■ Apple、OS Xで動作する「Shake」を公開
2002年2月にAppleが買収したNothingRealのハイエンド映像合成ソフトウェア「Shake」だが、Appleブースで新たにMac OS Xバージョンが公開された。まだプレビュー版ということだが、デモを見る限りでは問題なく動作しており、リリースも近いのではないかと予想される。 Shakeは元々Windows、IRIX、Linux上で動くマルチレゾリューション対応のハイエンドアプリであったため、Macintoshユーザーにとっては興味のあるところだろう。
GUIとしては、ノードツリーと呼ばれるツリー表示で合成過程を構築することができるため、複雑なフィルタリングや多くののレイヤリングを効率的に行なえるのが特徴。
またAppleで開発しているFinal Cut Pro3に対して、新たに24fps編集機能を追加するソフトウェアパッケージ「Cinema Tools for Final Cut Pro」も展示した。
単にフレームレートに対応しただけではなく、24fpsのEDLやフィルム編集用のカットリストも扱うことができるため、HD リニア編集やフィルム編集のオフライン作業も可能になる。初日にお伝えした、PanasonicのAG-DVX100と組み合わせた24fpsのコンテンツも今後現われることだろう。
□Appleのホームページ
■ Microsoft、次期Windows Mediaの「Corona」をデモ
Microsoftブースでは、昨年12月に発表されたWindows Media Technologiesの次期バージョン「Corona(コードネーム)」をデモンストレーションした。従来のWindows Mediaと、Windows.NET Serverを使用したCorona環境でのストリーミング速度の比較などが行なわれ、ホールの一番奥にもかかわらず、多くの来場者を集めた。
Coronaにはさまざまな新技術が投入されているが、特にストリーミング速度とホームシアターレベルの高解像度対応は、放送関係者にとっても見逃せない。ブース内の各コーナーでは、新Coronaコーデックに対応した、Avid、Adobe、Grass Valley Groupなどの関係メーカーがそれぞれのソリューションを展示した。
□Microsoftのホームページ
■ Digital Juice、今年もブース販売が盛況
業界人のNAB土産として定番となっているのが、ArtBeatsとDigital Juiceの素材集。ArtBeatsがフィルム撮影の高解像度実写映像なのに対し、Digital JuiceはCGIのバックグラウンド映像などを得意とする。 今年の新製品は、「Editor's toolkit」というDVD10枚組のセット。55GBを超えるコンテンツの内容は、放送ですぐに使用できるアニメーション背景素材やアルファチャンネル付きスーパーインポーズ背景のテンプレート、2,000枚を超える高解像度の静止画、フォントなど。
価格はショープライス599ドルのところ、さらに100ドルディスカウントして499ドル。さらに購入者全員に内蔵型DVD-ROMドライブ、オリジナルバッグ、フォーマットコンバータのJuicer(ソフトウェア)を無料プレゼント。
Digital Juiceの素材集は、以前はCD-ROMによる販売であったが、現在のラインナップはすべてDVD-ROMによる提供となっている。
ちなみにArtBeatsでは、3タイトル購入につきオリジナルショルダーバッグ、また抽選でPDA(Viser)、デジカメ(HPブランド)、ゲームボーイアドバンスなどが当たるサービスを展開していた。
□Digital Juiceのホームページ
■ UleadSystems、「DVD WorkShop」を披露
コンシューマビデオではおなじみのUleadSystemsは、多彩なオーサリングが可能な「Ulead DVD WorkShop」のデモンストレーションを行なった。 すでに販売されているDVD MovieWriterに似たインターフェイスだが、機能的にはかなり高度になっている。コンテンツ作成では、静止画のスライドショーを作成し、そこに音楽を流したりといったことも可能。チャプターポイント作成も自由、チャプターのサムネイルポイントも自由に設定できる。
メニュー作成では、チャプターポイントからのメニュー自動構築やアニメーションボタンの作成が可能。またボタンのサイズは、すべて同じサイズにしたりといったレイアウト補助機能も備える。
デモンストレーションは、旅行代理店がツアー内容を紹介するパンフレットDVDを作成する、という想定で行なわれた。確かにビジネスユーザーが、ビデオコンテンツを含めたプレゼン資料などを素早く作成するといった用途は、今後需要があるかもしれない。
ブースではショープライス250ドルで販売していたが、最終日にはすべて売り切れたとのこと。通常価格は299.95ドル。
□Ulead Systemsのホームページ
■ Media100、新ノンリニアシステム「844/X」をデモ
Macintosh用ノンリニアシステムで知られるMedia100から、Windowsプラットフォームのノンリニアシステム「844/X」が発表された。 844/Xは、SDにおける最高画質の編集環境を目指しており、旧来のノンリニアシステムやD1で使用されている8bitではなく、デジタルベータカムやD5、また現在のプロダクションスイッチャー用デジタルストリームとして標準となっている10bitのカラースペースを持つ。 新開発のハードウェア「Genesis Engine」を駆使して、4ビデオストリーム+4キーストリームをリアルタイムで合成。内部的に60fpsのプログレッシブに変換して合成を行なうため、スローモーションや画像拡大時にも美しい映像表現が可能になる。
またMacintosh用としては、OS Xに対応したMedia100i シリーズのバージョン8を公開した。これによりマルチプロセッサ環境での高速化、メモリ管理の自動化といった恩恵が受けられることになる。
□Media 100のホームページ
今年のNAB2002リアルタイムレポートはいかがだっただろうか。会場が広くなったため、平均すると例年よりも人の密度が薄く感じた。そのため比較的ゆったりと会場を回ることができたのは幸いであった。 日本国内のショーでは人が押し合いへし合いするほどみんな喜ぶものだが、ここ米国ではなるべく人と人の間を広く取ろうとする傾向があり、人が集まりすぎるショー会場を改善したという意味では成功と言えそうだ。 なお来週のElectric Zooma! は、リアルタイムレポートで紹介できなかったトピックをまとめてご紹介する。ご期待いただきたい。
□NAB2002のホームページ (2002年4月12日)
[Reported by 小寺信良] |
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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp