気になるグッズを衝動買い |
第61回:「RioVolt」初の1万円以下プレーヤー MP3対応CDプレーヤー「RioVolt SP50」 |
AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。 |
■やっぱり新製品は気になるもの
MP3対応CDプレーヤー、いいですね。自分もいくつも購入して、結局のところソニックブルーの「RioVolt SP250」をメインにすることで落ち着いております。
「SP250」もいつくか改善してほしい点があるんですが、まあ、現状で望み得る限り最高の製品だと納得しています。漢字表示対応の液晶リモコン装備、WMA/MP3両対応、FMチューナも内蔵しているし、さらに本体充電対応などなど、他製品に比べるとアドバンテージが高い製品。うん、やっぱいいモノです。
が、この「MP3対応ポータブルCDプレーヤー」というジャンル、多くの新製品が発売され、思わず目移りしてしまいます。中でも、ソニックブルーがこれまでの「SP100」系のデザインを一新させた「RioVolt SP50」がどんなものなのかが興味をそそるところ。
しかし、この「SP50」、簡単に言ってしまえば「機能を限定して価格を抑えたコストパフォーマンスモデル」。高機能な「SP250」をすでに持っている身としては、あまりにも機能が少ないため、ちょっと悩んでおりました。
とはいえ、一度「欲しい欲しい病」にかかってしまうと、ブツをゲットするまで治らないのが常。おまけにこの「SP50」、コストパフォーマンスモデルだけあって、「欲しい欲しい病」の最大のハードルである価格が低めになっているのです。標準価格はオープンプライスですが、店頭予想価格は1万円弱。わあ、これなら簡単にハードルを飛び越えられるじゃん!
■コストダウンの努力がそこかしこに
ということで、ちょっとハードルを飛び越えてみました。購入場所は秋葉原の量販店で、購入価格は9,799円。ふむ、店頭予想価格そのままって感じですな。ちなみに、池袋のカメラ系量販店でも販売されており、こちらの価格は9,800円。MP3対応CDプレーヤーとしては確かに安い部類。いいんじゃないでしょうか?
店頭では実物を確認することができず、パッケージの状態のままで購入したため、外観などは確認してません。が、まあ、覚悟してます。なんといってもコストパフォーマンスモデルですから。
ということで、開梱。パッケージはこれまでの「RioVolt」シリーズに比べると少々コンパクトサイズだったため、内容物も少なめ、と覚悟はしてました。さて、内容はというと、本体、ステレオイヤフォン、単3型アルカリ乾電池×2本。以上。ACアダプタも、リモコンも付いてません。
……まあ、コストパフォーマンスモデルですし、あらかじめ製品情報で確認してましたから、知識としては知ってたんですけどね。改めてみるとやっぱ少ない。マニュアルもクイックガイドのみで、これまでの「RioVolt」シリーズのようにCD-ROM収録のPDFマニュアルもなし。しかも、詳しくは「オンラインユーザーマニュアルを参照」なのだそうで。ううむ、コストダウンへの努力の跡が見られますね。
見るべきものはとりあえず本体だけですな。えーと、操作関連のボタンは上面の液晶部周りに配置。液晶の下には再生/一時停止、停止ボタン、左側に「MUTE/ENTER」、「ESP/MENU」、右側に「PROGRAM」、「MODE/SELECT」という配置。ESPは音飛び防止機能のことですな。あとは表示の通りです。
本体左側面にはスライドスイッチを2つ配置。操作ボタンをロックする「UNLOCK・LOCK」スイッチと、低音補強機能を付加する「BASS・NOR」スイッチがございます。
で、本体右側面には可変抵抗式と思われるボリューム、ヘッドフォン端子、ラインアウト端子、そして正面にオープンスイッチという構成。音量調節が電子ボリュームから可変抵抗ボリュームに変わったのは大きな変化ですね。デザインだけかと思ってましたが、もしかしたら製造メーカーも変わった?
作りの方もかなり変わってます。おそらくプラスチックの成型色をそのまま流用していると思われますが、表面処理の質感はマットな感触で結構好みです。けど、ドアを開けるとあら、なんかプラスチックな質感が……。
「SP250」では、ドアの下面に金属の板を取り付けているですが、「SP50」はプラスチックそのまま。まあ、いくつも梁を設けているので、強度的には問題なさそうではあります。しかし、液晶部のところは基板剥き出し。液晶部とプロセッサ部を繋ぐケーブルの強度もちょっと心配かも……。
いや、まあ、いいのです。コストパフォーマンスモデルなのですから、少しでもコストダウンするのが当然なのですから。ヒンジのギミックは板バネ式なので、将来へタる可能性も低そう。「コストを落としながらも質実剛健」な作りではないでしょうか。
パッケージ。これまでの「RioVolt」シリーズに比べると小さめ | 同梱品一覧。うーん、少なめ。コストダウンの跡が感じられます | 本体上面。液晶部は小さく、操作ボタンも少なめ。操作には慣れが必要 |
本体右側面。ヘッドフォン/ラインアウト端子とボリュームを配置 | 本体左側面。ロックと低音補強機能「BASS」の切り替えスイッチ | 本体正面にはオープンスイッチ。ちょっと固めかも |
オープン状態。CD設置面はまあ、まともなんですが…… | ドアの底面。プラスチック全開で、液晶部の基板は剥き出し |
ヒンジ部のアップ。バネは丈夫そうですが、液晶部のコードが…… | 電池収納部。フタは外れないタイプ。コストを下げながらも使い勝手は落とさない努力かも? |
■CDは普通に再生
そんじゃ、ま、とりあえずCD-DAを聞いてみますかね。付属をステレオイヤフォンを接続して、再生ボタンをポチっとな。MP3対応CDプレーヤーは、CD-DAの再生時にも認識に時間を要する製品が多いのですが、この「SP50」は再生ボタンを押してから再生されるまでわずか4秒。速いなぁ。
しかし、その音質はというと、うーん、ものすごーく真ん中に音域が固まってるんですけど。ついでに雑音が乗ってるような……。えー、結論を申し上げると、原因は付属のステレオイヤフォンでした。手持ちのステレオイヤフォン「ゼンハイザーMX500」に付け替えて改めて聞いてみると、音域も普通で、再生もクリア。ううむ、付属ステレオイヤフォンもコストダウンの対象だったんですな。
再生モードは、1曲リピート、オールリピート、イントロ、ランダム。サーチは1秒程度のタイムラグがありますが、ちゃんと音付き。低音補強機能「BASS」の効果はちょっと薄いですが、その分帯域バランスの崩れが少なく、「ちょっと迫力が追加されたかな?」程度の感触ですな。ふむふむ、CDプレーヤーとしてはまー普通なんじゃないでしょうか。リモコンが付いてない(増設も不可)ってのは痛いですが。
ACアダプタは別売ですが、「RioVolt」シリーズのものを流用可能。「SP250」に付属のACアダプタを繋げたところ、ちゃんと機能してました。ソニックブルーの直販サイトでも「RioVolt専用ACアダプター」として1,480円で売ってますので、据え置き用途を考えている方はご参考まで。
卓上に設置してしばらく聞いた後、カバンに詰めて持ち歩いてみましたが、「ESP」を機能させた状態であれば、特に音飛びが発生することもなし。バッファ時間は45秒なので、マラソンでもしない限り音飛びすることはないと思われます。ただ、「ESP」をOFFにするとちょっとした衝撃で音飛びが……。構造的にはあまり丈夫ではないみたいですね。
では、次はMP3ですな。えーと、「SP50」はWMAには非対応だから、いつも聞いてるWMA/MP3混在メディアはNGだね。MP3だけ集めて1枚焼かないとなー。むむ、オマケにパケットライティングには非対応だからライティングソフトを立ち上げないとダメじゃん。うーん、めんどくさい……。
CD再生中の液晶部の表示。トラック数、再生時間を確認できる | 電源入力端子は背面に。「RioVolt」シリーズのものを流用可能 |
■認識は超速! 機能はやっぱり……
ということで、MP3を再生してみることにします。新たに焼いたメディアをセットして、待つこと約15秒。お、これは速い! もう認識して再生してくれましたよ。
これまで使ってきたMP3対応プレーヤーは、速いものでも30秒程度かかっていたのが普通。それに比べると、圧倒的に認識が速いプレーヤーと言ってもいいでしょう。やっぱWMAに対応していない分、認識が速いんすかね?
で、液晶部はというと、半角文字限定ながら、ID3タグの表示が可能。製品情報では「英数のみ」となっておりましたが、全角カタカナ/ひらがなも半角カタカナに変換されて表示されてます。ま、さすがに漢字は文字化けしてましたが。
液晶表示は2ラインで、再生中の表示は上段にファイルネーム、タイトル、アーティスト、サンプリング周波数、ビットレートをスクロールして表示。下段にフォルダ番号、トラック数、再生時間を表示という構成。
ファイルのソートはファイルネーム順で、若いフォルダネーム中の若いファイルネームのものを最初に再生。検索機能も付いており、ファイルネームを入力して検索するモードと、フォルダ単位での検索機能を装備。液晶表示がちょっと狭めで、操作ボタンも限定されているため、使いこなすには少々慣れが必要。が、いわゆる「安物プレーヤー」にはID3タグ表示、検索機能が付いていないことも多く、この価格のプレーヤーにしては頑張ってるんじゃないでしょうか。
リピートモードはCD再生時のものに、「フォルダリピート」、アルバムをランダムに選択する「ランダムアルバム」が追加されてますから、大量に曲の入るMP3CDでも使いやすい機能は装備されてるんじゃないかと。
ただねー、カナ表示、検索機能が付いているのはいいのですが、「SP250」に慣れきった身としては、やっぱ漢字表示は必須ですね。リモコンも付いてないし、操作も慣れるまでは大変。ちょっと選択を誤まったかも。
MP3の音質はというと、ふむ、まあ、こんなモンでしょうか。特に特徴のある音ではなく、MP3の音をそれなりに、という感じ。高ビットレートのファイルを再生すれば、ちゃんとビットレートの違いを感じられるので、再生能力は特に問題ないと思われます。
サーチは3秒程度のタイムラグがあるものの、ちゃんと音付き。他に気になる点といえば、曲間のブランクが3秒程度とちょっと長めなことでしょうか。まあ、コストパフォーマンスモデルですから、あまり文句も言えんわな。
では、このまま連続再生テストいきますかねー。リピートモードをオールリピートに設定して、あとは放置。で、8時間後に電池切れとなりました。それまで1時間半くらいいじってたから、再生時間は約9時間30分ってとこですね。公式には「10時間以上」となってますから、ほぼスペック通りということで。これだけ再生できれば、自分的には不満はありません。
MP3再生時の液晶表示。全角カタカナ/ひらがなも半角カナで表示可能 | 入力での検索画面。アルファベットの一覧から1文字づつ選択しながら入力。ちなみにカナは非対応 | フォルダ単位での検索画面。左がフォルダ、右がファイル、下行には選択したファイルを表示 |
■ご購入の前には十分な検討を
えー、なんというか、「MP3CDを再生できればいい」というニーズに向けた製品ですね。「機能少なめ、だから価格も安め」。なるほど納得。
とは言いつつも、英数ID3タグ情報の表示/検索など、MP3再生に求められる最低限の機能は備わっているので、「機能少なめ」を購入前に納得さえしていれば「安物買いの銭失い」にはならないと思います。
ID3タグ表示は、公式には英数のみの対応ですが、日本語カタカナ/ひらがなも、半角カナに変換されて一応は表示可能。MDへの編集を念頭においてタグ情報をカタカナで管理している、という方ならば特に問題は無いでしょう。
ただ、現在発売されている同ジャンル製品を見渡せば、やはり機能的に見劣りするのは事実。その分価格設定は安くなってますが、コストパフォーマンスを考えても微妙かな~。同じソニックブルーからもWMA対応、リモコン増設可能な「RioVolt SP90」が2割増し程度、12,800円くらいの価格帯で出てるし……。
アドバンテージを挙げるとすれば、やはりダントツに速いCD認識時間でしょうか。15秒程度で認識してくれるから、曲待ちのストレスはかなり低減されました。そうそう、この価格でサーチが音付きなのもポイント高し。
単3型アルカリ乾電池での動作時間も10時間程度と納得できるレベル。ヘッドフォン出力に加え、ライン出力も搭載しているから据え置きメインの使い方でも問題なし(ACアダプタは別売ですが)。
「SP250」を持っている自分は正直機能的に満足できませんでしたが、「とにかく素早い再生を」という方や、「まあ、MP3が再生できればいいんじゃねーの」というニーズをお持ちの方には良い製品だと思います。もちろん、購入に際しての判断はお任せします。
□ソニックブルーのホームページ
http://www.sonicblue.co.jp/
□製品情報
http://www.sonicblue.co.jp/products/riovoltsp50.html
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【3月25日】ソニックブルー、1万円を切った「RioVolt」シリーズ新モデル
http://www.wsonich.impress.co.jp/docs/20020325/sonic.htm
(2002年5月8日)
[fujiwa-y@impress.co.jp]
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ウォッチ編集部内AV Wsonich担当 av-wsonich@impress.co.jp