードされた情報は、停止しただけでは失われず、停止ボタンを2回押して電源をOFFにしない限り保持されているので、話し掛けられて停止してもすぐに再生も可能。ロード時間は長いものの、一度ロードしてしまえばさほど気にはなりません。プログラム機能は24曲まで対応しているので、「新幹線で東京から大阪まで2時間」というユースなんかにも便利そう。機能はなかなか充実しているし、「十字キー」の使い勝手はとても良い。いやいや、よくぞ8cm専用プレーヤーでここまでの製品を作ってくれました。

液晶リモコン。「十字キー」の操作性が快適 デフォルトの表示。トラック数、再生時間を表示

「DISPLAY」を1回押すとアルバム名の表示に切り替え トラック名の表示。スクロールでアーティスト名まで表示される


音も普通で、再生時間も長時間

 いやいや、リモコンは素晴らしいです。機能もほぼ満足。けれども、ちょっと気になる点もございます。「RioVolt」の感覚でパケットライティングしたメディアを入れてみると認識せず。マニュアルを確認してみると、なんと非対応だったのですね、これが。

 メディアに追記可能なパケットライティングで気に入った曲だけを追加していくユースを「RioVolt」で楽しんでいただけに、ディスクアットワンス、トラックアットワンスしか対応してないのは少々痛かったです。ま、トラックアットワンスならさほど手間は感じませんが、それでもパケットライトの利便性には及びませんからねぇ。

 音飛びは1回のみ確認。このプレーヤーもあらかじめメモリにキャッシュして、一定時間ディスクの回転を止めるタイプの再生方式。キャッシュ時間は1分30秒なのだけれども、音飛びは2分程度の個所で起こったのでリードミスとは考えにくいです。が、原因は不明。その後の再現もないので、特に問題はないと思われます。

 しかし、それ以外に特に気になることはございません。音質は、「MP3の音を忠実に」というレベル。ただし、少々ヒスっぽさが耳に残るので、30分に1回はイヤフォンを外さないと耳が疲れてしまいます。

 いつものとおりクラシックのコンピアルバム「The Best Classical Album in the World ...Ever!」を中心にリスニングしましたが、「ワルキューレの騎行」のトランペットの高音域とオーボエの低音域なども混じることなく聞き分けられます。もちろん、音域がまとまった印象はぬぐえませんが。MP3だし。

 低音強調の「DSL」は確かに低音を補強して迫力を増してくれるものの、濁りを感じてしまいます。「DSL」ONで「市民のためのファンファーレ」を聞いていたときに、トランペット、ホルンのパートではあまり影響を感じなかったけれども、ティンパニー×1の音でも濁ってしまい、あまり良い感触とは言いがたかったです。ううむ、「DSL」はOFFがデフォですな。

 2時間ほどリスニングをして、その後はリピートを設定して連続再生時間のテスト。結果は約7.5時間と、カタログスペックの8時間とほぼ同じでありました。うむ、なかなか優秀じゃありませんか。使えるッスよ、このプレーヤーは。


現時点では8cm専用プレーヤーの決定版

 え~、まずは不満点から。乾電池ケースが大きいので、乾電池でのユースには向いてません。一応使ってはみましたが、デカく、不恰好になる故、今後は使用しないことに超決定いたしました。あとは、ロード時間が長いことと、リモコンが漢字表示に対応していないことかな。けれども、これは「特に挙げるとすれば」というレベル。不満点よりも満足できる点の方が多いです。

 充電スタンドを使うことで充電も簡単。これなら本体に乾電池の収納スペースが無くても十分に使っていけます。充電池での再生時間も約7.5時間とほぼカタログスペックどおり。2~3日に1回の充電で十分に使っていける再生時間ですな。ガム型ニッケル水素充電池を使うことで本体の小型化を図りつつ、利便性もバッチリ確保していると思います。

 液晶リモコンは漢字表示ができない事が残念ではあるけれども、最近のJ-POPは英語タイトルも多いことだし、考えてみればMDもカタカナ表示がメインな事を考えれば妥当な選択と言うところでしょう。それよりも「十字キー」を始めとするキー操作のやりやすさを高く評価したいです。フォルダ指定や各種設定のやりやすさは「RioVolt SP250」のリモコンより格段に上。ああ、これで漢字表示ができれば……(以降、無限ループ)。

 ……それはそれとして。なによりもコンパクトなのがよろしい。これならカバンのちょっとした隙間にも押し込むことが可能。贅沢言えばもう少し薄型にして欲しいところですが、まあ、これは今後の課題ということで。まだチップ点数などが多くて無理なんでしょうなぁ。レジューム機能も便利だし、そこは目をつぶることにします。

 ともあれ、現時点の8cm専用プレーヤーの中ではピカイチのデキ。つーか、他に選択肢は無いでしょう。小型なボディに充実の機能を詰め込んだナイスなプレーヤー。お値段も実売で18,000円程度とそこそこお安め。いや、いっすよ、このプレーヤーは。そうそう、忘れてた。あとはパケットライティングに対応してくれれば完璧ですね。次回の製品ではぜひ、ということで。

□アイワのホームページ
http://www.aiwa.co.jp/
□製品情報
http://www.aiwa.co.jp/products/portable/2001/pcd/xp-z3.html
□関連記事
【12月3日】アイワ、8cm CD-R/RW専用のMP3 CDプレーヤー
―ID3タグ表示可能なリモコンと、充電スタンドが付属
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20011203/aiwa.htm

(2001年12月18日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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