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VGAタッチパネル液晶を搭載したHDDプレーヤー ミュージック/フォトリミックス機能が新しい オリンパス 「m:robe」(MR-500i) |
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発売日:11月下旬発売 標準価格:オープンプライス 実売価格:59,800円 |
■ VGA液晶搭載のHDDオーディオ/フォトプレーヤー
パッケージ |
iPod Photoやgigabeat Fシリーズなど、最近のポータブルHDDオーディオプレーヤー市場では、カラー液晶がひとつのトレンドとなっている。そうした中でも他を引き離して大きな液晶を搭載し、多機能をウリにしているのが、オリンパスの「m:robe」(MR-500i)だ。
「m:robe」は、音楽(music)を身にまとう(robe)という設計思想からつけられたブランド。今回取り上げるVGAタッチパネル液晶とデジタルカメラ機能、20GB HDDを搭載した「MR-500i」と、5GB HDD搭載の「MR-100」の2モデルが用意される。
「MR-500i」は、大型VGA液晶を搭載したHDDオーディオプレーヤーで、タッチパネル型のインターフェイスが特徴。背面にはデジタルカメラも搭載し、撮影した画像を本体で確認することもできる。HDD容量は20GB。
VGA液晶を搭載したHDDメディアプレーヤーとしては、エプソンの「P-2000」もあるが、デジタルカメラ画像のフォトストレージ/バックアップ用途がメインのP-2000と異なり、MR-500iではUSBホスト機能やメモリーカードからの画像読み込み機能は搭載していない。また、P-2000で対応しているDivXやMPEG-4などの動画再生機能も装備していない。
MR-500iは、よりオーディオプレーヤー寄りの製品で、「音楽と写真の新しい出会いを演出する」というコンセプトの製品。写真や音楽を自由に組み合わせ、ユニークな音楽付きスライドショーを作成する「リミックス機能」の搭載も目新しいところだ。
カラー液晶搭載のオーディオプレーヤーとしてはiPod Photoがあるが、iPod Photoはデジタルカメラ機能は搭載せず、液晶も2インチの220×176ドットと小型だ。機能的には近い部分もあるものの、写真を生かすという点ではiPod PhotoとMR-500iではコンセプトがかなり異なっている。
価格は実売で約59,800円。HDD容量こそ違うものの、iPod Photo 40GB(57,540円)と直接競合するような価格帯といえそうだ。果たして期待の新ブランド「m:robe」はiPodに迫ることができるのか、早速検証した。なお、今回試用したのは、試作機のため製品版とは仕様等が異なる可能性がある。
■ 白磁器をイメージした本体。VGA液晶はインパクトあり
同梱品 |
本体のほか、AV出力を備えたUSBクレードルや液晶リモコン、ACアダプタ、キャリングポーチなどを同梱している。
本体には3.7型640×480ドットのタッチパネルカラーTFT液晶を搭載。ボタン類は電源/HOLDを除いて本体上に存在しないため、操作は全てタッチパネルで行なうこととなる。液晶に表示されるアイコンをタッチしながら、楽曲検索や、ボリューム調整などが行なえる。
底面にクレードル/USBケーブル接続用のコネクタを装備、側面にリモコン/ヘッドフォン端子を備えている。また、背面にはデジタルカメラも内蔵している。「白磁器をテーマに据えた」というデザインの高級感は充分。各部の仕上げの品質も高い。
本体の外形寸法は109×21×73mm(幅×奥行き×高さ)、重量約210g(本体のみ)。iPod 20GB(158g)など、音楽専用プレーヤーと比べると、やや大きくて重いが、使ってみるとさほど大きさは感じない。ただ、白磁器をイメージしたということもあり、表面が滑らかで滑りやすく、さらにストラップなどの落下を予防する対策などがなされていないので、落としそうで少し不安だ。
大型液晶は映り込みが気になるが、3.7型/640×480ドット液晶のインパクトは高く、ポータブルHDDプレーヤーの液晶としては過去に無い高解像度ぶりだ。
本体前面。3.7型VGAのタッチパネル液晶が最大の特徴 | 液晶裏側にはレンズ部を内蔵し、デジタルカメラとして利用できる | 側面にヘッドフォン/リモコン端子を装備 |
本体上部に電源/HOLDボタンを装備する。本体上の操作ボタンは1つだけ | 下面にUSB/クレードル接続用コネクタを備える | クレードルが付属する |
クレードル。USB接続用コネクタやAV出力を装備する |
リモコン。日本語表示にも対応する |
■ ユニークなオーディオ/フォトソフト「m:trip」
USBストレージとして認識されるが、m:tripで転送した音楽データはm:robeのHDDの[\User\Music\]以下の[M0000001]などのフォルダに登録される。ファイルは転送時にリネームされており、同じフォルダにMP3/WMAファイルをドラッグ&ドロップで転送してもMR-500iからは認識されない。音楽や画像ファイルの転送にはm:tripが必須になる |
パソコンとの連携は、USB経由で行なう。本体の下に専用のUSB接続端子を装備し、付属のケーブルによりPCとの連携が可能なほか、クレードルも利用可能となっている。
オーディオ/フォトデータの転送は、付属ソフト「m:trip」から行なう。m:robe自体はUSBストレージクラスに対応しており、USBのデータストレージとしても利用できるが、転送ソフトを介さずに転送した場合は音楽の再生はできない。
この「m:trip」が面白い。MR-500i用の音楽/写真データを管理するソフトで、WMAのエンコード機能やフォトライブラリ機能などを搭載する。MP3のエンコードには非対応となっているが、MR-500i上ではWMA(32~192kbps)、MP3(8~320kbps)の再生に対応し、WMA DRMもサポートしている。
m:trip | 登録した楽曲のリリース年別に検索も可能。グラフィカルにどの年の曲が多いかわかるのが面白い |
オーディオソフトとしては、プレイリスト作成機能やお気に入り登録機能や、アルバム/アーティスト/ジャンル別検索などの標準的な機能を備えており、絞り検索も行なえる。また、タグ情報を拾ってリリース年別の検索も行なえるのだが、グラフィカルに、どの年の曲が多いのか示してくれるあたりが面白い。
年別の管理は他メーカーのソフトでもやっていることなのだが、こうして視覚的にどの年の楽曲が多いのかわかるというのは目新しい。このあたりは写真のライブラリ管理の発想がうまく生かされているといえるだろう。
ジャケット登録機能も搭載し、同期したMR-500i上でジャケット表示も可能となる。ただし、登録は曲のプロパティからジャケットを追加するという方式で、アルバム単位で一気に登録ということができないのが面倒だ。ジャケット表示機能は大型液晶搭載のMR-500iの大きなアピールポイントとなると思うので、もう少し簡単に登録できるようにして欲しいところだ。
写真の管理についてもExif情報を生かした年別表示やカレンダー表示に対応。カレンダーは年/月別などで表示できるようになっている。任意のアルバムをお気に入りとして登録することも可能だ。
写真表示機能。カレンダー表示なども可能となっている |
m:robeの大きな特徴のひとつでもある「リミックスキューブ」の作成機能も搭載している。写真と音楽にエフェクトを加えたスライドショーを作成する機能で、m:tripのフォト/ミュージックライブラリやテンプレートから、自動的にリミックスを作成する「自動設定」や、Birthdayなどのテーマごとに設定を行なう「テーマ」、テンプレート/写真/音楽を全て自分で指定する「マニュアル」の3つの作成モードが用意される。
リミックスキューブの作成が可能 |
作成したリミックスデータは「リミックスキューブ」として保存して、MR-500i上との同期時に転送される。リミックスキューブは選択した曲の長さの分だけ、写真のスライドショーが作成される。エフェクトは光や黒いレイヤーを生かした「flashback」や四角いフレームのスライド効果を中心とした「tiles」、ボーダ柄やドット、波紋パターンなどを取り入れた「geometric」、Happy Birthdayなどのメッセージを効果に生かした「birthday」が用意されている。
使ってみるまではあまり期待していなかったが、実際に作ってみるとなかなか楽しめる。自動設定でも結構格好いいリミックスキューブを作ってくれる。いくつか試しに作ってみて、それをベースに不要な写真だけ差し替えるたりするだけで結構楽しい。元画像のサイズによって処理が遅くなったり、時折ジャギーも発生したりもするが、思いのほか簡単に使えて、楽しめる。
操作レスポンスも悪くなく、ThinkPad X31では特に遅さなどは感じない。時折良くわからない動作の部分もある(例えばアルバム選択時に多くのソフトでは[G]と入力すると[G]から始まるアルバムに飛ぶと思うが、m:tripではなぜかアルバム選択画面の最初に戻ってしまう)が、アルバム写真と音楽の連携がかなりうまくできた個性的なソフトになっている。
個人的にはWindows Media Player 10がポータブルデバイス対応を強化したことで、WMAを扱うポータブルプレーヤーに添付ソフトはいらないのでは? と感じていたが、思いのほか自社開発のソフト/ハードの強みを生かしたアプリケーションといえそうだ。
ただ、データ転送速度はあまり速くない。m:tripの下の同期用ボタンをクリックすると同期が始まるが、9.8GBのオーディオファイルを転送した時の転送時間は130分かかった。最近のソフトとしてはかなり遅い部類に入るが、独自のライブラリの管理をしているためのようだ。製品版ではもう少し改善されることを期待したい。なお、同期すると写真データやリミックスキューブのデータも転送される。
■ タッチパネルの独特の操作性
メインメニューで、MUSIC/REMIX/PHOTOが選択可能 | 検索メニューを立ち上げ |
まずは、音楽機能を利用してみる。メインメニューのヘッドフォンのアイコンから音楽再生が行なえる。音楽再生画面を開くとライブラリ表示画面が現れる。右上のメガネ風のアイコンから検索が行なえ、プレイリスト再生やアルバム/アーティスト/ジャンル/作曲者/リリース年/最近聞いた曲/ジャケット写真付き/歌詞付きの曲/MYTOP100/未再生の曲で曲情報を探すことができる。
また、液晶の上部のメニューで選択中のアーティスト/アルバムを表示する「List」、再生曲やジャケット情報を表示する「info」、歌詞を表示できる「Lyrics」などの表示メニューを用意。また、EQ設定もここから行なえる。ジャケット表示画面は格好いいので、できればm:tripでの登録方法をもう少し簡易にして欲しかったところ。歌詞表示は個人的にはあまり必要と感じなかったが、先日USENと共同発表したようにカラオケ用の歌詞データ配信なども始まる。そうした特長を生かしたサービスが始まれば、MR-500iならではの活用法が広がってくるだろう。
アルバムやアーティストごとの検索が可能なほか、ジャケット付き/歌詞付きの曲も検索できる | List表示画面 |
infoではジャケット表示が可能 | 歌詞表示機能も装備 | EQ設定画面 |
ボリューム操作もタッチパネルで行なう |
基本的に液晶のアイコンをクリックし、機能を呼び出してタッチパッドで操作を行なうという操作体系。アルバム検索時のスクロールなどでは、アルバム検索を立ち上げ、再生したいアルバムまで右脇の矢印ボタンを押しながら選択する。
スクロール速度が遅く、速度の変更も行なえないのだが、この矢印の間の任意の箇所をクリックすると、その地点までジャンプすることができる。そのため、大量のアルバムを管理していてもそれなりに高速にアルバムまでたどり着ける。
操作速度はタッチパネル選択後、若干待たされる感があり、あまりレスポンスがいいとはいえない。また、電車の中で立ちながら操作する時などは液晶も見ながら片手で抑えて、片手で操作しなければいけない。片手でほとんどの操作が行なえるiPodと比較すると、純粋なオーディオプレーヤーとしての使い勝手は及ばないといえる。
リモコンはアルバム検索などは行なえなえず、曲送りや戻し、リピート/ランダム設定、ボリュームコントロールなどのシンプルなもの。日本語も表示可能となっている。また、「お気に入り」ボタンも装備している。
「お気に入り」機能は、再生画面のハートマークもしくは再生中の曲でリモコンの下ボタンを押すと、お気に入り楽曲として登録される。登録した楽曲は検索画面の「お気に入り」に登録されるほか、パソコンとの同期時にはm:tripも引き継がれるので、これをベースにしてm:trip上でプレイリストを作成することもできる。
ライブ盤の曲間などが開いてしまうギャップを改称するための、「ギャップレス再生」の機能は、設定項目こそはないが、ライブなどを聴いてもMP3/WMAともにうまくつながっているようだ。2、3ギャップを感じた曲もあったが、それでもiPodに比べるとギャップは短い。
付属のイヤフォン | 5バンドのEQをユーザーが自由に設定できる |
音質は、突出した特徴はないが、バランスも解像感も良好。付属のイヤフォンも充分使えるクオリティを有している。ただ、試作機のためか、液晶操作時に耳をそばだてていると、本体からバックライトに起因すると思われる高周波ノイズが聞き取れる。音楽を聞いている際には聞こえないが、音質にいい影響は無いと思われるので、ぜひ改善して欲しいところだ。
また、EQも搭載しており、ROCK/JAZZ/HIP HOP/ELECTRONICA/R&Bなど16モードのプリセットが用意されるほか、ユーザーEQは5バンドから任意の値をタッチパネルで操作できる。
■ ユニークなリミックス機能
撮影サンプル |
本体背面に1/4型122万画素CMOSセンサを搭載し、最大1,280×960ドットでの静止画撮影も可能。メインメニューからPhotoに切り替えると、液晶全画面でモニタ表示する。シャッターボタンは搭載せず、液晶モニターでフレーミングしながら、画面をタップすると撮影される。
レンズは35mm換算35mmの単焦点で、デジタルズームなども装備しない。大型液晶モニタを採用もあり、フレーミングの楽しさは感じられるが、応答速度はさほど速くないので、高速にパンするとかなりの残像感がある。
また、シャッターボタンなどを備えず、液晶をタップして撮影している方式なので、慣れるまでは手ブレが生じやすいので注意が必要だ。ついでに言うと、大型液晶を搭載しながら、ストラップホールなどは備えていないのでホールディング性能にも若干疑問が残る。落としたら確実に壊しそうなので、どうにか対策してほしいところ。画質的にはスペック相当といったところだが、液晶が大きいので、撮った後で見る楽しみという意味では、携帯カメラより魅力的といえそうだ。
VIEW機能 | アルバム選択も行なえる | PHOTO撮影設定 |
液晶右上のカメラアイコンからアルバム表示モードに切り替えて、m:tripから転送した画像やMR-500iで撮影した画像もチェックでき、スライドショー機能も搭載している。またテレビ出力機能も搭載しているので、スライドショーをテレビで楽しむこともできる。なお、メモリスロットやUSBホスト機能は備えていないため、パソコンを使わずに他のデジタルカメラで撮影した画像を取り込むことはできない。
テレビ出力はクレードルに乗せて、クレードルのAV出力を利用する。設定でテレビ出力をONにし、電源/HOLDボタンを押すと液晶の画面が消え、テレビに出力する。iPod Photoと異なりスライドショー以外の画面も出力できるが、テレビ出力を利用するとタッチパネルが利用できなくなるため、操作はリモコンで行なう必要がある。リモコンでは、Photoのアルバムや写真の選択、Musicのボリュームコントロールや曲送りができる。
リミックスキューブを選択 | 本体上でリミックス作成も行なえる |
また、m:tripで作成したリミックスキューブや本体上でリミックスを行なうREMIXモードも搭載する。画像が最適化されていないためか、大きな画像を扱うとブロックノイズが強く出てしまうのがやや残念なところだが、音楽にあわせてリミックスキューブを見ると、静止画とは違った面白さがある。また、テレビ出力も行なえるので、旅のアルバムなどからリミックスキューブを作成し、皆で鑑賞するというのも面白いだろう。
バッテリは、内蔵リチウポリマー充電池で、バッテリ駆動時間はオーディオ再生時にカタログ値で約8時間(MP3/WMA)で、約7時間の再生が可能だった。ただ、スライドショーやリミックスを多用すると4時間程度でバッテリが切れてしまった。オーディオプレーヤーとして使うにはやや心もとない。また、USB経由での充電には対応していないのは残念なところ。
■ “新デバイス好き”必見のHDDプレーヤー
iPod Photoは「オーディオプレーヤーにフォト再生機能もつけてみた」的な製品だったが、MR-500iではミュージックとフォトの融合をよりいっそう進めた意欲的な製品と感じる。個々の機能の洗練という意味では、iPod Photoのほうが完成度は高いが“なにか新しいことが起きそう”という予感は、最近のポータブルメディアプレーヤーの中では群を抜いている。
製品版では改善されるかもしれないが、やや緩慢な動作レスポンスが改善されれば、かなり面白いプラットフォームとなる可能性を感じさせる。現在、専用ソフトの「m:trip」も公開しているので、こちらをパソコン上でテストしてみると、m:robeのコンセプトの一端を感じ取ることができるだろう。
普通のオーディオプレーヤーが欲しいというユーザーには、動作時間の短さなどが気にかかるところだが、新しいもの好きのユーザーには非常に興味深い製品になっている。m:tripやリミックス機能などに興味を持った人には、発売に合わせて11月23日より順次東名阪でイベントも行なわれるので、実際に触れて、体験してみるといいだろう。
□オリンパスのホームページ
http://www.olympus.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.olympus.co.jp/jp/news/2004b/nr041013mrobej.cfm
□製品情報
http://www.m-robe.com/jp/
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(2004年11月19日)
[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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