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3.5インチ液晶搭載の小型ビデオプレーヤー
128MBメモリ/SDカードスロットを搭載
ディーエイチ・テック 「DM-AV10」
発売日:5月上旬発売
実売価格:37,000円前後


■ 128MBメモリ/SDスロット搭載のDivXポータブルプレーヤー

 そろそろポータブルビデオプレーヤー市場に、先週レビューしたソニーのMPEG-2/4対応プレーヤー「HMP-A1」をはじめ、さまざまな製品が登場している。

 そんな中、韓国DMTECHNOLOGYの日本子会社である株式会社ディーエイチ・テックから発売されたのが、ポータブルビデオプレーヤー「DM-AV10」だ。3.5インチの大型液晶を備えながら、実売で37,000円前後と比較的安価なビデオプレーヤーで、DivXやMPEG-4の再生が可能。さらに、AV入力を備えており、MPEG-4形式でのビデオ録画もできる。

 デザインも悪くなく、「HMP-A1」と比較すると大幅に小型/軽量で、電車などでの利用にはこのくらいの大きさが適している。なんとなく、デザイン的には2002年に発売されたシャープのMPEG-4プレーヤー「MT-AV1」を思い出してしまう。

 なお、DM-AV10は、5月よりすでに販売開始されているが、6月20日にファームウェアアップデートが予定されている。ファームウェアのアップデートにより、MPEG-4録画にスーパーファインモードが追加されるほか、レジューム機能や、動画/音楽のA-Bリピート再生機能、TEXT表示機能などが追加されるなど、大幅な機能強化が図られる。今回は、この公開前のファームウェアを利用してテストした。


■ 本体の質感は高い。リングストラップがスタンドに

同梱品

 同梱品は、ACアダプタやバッテリ、リングストラップ、キャリングポーチなどが付属する。

 480×240ドットのTFT液晶を搭載し、本体の上部にREC、再生停止、ボリューム、電源、MENUなどのボタンを配置。右側面にAV入力端子と電源入力、SDカードスロットを装備するほか、左側面にLCDのON/OFFスイッチ、ヘッドフォン出力、HOLD、NTSC/PAL切り替えスイッチなどを備えている。

 大型液晶を採用している割に、本体の外形寸法96×18×79mm(幅×奥行き×高さ)、重量約107g(電池含まず)と、小型かつ軽量。シャツの胸ポケットにも十分収まるサイズで、不安になるほど軽いが、シルバーを貴重とした本体デザインの質感はなかなか高い。シンプルで嫌味が無いデザインで、個人的には気に入った。

 背面には60°TLT、30°TLTと書かれたくぼみがあり、リングストラップをこの溝にはめ込むことで、チルトスタンドとして利用できる。発想はシンプルながら、使ってみるとぐらつきもなく、きちんと使えて、ポイントが高い。


前面。3.5インチ/480×240ドットの液晶を搭載 上面。ジョグボタンや電源ボタン、MENU、REPEAT、REC、ボリュームなどを備える 底面からバッテリを収納する

左側面にイヤフォン端子や液晶ON/OFFボタン、HOLDスイッチ、NTSC/PAL切り替えスイッチを装備 右側面にストラップホールやSDカードスロット、AV入力、DC入力を備えている 1,100mAhの専用リチウムイオンバッテリを採用

背面の溝にリングストラップを組み合わせ、60度/30度のスタンドとして利用できる 30度での利用時


■ シンプルな操作性。液晶の品質がイマイチ

 再生可能なコーデックはMPEG-4 SP(Simple Profile)、DivX 3.11/4.0/5.03/5.1.1。MP3ファイルの再生もサポートしており、オーディオプレーヤーとしても利用できるほか、JPEGファイルの再生も可能で、画像ビューワとしても使用できる。なお、USBホスト機能を備えていないため、デジタルカメラを直接接続して、ファイルを取り込むといったことはできない。

変換ソフトの「Transcoder」

 記録媒体は128MBの内蔵メモリに加え、SDメモリーカードスロットも装備。最大1GBのSDカードもサポートする。パソコンからの転送はUSB 2.0経由で行なう。さまざまな解像度/ビットレートのDivXを転送してみたが、640×480ドットなどの解像度が高いファイルは再生できなかった。同社では、QVGA(320×240ドット)/CIF(352×288ドット)以下のサイズで、ビットレート1Mbps以下のファイルに対応するとしている。

 付属の「Transcoder」を使うと、320×240ドット/約100kbpssのRMP4ファイルに変換される。30分のMPEG-2ファイルをThinkPad X31(モバイルPentium M 1.3GHz)で、変換した際の変換時間は約35分。Transcoderで作成したファイルは問題なく再生できた。転送速度は50MBのファイルで3分弱かかり、USB 2.0の転送速度を生かせていないようだ。

 ファイルを転送すると、本体では拡張子を認識し、ビデオ/オーディオ/フォトなどの各ジャンルのメニューから、それぞれのファイルにアクセス可能となる。

 メインメニューでは、左から[録画/録音モード]、[動画モード]、[写真モード]、[MP3 モード]、[TEXT VIEWER]、[設定]画面が用意される。フォルダ管理にも対応し、階層移動が行なえる。

 なお、SDカードと内蔵メモリは、設定画面でどちらのデータを利用するか選択してから利用するようになっており、少々不便に感じた。

メインメニュー SD/内蔵メモリの同時利用はできず、いずれかを設定画面で選択する必要がある

動画モード

 転送したMPEG-4の再生は、上部のジョグボタンで基本操作を行なう。[動画モード]から、任意のファイルを選択し、ジョグボタンを押し込むことで動画再生が行なえる。動作にタイムラグはほとんど無くサクサクと操作できる。また、日本語のファイル名にも対応している。

 リピート再生や、A-Bリピート再生も備えるほか、ファームのアップデートにより、新たにレジュームにも対応する。今回使用したのが開発版のファームウェアのためか、レジューム直後にリップシンクが乱れることもあったが、すぐに元にもどった。

 なお、Transcoderで作成したMPEG-4ファイルのほか、パナソニックのハイブリッドレコーダ「DMR-E100H」で作成したMPEG-4(SD-Video)映像の再生も可能だった。

 気になったのは液晶の品質。画素ピッチが粗いためか、画素間の黒枠がはっきりと見えてしまう。かなり気になるレベルでドットが見えてしまうい、色滲みも結構強く出るので、再生画質はあまりきれいとはいえない。ソニー 「HMP-A1」でも、“画素が見える”と書いたが、あくまでよく見れば、というレベル。一方のDV-M10はじっくり見なくても画素が見えてしまうので、「高画質」にこだわる人にはあまりお勧めできない。

 とはいえ、電車内などのポータブル用途で番組内容を確認しながら楽しむ分にはさほど問題はないだろうし、バラエティ番組の字幕程度であれば十分に読める。また、日光のあたる屋外でも字幕が読める程度には、見ることができた。

設定画面から録画モードを選択する

 本体にはAV入力からの録画/録音機能も装備している。スーパーファイン/ファイン/ノーマル/エコノミーの4モードの録画モードが用意される(スーパーファインはファームウェアアップデートにて対応)。

 [録画/録音モード]に設定し、付属のAVケーブルをビデオデッキなどの映像/音声出力と接続すると、映像/音声信号を自動的に検知し、録画ボタンを押すと録画が開始される。録画モードの設定は、メインメニューの[設定]から変更するようになっており、やや面倒だ。

 録画画質については、下記のサンプルを参照してほしいが、ファインまではかなり“使える”品質といえるだろう。ノーマルではかなりブロックノイズの発生が増えるが、本体の液晶で見る分にはさほど気にならなかった。さすがに、エコノミーではかなり輪郭の破綻などが気になった。

【MPEG-4の録画サンプル】
モード 解像度 平均ビットレート サンプル
スーパーファイン 320×240ドット 832kbps sfine.asf(3.07MB)
ファイン 560kbps fine.asf(2.16MB)
ノーマル 332kbps normal.asf(1.35MB)
エコノミー 198kbps eco.asf(881KB)
編集部注:DVデッキ「WV-DR5」で再生したCREATIVECAST Professionalの映像をAV入力経由で録画した。(c)CREATIVECAST Professional

MPEG-4の再生環境はビデオカードや、ドライバ、OS、再生ソフトによって異なるため、掲載した動画の再生の保証はいたしかねます。また、編集部では再生環境についての個別のご質問にはお答えいたしかねますのでご了承下さい。

タイマー録画に対応。録画中に録画ボタン押し、ジョグボタンで録画分数を設定する

 また、ファームウェアのアップデートで録画タイマー設定が加わったのも大きな特徴。録画開始した後、もう一度録画ボタンを押すと分数選択画面があらわれ、任意の録画終了時間が選択できる。タイマー録画では分数単位での指定が可能。30分番組で30分などと設定すれば、録画終了を見張っていなくてもいいので、大きな進歩といえるだろう。

 バッテリ駆動時間はカタログ値で2時間(液晶OFFで約4時間)。実際にMPEG-4の動画を連続再生したところ、1時間50分強で停止した。通勤時の使用では十分だろうが、長距離旅行のお供には物足りない駆動時間だ。



■ 音楽/写真/テキストビューワ機能も搭載

 [MP3モード]からMP3の再生が可能。リピート再生やシャッフル再生に対応する。付属のヘッドフォンは低域がやや寂しいものの、ビデオプレーヤーの付属品と考えれば、とりあえず満足いく品質だった。

MP3再生画面 付属のヘッドフォン

静止画モード

 JPEG画像などの表示もできるが、やはりドットが粗いため、あまりきれいという感じではない。もっとも画像の確認程度には十分だ。2秒間隔でのスライドショー表示やスライドショーのリピートなども可能となっている。

 新たにファームウェアの更新により追加されるテキストビューワ機能も利用してみた。ジョグボタンの左右で上下スクロールが可能で、下部にスクロール量がパーセント表示されるので、どこまで読んだかかなりわかりやすい。動作も速く、かなり使える印象だが、液晶の色滲みがかなり気になった。

JPEG表示に対応 テキストビューワ機能




■ 完成度が高いだけに液晶の力不足が残念

 機能的は必要十分な性能を持ったビデオプレーヤーという印象。価格も3万円台中ごろと比較的安価。しかし、内蔵メモリだけでも十分使えるとはいえ、やはりSDメモリーカードの追加により、より大容量のコンテンツを扱いたいところ。256MBで1万円強、512MBで2万5,000円強の追加投資を考えると、かなりの出費になる。

 SDカードを余らせているユーザーには比較的手ごろだが、そうでなければ「HMP-A1」などのHDDプレーヤーにも手が届く。とにかく自分の利用スタイルに合った選択をすることが重要になるだろう。

 一方、ファームウェアの更新で、機能が大幅に強化され、不満点が解消されるたのは好印象。惜しむらくはやはり、液晶の基本性能の低さだろう。画素ピッチの広さや色にじみはファームのアップデートでは対応できない。そういう意味ではいま一歩だが、動作の高速性などよく作りこまれており、面白いデバイスに仕上がっている。

□ディーエイチ・テックのホームページ
http://www.dhtech-jp.com/
□製品情報
http://www.dhtech-jp.com/products/DM-AV10.html
□関連記事
【5月19日】ディーエイチ・テック、DivXに対応したビデオプレーヤー
-128MBメモリを内蔵し、SDカードも利用可能
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040519/dhtech.htm

(2004年6月4日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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