■ ロバート・デ・ニーロとエディ・マーフィーが共演
作品としても、ロバート・デ・ニーロとエディ・マーフィーが初競演という話題性もある。価格も、ワーナーのタイトルということで、新作ながら2,980円とお手ごろ。ということで、今回はあまり深く考えずに「ショウタイム 特別版」を購入した。
■ 刑事もの定番のストーリー パトロール警官トレイ・セラーズ(エディ・マーフィー)は、役者志望の夢を捨てきれぬ目立ちたがり屋。ある夜のロサンゼルスのコンビニ。トレイは、怪しげな男どもと密談する不審な人物に目をつけた。しかし、その男はロス市警きっての堅物で、勤続28年のおとり捜査官であるミッチ・プレストン刑事だった(ロバート・デ・ニーロ)。ミッチは麻薬ディーラー(モス・デフ)におとり捜査を行なっているまっ最中。しかし、勘違いしたトレイは、これぞ待ちに待ったチャンスと無線で応援まで呼んで、密売の現場に踏み込む。 警察無線を傍受していたマスコミは、空からヘリ、地上からTV中継車でやってきた。動転した麻薬ディーラーは、大型マシンガンをぶっ放しつつ逃走。ミッチは追いかけるが、取材陣もしつこく追い回す。キレたミッチは、思わずピストルでTVカメラをぶち抜いてしまう。 ミッチは、次の日の新聞の一面を飾ってしまうが、それに敏腕女性プロデューサーのチェイス(レネ・ルッソ)が目をつけて、ミッチとトレイを主役としたTV番組を企画。前代未聞の警察ドキュメント番組「ショウタイム」がスタートした。 監督は「シャンハイ・ヌーン」の監督を務めたトム・デイ。脚本はこれがデビュー作となるキース・シャロンと、「リーサル・ウェポン4」のアルフレッド・ゴウ&マイルズ・ミラー。音楽はアラン・シルベストリ。製作は「レッド プラネット」のジョージ・サラレギーと、デ・ニーロの映画会社トライベッカ・プロダクションズからジェイン・ローゼンタール。製作総指揮には、ウィル・スミスも名を連ねている。 やはり、こ映画でもっとも注目されるのは、ロバート・デ・ニーロとエディ・マーフィーの共演だろう。それも、刑事コンビとしての共演だ。エディ・マーフィーは、「48時間」や、「ビバリーヒルズ・コップ」と刑事アクションに数多く主演しているが、デ・ニーロは、警官に扮した作品は「フローレス」や「15ミニッツ」などがあるものの、アクションものではなかった。しかし今回は、デ・ニーロも身体を張った、体当たりの演技を見せている。 新米刑事と、ベテラン刑事がコンビを組まされ、最初は衝突しているが、次第に友情のような連帯感が生まれるというのは、刑事ものとしては定番中の定番のストーリー。だからこそ、難しいことを考えずに観ることができる。デ・ニーロとエディという実力のある2人の丁々発止のやりとりも、安心して見ていられる。 また、見所としては、やはり激しい銃撃戦とカーチェイス。そして、8万トンの水を使ったクライマックスと、とにかく派手なシーンが目白押し。それも、CGやVFXが前面にでたものとちがい、リアルなシーンがほとんど。本編が95分と、テンポよく、肩肘張らずに楽しめる作品にまとめあげられている。 さらに、'80年代に刑事ドラマ「パトカー・アダム30」としても人気を集めたウィリアム・シャトナーが、デ・ニーロとエディ・マーフィーに刑事役の演技指導をする本人役で特別出演しているのも注目だ。個人的には、「あっ、カーク船長だ!」と思ってしまったが……。
ストーリーとは直接関係ないのだが、密着カメラマンがCanonのDVカメラ「XL1S」(XL1かもしれないが)を使っていたことに驚いた。欧米では、かなり使われているという話は聞くが、放送局関連でも違和感なく使っている様子が垣間見えた。
■ 大迫力・大音量の銃撃戦とカーチェイス 音声は英語、日本語吹替えともにドルビーデジタル5.1ch。ビットレートは英語が448kbps、日本語が384kbpsとなっている。とにかく、銃撃シーンや、カーチェイスが多く、LFEも効果的に使われ音響面の迫力は高い。ボリュームに注意しておかないと、大音量に飛び上がるほど驚くかもしれない。是非とも、DTSでも収録してほしかった。一方、取り囲まれるようなサラウンド感があるシーンはほとんどないので、その点はあまり期待しない方がいいだろう。
未公開シーン集は、「トレイの告白コーナー」が最注目。告白シーンを、エディ・マーフィーが何通りもアドリブで演じていて、エディ・マーフィーのすごさを実感できる。 一方、メイキング・オブ・ショウタイムは、ウィリアム・シャトナーが司会で面白くまとめているのだが、この映画の見所である銃撃シーンや、カーチェイスのメイキングがないのが残念なところ。収録時間も短いし、もう少し充実させて欲しかった。 また、隠しボタン(いわゆる、Easter Egg)で、「ショウタイム プロモーションクリップ」(1分)を見ることができる。たいした内容でもないけれど、わざわざ「隠しボタン」と製品情報に書くぐらいなら、隠さなくてもと思ってしまう。ここでネタをばらすのも興味をそがれるかも知れないので、どこにあるかは書かないけど、結構探してしまった。 さらに、監督トム・デイ、製作ジョージ・サラレギーによるオーディオコメンタリ(192kbps)も収録。トム・デイ監督は「2作目で、2人のスターと仕事ができて、学ぶことが多かった。スムーズに撮影が進んだのは2人のおかげだ」かなり影響を受けたようだ。 「実力がある俳優なら、思うままに演じてもらうことが必要だということを肝に銘じた」、「デ・ニーロからは、スコセッシ監督の監督法を教えてもらった」とも語っている。また、エディ・マーフィーについては、「汚い言葉が散りばめられているはずだが、編集でうまく落としている」とのこと。ただ、アドリブでエディ・マーフィーが「エホバの証人」といっているところは、日本語の翻訳では単に「宗教」としているのが気になった。 コメンタリーを聞いてはじめて理解できたシーンもあった。トレイがミッチに「格子柄のシャツはダサい。無地の方がいい」というシーンがあるのだが、本編だけ見たときはミッチは無地のシャツを着ていて、どいうことだろうと、疑問だった。コメンタリで、「柄が細かくて、映像で見るとほとんど無地に見えてしまう。後悔している」ことが明かされる。これを聞いてやっと理解できた。
■ デ・ニーロ父娘の共演も見逃せない 見終わった後、考え込まされ何かが残るという映画ではないが、とりあえず素直に楽しめる。95分にまとめているのも、スピード感が出て見易さに貢献している。週末、何も考えずに近所迷惑にならない程度に大音量で、リラックスして楽しむのには最適なタイトルだ。2,980円分の価値はあるだろう。
□ワーナーホームビデオのホームページ (2003年6月17日) [AV Watch編集部/furukawa@impress.co.jp]
|
|