■ 発売から3ヶ月遅れになってしまいましたが……
今回はそこを押して、3ヶ月ほど前となる4月28日発売された、「saku saku Ver.1.0」を取り上げたい。このDVDは、ゴールデンウィーク直前に発売されたわけだが、いくら人気がある番組とはいえ、所詮ローカル番組のDVD。予約する必要なんてないと思っていた。 しかし、ゆったり構えて、ゴールデンウィークも半ばとなった5月に入ってから、いつものカメラ量販店のDVDコーナーに買いに行くと、売り切れていた。そこから焦りだして、片っ端から知っている販売店を何店も回るも、どこもかしこも売り切れ。さらに、オンラインショップも軒並み、初回生産分は販売終了となっていた。“サクサカー”を見くびっておりました……。ゴメンナサイ。 実は、そのタイミングで購入して、このコーナーで紹介しようと思っていのだが、購入できなかったため、その回は、「saku saku Ver.1.0」を見送って他のDVDを取り上げた。 その後、しばらくしてから追加生産分が順調に出荷されるようになり、問題なく入手できるようになった5月下旬に購入した。ちなみに、初回生産分のみ封入されている、「3Dジゴロウがドーン! チェンジピクチャー」が入手できなかったのは残念なところ。 こういったもろもろの状況で、購入するのが遅れてしまい、このコーナーで紹介するタイミングを逸してしまった。しかし、どこかで取り上げたいという思いは持ち続けていて、ちょうど番組自体のゴタゴタもあったりしたこともあり、少し遅くなってしまったが、このタイミングで取り上げることにした。
DVDの仕様は片面2層1枚で、本編約111分と特典約44分。初回生産分の封入特典を除けば、封入物もないシンプルな仕様で、4,179円と安くはないが、TV番組のDVDとしては妥当なところとも思う。そう思った人が沢山いたからこそ、初回生産分があっというまに売り切れたのだろう。
■ サイコロのぬいぐるみと、木村カエラの早朝番組をDVD化 「saku saku」は、テレビ神奈川(tvk)で月曜~金曜日の7:30~7:58に放送されている、音楽バラエティ(?)番組。同日の24:05~24:35にも再放送されているのが、ローカル番組らしいところか。ちなみに、北海道テレビ、TVQ九州放送、サンテレビ、名古屋テレビ、とちぎテレビ、新潟放送でもネットしているが、木曜日分のみのネットなので、全部見られるのはtvkのみということになる。 2000年10月に放送を開始した「saku saku morning call」の終了後に、30分番組に短縮されて放送がスタートしたのが「saku saku」。最初は、音楽PVの合間にハガキを読むような、低予算系の「音楽番組」の王道を行く番組だった。 それが、2001年4月から、あかぎあいと「増田ジゴロウ」(サイコロ型のぬいぐるみ? DVDのジャケットでは歯磨き粉のチューブにのっている)の2人が、アパートの屋根の上という現在の設定に内容を変更。2003年3月に、あかぎあいが卒業し、木村カエラが2003年4月に「入居」。人気が爆発した。現在では、tvkの看板番組といっても過言ではないだろう。 一応、現在でも音楽情報番組として、「神奈川県で最も売れているCDシングル週間売上ランキング」や、「DVD紹介コーナー」もあるにはあるが、音楽情報番組と思って見ている視聴者はほとんどいないだろう。とっかりのいい「音楽番組」の企画で初めて、中のトークが面白くなったら、その時間が増えて、いつのまにか違う番組になってしまうというのは、ローカル局制作の番組ではありがちな展開だ。 最初に見たのは数年前、いつもより早く帰宅した深夜に、TVの電源を入れて、適当にチャンネルを変えていると、屋根の上に、サイコロのぬいぐりみが座って、話している映像が飛び込んできた。いったい何の番組なのだと思って見ていたら、画面に引き込まれてしまっていた。しばらくは、積極的に見ていたわけではなく、早く帰れた日に見ていたのだが、ある時に7:30からやっている朝の番組ということを知り非常に驚いた。キー局では、「ズームインSUPER」、「めざましテレビ」をやっている時間帯に、これを放送するtvkは素直にすごいと思った。それ以降は、ちゃんと録画してみるようになった。 番組の魅力としては、ジゴロウの23区を敵視する神奈川密着のネタと、23区の住人である木村カエラの自由かつマイペースでいながらも的確な突っ込みだろうか。ジゴロウと木村カエラの世代間ギャップも、30代以上であれば、胸に迫るものがある。もちろん、名物コーナーでもある、ジゴロウが作詞/作曲した神奈川密着の地域のうたを、インビジブルギター男のギターで、ジゴロウが歌う「みんなでうた」も聴きどころ。また、最近では、念願の歌手デビューも果たし、知名度も全国になった木村カエラだが、こんなにしゃべっている木村カエラを見られるのは、saku sakuだけかもしれない。 そんな人気番組に育ったsaku sakuなので、DVD化を望む声は高まり、アミューズソフトエンタテインメントが2005年3月にDVDを発売することを発表したが、「手続き上の都合」(同社)により発売が一旦停止し、「関係者間で発売に向けた調整を進めている」(同社)とした。結局、最終的には4月28日に発売が決定するという紆余曲折を経ている。 DVDに収録されている本編には、「名(迷?)トーク&ジゴロウの名(迷?)曲集」とタイトルがつけられ、情報番組的な部分などはばっさりと切り落とされ、トーク部分と、ジゴロウが作詞/作曲した神奈川密着の地域のうたを、インビジブルギター男のギターで、ジゴロウが歌う名物コーナー「みんなでうた」のみに編集されている。 内容としては、SEVENTEEN専属モデルだった18歳の木村カエラが、「saku saku」に初登場した回からスタートし、初めて見る人に配慮してか、キャラクター初登場のシーンが多く収められれている。木村カエラの顔が初登場時から、かなり変わったのがわかる。しかし、時系列順ではなく、内容ごとにまとめて収録されているので、木村カエラの顔が行ったり来たりしてしまっている。
■ 撮り下ろしの「第一回黒幕シンポジウム」とコメンタリも収録 地上アナログ放送の番組なので、映像はそのまま4:3、音声はドルビーデジタル2.0chで収録している。字幕などは収録していない。ディスクは片面2層。本編の収録時間は111分、特典は44分で、合計すると約155分になる。現在の片面2層DVDとして、収録時間は長めのこともあって、DVD Bit Rate Viewerでみた平均ビットレートは6.22Mbpsにとどまっている。 映像にはブロックノイズ、モスキートノイズなどはなく、総じて高画質。当然のことだが、彩度が高く、ノイズもほとんどないテレビ的な画質で、奥行き間は乏しい。プロジェクタではなくて、ブラウン管TVでみるほうがいいだろう。 基本的に、スタジオでカメラも固定で撮影されていて、ライティングもほぼ一定なので、画質面は安定し気になるようなところはない。ただ、「みんなでうた」のロケ映像は、ほとんどがDVカメラで撮られているようで、そこだけ画質は劣るが、内容的に画質が問題になるようなこともないだろう。 音声のビットレートは192kbps。5.1ch化されているわけでもなく、素直に2.0chで収録されているだけなので、地上アナログ放送の番組として観賞する分には、なんの不満もない。 チャプタ数は8で、本編が111分あるにしては少なめ。チャプターメニューでは、トークテーマごとでチャプタが選べるようになっている。また嬉しいことに、saku sakuのメインの1つ、「みんなでうた」のチャプターメニューも用意されている。 「みんなでうた」のチャプターメニューは、普通に考えれば本編に該当する場所にジャンプするようになっていそうなものだが、どうも曲ごとに別タイトルとして、重ねて収録されているようだ。なぜ、容量が無駄になる、こんな手法をとっているのかは不明だ。また、「みんなでうた」の連続再生機能もあるとうれしかった。 収録されているうたは、「サクサカーの歌」、「お楽しみ宇宙ボックスの歌」、「川崎の女」、「LOVE SONG・、「三島のうた」、「相模原のうた」、「添付ファイル系のうた」、「お楽しみ宇宙ボックスの歌 with ご意見番」、「海老名のうた」、「トウダイ ~1日の終わりのうた」、「町田のバラード」、「カボチャーマンのうた」の12曲。地元のうたや、お気に入りのうたが入っていない人は残念に思うだろう。個人的には、添付ファイル系のうたの「圧縮!圧縮! 解凍!解凍!」という意味のないリフレインが耳について離れない。
「黒ポ」では、ペッパー(ご意見番)を司会者に、米子・オブ・ジョイトイ、浪人生、カーリー田中、木村カエラの5人が、ジゴロウを動かす黒幕を探る。黒幕は顔を隠しているが、いつものエフェクターを通した声ではなく、生声で登場する。 番組がどうやって作られるか解説しようと試みるが、予想通り脱線しまくって、結局のところ内容のある話になるわけではないが、「98%がアドリブ」、「1時間収録で、使われているの18分」と、本当らしい話も飛び出す。ちなみに、「この企画が好評であれば、第2弾、第3弾では、視聴者参加して、さらに面白い企画でいろいろいやっていきたい」という。 「増田まつり ~ 関内の中心で愛を叫ぶ ~ スペシャル映像」は、2004年7月31日、8月1日に行なわれた「saku saku 増田まつり ~ 関内の中心で愛を叫ぶ ~」をDVD用に再編集したコンテンツ。ジゴロウと木村カエラが、本厚木をぶらぶらしながら、デュエットで「厚木のうた」を歌う。歌詞にでてくる「本当の厚木は本厚木、厚木で降りるとビビるで」は、神奈川県民以外にはぜひお知らせしておきたい。一駅新宿よりの厚木で降りてしまうと(各停しか止まらないが……)、目の前に、閉店して廃墟と化した、落書きだらけの「ロケット」の店舗が現れるので、かなり驚くことになる。 そのほかにも、「7月31日に来てくれた人にささげるうた」、「8月1日に来てくれた人にささげるうた」をジゴロウが披露している。 さらに特典として、ジゴロウ&ご意見番(ペパー)のコメンタリも収録されている。内容的には、AMラジオのノリで、途中でジゴロウが鼻をかんだりする。「常識を打ち破って、コメンタリーは、むしろ本編より面白い」ということを目指すという。 コメンタリでのもっぱらの話題は、「カエラちゃん顔変わったなマジで」。「最初のころは、顔が荒削りな気がする。今の方がわかい感じがする」とか、「このカエラちゃんかわいいな」などなど、いいたい放題。 もちろん、「メールは2004年1年間で3万1,712通、1ヶ月で2,600通、1日で90通」と興味深い話が聞ける。人気のほどがうかがい知れる。 そのほかにも、「うたのポリシーは、視聴者に迎合することだけを考えている。音楽の趣味なんて、どうでもいい。親しみやすい、庶民的な音楽を生み出したい」と語られている。 また、隠しコマンドで、約2分2秒のメインが総出演した、撮り下の映像を見るこができる。「よく見つけました。このDVDの売れ行きがよかったら、第2弾、第3弾でも隠しコマンドを率先して入れていきたい」。
■ Vol.2が出る可能性はあるのだろうか? 週5回放送の30分番組を2時間弱にまとめているので、ヘビーなサカサカーにとっては、物足りない部分も多い。しかし、キャラ紹介の要素を取り込んでいるので、今までこの番組を見たことがない人や、最近見始めた人の入門用には適している。 また、毎日録画しているような、ヘビーなサカサカーにとっても、コンパクトにまとまっているので、お手軽に見返すことができる。オーディオコメンタリーの中でも、「DVDなんてどうなのとおもったけど面白い。これぐらいがちょうどいい」と語られている。 このルーズな「ミノフスキー粒子」満載な雰囲気になじめない人以外は、価格分は十分楽しめるだろう。特に、saku sakuが見られない地域に住んでいる人にとっては、このDVDしかない。その意味では、一度見てみることお勧めしたい。合わない人には、ところん合わないようと予想されるが……。 ファンにとってはVol.2が気にあるところだが、DVD映像特典やコメンタリーの中でも何度も、「今回のDVDが好評だったら、第2弾、第3弾」と希望が語られている。今回のDVD自体の売れ行きが好調なので、その点が障害になることはないと思われるが、7月1日にジゴロウ、ペパーが大人の事情で降板した今となっては、ジゴロウや、ペパーが出ているDVDが出せるのだろうか? もしDVDが出たとしても、ジゴロウや、ペパーが出演していないDVDが「Vol.2」と言えるかどうかは疑問に思う。 個人的には、ジゴロウからヴィンセントにバトンタッチしたsaku sakuには少々興味が弱まってきているが、最近のtvkの番組では「YO!キッズ」が面白くなってきている。
□アミューズソフトエンタテインメントのホームページ (2005年8月2日) [AV Watch編集部/furukawa@impress.co.jp]
AV Watch編集部 av-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|