【バックナンバーインデックス】



日本初HDD搭載音楽ケータイ
「LISMO」+ケータイはiPodキラーとなるか?
au「MUSIC-HDD W41T」
発売日:2月上旬
標準価格:オープンプライス


■ LISMOが音楽プレーヤー市場を変える?

 ポータブルデバイスの代表ともいえる携帯電話は、国内市場で各キャリアのゲートウェイビジネスと連携し、さまざまな先進的なサービスが提供されてきた。音楽や映像でもさまざまなサービスが提供されているが、auのフル楽曲配信サービス「着うたフル」などはその代表的な例だ。

 2004年11月に開始された着うたフルは、1月に累計3,000万ダウンロードを達成。楽曲数も28万曲となり、国内の主要なレーベルやヒット曲を網羅しているのが強みといえるだろう。そのauが新たにスタートした音楽配信サービスが「au LISTEN MOBILE SERVICE」(LISMO/リスモ)」だ。

 携帯電話内蔵のオーディオプレーヤーソフト「au Music Player」、CDからの楽曲取り込みや、着うたフル楽曲などを管理できるPCソフト「au Music Port」と、専用のPC向け音楽配信サイト「DUOMUSIC STORE」などで構成される。

 着うたフルだけでなく、PCからの楽曲転送や音楽配信を組み合わせて、トータルな音楽プラットフォームとしてLISMOを推進していく方針で、「CDMA 1X WIN」端末7モデルを順次発売していく。

 今回発売される7端末の中でも注目されるのは、国内初のHDD内蔵ケータイ「W41T」。.85インチ/4GB容量のHDDを内蔵し、約2,000曲の楽曲を管理できるのが特徴だ。今回は、LISMOと音楽プレーヤー機能を中心に試用した。



■ スクエアな本体デザイン。厚みが気になる

 本体はスクエアでオーソドックスなデザイン。外形寸法は106×50×28mm(縦×横×厚さ)、重量は約157gで、重さはさほどではないものの、iPodや他の携帯電話と比較するとかなり厚い。ボディカラーは、フィーチャーグリーン/アンビエントホワイト/ビートブラックの3色が用意される。

 メインディスプレイは約2.4インチ、解像度240×320ドットの液晶を搭載。サブディスプレイの解像度は160×33ドットとなっている。有効画素数332万画素のデジタルカメラ機能を搭載している。なお、FMラジオ機能は内蔵しているが、ワンセグやアナログテレビチューナは内蔵せず、miniSDカードスロットも備えていない。

 もっとも、MUSIC-HDD W41Tの最大のウリは音楽機能。携帯電話では、PC接続用ケーブルやソフトウェアを別売とするケースが多いが、MUSIC-HDD W41TにはUSBケーブルが付属し、PCとの連携が可能となっており、LISMO用のオーディオソフト「au Music Port」が同梱される。なお、MUSIC-HDD W41T以外のLISMO対応端末も、全てソフトウェアをバンドルしている。このあたりからもauのLISMOへの力の入れようが伺える。

 音楽専用の機能としては、本体天板に音楽操作専用のパッドキーを搭載。閉じたままでも音楽の再生・停止や、前/次曲へのスキップなどの基本操作が可能。側面にはスライド式のロックキーも備えている。また、ステレオスピーカーも内蔵している。

 Bluetoothも内蔵。Bluetooth Ver.1.1に準拠するほか、音楽用の独自拡張プロファイルを利用しており、対応するヤマハのキューブ型アクティブスピーカー「NX-A01」(BluetoothアダプタのTRX-R01BTが必要)や、W41T専用の加賀電子製ペンダント型イヤフォン「BTee Music」とワイヤレスで連携可能。再生音をこれらのスピーカーで再生することができる。連続待ち受け時間は約280時間。連続通話時間は210分。充電所要時間は約130分。


天板にサブウィンドウを装備。タッチセンサー式の再生/停止ボタンなどを備えている 2.4型のQVGA液晶を搭載 操作ボタン。音楽機能は10キーの上のボタンで操作する
背面。HDDロゴと0.85インチHDDの搭載を示している 底面に充電端子を備える 側面に音楽再生用のボリュームボタンやHOLDスイッチを装備。ステレオスピーカーも内蔵する
ヘッドフォンジャックなどを装備。ヘッドフォンとは付属の変換ケーブルを介して接続する 充電、PC連携用のクレードルも標準添付
ボーダフォンのノキア端末「702NKII」、iPod 30GBとの比較


■ 音楽以外の機能も充実した「au Music Port」

au Music Port 初期設定時にユーザー情報を登録

 まずは、PC向けソフト「au Music Port」をパソコンにインストールしてみる。あわせてUSBドライバのインストールも必要で、対応OSはWindows XPのみなので注意が必要だ。また、インストール時にユーザー設定を行ない、ここで設定した端末情報を元に、PC上の楽曲を管理する。

 携帯電話とパソコンの接続にはパッケージに付属のUSBケーブルか、WIN端末用USBケーブル「USBケーブルWIN」を使用する。なお、LISMO対応端末のうち、W41CAとW41Tではクレードルが付属し、クレードルに装着した状態で転送も可能となっている。

 au Music Portを起動すると、ライブラリ管理の[MUSIC LIBRALY]の画面が表示される。そのほか上部に「DUOGATE」、「PHOTO & MOVIE」、「PERSONAL DATA」、「E-MAIL READER」といった項目が並ぶ。

 DUOGATEは4月から始まる音楽配信サービス「DUOMUSIC STORE」のほか、PCから絵文字メールを携帯電話へ送れる「DUOMAIL」、BLOGサービス「DUOBLOG」、GPS情報付き写真を使ったフォトコミュニティ「DUOSNAP」などを用意。PHOTO & MOVIEでは携帯電話で撮影した動画/静止画を管理、PERSONAL DATAはアドレス帳やカレンダー機能の管理、E-MAIL READERはメールの管理ができる。単なるオーディオ転送ソフトでなく、さまざまなケータイ上の情報を一括して管理して編集できるのはかなり便利だ。

DUOGATE。MUSIC STOREは4月にオープン W41Tで撮影した写真や動画をバックアップして管理できる カレンダーやスケジューラ機能も備えている

 LISMO端末ではケーブルやソフトも標準添付されるので積極的に活用できる。UIもこなれており、LISMO端末が普及すれば、サードパーティ製の携帯電話用バックアップソフトの市場にもかなり影響を与えそうだ。


■ 業界の違いを感じさせるPC上での楽曲管理

 LISMO/au Music Portでは音楽コーデックにHE-AACを採用。HE-AACは着うたフルのコーデックとして当初より採用されているほか、ワンセグ放送の音声コーデックとしても利用されていることから、日本国内の携帯電話関連サービスでは、スタンダードとはいえるだろう。

 ただし、iPodなどのポータブルオーディオプレーヤーの世界では全くと言って普及していない。また、au Music Portでは、音楽CDからの取り込み以外のファイル登録はできないので、既存のMP3ファイルなどを活用することはできない。このあたりは携帯電話市場の特殊性を感じさせる。

エンコード設定は、エコノミー/スタンダード/高音質から選択できる。-12dBから+12dBまでの音圧設定ができるのもユニーク

 au Music Portでは、音楽CDから着うたフル相当の楽曲ファイルを作成する。この楽曲は同ソフト上で「CDデータ」という名称で扱われ、携帯電話に転送できる。リッピング時の音質設定は、「エコノミー」、「スタンダード」、「高音質」の3種類が用意される。

 ビットレートは明らかにされていないが、4分41秒の楽曲をリッピングした際は、エコノミーが1.1MB(約31.4kbps)、スタンダードが1.38MB(約39.3kbps)、高音質が1.65MB(約46.9kbps)となった。

 デフォルト設定は高音質。音楽を聴くならば基本的に高音質以外の選択肢はなさそうだ。また、音圧設定を-12dBから12dBまでの範囲で変更できるのもユニーク。通常のオーディオ系ソフトとの考え方の違いが伺える。52分28秒/14曲収録のアルバムで、[高音質]選択時のリッピング時間は9分10秒(Let's note CF-W4 Pentium M 1.2MHz/768MB利用)。MP3やAACと比較するとかなり遅い。


リッピングしたファイルは暗号化されており、au Music Port以外での再生はできない

 このあたりはHE-AACという新しいコーデックを採用していることも要因だろう。また、リッピング中は他のプレーヤー操作は一切できない。取り込んだ曲は暗号化され、.KDRという拡張子で保存される。同ファイルをダブルクリックしても再生はできず、au Music Portのみで再生可能だ。

 PC上のMP3ファイルなどをインポートする機能は備えておらず、楽曲の取り込みは音楽CDからのみというのも厳しい。auでは、「要望があれば検討する」としているが、確実に要望があると思うので、早急な対応を期待したい。


機能ウィンドウごとに管理されるUI

 リッピングが終了すると、楽曲は「CDデータ」としてユーザーのライブラリに追加される。扱えるファイルはこのCDデータと、着うたフルやEZプレイリストなどの「EZコンテンツ」、au Music Portで作成したユーザープレイリストなど。

 携帯電話でダウンロードした着うたフルのバックアップや再生、管理、プレイリスト作成が可能で、着うたフルをau Music Portでバックアップした場合も、同じライブラリにリスト表示され、「タイプ」の欄で表示されるアイコンでデータのタイプを判別できる。

 au Music Portが他のジュークボックスソフトと異なっているのはインターフェイスデザイン。一見オーソドックスなようだが、機能ごとのエリア管理をしており、左側のジャケット表示や再生系ボタンをまとめた[再生操作エリア]、上部の楽曲情報を表示する[プレゼンテーションウィンドウ]、中央左下の[カテゴリ表示エリア]、右下の[楽曲表示エリア]などが用意されている。

 楽曲の転送は、[楽曲表示エリア]で任意の楽曲やアルバムを選択した後、[カテゴリ表示エリア]の[ケータイ]の項目の上にドラッグ&ドロップして登録する。その後、ウィンドウ右上の「ケータイへ転送」、もしくは「シンクロ」をクリックすることでケータイに転送される。18MBのアルバム転送時の転送速度は2分10秒。楽曲転送もやや遅めだ。

 他のPCソフトに慣れた身からすると、一工程多いようにも感じるが、Windows Media Playerの[デバイスに転送]を使い慣れている人にはわかりやすいかもしれない。

【訂正】
※記事初出時に「au Music Portには右上に最小化/最大化のボタンが無い」と記載しておりましたが、Windowsの[画面のプロパティ]で[Windows XP]を選択すれば、ボタンは正しく表示されます。その他のモードでは正しく表示されない可能性があります。お詫びして訂正致します。(2月8日追記)

ケータイを接続せずに着うたフルを再生すると、エラーメッセージが表示される

 au Music Port上で楽曲の再生も可能。ただし、au Music Portでバックアップした着うたフルは、携帯電話をPCに接続しないと再生できない。ケータイを接続せずに、バックアップした着うたフルの再生を試みると、ケータイを接続するよう促すメッセージが表示され、スキップしてしまう。ケータイを接続すれば再生は可能だ。

 この仕様は理解に苦しむ。あくまで[バックアップ]という定義での仕様なのだろうが、自分が購入した楽曲が、ある環境下では再生できない、表示されているのに再生できないものがあるというのは、プレーヤーソフトとして使用する際に非常にストレスを感じる。

 元々がクローズドな着うたフルというサービス向けの配信楽曲なので、コンテンツ提供元との契約上の問題などもあるのかもしれない。しかし、それにしても使いづらく、わかりづらい。是非とも改善を望みたい。

 なお、購入した着うたフルは、同一番号の機種変更であれば他の端末にも移行可能という。つまり、電話番号がキーとなり、楽曲のDRM管理を行なっているということで、他キャリアの携帯などに移行した際は再生不可能となる。

 また、4月には、LISMOのPCプラットフォーム向け音楽配信サービス「DUOMUSIC STORE」も控えている。このDUOMUSIC STOREのサービス詳細はまだ発表されていないが、こうしたプロテクトの面では、着うたフルよりも柔軟な運用を期待したいところだ。

 さらに、もう一点DUOMUSIC STOREで注目されるのは価格について。iTMSやMoraなどのPC向けサービスではほとんどの楽曲が一曲150円~210円程度だが、着うたフルではほぼ315円で統一されており、かなりの価格差がある。運用面のみならず、こうした価格ギャップについてどう対処していくのか、対処できるのか、という点も、今後のLISMOサービスの展開で重要な要素となっていくだろう。

 au Music Portではプレイリストの作成も可能で、リッピングした楽曲や着うたフルを混在してプレイリストを作成できる。また、任意の検索条件にあわせてプレイリストを作成するダイナミックプレイリストも搭載している。動作が緩慢なので、もう少し改善を望みたいところだが、機能はかなり充実している。

 また、楽曲にジャケット登録も可能で、左上のジャケット表示エリアにドラッグ&ドロップするだけで登録完了する。対応形式はJPEG/PNG/BMP/GIF。ただし、登録は楽曲単位で、アルバム一括登録などはできないのが不便。なお、購入した着うたフルのジャケット写真を変更したり、削除することもできない。

再生画面。ケータイを接続していれば着うたフルも再生できる プレイリスト再生に対応 ジャケット登録画面


■ 本体はシンプルな操作性

au Music Playerのトップ画面

 それではいよいよ携帯電話で再生してみる。再生にはメインメニューから[au Music Player]を呼び出す。Playerを起動すると、[ライブラリ]、[うたともする]、「聴かせて検索」、「EZ Music!」が現れる。

 通常の音楽再生には[ライブラリ]を選択。ライブラリではプレイリストやアーティスト一覧、アルバム一覧、全曲一覧、フォトアルバムという5つの項目が現れる。アーティストやアルバムごとに検索し、任意の曲を選択すると再生が始まる。

 再生画面ではジャケット写真を中央に表示し、タイトルやアルバム名、アルバム曲数や残り時間と再生時間などが下部に表示される。センターキーの上下でボリューム上下、左右で曲送り/戻しが可能となっている。


検索モード選択 プレイリスト選択 アルバム選択画面
再生中のアルバム/プレイリスト内選曲画面 楽曲再生画面。ボリュームコントロールはここで行なう 任意の曲のプレイリスト登録も可能

BGMモードも用意

 再生画面で[5]キーを押すとガイド画面が起動し、ランダム再生やリピート再生、歌詞カード表示などが可能。

 再生画面で[切替](シャッターボタン)を押すと、アルバム内の楽曲選択画面に切り替わり、アルバム/プレイリスト中の楽曲が確認できる。また、再生画面などで[CLEAR]ボタンを押すと、au Music Playerのトップ画面に戻る。なお、曲再生中は選択中のアルバム/プレイリスト内でのスキップやバック、楽曲選択が行なえるが、他のアルバムやプレイリストの検索はできない。異なるアルバムやプレイリストの選択を行なう際には、いったん再生を停止して、再度ライブラリから検索を行なう必要がある。このあたりはiPodなどの専用機と比較すると、やや及ばない部分といえるだろう。

 最初は若干戸惑うものの、ボタン配置さえ覚えてしまえば、操作体系はシンプル。通常のプレーヤーとして使う分にはすぐに慣れるだろう。また、au Music Playerの操作画面をEZWebなどの他のアプリケーションを利用しながら音楽再生が可能なBGM再生も可能となっている。

本体を閉じて操作できる

 また、本体の側面にボリュームボタンを用意するほか、天板にタッチパネル式の再生/一時停止、スキップ/バックパネルを用意。再生停止や、ボリューム上下、曲のスキップバックに関しては、ケータイを開かずに操作できる。ホールドスイッチもボリュームボタンの上に備えている。

 初のHDD搭載ケータイということで、HDDのアクセスやノイズも気になるところ。実際に、手に持ってプレーヤーの楽曲検索/再生を開始すると、HDDが回転し始めたことが感じられる。ただし、再生時のHDDアクセスはほとんど感じられず、たまにバッファに読み込むために、HDDにアクセスしているようだ。

 音楽プレーヤーとして利用する限り、HDDを意識することはほとんど無かった。また、HDDの回転音についてもほとんど聞こえなかった。

 通常のライブラリ再生のほか、au Music Playerでは「うたとも」や、「聴かせて検索」、「EZ Music!」なども用意される。

 うたともは、プレイリストを公開してユーザー間でコメント交換などが行なえるコミュニケーションサービス。再生履歴からのランキング表示や、おすすめ曲のレコメンド機能も用意される。レビュー機能などの利用には月額315円が必要となる。ただし、レビューなどは、着うたフルのラインナップに無い曲では、利用できない。

 聴かせて検索は、2005年6月から導入された「EZテレビ」で採用されたサービスで、テレビや街中に流れる音楽を携帯電話に聴かせることで楽曲検索できる。EZ Music!はauの音楽サービスで、着うたや着うたフルが購入可能だ。

うたともで他のユーザーのプレイリストやレビューも確認できる 聴かせて検索も搭載


■ 汎用ヘッドフォンも利用可能。HE-AACの音質は今一歩

付属のヘッドフォン

 付属のヘッドフォンは、通常の3.5mmステレオミニプラグのもの。ケータイ用コネクタに変換ケーブルを接続して、W41Tと接続する。通常のステレオミニなので、好みのヘッドフォンに変更できる。

 音質は、明らかにダイナミックレンジが狭く、特に高域のシャリシャリの質感は近年のオーディオプレーヤーと比較するとかなり劣っていると感じる。低域も薄く、ヘッドフォンを変更してもあまり印象は変わらない。

 再生端末側の問題もあるだろうが、専用のオーディオプレーヤーが高音質化されている現在、寂しい限りだ。HE-AACは出たばかりのコーデックということもあるが、音質面での完成度は今一つと感じる。既に3,000万ダウンロードを記録している着うたフルと基本的に同音質だが、音楽専用プレーヤーとの比較ではやはり専用プレーヤーに軍配が上がる。

 ファイルサイズこそ大きくなるものの、「音楽ケータイ」を全面に謳うのであれば、MP3なりAACなりのコーデックの選択肢も用意して欲しいところだ。あるいはエンコーダの改善などにも期待したいところ。

 イコライザも搭載。Standard/Jazz/Pop/Rock/Electric/Bassの6モードが用意される。コーデックの問題か、ヘッドフォンを変更しても低域が弱めとなることが多いので、Bass強調などは効果を発揮しそうだ。

 サラウンド機能も搭載し、Standardのほか、Wide/Hall/Chorus/Reverb/Echo/Wave/Voiceの各モードを備えている。いずれもかなり効果が強調されてしまうので、音楽を楽しむというよりは、どう変化するのかを楽しむためのもの、と感じた。

イコライザ設定 サラウンド設定

 ステレオスピーカーも内蔵し、ヘッドフォンを接続せずに音楽を楽しむことも可能。オーディオプレーヤーとしての機能は一通り備えており、特に着うたフルを中心に活用する際の使い勝手は悪くない。ただし、W41Tの厚みは、iPodなどのオーディオプレーヤーよりかなり厚い。このあたりをどう考えるかが、選択のポイントとなるだろう。

 なお、W41TではSDカードスロットを備えていないが、W41CAやW41HなどではSDカードに記録したSD-Audioなどの再生も可能だ。

 また、USBマスストレージクラスをサポートしており、PCと接続して外部HDDとして利用可能。ただし、専用のUSBケーブルが必要となるほか、認識できる容量は4GB中512MBまでとなっている。なぜ512MBまでなのかはわからないが、USBメモリ代わりの付加機能と考えれば、さほど問題ないようにも思える。転送速度は18MBファイル転送時で34秒となった。

メインメニューのハードディスクメニューから[マスストレージ接続]を選択 USBストレージとして認識される


■ LISMOの今後に期待。HDD活用にはファイル読み込み対応が待たれる

 オーディオプレーヤーとしての導入を考える場合は、まずはLISMOをどう捉えるかによって評価が変わってくる。既存のMP3やAAC、WMAといったデータはau Music Portで認識できないので、iPodなどのユーザーは今までの資産を生かせない。CDから1枚ずつリッピングし直すという手間を考えれば、積極的な移行を促すメリットというのはあまり感じられない。

 一方、着うたフルを中心とした、ケータイユーザーにとっては、PCでのプレイリスト作成や、ダイナミックプレイリスト、さらに音楽CDからのリッピングデータの活用と、利用シーンを大幅に拡大するサービスといえる。

 現在の電話番号縛りの著作権保護の運用は、PC側の視点から見るとかなり奇異に映る。しかし、現在のLSIMOの状況は、キャリアによる課金システムがしっかり作られたクローズドなサービスだった携帯電話向けサービスが、PCやAV機器向けに拡張され、融合しつつある段階。このあたりの文化、作法の違いを如何に克服していくかが、LISMOの今後を左右しそうだ。そうした意味でも、「着うたフル」と、新しいPC向けの「DUOMUSIC STORE」のDRMをどのように融合させていくか、auの手腕に注目していきたい。

 iTunes Music StoreやiPod対抗というよりは、音楽プレーヤーに対する異なる選択肢の一つという印象。LISMOについては、端末の普及台数からいっても国内では一定の普及は保証されていると思うが、グローバルでの競争力という意味では端末メーカーやキャリアの展開を含めて、世界規模である程度のシェアをとるサービスになるとは考えにくい。今の携帯電話のビジネスから言えば、購入した着うたフルが他キャリア端末でかかる見込みも薄そうだ。ただ、リッピングしたHE-ACCデータの、各キャリア端末での相互利用ぐらいは実現して欲しいとは思う。

 ともあれ、着うたフルを中心と考えれば、良く練り上げられたサービスで、別にオーディオプレーヤーを使っているユーザーでも、例えば最近買ったアルバムだけをリッピングして転送して、お気に入りの曲だけを入れて活用するというのも十分魅力的だろう。その選択肢として7モデルの端末が用意されているのは嬉しい。新規や1年以上の機種変更であれば価格的な競争力も高い。

 ただ、今の運用ルールだとW41Tの4GBというHDD容量は、音楽CDのリッピングだけでは持て余しそうだ。やはりPC上のファイルの扱いをより柔軟してほしいと感じた。

 個人的には標準添付のau Music Playerでスケジューラやメールバックアップができるということも魅力的。こうしたPCと連携したPIM的な機能の充実も、今後のポータブルデバイスの差別化としては重視されるだろう。しかし、通信キャリアがここまで力の入ったサービスに乗り出すと、“ケータイ向け”を謳ったニフティの「MOOCS」はどうなってしまうのだろうか……。

□auのホームページ
http://www.au.kddi.com/
□ニュースリリース
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2006/0119/besshi2.html
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-2千曲保存。Bluetoothでスピーカーと無線連携
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060119/au2.htm
【1月27日】LISMOで始める音楽ケータイ(ケータイ)
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/review/27523.html

(2006年2月4日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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AV Watch編集部

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