■ あの「ホーンテッドマンション」が映画化
映画「ホーンテッドマンション」は、ディズニーランドの同名定番アトラクションにインスピレーションを得たという作品。4月の公開時には、かなりのプロモーションが行なわれ、人気を博していた。 公開後約5カ月でのDVD化となったが、DVD発売日近辺にも、多くのプロモーションが行なわれており、主演のエディ・マーフィをフィーチャしたTVCMも大量に放送。早速都内の量販店に買いに行ったが、どの店も平積みで販促活動にもかなり力が入っている。 ということで、早速購入。ディスクは2層ディスク1枚で、価格は2,980円とハリウッド大作らしく安価。キャスト/スタッフリストが封入されるほか、ブエナビスタが3月19日から10月29日まで展開している「MOVIEST1800 2枚買うと必ずもう1枚プレゼントキャンペーン」の応募マークが入っている。 ホーンテッドマンションに加え、対象タイトルを購入し、同梱する専用ハガキで応募すると、対象タイトルの中から好きな1作品がもれなく無料でもらえるということで、MOVIESTで欲しいタイトルがあれば、さらにお値頃感は高まる。
■ ファミリーにも安心な娯楽映画
ジム・エヴァース(エディ・マーフィ)は、家族想いの不動産業者。仕事に熱中しすぎるあまり、つい妻サラ(マーシャ・トマソン)との約束をないがしろにしてしまうところはあるが、切れのいいセールストークで顧客の心をグッとつかむ。そんなエヴァーズ不動産のモットーは「Evers Evers(永遠の幸せ。家探し)」。 ある日、グレイシーという依頼者から“家を売りたい”と呼び出されたジムは、家族での旅行がてらグレイシー邸に出かける。グレイシー邸は人里離れた古い大豪邸。ジムは、裏手の墓地が気になったものの、大豪邸を仲介できれば格好のビジネス・チャンスとなると目論む。 グレイシー邸に入ると執事のラムズリー(テレンス・スタンプ)、そして主人のエドワード・グレイシー(ナサニエル・パーカー)が現れる。直ぐに出かけるつもりが、食事の折に豪雨がグレイシー邸を襲い、エヴァーズ一家はやむなく旅行の予定を取りやめて、グレイシー邸に宿泊することとなる。しかし、そこで待ち受けていたのは、悪夢のような幽霊との遭遇であった……。 グレイシーと商談を行なうため部屋を出たジムは、ひょんなことから屋敷の奥深くに迷い込む。必死に脱出を試みるジムだが、そこで水晶の中の占い師「マダム・リオッタ(ジェニファー・ティリー)」と出逢い、館の秘密に触れる。一方ジムを探しに出かけたサラは、館の主人グレイシーに出会う。サラに並々ならぬ執着を燃やすグレイシーは、彼の過去をサラに打ち明ける。 あらすじだけ書くと、恐怖の館を舞台にしたホラー映画に思えるかもしれない。しかし、エディ・マーフィ主演ということもあって、実際はコミカルな要素の強いホームドラマにホラー的な要素をブレンドしたという印象だ。ストーリのテンポも良く、ユーモアをところどころで交え展開する。舞台こそ幽霊屋敷だが“怖い”と感じさせることはほとんどなかった。 出てくる幽霊たちも愛嬌があって馴染みやすいので、怖がりな人や子供などと一緒でも、さほど問題なく楽しむことができるだろう。逆に怖さを求める人に物足りない内容かもしれない。本編時間は88分と比較的短かく、幽霊やグレイシー邸の闇の背景についてはやや説明不足にも感じたが、テンポのよさは心地よい。
■ 画質は十分。特典は普通
本編ディスクは片面2層。DVD Bit Rate Viewerでみた本編の平均ビットレートは5.77Mbps。88分という収録時間の割にはやや低めにも感じるが、実際の映像に大きな不満は無い。ものすごく高画質ということも無いが、夜の室内で、間接照明でひそかに照らされる古い館、という非常に難しい条件ながら、暗部のつぶれも少なく、しっかりと細部まで確認できる。 ホラー作品では“見えないこと”に暗示される恐怖を効果的に使うこともあるが、本作では適度に明るく、見渡しがよい。このあたりも安心して見ていられる要因かもしれない。
音声は英語、日本語ともにドルビーデジタル5.1chで収録している。音声のビットレートは英語が448kbps、日本語が384kbps。グレイシー邸の密やかな包囲感もしっかりと表現するほか、後部でのドアの開け閉めなどでは独立してリアチャンネルを鳴らすなどかなり派手な音作り。特にジムとマダム・リオッタとの対面シーンの高速回転などはサラウンド・システムのチェック用としても利用できそうな派手なサラウンド・サウンドとなっている。 特典は、14分のメイキングや、11分のゴーストの撮影方法、バーチャル・ツアー、未公開シーン、NGシーン、ミュージック・ビデオなどを収録している。 メイキングは、ゴーストの撮影方法との重複が多めだが、各スタッフキャストがディズニーランドのホーンテッドマンションについて語ったり、リック・ベイカーによる特殊メイクについて解説される。リック・ベイカーによれば「デザイン段階でディズニーらしさを狙ってファミリー向けにフレンドリーにしたら没にされた。もっとリアルにしろと言われた」という。衣装デザインややせた役者のセレクト/トレーニング風景もなかなか面白く、「ゾンビ」をリアルに見せるのがどれだけ大変か実感できる。 巨大な屋敷や沼地をセットとVFXで作成している様子も興味深く、特に墓地の墓石については実際にディズニーランドで利用しているものも借りてきたという。 「ゴーストの撮影方法」は、VFXによるゴーストの演出などが解説される。また、特殊メイクのリック・ベイカーは自ら首吊り男のメイクで登場して解説。監督のロブ・ミンコフは「優雅なのにぞっとする雰囲気」を目指したと述べている。バーチャル・ツアーは、矢印のナビゲーションに従って屋敷の中を進み劇中のシーンを追体験するというコンテンツだ。未公開シーンは、グレイシー家の謎についてエマ(ディナ・ウォーターズ)と、エズラ(ウォーレス・ショーン)が語り合うというもの。1分程度の短いコンテンツだが、もしこれが入っていたらストーリーはよりわかりやすくなっていたと思う。できれば外した理由なども監督から聞きたいところだが、こうした編集の跡が確認できるというのもDVDならではの魅力だろう。
■ 束の間のディズニーランド気分を
大作らしいソツの無い映像と音声仕様で、適度に怖さを残しつつも、家族皆で楽しめるディズニーらしい作品になっていると思う。そうした意味ではディズニーランドのアトラクションを適切に映像化したという印象だ。 価格も2,980円と安価なので、束の間ディズニーランド気分というのも悪くないだろう。TDLのホーンテッドマンションのファンであれば、実際のアトラクションとの差異を探してみるというのも面白いかもしれない。
□ブエナ・ビスタのホームページ (2004年9月7日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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