気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】

第78回:小型でお買い得なアップスキャンコンバータ
コンパル「あぷこん3」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

お買い得なアップスキャンコンバータ

 アップスキャンコンバータ、いいですね。これまで試した中では、マイコンソフトの「XRGB-2plus」が特によろしい。プレイステーション 2など、最近では珍しくなった15kHzのアナログRGB出力を持つ機器をPC用ディスプレイに出力してくれるばかりか、コンポーネント、S映像、コンポジットの入力も640×480ドット/31kHzの高解像度に変換。スキャンレートを変換するという製品だけに、多少無理のある部分もありますが、画質についてもかなり満足できるレベル。お値段は25,000円程度と少々お高いですけど、現状では最も良い製品だと思いました。

 しかし、世の中には様々な製品があるもので、魅力的な製品も多数あります。そんな製品の中の1つで、ちょっと印象に残っていたのがコンパルの「あぷこん3」。なんと直球なネーミング。しかもこれで第三世代の製品だとすぐにわかるシンプルさ。いいじゃないですか。で、世代を重ねているということは、過去それなりに売れて、改良が加えられている製品、と理解するのが普通かと。実際、キャッチコピーを見てみると「新チップの採用で色にじみを改善」と書いてあるではないですか。

 で、1番の特徴は、やはりコンパクトなボディですかね。外形寸法92×54×36mm(幅×奥行き×高さ)、重量90g(本体)。手のひらに乗るサイズ。そういや「XRGB-2plus」はボディサイズが意外とデカくて、設置に手間取ったような記憶が……。さらに、入力端子もなかなか豊富。標準でS/コンポジットの入力を備えるほか、専用ケーブルを介することでコンポーネントの入力にも対応。うーん、いいんじゃないでしょうか。

 それでいて、お値段の方も標準価格14,800円と結構リーズナブル。4月に発売された当時は、探しても見かけなかったので購入はしなかったのですが、最近になって店頭でも見かけるようになり、価格のほうもさらにリーズナブルな感じになってる様子。うーん、「XRGB-2plus」もいいんだけど、画質的に多少不満の残る部分もあるし、ボディサイズが大きくて使い勝手が多少劣るという不満点もあるわけで。

 画質は購入しないことにはわかりませんが、とりあえずボディサイズの不満は解消してくれることは間違いない。ということで、買ってしまいました。購入価格は11,800円。約2割引きってところですな。


本体ちいさめ、同梱品にケーブルいっぱい

 購入したときに感じたのが、意外と大きなパッケージサイズ。しかもかなり重い。「なんでこんなに重いんだ?」という謎は、当然ながら箱を開けたときに解決しました。ケーブルがフルセットで入ってたんです。

 同梱品は、スキャンコンバータ本体以外に、リモコン、リモコン用ボタン型電池×1、ACアダプタのほかは全部ケーブル類。パッケージのほとんどを占めておりました。

 まず、ストレート系のものは、S映像ケーブル×1、コンポジットケーブル×1、ステレオミニプラグケーブル×1。PCのスルー出力用アナログRGB D-Sub 15ピンケーブル×1。

 加えて、D-Sub 15ピン→RCA 3ピンになっているコンポーネント入出力ケーブル×各1、ステレオRCA→ステレオミニ形状になっている音声ケーブル×1。そのほかにもメス-メスのRCAコネクタ×2も付属。ま、本体に接続できる可能性のあるものすべてのケーブルを同梱している、という感じですね。ケーブルは直径も太いものが多く、クオリティ的にも問題なさそうな感じ。画質的にも楽しみです。

 それにしても、実際に手にとって見ると本当に小さい。握りこぶしに隠れるくらいのサイズっすね。入出力端子は、モニタ出力用のD-Sub 15ピン端子、アナログ RGBスルー出力/専用コンポーネント入力用のD-Sub 15ピン端子、S/コンポジット入力×各1、ステレオミニプラグ音声入出力×各1を装備。それでいて、各入力を切り替えて使用可能。ま、排他利用の端子もありますから、最大でも3系統しか利用はできないのですが、このサイズで映像3系統入力を使えるのはすごいかと。

 リモコンはいわゆるカードリモコンで、ボタン数は全部で14。入力信号切り替えが4つ、コンポーネント、アナログRGB切り替えボタン、明るさ、コントラスト、カラー(彩度)、色温度の調節ボタンと、その+/-ボタンの画質調節ボタン、設定を保存するSAVEとリセットボタン、という構成。特に、画質節関連のボタンが充実してるのがいいですな。では、接続して使ってみますかね。

パッケージ。本体サイズの割にかなり大きめ パッケージの大半にケーブルが入ってました 本体上面。手のひらに乗るくらい小さめ

本体前面。リモコン受光部と入力切り替えボタンを装備。本体のボタンはこれだけ 本体背面。PCからのアナログRGB/コンポーネント用D-Sub 15ピン入力とS映像、コンポジット入力を配置 本体右側面にはステレオミニ入出力と、AC電源入力

本体左側面は、アナログRGB出力のD-Sub 15ピン端子のみ リモコン。ボタン数は総数で14。画質調節は4項目が設定可能 コンポーネント入力には専用のRCA 3ピン→D-Sub 15ピンケーブルを使用


色はなかなかの再現度でもシャープさは……

 では、とりあえずプレイステーション 2にコンポーネントケーブル経由で接続。PC用ディスプレイ「MT-8617」に接続してっと。電源はACアダプタを挿すと自動で給電されるタイプで、電源スイッチは特についてません。ま、連続運転しても大丈夫な設計なんでしょう。

 本体の前面には、リモコン受光部と、入力切り替えボタンを装備。本体のボタンはこの入力切り替えボタン1つだけで、操作の基本はリモコンからになります。リモコンの受光範囲はマニュアルでは5m以内となってますが、受光範囲はかなり広く、受光部が見えないところからでも信号は通りました。うん、優秀。

 リモコンからの操作では、入力それぞれにボタンが用意されているので、そのボタンを押すだけでダイレクトに選択可能。本体の入力切替ボタンは1つのボタンで4つの信号を切り替える方式なことを考えると、リモコンからの操作だけを想定した製品なんでしょう。リモコンは小型なので、なくさないように気をつけないと……。

 画質調節は、明るさ、コントラスト、カラー(彩度)、色温度の4つのボタンを押すと、それぞれの調節バーがOSDで表示される形式。色に関してはデフォルトでそこそこの画像がでてますが、ちょっと彩度と色温度が低めに感じたので、調節して満足できる設定にできました。

 信号は自動では識別してくれなかったので、入力切替ボタンの「YCbCr(コンポーネント)」ボタンを押して選択。すると2、3秒程度のタイムラグの後、表示してくれました。うん、フリッカは多少感じますが、それほど多くはなく、6時間ブッ続けとかでなければ大丈夫な範囲だと思います。

 で、画質はというと。うん、色にじみはまったくといっていいほど感じませんね。キャッチコピーそのままという感じ。この価格、このサイズで画質調節機能を利用できるのはありがたいです。

 で、信号の受信も安定している様子。中にはゲームでは場面転換時などで信号をロストしまくり、ロストしたら30秒は復帰しないようなスキャンコンバータもありましたが、プレイステーション 2用ゲーム「エアレンジャー2」を1時間ほどプレイした限りでは、信号のロストはまったくナシ。もちろん、DVDビデオ再生時も問題ありませんでした。ビデオテープのサーチ時にロストすることはありましたけど、これはまあ仕方ないかと。

 全体的にいい感じでんです。が、なんというか、画質的にシャープさが全然足りない印象なんですよねー。全体的にぼやっとした感じになってしまうのがなんとも。ゲーム中に表示される文字や、DVDビデオの字幕などはちゃんと読み取れるシャープさはあるんですが、輪郭がぼやけてしまって、なんとも締まらない。

 S映像、コンポジットにビデオデッキを接続して見た映像も、コンポーネント映像と似たような印象。コンポーネントに比べると多少色のにじみが増える程度。が、ぼやけた画質に色にじみが加わるので、全体的にボケボケ感が増してしまい、きれいな画質とは言いがたいものでした。S映像までならなんとか見られるんだけどねー。コンポジットになると字幕の文字もぼやけ気味になってしまうので、正直あまりお薦めできません。

 画質調節機能があるのはありがたいんですが、色関連のものばかりで、肝心のシャープネスはナシ。まあ、チップとの相性などで改善されるとは限らないんでしょうけど。……「あぷこん4」ではさらにシャープさを追求して欲しいと思います。

入力信号は手動切り替えオンリー。OSDで現在の入力信号を示してくれる 画質調節はOSDでそれぞれの項目を表示。+/-で調節でき、ステップ数は255


PC用ディスプレイを安価に活用したいなら

 色のにじみはまったく感じませんでした。けど、画質的には「X-RGB2plus」よりは劣る感じ。フリッカはまだ我慢できますが、とにかくボケが気になります。とにかくシャープな画質を求めている方にはちょっとお薦めできません。が、このサイズで3系統入力をリモコンで切り替えられる利便性は確保していますし、リモコンからの画質調節も可能。ステップ数も多く、納得できるまで飽きるまで調節が可能、小さなボディにこれだけの機能を持っているということが驚き。それなのに、お値段は抑え目。設置面積はかなり控えめ。

 販売されているのを見かけることが多いのはPC周辺機器店や、大手量販店ゲームコーナーなど。プロモーションは両方の販売店で結構見かけることが多かったように思いますが、パッケージに描かれているのはXboxのゲームキャラクター。おそらくゲームユーザーを意識した製品だと思います。信号のロストはビデオの早送り再生時など、不安定なソース以外ではなかったし、プレイステーション 2を接続した状態で信号のロストは発生せず。信号のロストがあるようなスキャンコンバータが結構あることを考えると、安定していていいんじゃないでしょうか。

 ゲームユース以外にも、PC用ディスプレイでアナログ機器を活用したいという方にもよろしいかと。価格も比較的安価で、設置面積もほとんど取らず、同梱のケーブルが大量にあって、ケーブルに追加投資する必要もなし。最大3系統を切り替えて使用できるのも良いのでは。ま、画質的にコンポーネント入力以外は、かなり見劣りしてしまうのが難点ですけど。

□コンパルのホームページ
http://www.compal.to/
□製品情報
http://www.compal.to/products/products/usc-003/index.html
□関連記事
【4月19日】コンパル、コンポーネント入出力対応アップスキャンコンバータ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020419/compal.htm

(2002年9月5日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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