ディスプレイ角度をアームで調整できるポータブルDVDプレーヤー |
松下電器「DVD-LV65」 |
発売時期/6月20日 価格/オープンプライス(実売価格8万円弱) |
再生できるディスクは、DVDビデオ、ビデオCD、音楽CDといったプレスディスクに加え、DVD-R、CD-R/RWにも対応する。さらに、CD-R/RWに記録したMP3ファイルの再生も可能で、ID3タグやCDテキストもディスプレイに表示できる。ファイルのツリー表示や、ID3タグの漢字表示なども可能だ。この種の「MP3も再生できます」と謳うDVDプレーヤーの中でも、高機能な部類に入る。
加えて、前モデル同様DVD-RAMの再生にも対応しているが、再生時のインターフェイスは、DMR-HS1/E30/E20といった同社のディスレコーダに酷似している。プログラムナビももちろん表示されるし、レコーダ側で作成済みなら、プレイリストの再生も可能だ。番組名や画質モードも確認できる。
さらに、SDメモリーカードスロットも搭載。SDメモリーカードに記録したJPEG、MPEG-4、AAC、G.726を再生できる。MMCも認識するが、AACの再生には対応していない。
MPEG-4は、同社のSDメモリーカードカメラ「SV-AV10」(D-Snap)で撮影したものに対応する。そのほか、ASF形式ならパソコンで作成したファイルも再生可能。ただし、フォルダ構成やファイル名を説明書どおりに設定する必要がある。一方、AACの場合、別売りのSDオーディオPCレコーディングキット「SH-SSK1」を使ってチェックアウトしたファイルしか認識しない。
ディスプレイを閉じた状態。ピアノフィニッシュ調の処理がほどこされ、高級感はかなりある | バッテリは別付けだが、標準で同梱されている。ふたの開閉状態に関わらず取り外しが可能 |
テレビチューナを内蔵しているのも特徴の1つ。クリップ付きのアンテナケーブルが同梱されており、これをEXT ANT端子につないで使用する。できれば、RF端子につなげるケーブルも付属して欲しい。
連続再生時間は、DVD再生時が液晶ディスプレイONで約2時間。テレビでは約3時間となる。画面の明るさを最低(-5)まで下げれば、DVD再生を約2.5時間まで伸ばすことができる。ただし、別売りのバッテリパック「DY-DB65」に付け替えることで、DVDで約4時間、テレビで約6.5時間の視聴が可能になる。
ディスプレイ脇のSDメモリーカードスロット。バネが堅いため、片手で挿入するのは難しい | 付属のテレビアンテナケーブル。先端にクリップがついてる | テンキーを含め、一通りのボタンを備えたリモコン |
■ 操作性と画質
再生、停止、スキップ、ソース切り替えなどは本体の手前に配置され、操作感も悪くない。しかし、スティック型のカーソルコントローラや、「TOP MENU」、「MENU」、「RETURN」、「DISPLAY」の各ボタンは、ディスプレイの角度や位置によっては操作できなくなる。特典ディスクなど、カーソル移動を良く使うDVDビデオを観るときは注意したほうが良いだろう。
もっとも、同梱のリモコンを使えば、この問題は解決できる。リモコンには、本体にない「アングル切り替え」、「字幕切り替え」、「初期設定」などのボタンもついている。屋内での視聴時には、手元に置いた方が良いだろう。
メニュー表示には、同社のDVDプレーヤーでおなじみの「プログレスインジケータ」を採用している。また、初期設定メニューも同社製プレーヤーでよく見る形態だ。これらの製品のユーザーなら、説明書を見ることなく操作できるだろう。こうしたインターフェイスの統一は、ユーザーにとっても喜ばしいし、ブランドの統一イメージを図る意味でも重要だと感じた。
同社製DVDプレーヤーでおなじみのメニューバー表示 | DMR-E20で作成したDVD-RAMディスクを再生したところ。プログラムナビやプレイリストなど、ディスクレコーダと同じ感覚で再生される。もっとも、番組の削除や編集は不可能 |
操作面で気になったのは、SDメモリーカードとDVD-RAMの読み込みの遅さ。特に後者は、読み込み開始から20秒ぐらいかかる。また、入力ソースの切り替え時もレスポンスが低下する。逆に、DVDビデオやMP3などの読み込みは高速で、ストレスはまったくない。ふたを閉じると再生を中断し、開けると同時にリジューム再生される。
画質設定項目は少ない。「コントラスト」、「色あい」といった各項目を個別に設定することはできず、プリセットの「Normal」と「Cinema」を切り替えるだけとなる。ただし、ディスプレイ右下の「BRIGHT」と「COLOUR」を操作すれば、それぞれディスプレイの明るさと彩度を調整できる。ポータブルDVDプレーヤーの場合、再生中に視聴条件が変わる場合が多いので、ボタンが独立しして設けられるているのはうれしい。
液晶ディスプレイの画質は、ディスプレイが小さいため、35万画素にしては精細感がある。また、ノートパソコンの液晶ディスプレイなどに比べると明らかに輪郭が安定している。全体的にすっきりした印象を受けた。コントラストも設定自体ではかなり高めにでき、白飛びもあまり目立たない。
反面、シャープネスがきついためか、シーンによってはざわついた印象を受けることがあった。また、リンギングも派手に出る上、斜め線のジャギーも気になる。ノイズの押さえ込みも今ひとつで、この小さな画面でも偽色ノイズが確認できた。
モードをSDメモリーカードに切り替えると、左のメニューが出現する。右は静止画(JPEG)のサムネイル表示。スライドショーも設定できる |
もっとも、作品を細部までじっくりと楽しめるほど画面が広くはないので、気軽に視聴する分にはほとんど問題にならないだろう。また、画面が明るいためか、屋外でも視認性は高い。BRIGHTの設定次第では、陽光下でも視聴に耐えうると感じた。
外部ディスプレイへは、コンポジット、またはS映像(専用ケーブルはオプション)で出力できる。ただし、同梱される出力ケーブルはコンポジットのみ。S映像ケーブルは別売りとなる。
LV65のコンポジット出力をプラズマテレビのW32-PD2100で視聴してみたが、階調が大雑把で、黒浮き、擬似輪郭が目立つ。再生画質は、数年前のエントリークラスの据え置きプレーヤー並みといっていいい。輪郭のくずれやにじみも出たが、これはコンポジット接続のせいだろう。なお、音声の外部出力は、デジタル/アナログ兼用端子から行なう。ドルビーデジタルおよびDTSの出力が可能だ。
■ まとめ
アームによるディスプレイの自由度や、液晶ディスプレイの美しさ、テレビチューナ内蔵など、ポータブルDVDプレーヤーとしての完成度は高い。通勤、通学用のポータブルDVDプレーヤーを探していた人には、現状で最も有力な候補となるだろう。
また、再生メディアも多彩で、とりわけ同社のDVDレコーダのDMR系ユーザーには強くおすすめできる製品だ。録り貯めたDVD-RAMディスクを、戸外、あるいは別室で見ることができるメリットは大きい。ただし、連続再生時間が短めなので、通勤、通学を超える「出張」、「小旅行」などでは力不足を感じるかもしれない。
また、据え置きDVDプレーヤーの代用として使うと、再生画質にがっかりするかもしれない。そういった用途にはほかのクラス、たとえばコンポーネント出力(D2)を持つ東芝の「MED900J」などが適任だ。
再生対応ディスク | DVDビデオ、DVD-RAM、DVD-R、ビデオCD、音楽CD、CD-R/RW、MP3 | |
画面サイズ | ワイド5型(35万画素) | |
駆動方式 | アモルファスシリコンTFT | |
入出力 | 映像入力 | コンポジット×1系統 |
映像出力 | S映像/コンポジット兼用(各1系統) | |
音声入力 | アナログ×1系統 | |
音声出力 | 光デジタル/アナログ兼用、ヘッドフォン(各1系統) | |
外形寸法 | 144×140×28.7~32.5mm(幅×奥行き×高さ) | |
重量 | 約602g(本体のみ) |
□松下電器のホームページ
http://www.matsushita.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.matsushita.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn020516-1/jn020516-1.html
□製品情報
http://www.panasonic.co.jp/products/dvd/dvd_lv65/
□関連記事
【5月16日】松下、アームで角度調節可能な液晶搭載DVDプレーヤー
―DVD-RAMや、SDカードのMPEG-4も再生可能
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020516/pana.htm
(2002年6月28日)
[orimoto@impress.co.jp]
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