気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】

第79回:PCで録画した映像をテレビでも楽しみたい
コンパル「Tempest XGA Pocket EX」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

アップスキャンのつぎはダウンスキャンも

 我が家のマシンに入ってるビデオカード、ATI「RADEON VE」にはS映像のテレビ出力が標準でついてますけれども、解像度を落としてもフリッカが激しすぎてまともに視聴が出来ないのです。そういえばこのマシンを組むときには録画した番組をテレビで見たい、という野望を持ってたような……。

 そんな野望を思い出しつつ、店頭を眺めていたときに見つけたのが、コンパルの「Tempest XGA Pocket EX」であります。コレはいわゆるダウンスキャンコンバータで、対応解像度は1,024×768ドットのXGAまでのPC画面をテレビに出力するという製品。Windows環境のみならず、Macintosh環境にも対応するなど、ほかの製品にはない機能が豊富らしく、中でも魅力的な機能がコンポーネントで出力可能なこと。

 うーん、いまんとこコンポーネント対応のテレビは持ってないけど、標準価格は19,800円のところ、販売価格は控えめの15,800円。うーん、1,600×1,200ドットのUXGAに対応する製品とかもあるけど、お値段も手ごろだし、機能も豊富だし、やはりコレじゃないかと。アップスキャンコンバータもあることだし、ダウンスキャンコンバータも必要だよね。


本体ちいさめ、でも設置は大変?

 ということで、買ってきました。同梱品は、本体のほかには専用のケーブル類がどっさり。ノーマルのケーブルといえばS映像ケーブルとコンポジットケーブルたけですね。

 まず、電源関連。電源供給はPS/2もしくはUSB端子から。PS/2、USBの2種類の電源ケーブルが同梱しており、電源側の端子形状は通常の丸型。なお、別売のACアダプタを電源にすることも可能。

 コンポーネントケーブルは、D-Sub 15ピンをRCA 3ピンで接続するタイプ。ま、いわゆる専用ケーブルですな。PCとの接続ケーブルには、H型ケーブルが付属。これはオス→メス形状のD-Sub 15ピンコネクタでPCからの信号をスルーアウトさせ、そこから分岐したD-Sub 15ピンコネクタをダウンスキャンコンバータに接続する、という方式。

 で、本体は、「Pocket」の製品名どおり、小型でどこにでも設置できそう。本体前面には7つのボタンが配置され、画面位置とメニューの項目を移動するカーソルボタンと、メニューを表示する「MENU」ボタン、画面をVGAサイズに拡大する「ZOOM」ボタンなどを配置。入出力端子は、S映像出力×1、コンポジット出力×1、アナログRGB D-Sub 15ピン入力×1、D-Sub 15ピン形状のコンポーネント出力×1となってます。なお、コンポーネント出力を行なうにはディップスイッチの切り替えが必要で、S/コンポジットとの併用はできません。念のため。

 では、設置してみますか、と思ったところでちょっと問題が。我が家のテレビの設置位置はPCから約2m離れた場所。2点間をつなぐには、何かしらケーブルが必要になるわけで。

 「Pocket」だけに本体はコンパクトなんだけど、当然ながらケーブルに設置位置を拘束されます。H型ケーブルでスルーアウトさせることを考えると、設置位置はPCに近い方が圧倒的に有利。ケーブル長は約1mなので、残念ながらテレビには届きません。しかし、本体には操作ボタンがついてるから、できればテレビの近くに置いておきたい。

 が、そのためには別途延長VGAケーブルなどを用意してテレビまで延長しないとだめ。VGAケーブルはある程度以上の品質を求めると、かなり太くなるからケーブルが邪魔になり、さらにUSB端子からもPS/2端子からも離れるため、別途ACアダプタを用意しないといけないという弊害が。うーん、どちらも一長一短だけどなー。

 で、結論。我が家のようダメダメな環境だと、延長VGAケーブルを取り回してpocket本体をテレビ側に近づけるか、操作の使い勝手を犠牲にしてPC側に置くかのトレードオフ。二者択一。どっちかのみとなります。うーん、手元にVGAケーブルがないからとりあえずPC側に置いとくかな……。

 しかし、こういう事態はあらかじめ想定済みなのか、付属のS映像ケーブルは2mと長め。これなら別途ケーブルを購入することなく使用できますな。結構細かい配慮がされてるじゃないですか。

パッケージ。本体サイズの割にやっぱり大きめ パッケージの中のケーブル類。専用ケーブルが多い 電源供給用のUSBとPS/2電源ケーブル。ACアダプタはオプション

PCとの接続に使用する付属のH型ケーブル。PC用モニタにスルーアウト可能 コンポーネント出力は付属のD-Sub 15ピン→RCA 3ピンケーブルを使用 本体上面。手のひらに乗る程度で、かなりコンパクト
本体前面。カーソルボタンやメニューボタンなどの操作ボタンを装備 本体右面。電源入力端子の隣りはコンポーネントとS/コンポジット出力切り替え用ディップスイッチ

本体左側面はPCからの信号を受けるアナログRGB D-Sub 15ピン端子のみ 本体背面。コンポーネント出力用のD-Sub 15ピン出力端子と、S/コンポジット映像端子がある


輪郭は太めになるものの、なかなかの再現度

 では、とりあえずは付属のS映像ケーブルを接続して、電源はUSB端子から給電。テレビを外部入力にセットすると、お、映りましたよ。

 最初に表示してみたのは、XGA解像度のスチル画面。んー、流石にXGAでは解像感がつらい感じですな。ブラウザの文字はフォントサイズ大ならば何とか読めないことはありませんが、解像度を落としている関係上か、ラインが太って見えてしまい、かなは読めても複雑な漢字になると判読はほぼ不能。でも、「RADEON VE」のテレビ出力機能で感じていたようなフリッカはほとんどなし。

 デフォルトでは画面が縮小された状態になり、いわゆる額縁状になってしまいましたが、そこは本体のコントロールボタンで調節。メニューOSDから画面の高さ、幅を選択して、それぞれを拡大。その後、表示位置をカーソルで調節すればOK。それほどの手間は感じません。

 全体の色の再現性はPC用ディスプレイとの表示と比べるとやはり少々おかしな部分がありますが、画質調節機能は明るさ、コントラスト、色温度、彩度、色の鮮明度の5項目を調節可能。いろいろいじってみましたが、どうも色範囲はPC用ディスプレイより多少狭くなっている様子。けれども、不自然さを感じることはなく、それほど目くじらを立てるほどのことはないかと。

 かなり便利に感じたのは「ZOOM」機能。これはVGA以上の解像度表示時に、PC画面を640×480ドットに拡大して表示する機能。画面に収まらない領域を表示するには、カーソルボタンで移動するだけ。解像度を変更するのが面倒なときに、手軽に画面を確認できるのがいいかと。ま、それでも14インチのテレビでは判読は厳しいんですが……。

 で、スチル画面で使用する際の実用的な解像度は、どうもSVGAまでが限界ですなー。XGAだと基本的に文字が判別できません。しかし、SVGAまで落とせばなんとか識別は可能。うーん、ビデオキャプチャカードに付く録画/視聴ソフトの最低解像度も800×600ドットのことが多いし、テレビ録画専用マシンを組むようなことがあれば、解像度をSVGAにしておけばPC用ディスプレイはサブでいけるかも。

 さて、肝心の映像はというと、うーん、ま、なかなかいいんじゃないでしょうか。DVDの再生は専用プレーヤーと比べると、多少フリッカをきつく感じますが、そのほかはほぼ同じ。ただ、アニメなど輪郭がはっきりした映像だと、やっぱり輪郭が多少太って感じますね。しかし、静止しているシーンだと多少気になる程度で、動画であれば問題ないでしょう。もちろん、録画したMPEGファイルを再生したときも感覚はほぼ同じ。S映像でも必要十分な性能になってるかと。

 で、目玉となっているコンポーネントの映像。ウチには環境が無いので編集部のテレビに接続した感想はというと。うん、色のにじみがより押さえられているから、よりシャープになった印象。輪郭のにじみも押さえられているので、スチル画面の文字もより読みやすくなってます。ただ、フリッカの具合は同程度なので、2、3時間の映画を見ていてもそれほど疲れることはないと思いますが、それ以上の長時間視聴はつらいかも。

 実用解像度は800×600ドットのSVGAなので、メインで使用しているPCとの併用は正直つらいかもしれませんが、最近ではPC録画用の専用マシンを組む方も多いとか。専用マシンであれば、多少解像度が低くても支障はないだろうし、録画されるソースはそれより解像度が低いNTSC。PCモニタは解像感が高く、せっかく録画した番組でもアラが目立ってしまうという弊害も。

 対して、テレビで見る映像であれば多少フリッカがきつく、輪郭も太ってしまいますが、ほぼ放送と同じような印象。いい感じにマイルドになるんですな。録画専用PCを大画面テレビの脇に設置して、普段はテレビで視聴。設定などが必要になったらPC用液晶モニタなどを接続して、細かい文字表示も確認、というスタイルが実行できれば、当初の野望が完璧に達成できると思いました。


録画専用PCが欲しくなるような製品

 文字が読みにくかったり、色の再現性が多少狭くなったりと、PCモニタとまったく同じ状態をテレビに再現するわけではありません。けど、SVGAまで解像度を落とせばブラウザでサイズ大の文字が何とか読める解像感。もちろん、フリッカはほとんど感じません。うん、いいんじゃないでしょうか。

 解像度の切り替えは当然PCでしか行えないので、PCとテレビが離れた位置にある我が家のような環境では「よし、テレビでみるぞ」と一大決心をしなければならず、当初の「テレビで気軽に視聴」という野望は達成できませんでした。

 そして、実際に使ってみたところ、一番のネックになると感じたのは、やはりケーブルの取り回しでしょうなー。付属のH型ケーブルではケーブル長が微妙に短くて、PCから1m以上離れたテレビの近くに持っていくことはほぼ不可能。別売のVGAケーブルで延長しようと考えても、VGAケーブルってのは品質の悪いものだと結構ゴーストが出てしまうので、ケーブルの直径はある程度以上のものが必須。となると、ケーブルの取り回しがさらに困難に……。

 色や位置の調節などは一度調節してしまえばあとは気にならないんですが、ZOOM機能はいつでも使いたい機能なので、本体をPC側に置いておくのはちとつらい。どうせならリモコンがほしいかな、とも思う今日この頃。

 とはいえ、さすがに専用機器、多少輪郭が太りますが、これまでビデオカードのテレビ出力機能では実現できなかった画質です。PCとテレビが近い位置にあるような環境の方にはかなりお薦め。コンポーネント出力もついているので、PC録画した番組を大画面で楽しみたい、というニーズをお持ちの方には特にいいんじゃないでしょうか。

 しかし、一般的なミドルタワーケースだとサイズがサイズだけにテレビの近辺には置きにくいよなー。最近流行のキューブ型やブック型ケースとか、メーカー製の小型PCとかでないと……。ダウンスキャンの性能はいいんだけど、このメリットを受けられる環境は結構シビアかもしれないと思います。少なくとも我が家では大幅な模様替えが必要。どうすっかな。

□コンパルのホームページ
http://www.compal.to/
□製品情報
http://www.compal.to/products/products/pve-px22/index.html
□関連記事
【4月1日】コンパル、コンポーネント出力搭載ダウンスキャンコンバータ
―DVDが綺麗に見えるように発色を改良
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020401/compal.htm

(2002年9月13日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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