【バックナンバーインデックス】



[週刊] デバイス・バイキング
PC上の映像データをテレビで視聴
MTVとの連携で家電並みの操作感を実現
カノープス 「DigitalVideoPlayer」
発売日:5月上旬
標準価格:29,800円

■ パソコンで録画した映像をテレビで見たい!

 テレビキャプチャカードの普及も一段落し、そろそろ次の展開がほしいところ。たとえば、パソコンメーカーは、ソニーのVAIO MediaやNECのSmartVisionなどのように、テレビキャプチャ機能とホームサーバー機能を組み合わせた展開を熱心に行なっている。カノープスでも「HomeEdge」というソフトを発売し、同社のキャプチャカード「MTV」シリーズと組み合わせた、ビデオサーバーソリューションを提唱している。

DigitalVideoPlayerはVideoGate1000とリモコンユニット「CRM-1」、専用にカスタマイズされた録画/再生ソフト「FEATHER」から構成される

 もう一方が、「テレビでPCの動画を見る」という展開。たとえばソニーはサーバーソフトVAIO Mediaと組み合わせた「ルームリンク」を、ソーテックやメルコは「Play@TV」などを発売している。カノープスでも、VideoGateというD1端子装備のテレビ出力カードを出しているが、これは単なる出力用のカード。

 例えばルームリンクでは、リモコンでパソコン上のメディアファイルにアクセスして操作が行なえるため、パソコンを直接操作せずにテレビで映像コンテンツなどを楽しむことができることを考えると、やや機能不足な感は否めない。

 そこで登場したのが、このDigitalVideoPlayerだ。ハードウェア的には「VideoGate 1000」に、リモコンユニット「CRM-1」を同梱しただけの製品だが、MTVシリーズ用録画/コントロールソフト「FEATHER」をVideoPlayer用に改良することで、テレビ画面を見ながらリモコン操作でMPEG-1/2などPC上のメディアファイルの再生が行なえるようになったのが特徴。価格も29,800円と、VideoGate(22,800円)プラス7,000円で購入できるので、それなりにお手ごろだ。

VideoGate 1000 D1出力と、S映像出力(コンポジット出力兼用)、アナログ音声出力を装備する 「CRM-1」


■ MTVとの強力な親和性。DivXなど外部コーデックでの録画/再生にも対応

DigitalVideoPlayer用のFEATHER。右上のRMボタンで切り替えが可能

 このDigitalVideoPlayerのコンセプトは、MTVシリーズと組み合わせて、キャプチャした動画データをVideoGateからテレビに高画質出力を行なうというもの。

 早速、MTV1000を装備したテストマシンにVideoGateを挿して、CD-ROMからMTVとVideoGateのドライバおよび、専用のFEATHERをインストールした。もちろん通常のFEATHERとしてMTVの録画設定や映像の再生などが行なえるが、特徴は、リモコン(CRM-1)を利用し、専用GUIを介して、テレビ画面上でFEATHER上のメディアライブラリの操作が行なえること。FEATHERの上部にある青字で「RM」と印字されたボタンをクリックすることで、VideoGateからの出力が行なえる。

 早速MTVのTVチューナ入力をVideoGateのD1端子から出力し、三菱製の28型テレビ「28W-HR1」で鑑賞してみたが、画質はかなり良い。改めてVideoGateの基本性能の高さがうかがえる。

 また、スルー出力とMTVの普通モード(5Mbps/CBR)で撮った映像の出力を比べてみると、ややボケがちな傾向はあるものも、総じて高画質。高画質モード(8Mbps/CBR)なら、スルー出力とほとんど違いを感じず、MTV1000で記録した映像データは大画面テレビの出力に耐えうるクオリティであることが確認できる。

 また、従来のFEATHER同様に、ソフトウェアエンコードにも対応しているため、プロファイルさえ作っておけば、MPEGのみならず、DivXなどのAVIコーデックでの録画や出力も行なえる。また、S映像端子とD端子の同時出力にも対応している。

ソフトウェアエンコードの設定も可能 キャプチャデータはMEDIA LIBRARY上で管理される
VideoGateの出力設定



■ 操作感レスポンスは良好。デスクトップ機能も搭載

メインメニュー

 パソコンの電源さえ入っていれば、FEATHERのON/OFFがリモコンで行なえる。リモートモードは、FEATHER起動後に「SHIFT」ボタンを押しながら「VIDEO」ボタンを押すことで切り替えられる。

 リモートモードにすると、リモコンでメディアファイルの操作が可能となる。L1ボタンで専用のGUIが立ち上がり、「MEDIA LIBRARY」、「TV視聴」、「予約」、「デスクトップ」の4つのメニューが現れる。

 「MEDIA LIBRARY」は、FEATHER上のメディアファイルが管理されており、ファイルを選択し、再生することができる。ライブラリは基本的にファイル名で管理されており、MTVでiEPG録画したファイルであれば、大抵が番組名で表示される。


MEDIA LIBRARY

 MEDIA LIBRARYはFEATHERのライブラリ機能「MEDIA LIBRARY」をテレビで表示しているため、FEATHERのライブラリで新たなカテゴリを作って、メディアデータを登録すれば、専用GUI上のライブラリにも変更が反映され、「映画」、「音楽」などカテゴリごとの表示が行なえる。

 なお、テレビ上でのライブラリ変更は行なえない。また、MTV以外のキャプチャカードで録画したビデオデータなども、FEATHERのMEDIA LIBRARYに登録することで、テレビ上での操作が可能となる。


 「TV視聴」は、その名のとおりテレビ閲覧モード。テストマシンは今となってはローエンドに近いPentium 4 1.6GHz搭載機だが、チャンネル変更のレスポンスはよく、ほぼ1秒以内に変更できる。また、録画ボタンを押すだけで、放送中の番組の録画が開始される。録画画質の設定などはパソコン側で行なう。

 また、テレビの再生中にリモコンのL2ボタンを押すことで、再生画面の静止画キャプチャも可能となっている。懸賞の応募先や、料理番組のレシピのメモといった用途にはかなり役立つ機能だ。

予約機能では時間指定録画が可能。画質モードも選択できる 「CRM-1」。テレビなど家電製品のリモコンと比較するとやや小さめ。デスクトップ機能はシフトボタンを押しながらカーソルキー操作を行なうので、小さすぎて操作しずらい

 「予約」メニューでは、録画予約設定が可能。iEPGは利用できず、チャンネルと時間指定、録画モードの選択、カテゴリの設定などが行なえる。また、録画予約の確認もできる。

 珍しい機能が「デスクトップ」。その名のとおりパソコンのデスクトップをテレビに表示する機能で、「SHIFT」ボタンを押しながらリモコンのカーソルキーを操作することで、パソコンのマウスカーソルの操作ができる。

 テレビに表示する際の領域は360×240/540×360/720×480ドット/フルスクリーンから選択可能。キーボード入力もできず、さらにリモコンが小さいため、通常のパソコン操作にはあまり向かない。しかし、iEPG予約のためにブラウザを立ち上げて、目的の番組情報をクリック、録画設定を行なうということはなんとか可能だった。「予約」メニューでiEPG予約ができないことを考えれば、こうした機能があることは歓迎できる。

デスクトップ機能。360×240ドット表示時。テレビ上にパソコン画面を表示する フルスクリーン表示も可能となっており、更新レートも設定可能

【5月19日追記】
※記事初出時にデスクトップ機能の表示解像度は「360×240ドットのみ」としていましたが、正しくは4段階の変更が選択可能となっております。ここに訂正させていただきます。

MEDIA LIBRARYでファイルを選択し、再生

 リモコンでは、30秒間(FEATHER上で設定可能)のスキップ/バック機能や、巻き戻し/早送りなどの操作も可能。操作性は総じていいのだが、やや気なったのが、リモコンの使い勝手。例えば数字キーは0~9までしかないため、テレビで12chを選択しようとすると[1]、[2]と続けて選択しなければいけない。家電用のリモコンなどと比べるとやや使い勝手が悪く、特に「デスクトップ」機能でマウスカーソルを動かす際もキーの小ささが気になる。

 リモコンのレスポンスはよく家電製品にかなり近い完成度なだけに、このあたりで「まだまだパソコン周辺機器だな」と感じてしまう。

 また、残念なのは現在のところHomeEdgeとの共存が不可能という点。HomeEdgeは、サーバー上のメディアファイルを各クライアントPCから閲覧したり、録画予約を行なえるソフトだが、DigitalVideoPlayerを利用する際は、メディアファイルにアクセスできるマシンは1台に限定されてしまう。

 要するにテレビ出力できるマシン以外からメディアファイルにアクセスすることはできない。このあたりはカノープスも十分承知しているようで、今後の対応課題として挙げていた。今後の展開に期待したいところだ。

 なお、コピープロテクトの有無に関わらず、DVDビデオやビデオCDの出力は行なえない。DVDレコーダなどでDVD-R/RWに録画したDVDビデオなどの出力ができれば、利用範囲が広がってよかったのだが……。


■ MTVユーザーにはお得なパッケージ

 画質、表示品質については従来の製品と変わらず大きな驚きは無いが、改めてMTVやVideoGateの品質の高さを確認できるパッケージといえる。足りないと思った機能は、テレビ画面上からのiEPG予約だが、これも発表会の際には「検討している」とのことだったので、次世代機などでの対応を期待したい。

 メディアファイルの連携などを考えると、他のキャプチャカードのユーザーにとってはあまり使い勝手は良くないため、MTVシリーズの強力なオプション製品という位置づけが妥当なところだと思う。しかし、実売価格も25,000円前後と手頃で、テレビでPCのビデオデータを見たいと考えていたMTVユーザーにとっては、魅力的な製品だろう。

 逆に言えば、こうしたソリューションを用意することで、「キャプチャカードとしてのMTV」の魅力をより強固にしたともいえそうだ。ビデオキャプチャカードの今後の展開を考える上で、かなり面白いパッケージといえる。また、VideoGateとCRM-1のユーザーであれば、ソフトウェアは無償で入手できるのも、ありがたいところ。

 PCベースの録画システムといえば、録画データの編集性の高さや、取り扱いの容易さなどが上げられる。DigtalVideoPlayerは最初の製品から、高いレベルで家電的な操作感を実現しており、家電メーカーのHDDレコーダ製品よりレスポンスが良いと感じる場面もある。そろそろ家電メーカー製HDDレコーダの値段もこなれてきており、「比較的低価格」という、PCベースの録画システムの大きなメリットも失われつつあると感じていたが、改めてパソコンの汎用性/ポテンシャルの高さを感じさせるパッケージ製品だ。

□カノープスのホームページ
http://www.canopus.co.jp/
□製品情報
http://www.canopus.co.jp/catalog/videogate/digvply_index.htm
□関連記事
【4月16日】カノープス、TV画面でPC上のメディアを操作できるTV出力キット
-アナログキャプチャに特化したUSB 2.0ユニットも発売
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030416/canopus.htm
【5月3日】今週見つけた新製品(AKIBA)
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20030503/ni_i_vc.html#dvp
【5月7日】カノープス、DigitalVideoPlayer用ソフトのアップデータ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030507/canopus.htm

(2003年5月16日)

[usuda@impress.co.jp]


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