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第66回:低価格フルHD液晶テレビの実力を検証
~ “明るい”フルHD 「バイ・デザイン d:3742GJ」 ~


 1,920×1,080ドットのフルHD解像度のフラットテレビにおいて、2005年までは、高嶺の花のハイエンド機として各メーカーからリリースが相次ぎ、「誕生期」ともいえるだろう。これが2006年では、まだまた高価ではあるものの比較的現実的な価格で製品投入がなされてきており、今年以降になって「普及期」に突入しはじめたといえるかもしれない。

 そんな中、登場したのが、今回紹介するバイ・デザインのフルHDスペックの37型の低価格液晶テレビ「d:3742GJ」。バイ・デザインといえば、数多くの低価格フラットテレビをリリースしてきたメーカーだ。「d:3742GJ」もフルHD解像度でありながら20万円を割る、199,800円という価格で話題を呼んでいる。今回はその実力を検証した。


■ 設置性チェック
  ~左右スイーベル対応スタンドを標準搭載

 画面サイズは37V型。画面寸法は821×462mmで、リビングに置くテレビサイズとしては、みんなで見るのに丁度良く、大きすぎず小さすぎずといったところ。


スタンド部の幅55cm、奥行きはわずか31cm。テレビ台は18~21インチクラス用のものでも、問題なく載せることができそうだ
 重量はスタンド込みで約32kg。37型の液晶としては若干重め。男性ならば、ちょっとした移動であれば可能だろうが、1階から2階への移動などは男性でもきつい。

 スタンドは標準装着されており、左右に30度ほど回転するスイーベル構造を持つので、常識的な範囲で向きを変えられるようになっている。上下方向の首振り角度は固定式で調整はできない。

 壁掛け設置にも対応しており、バイ・デザインからも純正の壁掛け設置金具「SMT-37LC」が用意されている。背面のねじ穴は100×100mmのVESA規格準拠になっているので、市販のVESA規格のアームや壁掛け設置用金具の取り付けにも対応できる。ただ、本体重量がかなりあるので壁の補強が必要だ。

 視野角は上下左右176度と非常に広い。斜めにから見るに従って若干赤みを帯びる色変移があるが、実用性には全く問題ないレベルだ。

 動作音は静かでよほど本体に耳を近づけなければ気が付かないレベル。バックライト出力がやや高めと言うこともあってか、消費電力は公称250Wと、同クラス液晶テレビと比較するとやや高い。バックライトの公称寿命は6万時間で、これは同クラス製品と比較すると全く同等レベルだ。

スピーカーは画面下に取り付けるタイプ

スピーカー取り付けはユーザー自身で行なう。そのためのプラス・ドライバも付属


■ 接続性チェック
  ~BSアナログチューナ内蔵/HDMI装備、PC入力にも対応

 デジタルビデオ入力としては1系統のHDMI入力を装備。安価な普及モデルにおいてもHDMI入力対応は今や当たり前となってきた感がある。

 コンポーネントビデオ系入力としてはD4端子を1系統実装している。RCAピンプラグ×3タイプのコンポーネントビデオ入力端子は装備していない。ゲーム機接続などを考慮すると、コンポーネント系入力がもう1系統あると良かった。

接続パネルは本体正面向かって右側の背面側に備えている。各種接続端子は横方向に差し込むレイアウトで、アクセス性は悪くない 上からHDMI端子、PC用のD-Sub15ピン端子、D4端子

 また、コンポジットビデオ入力が2系統、Sビデオ入力が1系統も装備。Sビデオ入力はコンポジットビデオ端子入力の片方と排他接続となっており、Sビデオ入力を使用している際にはコンポジットは1系統しか利用できない。

 PC入力としてはアナログRGB入力に対応したD-Sub15ピン端子を1系統用意。市販のDVI-HDMI変換アダプタなどを利用すればHDMI端子をデジタルRGB接続用に利用できる(詳細は後述)。

 音声入力端子も用意されており、レガシーアナログビデオにはピンプラグタイプのステレオ音声入力端子が用意され、D4入力に対してはなぜかステレオミニプラグタイプの音声入力端子が用意されている。一般的な機器との接続を考えればここもRCAピンプラグタイプで良かったように思う。なお、PC入力には対応する音声入力端子はない。

 また、現在表示中の映像や音声を外部に出力するためのAV出力端子(コンポジット/RCAステレオ音声)も実装しているほか、ステレオヘッドフォン端子(ミニステレオプラグ)も用意されている。ヘッドフォンを接続するとスピーカーからの音声は消え、音声はヘッドフォンからの再生のみになる。なお、ヘッドフォンの音量はリモコンの音量ボタンからは調整できず、音声メニューを呼び出して行なう必要がある。

 デジタルチューナは内蔵していない。しかし、地上波アナログチューナとBSアナログチューナを内蔵していることから、アンテナ線の入力端子が2つ実装されている。ビットストリーム兼検波出力端子も実装されており、BSアナログ放送用外部デコーダと連携することも可能。低価格テレビでBSアナログチューナを内蔵しているのはd:3742GJの特徴といえるかもしれない。


■ 操作性&機能チェック
 ~充実の2画面機能を搭載


底面にはくぼみがあり、握るとここに人差し指の付け値が納まり、自然と親指がリモコン上の十字キー中央に置かれるデザインとなっている
 リモコンは全長がDVDパッケージの縦辺と同じくらいの大きさでテレビリモコンとしては標準的な大きさだ。使用頻度の高いチャンネル切り替えボタンは最下段にレイアウトし、機能制御系ボタンとは完全に分離しているのは分かりやすいデザインだ。

 ただ一つ、こうしたリモコンのデザインに置いて決定的なミスがある。それは機能名のプリントとボタンの位置関係に統一性がないということ。

 リモコン上段側は機能名プリントの下に実際のボタンがあるが、リモコン下段では逆転し、機能名プリントの上側にボタンを置いてしまっている。このため、入力選択を押したつもりが画面モードの変更になったり、画面モードを変更したつもりがCATVモードになったりするという誤操作が起こる。実際、使いにくいので、今後のモデルでは修正すべきだと思う。

 電源オンからバイ・デザインのロゴが表示されるまで約3.0秒(実測)、実際にテレビの映像が表示されるまでの所要時間は約6.5秒(実測)と、最新上級機と比較しても遜色ないほど高速だ。

 入力切り替えは[入力選択]ボタンを押して、入力切り替えメニューを呼び出し、上下カーソルで希望の入力を選択して右カーソルで選択するという方式。入力系統が多いので順送り方式よりは理にかなった操作系といえるかもしれない。切り替え所要時間はHDMI→アナログ地上波テレビで約2.5秒(実測)、アナログ地上波テレビ→D4でも約2.5秒であった。最近の機種としてはやや遅めといった印象だ。

 アスペクト比の切り替えは[画面モード]ボタンを押しての順送り方式。所要時間は約1.0秒で高速だ。アスペクトモードはアスペクト4:3を維持する「4:3」モード、パネル全域に表示する「16:9」モードに加え、4:3画面の外周を伸張してパネル全域に表示する「パノラマ」モード、4:3映像に16:9映像をレターボックス記録したソースの映像部分をパネル全域に表示する「ズーム」モードが利用できる。

 画調モードの切り替えも[画質]ボタンで順送り式に切り替える。画調モードは「ソフト」、「標準」、「明るい」、「ユーザーモード」の4つが用意されている。切り替え所要時間はほぼゼロ秒で操作した瞬間に切り替わり非常に高速だ。

 設定メニューは十字キー中央にある[メニュー]ボタンを押すことで呼び出される。まずはじめに左右カーソルで設定カテゴリを選択、続いて下カーソルで設定するメニューアイテムを選ぶという操作系。

 設定値を上下させる場合はこのアイテムを選んだ状態で左右カーソルを押す。さらにそこから下層メニューが存在する場合はここからさらに右カーソルを押して階層を降りる必要がある。決定ボタンやENTERボタンがなく、右カーソルボタン局面に応じてその役割を兼ねている。キャンセルボタンはなく、一階層戻るには[メニュー]ボタンを再び押す。特徴的なメニュー設計だが、慣れるとスピーディに取り扱えるようになる。

「映像設定」 「VGA設定」 「音声設定」 「二画面設定」

「チャンネル設定」 「画格設定」 「その他設定」

 ユーザーが変更可能な画調パラメータは「輝度」、「コントラスト」、「カラー(色の濃さ)」、「色合い」、「シャープネス」、「色温度」といった基本画調パラメータのほか、「肌色」補正の有無の設定などが行なえる。

 ユーザーが調整した結果は各入力ごとに用意された1個のユーザーメモリに記録されるのだが、その管理方式が少々変わっている。

 適当なプリセットモードから調整を行なうと、その瞬間にこれがユーザー調整データとして記録される。ただし、ユーザーメモリに記録されるのは上記パラメータのうち「輝度」~「色合い」までで、「シャープネス」以下の調整はプリセット画調モードに切り替えてもリセットされないで維持される。言ってみれば「シャープネス」~「色温度」の調整はグローバル設定設定と見なされるわけだ。このあたりの特徴的な管理方式はマニュアルにも記載されていないので、プリセット状態を重視するユーザーは事前に留意しておきたい。


二画面表示機能において組み合わせ可能な入力

 d:3742GJは、低価格普及機でありながら特殊機能も充実している。その筆頭に挙げられるのが2画面表示機能「ピクチャー・イン・ピクチャー」(PIP)だ。

 組み合わせは右表のようになっており、アナログビデオソース同士を組み合わせられないという制限があること以外はほとんど全ての入力ソースを組み合わせて2画面表示が行なえる。これはなかなか優秀だといえる。

 このPIP機能の操作の全てが、メニューを呼び出してではなく、リモコンから行なえるのも好感触。[PIP]ボタンを押した瞬間に2画面表示が始まり、[PIPモード]ボタンで子画面のサイズの変更、分割同時表示モードへの切り替えも行なえる。

 同時表示している2画面の位置関係や子画面の表示位置は[ポジション]ボタンで変更が可能で、どの入力ソースをサブ画面として表示するかの専用の入力切り替え用の[PIP入力選択]ボタンまでが用意されている。本機をマルチユースディスプレイとして活用しようと考えている人にとっては非常に強力な操作系だといえる。

最小サイズの子画面を左上に表示。大きさや表示位置も変更できる 親画面と子画面の関係を逆転するボタンも備えており、なかなか便利
画面を並べて表示するモードも搭載。ただし、アスペクト比は維持されない 二画面を並べて表示する際に片方を小さくすることも可能。ここまでPIP機能が充実している機種は上級機でも少数派
DVDビデオ「Mr.インクレディブル」 (C)2005Disney/Pixar
DVDビデオ「モンスターズ・インク」 (c)DISNEY ENTERPRISES,INC./PIXAR ANIMATION STUDIOS

 なお、サブ画面側の音声はヘッドフォン端子からのみ出力され、その音量はPIP機能専用の[音声・大]と[音声・小]で操作が行なえる。このボタンをヘッドフォン音量調整専用のボタンとして活用できるのか思ったが、できなかった。このあたりの細かい機能設計にはさらなる洗練を要する。

 他には[静止]ボタンを押すことで表示中の画面を一時停止させる静止機能、タイマーで自動的に電源オフにするスリープタイマー機能もある。静止機能はテレビショッピングなどにおける電話番号表示のメモを取るときなどに使え、スリープタイマーはテレビを見ながら就寝したいときなどに役に立つ。なお、一時静止機能はPIP画面には適用されない。

 音声周りの特殊機能としてユニークなのが、BBEサウンドの搭載。BBEはいわゆるエキサイター系のエフェクト処理を行なうもので、消音量でも音声の輪郭が明瞭となり聞きやすくなる効果をもたらす。ただ、実際に使ってみると、静かな環境では若干のノイズが聞こえてしまう。家族みんなで談笑しながらの視聴の場合にオンとし、一人で静かに見るときにはオフとするような使い分けをお勧めする。


■画質チェック
 ~「高輝度」が最大の特徴。シーンによってはノイズの目立ちも

 「フルHD対応液晶テレビ」ということで、液晶パネル解像度は1,920×1,080ドットとなるが、所有している同画面サイズで1,366×768ドットパネル採用のシャープAQUOS「LC-37AD1」と、近寄って画面を見比べると、画素サイズが全く違っていることを実感できた。LC-37AD1は約100万画素、d:3742GJは約200万画素、同じ面積に2倍の画素が配置されているので当たり前のことなのだが、実際に肉眼でも確認できるというのが興味深かった。

 本機の画面を見てまずの第一印象は、「明るい」。前出のLC-37AD1よりも格段に明るいのはもちろん、プラズマテレビと比較しても遜色のない明るさだ。公称輝度600cd/m2は伊達ではないと言った手応えだ。蛍光灯照明下ではもちろんのこと、太陽光が注ぎ込む昼間であってもd:3742GJからの光量を実感できるほど。この高輝度が本機の最大の特徴といってもいいだろう。

 公称コントラスト比は1,000:1。確かにバックライトが非常に高輝度なので白のピークパワーはかなりあり、この数値には真実味と実感がある。

 階調表現は概ね問題なし。階調ダイナミックレンジは最暗部から最明部までバランスよく振られており、最暗部にも明確な階調性を感じられる。

 ただし、とにかく高輝度バックライトの有効性を最大限に押し出した画作りなのだろう、黒表現にはさすがに無理があり、黒浮きが目立つ。照明を落として映画をじっくり楽しむというよりは蛍光灯照明下でわいわい楽しむという活用が合っていると思われる。

 色深度は、まずまずというレベル。暗部グラデーション表現がやや頼りなく、若干の二次輪郭を感じることがあった。

 発色の傾向は緑の純色が淡く、赤が朱色に寄っている。このためなのか黄色の発色が芳しくない。青は鋭くて良好だ。全体としてCCFLバックライトのネイティブ特性が露骨に発色に反映されているという感じで、たとえば肌色などはかなり緑が強めに出ている。肌色については肌色補正機能である「人肌」モードをオンにすることでだいぶ低減される。「人肌」モードは選択式に肌色付近の色を補正するので、基本的には常時オンにしておいてもいいだろう。


「ペイント」の文字は白のはずなのだが赤や青の偽色を感じる。これは写真の写り方ではなく実際に見てもこういう見え方をする。ここは改善を望みたいところ(2.8MB)
 映像全体としてみるといくつか気になる点があった。高輝度バックライトのおかげでダイナミックレンジが広く取れている恩恵なのだろうか、中明色以上の色ディテールは優秀なのだが、上でも指摘したように暗部の色深度が甘いため最暗部は二次輪郭が目立ちかなり荒っぽい描写になってしまっている。また、全体的にシャープネスがかなり強めに設定されているようで、ざらつき感が強く出てしまっていると思う。

 外部デジタルチューナを接続してデジタル放送を見ていると、この2つの画調特性の両方が目立つシーンではモスキートノイズやブロックノイズが強く感じることがあった。ノイズリダクションロジックの搭載やガンマカーブの最適化など、画質的にはもうちょっと煮詰める必要を感じる。

 また、採用液晶パネルの特性か、あるいはパネルドライバの特性かは分からないが、隣接している各RGBのサブピクセルが発色の際に干渉を起こすケースがあり、細い線の表現において、HDMI接続であっても、コンポジットビデオやちょっと前のデジカメ映像で見られるような「偽色」が出ることがあった。



【プリセットの画調モード】

 ソースはDVDビデオの「モンスターズ・インク」(国内盤)。撮影にはデジタルカメラ「D100」を使用した。レンズはSIGMA 18-200mm F3.5-6.3 DC。撮影後、投影画像の部分を800×450ドットにリサイズしてから画像の一部分(160×90ドット)を切り出した。

(c)DISNEY ENTERPRISES,INC./PIXAR ANIMATION STUDIOS
 
●ソフト
 バックライト輝度を落としたモードで暗い部屋でみても目が疲れない。ただし、中明色以下に抜けやパワーがなくなり寂しい映像になる。また、赤色の朱色感が強まり緑は鈍くなる。これに伴いもともと鋭さの少ない黄色系統の色が一層鈍くなってしまう。

 なお、色温度はプリセット画調モードとは別管理のグローバル設定なので、暖色(色温度・低)、標準(色温度・中)、寒色(色温度・高)のいずれと組み合わせることが可能となっている。この点については「標準」も「明るい」でも同様だ

 
●標準

 「標準」がもっとも理性的にまとまっている。バックライトはこの状態でも十分明るい。常用するならばこのモードでいいだろう。なお、基本的に今回の評価はこのモードで行なった

 
●明るい

 バックライトが最大輝度になり、非常にハイコントラストになる。この影響からか「明るい」最明色付近の階調が飛び気味になってしまい、データ・プロジェクタによくある「ダイナミック」モードのようになる。

 赤は朱色というかオレンジに近くなり、緑が鋭さを増し、黄色もそれらしく見えるようになる。ただし、色表現がかなり煩雑になるので実用性をあまり感じない

 

【映像ソースごとのインプレッション】
ソースはDVDビデオの「モンスターズ・インク」(国内盤)。撮影にはデジタルカメラ「D100」を使用した。レンズはSIGMA 18-200mm F3.5-6.3 DC
 撮影後、投影画像の部分を800×450ドットにリサイズしてから画像の一部分(160×90ドット)を切り出した。

(c)DISNEY ENTERPRISES,INC./PIXAR ANIMATION STUDIOS


●地上アナログ放送

 カタログ情報ではd:3742GJにはIP変換のプログレッシブ化ロジックとしてファロージャDCDiが搭載されているが、動きのある映像で強いコーミングが出てしまっていた。

 基本的にフィールドの二重化を行なっているようにしか見えず、最近の液晶テレビのSD映像品質としてはあまり高くない


●DVDビデオ(DENON DVD-2910、HDMI接続)

480p映像の一部。スケーリングの影響を大きく受ける弊害なのか、かなりザラザラした画になる

 暗部に高周波のMPEGノイズが目立つ。おそらくおおざっぱな暗部階調表現と、強すぎるシャープネスとの合併症だと思われる。シャープネスは-4あたりまで下げるとこの高周波ノイズは低減されて見やすくなる。

 スケーリングのロジックもあまり優秀とは言えず、DVD-2910からの480pのHDMI出力はかなり眠めな解像感の画になる。もっともまともに見られたのはDVD-2910側で720p出力した場合で、こちらはd:3742GJ側のスケーリングの影響が低いせいか、そこそこの解像感が得られるようになる。1080i出力ではSD映像の時のようなフィールドの二重化が働いてしまうようでカクカクした映像になってしまい辛い。

 「プレイヤー側で720p出力」、「シャープネス-4」はd:3742GJでDVD鑑賞をする際には絶対に必要な設定だ。画調モードは「標準」でいいが、「人肌」はオンにしておきたい。


720p。かなりスッキリした画になる 1080i。静止画だと分かりにくいが、斜め線等にジャギーを感じる

●ハイビジョン(DV-AR12、HDMI接続)

 フルHDパネルだけあって解像感は高い。ただし、SD映像の時もそうだったが、インターレース映像のプログレッシブ化があまり得意では無いようで1080iの映像でも横方向の動きが激しいとコーミングが出てしまう。上下スクロールでは線分の太さが細くなったり太くなったりするのもIP変換に手こずっている証拠だろう。

 また、SD映像では気が付きにくかったが、トリノオリンピックのフィギュアスケートなどの録画(HD品質)を見ると、スケーターの速い動きをカメラが追従するたびに残像を感じる。また、横に流れるテロップ表示などでも尾を引いているような感じがある。最近の液晶機種ではちょっと珍しい。


●PC(NVIDIA GeForce6800Ultra/デジタルRGB接続)
入力解像度 HDMI アナログRGB
640×480ドット××
720×480ドット×
720×576ドット×
848×480ドット×
856×480ドット×
800×600ドット×
1,024×576ドット×
1,024×768ドット
1,152×864ドット×
1,280×720ドット
1,280×768ドット
1,360×768ドット
1,280×960ドット×
1,280×1,024ドット
1,400×1,050ドット
1,600×1,200ドット×
1,920×1,080ドット◎*1○*2

 HDMI接続の方が圧倒的に柔軟性に富んでいる。オーバースキャンのキャンセルにも対応しており、PC画面の全域の表示にも対応。PCとの接続性はなかなか優秀だと言える。

 ただ、デスクトップ解像度を1,920×1,080ドットとして表示解像度とパネル解像度を一致させてHDMI接続をしたときでも、文字の周辺にくぼみのようなモノを感じる。何かと思っていたら標準状態で、シャープネスが強すぎるためであった。PC接続したときもシャープネスを-4に設定したほうがいい。

 また、前述の偽色は、残念ながらPC画面でのほうが顕著に感じる(上のアイコンの写真参照)。文字表示などでは1ドット程度で描かれる細い線が数多く出現するためだろうか。一応、PC接続は行なえるものの、その表示品質は一般的なPCディスプレイには及ばないといった感じだ。

メニューバーなどが切れて表示されるようであれば「オーバースキャン」モードを「フル」設定にすればよい



※パネル画素に一対一に対応した表示……、正常表示……、表示はされるが一部に違和感あり……、表示不可能……×

*1 ドットバイドット
*2 左右が詰められて表示される

●ゲーム(Xbox360/コンポーネント接続)

 ゲームグラフィックスはMPEGノイズなどがのらないのでd:3742GJとは相性がいい。DVDやハイビジョンでは気になった高周波ノイズのようなちらつきもほとんどない。残像は多少はあるがプレイに支障を来すほどではない。



■ まとめ
 ~だれがどう使うか

 安価ながらスタンドはしっかりしており左右スイーベル付でしかも上下左右176度の高視野角性能。さらに非常に高輝度であるため、明るい部屋でもちゃんと見られる。設置性は優秀だ。

 接続端子も一通りをそろえており、特にHDMI入力で1080p(PC経由のHDMI入力時)にまで対応していることが確認できたことは特筆に値する。アナログRGBのPC入力に加え、PCをHDMI経由でデジタルRGB接続まで行なえた。接続性に死角はない。

 デジタルチューナは内蔵されていないが、地上波アナログ放送とBSアナログ放送に対応しているので、ちゃんとテレビとして使える。持ち前の1080p対応のポテンシャルは、本体のみで生かすチャンスがないのは残念だが、次世代ゲーム機、ハイビジョン対応ビデオレコーダ、次世代DVD機器と組み合わせる時に使えばいいという割り切りができれば、逆に本機は安価なテレビチューナ付きのマルチユースモニタという価値が見出せてくる。

 ピクチャー・イン・ピクチャー(PIP)に代表される2画面機能の充実振りとその操作性もいい。このPIP機能と多様な接続性を積極的に活用することで、d:3742GJはスタンドアローンなテレビの枠を超えたマルチユースモニタとしてのポテンシャルはさらに際立ってくる。

 ただ、画質面ではまだまだブラッシュアップが必要と感じる。画質にこだわるユーザーは不満を感じる点も多いだろう。映像はちゃんと見られるし、一般ユーザーが一番気にする「明るさ」においては国内大手メーカーの製品を凌ぐほど明るい。そしてHDコンテンツを映したときには、少なくともフルHDスペックらしい1,920×1,080ドットの解像感は十分得られている。

 1,920×1,080ドット、フルHD解像度の液晶テレビをここまで安価で発売したことは、少なからず業界に影響を与えただろう。バイ・デザインにはこの流れでどんどん魅力的な製品を出してきて欲しいと期待する。


□バイ・デザインのホームページ
http://www.bydsign.co.jp/
□ニュースリリース(PDF)
http://www.bydsign.co.jp/news/20060316.pdf
□製品情報
http://www.bydsign.co.jp/d3742gj.html
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~ 大画面液晶テレビ「LC-37AD1」購入記 ~
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(2006年4月27日)

[Reported by トライゼット西川善司]


西川善司  大画面映像機器評論家兼テクニカルライター。大画面マニアで映画マニア。本誌ではInternational CES他をレポート。僚誌「GAME Watch」でもPCゲーム、3Dグラフィックス、海外イベントを中心にレポートしている。渡米のたびに米国盤DVDを大量に買い込むことが習慣化しており、映画DVDのタイトル所持数は1000を超える。

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