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第135回:いろんな映画の良いトコ取り!!
吸血フルオートガンアクション「アンダーワールド」

怒涛のように発売されつづけるDVDタイトル。本当に購入価値のあるDVDはどれなのか? 「週刊 買っとけDVD!!」では、編集スタッフ各自が実際に購入したDVDタイトルを、思い入れたっぷりに紹介します。ご購入の参考にされるも良し、無駄遣いの反面教師とするも良し。「DVD発売日一覧」とともに、皆様のAVライフの一助となれば幸いです。


■ 購入を迷っている人も多いのでは?
アンダーワールド

TM &(c)2003 Subterranean Productions LLC
価格:3,990円
発売日:2004年6月1日
品番:BIBF-5001
仕様:片面2層
収録時間:本編約122分 + 映像特典約45分
画面:シネマスコープ(スクイーズ)
音声:(1)英語(ドルビーデジタル5.1ch)
   (2)日本語(ドルビーデジタル5.1ch)
   (3)コメンタリー(ドルビーデジタルステレオ)
   (4)コメンタリー(ドルビーデジタルステレオ)
発・販売元:株式会社ハピネット・ピクチャーズ

 今回紹介するのは「アンダーワールド」という作品。2003年11月の日本公開前後に、テレビの映画紹介番組で何度か取り上げられ、そこそこ話題になった作品だ。ビジュアルが印象的なので、DVDのジャケットを見て「ああ、あの映画か」と思い出した人も多いだろう。

 監督はレン・ワイズマン。あまり聞いたことのない監督だが、「インデペンデンス・デイ」や「メン・イン・ブラック」、「GODZILLA/ゴジラ」のプロダクション・デザインを担当していた人物で、MTVのミュージッククリップや、各種CF制作にも携わっていたという。そして、この映画が初の長編監督作品となっている。

 主演はケイト・ベッキンセール。パール・ハーバーやセレンディピティで注目を集める実力派で、正直なところ監督よりも知名度は遥かに高い。事実、公開前は「ケイト・ベッキンセールがヴァンパイア役に」とか、「ケイト・ベッキンセールがアクションにチャレンジ」などという紹介のされ方が多かった。

 映画の内容もさることながら、アクション俳優というイメージが薄い彼女が、どんな演技を見せてくれるかも楽しみだ。さっそくDVDを買うために都内の家電量販店に出かけてみると、「踊る大捜査線 THE MOVIE 2」や「ラスト サムライ」、「バッドボーイズ 2バッド」などの大作と肩を並べ、特設コーナーが作られていた。

 ブラックレザーのロングコートに身を包み、大きな月をバックに立つ彼女のビジュアルは、他の作品のジャケットと比べても一際カッコ良く、目を引く。しばし売り場を観察していると、手にとって検討するお客さんが多い。3,990円という価格は、洋画DVDでは標準的だが、低価格化が進む大作と並べると割高感を覚えるかもしれない。また、前述したような作品と比べると知名度が低いので、踏ん切りがつかない人が多いのかもしれない。



■ どこかで見たような設定、見たことない映像

 吸血鬼・ヴァンパイアと狼男・ライカン。2つの種族は数百年前から現在に至るまで、多くの死闘を繰り広げてきた宿命の種族。だが、その戦いにも結末が見えはじめていた。ライカンのリーダー・ルシアンが倒されたのだ。均衡は破れ、ヴァンパイアの中には今後の戦いを楽観視する者も多くなっていた。

 だが、ヴァンパイアの女戦士・セリーンはそんな状況に違和感を覚え、かたくなに戦いを続けている。そんな折、彼女はライカンが人間の青年医師・マイケルを執拗に狙っていることに気付く。「食べるため以外に、ライカンが人間に興味を持つわけがない」というヴァンパイア達の意見を無視したセリーンは、人間との接触を禁じられているにも関わらず、襲われていたマイケルを助けてしまう。ライカンと戦いながら、いつしか心を通わせる2人。だが、マイケルには2つの種族にとって危険すぎる秘密が隠されていた。

 ヴァンパイアを倒すには、日の光、ニンニク、聖水、十字架と相場が決まっている。また、ライカンの弱点は銀だ。だが、映画を見ると両者は普通の銃でドカドカと撃ち合っている。「不老不死のヴァンパイアが拳銃なんかで死ぬのか?」という疑問が頭をよぎるが、よく見ると弾丸が違う。ヴァンパイアは銀色、ライカンは青白く光る奇妙な弾丸を使っている。

 ヴァンパイアが使っているのは銀で作られた弾丸で、硫酸銀をカプセルに入れた弾丸まで登場する。ライカンが使う青白く光る弾丸は、なんと「紫外線弾」だそうだ。つまり太陽の代わりである。「そんなバカな」と言いたくなるような設定だが、どこかで見覚えのある設定だ。真っ先に連想するのはウェズリー・スナイプスのヒット作「ブレイド」シリーズだが、日本のアニメと漫画にも、大聖堂の銀十字架錫を溶かして鋳造した弾丸が登場する「Hellsing」という、良く似た作品がある。

 また、黒づくめの女戦士が派手なアクションで銃を撃ちまくり、時折ワイヤーアクションも挿入されるとあっては「マトリックス」を連想せざるをえない。このような「どこかで見たような……」というアイデアや設定が、おもちゃ箱のように詰め込まれている。

 ただし、これらは決して悪いことだけではない。よくある設定を詰め込んだだけではB級映画になってしまうが、この作品はそうした要素に振り回されず、監督がきちんと表現したい自分の映像を持っている。また、MTV出身だけあり、BGMの使い方やテンポが良く、出来上がった映像は模倣からオリジルへの昇華を印象付ける。「真似でも何でもいいので、カッコイイと思ったものは活用する」というスタイルが小気味良いほど徹底している。

 最大の魅力であるガンアクションも爽快そのもの。登場する銃器はハンドガンがメインで、ベレッタM92やデザートイーグルなど、お馴染みの武器に加え、ワルサー P99、STEYR TMP、H&K USPなど、未来的なフォルムを持つ銃が選ばれているようだ。なお、ハンドガンは軒並みフルオート(連射仕様)に改造されており、ロボコップ同様、引き金を引いただけでおびただしい数の弾がスクリーンを飛び交う。

 「いったい何発入ってるんだ?」とか「片手でフルオートなんて手首がぶれて当たらないだろ、というか、当たってないのに敵が倒れたぞ」とか突っ込み所は満載。だが、2丁拳銃を下に向けて連射し、体を回転させ、床を円形に撃ち抜いて下の階に落ちる(降りる)あたりで、細かいことはどうでも良くなってくる。好きにやってくれ。音響的にも迫力満点だ。

 アクションはインパクト重視だが、ありがちだったストーリーは中盤から大きく変化する。肝はヴァンパイアもライカンも人間にとっては悪や恐怖の存在であるということ。「主人公がヴァンパイアだからライカンが悪玉」という単純な図式ではなく、双方にそれぞれ悪と善の面があり、戦わなくてはならない理由が存在する。このあたりをしっかり描くことで、物語にグッと厚みが出て、悪役も含めてキャラクターへの感情移入も高まる。

 さらに、中世を連想させる大きな屋敷に住み、ゴシック調の豪華な衣装で着飾るヴァンパイアと、ジメジメとした地下に暮らすライカンという対比も面白い。ヴァンパイアは怪物でありながら、独特の美学を持った美しい存在として描かれ、彼らが永遠に生きるサイクルも緻密に紹介する。こうした背景をストーリーの中に織り込むことで、知的な面白さも含んでいる。決して「ヴァンパイアが人間の男と恋に落ちて、最終的に愛ですべてが解決」というだけの作品ではない。骨のある作品に仕上がっており、掘り出し物と言って良い完成度だ。



■ 好きな人にはたまらない日本語音声

 ディスクは片面2層だが、DVD BitRate Viewer 1.4で見た本編の平均ビットレートは5.22Mbpsと低め。夜のシーンが多く、というよりも昼間のシーンは無く、おまけに雨も降っている。MPEG-2には辛い作品だが、雨のシーンでも意外なほどブロックノイズは目立たず、擬似輪郭や色の破綻も少ない。暗部の階調は豊かとは言えないが、明暗のコントラストが高く、メリハリのある映像なので、観賞中に気になることはないだろう。

 音声は日本語、英語ともにドルビーデジタル5.1chで収録。弾丸の発射音やライカンの唸り声などはDTSで聴きたいところだが、ドルビーデジタルでも立ち上がりの良い音で収録されており、迫力は合格点。激しい銃撃戦が途絶え、一瞬の静寂が訪れた時に、リアスピーカーから「チリン…チリン…」という薬莢の落ちる音を響かせるなど、心憎い演出も聴き所だ。

 また、忘れてはいけないのが日本語の吹替え音声。クールな女戦士を田中敦子、守られてばかりでやや情けない青年・マイケルを三木眞一郎が演じている。2人ともアンダーワールドに模倣されたかもしれないアニメで良く似た役を演じていることもあり、イメージはピッタリ。偏った見方だが、声優の名前にピンと来た人は2倍楽しめるだろう。

DVD BitRate Viewer 1.4でみた本編の平均ビットレート

 映像特典は、メイキングやインタビューを中心に約45分収録。初の長編作品ということもあり、映画化に至るまでの監督の苦労話が面白い。題材やストーリーがB級の匂いをプンプンさせているということは監督自身気にしていたようで、「そう思われたくないからヴァンパイアやライカンの歴史をじっくり調べ、再構成し、厚みのある作品に仕上げようとした」と、偏見をバネにしたことを明かしている。

 また、監督によればケイト・ベッキンセールを主演女優に起用できたことが最大の幸運だったという。「彼女のように、実力も知名度もある女優が参加してくれれば、マスコミはケイトを中心にした記事を書く。それだけでB級というイメージは随分払拭される」と、彼女に対する感謝を口にする。甘いマスクとは裏腹に、なかなか抜け目のない監督だ。

 一方のケイトもインタビューの中で「最初はB級っぽいと感じた」と素直に告白。しかし、「アクション映画の女性は、いつも家で夫の電話を待つ妻の役ばかり」と、従来のアクション映画に対する不満があったらしく、美しくも強いセリーン役はお気に入りのようだ。経験のなかったアクションに体当たりで挑戦する姿が特典に収録されている。

 また、黒づくめのファッションも気に入ったらしく「監督と服の好みが同じで嬉しかった」と笑う。やけに仲が良い2人だなぁと思っていたら、なんとこの2人、2004年5月に結婚したとのこと。ごちそうさまでした。


■ ジャケットに惹かれたら「買い」でOK

 観賞前はアクションがメインのお手軽なハリウッド映画かと思っていたが、骨太の世界観とストーリーに支えられ、エンターテイメント作品としての満足度は高い。印象的なシーンも多いので、DVDで観返すことも多いだろう。ただし、狼男の変身シーンや傷痕から血の流れるシーンなど、グロテスクな描写も多いので注意が必要だ。

 監督が表現したい映像が確立されているため、その映像を気に入るかどうかが映画の評価に直結している。確実に言えることは、ジャケットデザインに惹かれたら購入して損はないということだ。

 なお、映画は続編への含みを持たせたラストになっており、事実続編の計画も進行中だという。この作品自体、ヴァンパイアとライカンの宿命の戦いの、最後のほうを切り取ったような印象を受けるので、続編や外伝は違和感なく受け入れられそうだ。こちらの今後にも期待したい。

●このDVDについて
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前回の「踊る大捜査線 THE MOVIE 2」のアンケート結果
総投票数1,309票
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724票
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買いたくなった
280票
21%
買う気はない
305票
23%

□ハピネット・ピクチャーズのホームページ
https://www.happinet-p.co.jp/
□製品情報
https://www.happinet-p.co.jp/title/under/index.html
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http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040311/happi.htm

(2004年6月15日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]



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