第55回 魁!藤原流アイテム道
 

気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】


第55回:ケンウッド製のミニコンポがこの価格?
ケンウッド/ソーテックの協業製品「ソーテック VH-7PC」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

ミニコンポの代替え製品はないものか?

 最近、愛用していたミニコンポ「オンキヨー CR-185」の調子がよろしくないのです。アンプとしては機能しているんですが、CDを再生すると、ちょっとでもキズのあるCDはガンガンと音飛びしやがるんですわ。

 今でこそ屋外用のリスニングはMP3中心ですが、昔はポータブルCDプレーヤーでCDから直接聞いていたもの。なので昔入手したディスクは基本的にキズだらけ。新品のCDもしばらく聞くうちにキズが付いて音飛びが……。

 まあ、ありていに言えばそろそろ寿命なんですな、このミニコンポ。「次はDVDプレーヤー一体型AVアンプなんかよさげ」と思ってるんですが、「その前にテレビを大画面のものに新調しないとな~」とかいう事情もあり、限られた予算の中ではどうも踏ん切りが付きかねております。

 それ以前に部屋を片付けないとどっちも導入できないんで、それも悩みのタネでもあるのですが……。かといって音飛びをガマンしてこのまま使用するのも不便。なにか繋ぎになるシステムが欲しいと思っていたのであります。

 そんなニーズに応えてくれそうなミニコンポが、昨年末から一部で話題になっている様子。もともとは4万円程度と、標準的なミニコンポシステムの価格の製品ながら、秋葉原では店頭価格が1万円ちょっとのリーズナブルプライスに大幅値下げされているのだとか。

 それがソーテックの「VH-7PC」であります。この製品、もともとは同社のPC「AFiNA AV」シリーズに同梱のミニコンポで、単品販売はされていなかったのですが、2001年1月には直販価格39,800円で単品販売を開始。その後に19,800円に値下げされ、今年の1月からはローソンで14,800円という低価格で販売されていたのですわ。

 2000年11月の「AFiNA」の発売当初はよくCMも見かけたものですが、売り上げとしてはイマイチだったようで、現在はこの価格で提供されている様子。なんというか、まあ、「訳アリ商品」な臭いが漂いますが、製造メーカーはAV機器メーカーのケンウッド。「まあ、この価格ならば繋ぎとして購入してもいいかな」と思った次第であります。


10,800円の格安ミニコンポありました

 念のため、購入前にソーテックのサイトで仕様なんぞを確認してみますかね。ふむふむ同社製PCのオプション品という扱いで、縦置き/横置きの設置が可能で、USBオーディオデバイスとしても機能。でもって、ローディング方式はスロットイン。まだまだ対応プレーヤーの少ないHDCDも再生可能で、アンプ部は小音量時にA級動作と。どうもほかのミニコンポとは一味違う機能が多い様子。出力も20W×2で十分だし、コンパクトなボディは設置性も高そう。なかなか魅力的ではありませんか?

 ほうほう、おまけに圧縮エンコード時にオミットされる高音域を独自に補完するケンウッドの技術「Supreme(サプリーム)」を搭載した、「GEOBIT/SOUND by KENWOOD」なるソフトも付属するですか? あ~、でも対応OSがWindows Meのみですわ。しかも対応PCがソーテック製品に限られてる。自宅にあるノートPCはWindows XP、デスクトップPCはWindows 2000で動いてるのでちょっと使用できないかも。

 もともとPCにバンドルされていた製品だけに、PCとの親和性も高いみたい。とりあえず我が家は「オンキヨー CR-185」のリプレースと考えているのでラックに設置するつもりですが、座椅子に座って使用することの多いノートPC用のオーディオデバイスとしても活用できそう。

 さて、問題はどこで購入するか。ローソンでの販売は1月中で終了しているので除くとして、ソーテックの直販サイトでは19,800円で販売。しかし、秋葉原の某店では10,800円で販売されているという情報が。ま、普通なら安いほうを選びますわな。

 ということで、やってきました秋葉原。せまい店内の一角で、ブツをデモっておりました。ふむふむ、レシーバもコンパクトで、スピーカーも密度の高そうなMDF。ターミナルなんかバナナプラグ対応のネジ式ですぜ、ミニコンポなのに。関心の鳴りもかなりいい感じですよ。もちろんお値段は情報通りの10,800円。よし、決定。んじゃ、こちらのブツをくださいな。

 ……と注文してから出てきた箱は、両手に余る巨大さ。大体500×300×300mmってところですか。しかも梱包重量は約15kg。とてもお持ち帰りはできませんでした。配送でお願いします~。配送料1,200円ナリ。消費税込み価格で合計すると12,600円か。それでも安いなぁ。


コンパクトで設置性の高いボディ

 で、翌々日。ブツがようやく我が家にやってきました。宅配業者さんから手渡された箱はやはり重量感たっぷり。ハンドキャリーはかなり辛いと思われます。では、開梱して中身を改めるとしますかね。

 同梱品は、まずアンプ・CDプレーヤー・AM/FMチューナ一体型のレシーバ本体と、スピーカー×2本、リモコンと、リモコン用単3型乾電池×2本。スピーカー関連の付属品は、2mのスピーカーケーブル×2本と、スピーカー用のクッション×8個。そのほかはAMループアンテナ、FMアンテナケーブル、FMアンテナ用の同軸変換コネクタ、スタック設置用のスペーサー、本体にあらかじめ取り付けられた横置きスタンドと交換するための前足用スペーサー×2個と、作業用六角レンチ、そしてUSBケーブル×1本という構成。

 そういえばCD-ROMが入ってませんね。「GEOBIT/SOUND by KENWOOD」が同梱しているかと思っていたのですが、マニュアルの同梱品の解説にも記述はナシ。ふむ、あのソフトはソーテック直販だけのものみたい。まあ、同社製PCのオプションとして販売されているので当然といえば当然かも。でも、USBオーディオデバイスとしての使用はOSの標準ドライバでなんとかなるでしょ。

 改めて本体を確認するとしますか。入出力端子は、ステレオRCA入出力×各2系統、光出力×1系統、AM/FMアンテナ入力端子×各1系統、スピーカーターミナル×1系統、USB端子×1系統。

 そのほかにMDデッキとシステム接続するための「システムコントロール」端子がありますが、残念ながら専用のMDデッキ「DM-VH7PC」は現在ソーテックの直販サイトでも完売。これから新規に入手するのは難しいかと。

 レシーバ本体の外形寸法は237×303×96mm(幅×奥行き×高さ、横置き時)、重量4.5kg。コンパクトな割には重量感があり、音質にも期待できそう(放熱は心配ですが)。スピーカーの外形寸法は、150×277×275mm(幅×奥行き×高さ、1本)、重量4kg(1本)。奥行きが多少長いですが、テーブルトップの設置も可能なコンパクトなシステムに仕上がっているかと。そういえば元来はPCとのシステムというコンセプトの製品だっただけに、デスクトップへの設置にも問題がないようです。

 ふむ、とりあえず外形を確認する限り、かなり普通のミニコンポな感じですが、なによりも驚きなのが10,800円という購入価格。う~ん、この価格でこのレベルのシステムが手に入るとは。でも、モノのデキが良くなければ意味ないよね。では、接続して音を出してみましょう。

本体前面。なかなか個性的なフェイスデザイン 本体背面。ファンも付いてますがノイズは無視できるレベル 付属品一覧。CD-ROMは同梱しませんでした


音質はかなりイイ感じ

 ネジを回してスピーカーケーブルを接続して、電源コードを接続。ラックに横置き設置して、電源ONっと。手持ちをCDを挿入部に入れると、スルスルと挿入され、問題なく認識。スロットイン機構の動作も問題ありません。

 最初は「スロットインだと8cmCDが使えない」とあきらめていたけれども、8cm CDもアダプタなしでスルスルと挿入され、問題なく再生。うむ、素晴らしい。ちなみに、CD-DAを記録したCD-Rの再生も特に問題ナシ。ただし、CD-RWは認識してくれませんでした。

 クラシックのコンピアルバム「クラシックの殿堂」なんぞを聞いてみましたが、いやはや、かなりイイ音じゃないですか。楽器のセパレーションも感じられるし、弦楽器、管楽器それぞれの特徴も再現できていると思います。

 多少の濁りはありますが、輪郭はシャープと表現してよろしいかと。付属のスピーカーケーブルがちょっとお安め感漂うので、ケーブルを変えればもっと良くなるかも。う~ん、結構な実力派ですよ、これは。

 スピーカーは11cmウーファ、2.5cm凹型ツイータを採用した2wayバスレフタイプ。バスレフポートが前面についているためか、サイズから考えると低音の迫力もそこそこで、それでいて中域、高域もよく表現されているスピーカーだと思います。そして、デザインもよろしい。紺色のメインボディと、木目の見える前面フェイスとのバランスが良く、さらにウーファ、ツイータ、バスレフポートが良いアクセントになってます。

 小音量時には自動で純A級動作。80ステップ中49までは純A級ですから、壁の薄い我が家ではおそらく純A級動作で全て事が足りるでしょう。A級/AB級の手動切り替えはできませんが、動作の状況は本体のディスプレイで確認可能です。

 で、その音質はというと、ふむふむ、音の輪郭がより鮮鋭になり、さらに質感を足した、とでも申しましょうか。シャープながら(ある程度の)迫力がある大ボリューム時とは違い、しっとりと聞かせるような音質だと思います。小音量ならスピーカーから音を出してもさほど気にならないので、BGMにするのもよろしいかと。

 でも、本体にファンが付いてるんで、静かな環境での小音量時には多少ファンノイズが気になりました。まあ、このコンパクトなボディで純A級動作させてるから、廃熱のためには必要なんでしょうがねぇ。とはいえ、ノイズは1mも離れればBGMに紛れてしまう程度。それほど気にはなりません。

 ディスプレイの表示はCD-TEXT対応。縦/横表示の切り替えは自動です。ディスプレイ部は正方形なので、横置き時/縦置き時の表示は全く同じ。違和感なく使えます。ただ、ディスプレイ部はかなり小さく、1mも離れると文字の認識は困難。デスクトップに配置するのが前提になった設計ですね。

スピーカー前面。サランネットを付けた状態 サランネットを外した状態。ツイータ、ウーファ、バスレフポートがある スピーカー背面。ターミナルはこのクラスには珍しくバナナプラグ対応のネジ式

横置き時のディスプレイ表示。縦/横の表示は全く同じ CD再生中はディスク回転を表わすアニメで再生状態を表示 外部入力時などはアナログ式時計のアイコンも表示される


操作性、USBスピーカー機能も上々

 本体の操作部は、再生/一時停止、停止、+/-スキップ、早送り/巻き戻しのCD関連の基本操作ボタンと、AM/FMを切り替える「band」、デモモードのON/OFF、チューニング方式を切り替える「auto/mono,demo」、インプットソースを切り替える「input」、設定メニューに入る「mode」という構成。

 リモコンにはこれらのボタンに10キーや、トーンコントロール、ランダム、リピートなどの再生モードの切り替え等のボタンを追加してフルコントロールできるようになってますが、本体ボタンだけでも満足の行く操作が可能です。本体のボタン、端子の配置に文句をつけるとすれば、縦置き時にヘッドフォン端子が最上部に来てしまい、ラックの高い位置への設置だと使いづらいことくらいでしょうか? 逆にテーブルトップでは使いやすいと思いますが、ラックに設置した自分には使いづらいため、横置きで使用することになりますな。

 さらに、チューナ設定は都道府県を選択することでオートチューニングを行なってくれる機能アリ。セッティングの手間もわずかですみます。

 もちろん、リモコンでの操作にも問題ナシ。受光範囲も+/-20度程度と結構広く、あえて文句をつければ、10キーとCDの再生/停止ボタンが離れて配置されていることくらいですかね。操作性に関しても非常に実用的なミニコンポです。

 さて、USBオーディオデバイスとしての機能ですが、ドライバはソーテックのサイトでも用意されてないようです。とりあえずWindows 2000のマシンに付属のUSBケーブルで接続。するといつものようにドライバを検索。通常のUSBオーディオデバイスが選択されました。が、不明のデバイスが残ってます。う~ん、これはソーテックのドライバがないとダメっぽいですな。まあ、とりあえずUSBオーディオデバイスは機能するようなので、音を出してみることに。

 インプットソースを「PC USB」に切り替えて、PC上のMP3ソフトから音楽を再生。うむ、普通に音が鳴ってますね。PC用スピーカーにするにも問題ない様子。音質も上々で、少なくともノイズを拾う内蔵音源よりは100倍マシです。ただ、多数のアプリを同時に処理をしながらの再生では所々で音飛びが発生しました。

 しかし、音楽再生ソフトでMP3を再生する程度の負荷では音飛びも発生せず、快適に使用することができます。まあ、実用範囲でしょう。

リモコン。+/-ボリュームが大きく、コントロールしやすい チューニング設定。都道府県を設定することで自動で行なわれる 「PC USB」入力時。標準ドライバで通常のUSBオーディオデバイスとして機能


デフレ時代が実感できるいい製品

 一言で言えば、「結構グレードの高いミニコンポ」だと思います。当初の販売価格39,800円でも納得できる音質、機能ではないかと。

 ローソンでの販売はもう終了してますが、ソーテックの直販ではまだ購入可能。自分が購入した店舗の場合、「GEOBIT/SOUND by KENWOOD」は付属しなかったので、ソフト込みの購入を考えている方はソーテックの直販サイトからお求めになるのが確実かと。ま、多少お高くなりますが、それでも19,800円とかなりのお買い得プライス。十分に安いです。

 うわさに聞くところでは、全国展開している郊外型量販店でも1万円前後の価格で扱っているとのこと。う~ん、改めてその安さを実感します。USB接続してオーディオデバイスとして活用するも良し、スタンドアロンで使用してミニコンポとして使用するも良し。モノ自体は悪くない、というか、この価格でこの音、この機能が得られるなんて信じられないくらいのコストパフォーマンスの良さ。

 ミニコンポはデザイン性なども評価の対象になりますが、自分としてはかなり気に入るデザインです。当初は「次のシステムまでの繋ぎ」と考えてましたが、次のシステムを導入してもノートPC用のサブシステムとして使っていこうと思ってます。

□ソーテックのホームページ
http://www.sotec.co.jp/
□製品情報(直販サイト)
http://www.sotec.co.jp/direct/options/audio/op-vh7pc/index.html
□関連記事
【2001年12月21日】ソーテック、ローソンでCD/MDミニコンポなどを販売
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20011221/sotec.htm
【2001年1月29日】ソーテック、「AFiNA AV」用のオーディオコンポセットを単体発売(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010129/sotec.htm
【2000年10月4日】ソーテック、ケンウッドと共同開発のAVパソコン(PC Watch)
「ノートPCとは逆の発想」のコンパクトPCも
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001004/sotec.htm

(2002年3月26日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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