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第60回:PCの内部ノイズから解放されるヘッドフォン? USBヘッドフォン「オーディオテクニカ ATC-HA4USB」 |
AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。 |
■PCの内部ノイズが耳障り
現在、我が家のメインマシンは自作PCです。CPUはCeleron 800MHzと最新マシンに比べれば少々非力ではありますが、まあ、7万円程度と安く組めたのがよろしい。キャプチャカードでタイムシフトをバリバリ使うわけでもなく、特にパワー不足を感じることもないわけで、普段はほぼ満足して使用しております。
が、満足できない点もいくつかございます。最大の不満点は、まず騒音。対策としてヒートシンクを大型のものに付け替え、CPUファンの代わりに風向きを誘導して低回転のケースファンのみを回しているのですが、それでもHDDの回転音、電源のファンなどが騒音源となり、他の騒音源の少ない深夜などは結構なレベル。まあ、深夜のリスニングは密閉型のヘッドフォンを装着してますから、ほぼ無音ですが。
そして、ヘッドフォンでのリスニング時に気になるのが、内部ノイズ。多少音量を上げると音楽に多少紛れるのでガマンしております。が、再生停止して、次のファイルを探しているときなぞに音量を上げたままにしておくと、「ミーミー」と耳障りな高周波が。うーん。
現在は5.1chアナログ出力対応のオンボードサウンドチップ使ってますが、内部ノイズに強いサウンドカードに乗せ変えたいところ。といっても、5.1chアナログ出力対応のサウンドカードは選択肢も情報も少ないのが実情。クリエイティブの「Audigy」シリーズは良さそうだけど、結構高いしなー。
5.1ch出力はDVD視聴時しか使用しないから、視聴時は昼間だし、映像に紛れてある程度のノイズは気にならないんだけどさ、問題は深夜のヘッドフォンリスニング時だよな。
USBオーディオデバイスを用意すれば問題は解決するのだけれども、我が家のPC周辺にはもはや設置できそうな場所はほとんどなし。USB機器も結構あるため、HUBを増設する必要もあり、配線の状況もさらに混乱する予感。オマケにほとんどの機器は1万円以上と結構なお値段。
しかし、そんな問題を解消してくれそうなナイスなUSBオーディオデバイスが発売されました。それがオーディオテクニカの「ATC-HA4USB」でございます。
■USBオーディオデバイス+ヘッドフォン
この「ATC-HA4USB」、簡単に説明すれば、USBオーディオデバイス一体型のヘッドフォン。通常のヘッドフォンに当然ついているヘッドフォンプラグは存在せず、入力端子はUSB端子のみ。もちろん、USBオーディオデバイスはヘッドフォン側に付いていて、USBバスパワーで駆動するため、ACアダプタなどの外部電源も不要。感覚としては「ヘッドフォンプラグがUSB端子になった製品」と理解してよろしいんじゃないでしょうか。
そして、スペックの中で注目されるのがSN比。なんと90dB(最大出力時)だそうじゃないですか。まあ、他の高級機器と比べるとそんなに高い数値ではないのですが、ミーミー言ってる内蔵音源のノイズを考えるとかなりのレベル。少なくとも無音状態でノイズに悩まされるということは無いでしょう。
さて、お値段はといいますと、標準価格で12,000円。店頭で2割引きとすると、大体1万円弱ですな。フム、USBオーディオデバイスにヘッドフォンをつけたお値段と理解すると、なかなかリーズナブルなレベル。発売日は4月21日ですか。それではゲットしにまいりましょう。
……しかし、池袋などのカメラ系量販店、PC系量販店を回っても在庫は確認できず。店員さんに状況を確かめると、「発売はされてるみたいですけど、ウチにはまだ入荷がないようです」とのこと。ううむ、初期出荷量が少ないのかなー。
とりあえず、弊誌の姉妹サイト「AKIBA PC Hotline!」で入荷が確認されている店舗があったので、最終的にはそこかなー。秋葉原でもかなり外れにあるお店なので、途中に入荷店があればそこでゲットしますか。
ということで、やってきました秋葉原。最終目標のお店に向かう道すがら、家電総合店、自作PCパーツ店などを探ってみましたが、やはり在庫は確認できず。結局、最終目標にたどり着いてしまいました。
で、目的店にて在庫を確認すると、「あと2つですね」とのこと。ふー、ヤバかったかも。これまでにないタイプの製品だけに、オーディオテクニカさんもとりあえずは様子見、ということで初期出荷量を絞ってるのでしょうかね?
パッケージはブリスターで、普及価格帯のヘッドフォンに良く見られるタイプ。販売価格を確認すると9,800円ナリ。ふむふむ、約2割引きで、想定価格と同じ。では、お願いいたします。
■見た目は普通のヘッドフォン
では、内容を改めるとしましょう。内容物、ヘッドフォン×1。以上。他には冊子が1枚入っているだけ。ううむ、ドライバCD-ROMすら入ってないとは。
しかし、裏を返せばOSに標準のドライバで動作可能ということ。対応OSは、Windows 98/98 SE/Me/2000/XP、Mac OS 9.0.2以降。USB機器の対応状況としては普通かと。
1枚を八つ折りにしたマニュアルの記述は、ほとんどがドライバの導入方法。各OSごとに詳細に解説しているので、始めてのドライバ導入でも戸惑うことは無いでしょう。では、Windows 2000のマイマシンにドライバ導入してみますかね。USBポートに差し込んで、っと。
ポートに接続した段階で、USB機器を認識して、ドライバ導入ダイヤログが起動。あとはダイヤログの指示どおりに設定することで無事にドライバが導入されました。うーん、ホントに普通のUSBオーディオデバイスだ。ちなみに、消費電力は120mW。マニュアルにはPCのUSBポートに直接差すように指示されてますが、バスパワー対応のUSB HUBに差しても使用可能でした。
とりあえず、音を出す前に改めてヘッドフォンを確認してみましょうか。重量は約210g(コード除く)と、USBデバイスを内蔵しているわりにはなかなかの軽量。装着したときのウェイトバランスも問題ありません。ハウジングは密閉型で、ほぼ180度回転できて片耳モニターも可能。アジャスト機構は、同社独自の「ウィングサポート」を採用して、調節の必要なくフリーに装着できます。
で、ドライバはネオジウム/CCAWボイスコイルを採用した直径はφ40mmユニットを使用。イヤパッドは耳全体を覆うタイプで、ドライバ部には耳の形に合わせた傾斜が付いているので、長時間の装着でも疲れは少なそう。ふむ、ヘッドフォンとしてはなかなか使い勝手がよさそうじゃありませんか。
あえて通常のヘッドフォンとの違いを上げるとすれば、φ約5mmと、ちょっとコード径が太いのが気になる程度。といってもコードは片出し、ケーブル長は2mなので、取りまわしに不便はなさそうです。
パッケージ。普及価格帯のヘッドフォンにありがちなブリスター | ヘッドフォン本体。アジャスト機構「ウイングサポート」が特徴的 | 「ウイングサポート」部。L/Rで頭を支える |
イヤパッド。耳たぶを覆うタイプだが、ちょっと小さ目かも | ハウジングはほぼ180度回転可能。片耳モニターにも使用できる |
L側のコード部。ケーブル長は2mで、取りまわしに不自由はない | イヤパッドを外した状態。ドライバには傾斜をつけて耳の形状に合わせている |
■ノイズは全く感じず。音質もなかなか
えー、では、音を出してみることにしますかね。まずはWAVEの音なぞを。んー、なんというか、フラットな音ですな。特に突出した音域も無く、低/中/高域のバランスが良好。輪郭が明確で、特にボーカルに張りが感じられます。ただ、カタログスペックの20Hz~20kHzというのはちょっと大げさかも。聴感上は高域はそれほど伸びておらず、15kHz程度かな~? ただ、バランスがいいので聞きやすい音ですね。
しかし、ピアノソロを聞いていると、密閉型だけに音の抜けに多少不満を感じますが、こればかりは特性故になんともならないかも。
MP3/WMAの音も聞いてみましたが、それぞれの特性を正確に、という印象の音。これまで内部ノイズに紛れて、WAVEの音とさほど違って聴こえなかったソースも、はっきりと違いを感じられるようになりました。ソースがPCのHDDのファイルが中心だった故、時に音飛びなどが発生しましたが。
そうそう、これまで悩みのタネだった内部ノイズは全く感じられません。非常にクリア。んー、あまりにも自然に鳴ってくれるんで全然気づきませんでしたよ。
ヘッドフォンの装着感もまずまず。自分の耳にはちょっと小さめですが、なんとか耳たぶ全体をカバーして、密閉度も高いです。電源/ケースファン、HDDの回転音程度のPC騒音はほぼ聞こえません。で、1時間ほど聞きこんでみたところで、耳たぶに多少の違和感を感じたので一度外すことになりました。
イヤパッドがもうひと回り大きかったらもっと装着感がイイと思うのだけれども、アームのテンションはほとんど感じず、かといって脱落するほど弱くはないという微妙な調節具合。1時間続けても耳たぶ以外に疲れを感じないし、かなりいいと思います。
ふむ、ヘッドフォンとしてはかなりいいなー、コレ。しかし、USBオーディオデバイスとして見ると、何かが足りないような……。そういえばコレ、ボリューム付いてないやん。
そう、この製品はまさに「USB接続のヘッドフォン」。ボリュームコントロールはPC側から行なう必要があるのです。確かにヘッドフォンにボリューム付けるのは邪道かもしれません。とはいえ、PCからのボリュームコントロールはリモコンが標準で付いているアンプとは勝手が違います。画面を探して、マウスでクリックして、ボリュームを調節。普段なら1ステップですむ作業が、3ステップにもなるのです。あー、かったるい。
ついでに言わせてもらえば、せっかくUSBオーディオデバイスなのだから、マイクを増設してヘッドセットになれば面白いかも。これだけクリアに鳴ってくれるのだから、IP電話でもさぞクリアな音声が楽しめると想像してみます。
■とりあえず、分解してみました
■■ 注意 ■■
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本題とは離れますが、チップが何を積んでいるのかが気になったので、とりあえず分解してみました。しばらくハウジングと格闘しましたが、イヤパッドを外したところに、ネジがあることが判明。で、ネジを外して、ハウジングにマイナスドライバを無理やり押し込んでハウジングを外してようやく分解完了。
ハウジングはプラスチック製。形状はネジ穴以外に突起が見あたらないほぼお椀型。音の反射の邪魔になりそうな仕切りなどはございません。
USBデバイスはL側に配置。空けてみると、あら、意外と小さいんですな。3×5cm程度の基板が配されており、その上にはチップがひとつだけ載っておりました。チップはMICRONAS製の「UAC3552A」という製品。調べてみると、USBインターフェイス、DSP、DAC、ヘッドフォンアンプをこれ1個で担当しているとか。ふむ、小さなチップなのに多機能ですな。
しかし、アナログ音声のミキシング機能、ボリュームコントロール機能は装備しているものの、マイクデバイスは装備していない模様。ぐは、このチップだけではヘッドセットとしては使えないってことですね。
念のためR側も外してみましたがこちらはドライバがあるだけ。んー、ウェイトバランスもハウジングの鳴りのバランスも結構良好だったけど、L/Rでこんなに違うものなんですなぁ。
R側のハウジング内。USBデバイスを配した基板1枚を備える | 使用チップはMICRONAS製の「UAC3552A」。USBデバイス、ヘッドフォンアンプも兼ねる | R側のハウジング内。配されているのはドライバだけ |
■ヘッドフォンとしては満足。でももう一味欲しいところ
今まで悩まされていた内部ノイズからは解放されました。密閉型のハウジングの遮音性も高く、深夜であればPCからの騒音もほぼ無音。これまでの悩みを解消しつつ、片耳モニター機能など、ヘッドフォンとしての機能も充実。所期の目的は全て達成された製品と言っても過言ではありません。
しかし、所期の目的には無かったとはいえ、あれば便利だろうな、と思わせる機能がでてきました。それがマイク端子だったり、ボリュームコントロールだったりするわけで。
ハウジングはおそらく既存の製品を流用した物なので、マイク端子をつけたりすればウェイトバランス、ハウジングでの反響など、ヘッドフォンとしてのバランスが崩れかねません。が、最近ブロードバンドが普及してきて、ボイスチャットなども比較的容易に利用できるようになりました。回線の品質は高くなっているのに、ノイズが多いPCを使っているが故に入出力の段階でノイズが乗ることも多いのが現状。このヘッドフォンレベルでマイクがついたヘッドセットがあれば結構いいと思うのですが、如何なものか?
えー、ヘッドフォンとしての機能には満足しております。USBを差し込むだけで、すぐにヘッドフォンになるとは便利です。が、せっかくUSBオーディオデバイスとして機能しているのだから、もうちょっと付加価値があってもいいんじゃないかな、と欲が出る製品でした。ま、わがままだってのは理解してますがね。
□オーディオテクニカのホームページ
http://www.audio-technica.co.jp/
□製品情報
http://www.audio-technica.co.jp/products/hp/pc/atc-ha4usb.html
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【3月28日】オーディオテクニカ、USB端子にダイレクト接続可能なヘッドホン
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020328/autech.htm
(2002年5月1日)
[fujiwa-y@impress.co.jp]
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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp