■ ポータブルナビ「ゴリラ」も小型化/ワンセグ対応 4月の本放送開始以来「ワンセグ」対応端末の種類が確実に増えている。携帯電話を皮切りに、パソコンやポータブルプレーヤー、ポータブルDVDプレーヤー、カーナビなど多くの採用事例が見られている。 そんな中、三洋が投入したポータブル型カーナビゲーション「ミニゴリラ」の上位モデル「NV-SD10DT」には、ワンセグが搭載された。本体価格は91,350円。 カーナビにおいては各社がワンセグ対応端末を出しており、製品によっては通常の地上デジタル放送(12セグ)とワンセグの共用モデルなどもあるなど、ワンセグ対応自体はさほど目新しくはない。しかし、ミニゴリラの特徴は取り外し可能なポータブル型ということ。 従来「ゴリラ」シリーズは、HDDやDVDに地図データなどを収納していたが、“ミニ”ゴリラでは1GBのフラッシュメモリに変更。大幅に小型化している。ナビのため、単体のワンセグ端末として利用するためには、オプションのバッテリキットを利用する必要があるが、今までのごりだでは考えられないほど小さい筐体は魅力的だ。
■ ナビとしては超小型。ポータブル利用は別売バッテリが必要
本体のほか、カーシガーライター接続ケーブル、車載取り付けキット、パーキングブレーキ接続ケーブルなどが付属する。 本体の外形寸法は約141×25×83mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約290g。ポータブルナビとしては小型なのは間違いないが、iPodやPSPなどのポータブルプレーヤーと比較するとやや大きく重い。 液晶でィスプレイは4.5型/400×234ドットのタッチパネル式。左下に電源ボタンを備え、電源ON/OFFが行なえるが、そのほかの操作は基本的にタッチパネルを利用する。左側にはモノラルスピーカーも内蔵する。 本体上面にはロッドアンテナや外部アンテナ端子を装備。下面にはヘッドフォン出力や、パーキングブレーキ用のミニジャック、DC入力を装備する。また、右脇にはSDメモリーカードスロットを備えている。
ポータブル型ではあるが、本体に付属するのはシガーライター接続ケーブルのみで、ACアダプタやバッテリパックなどは同梱されない。 車外で利用するためにはオプションのスタンド付属のACアダプタ「NVP-AC20」(7,875円)や、スタンド型の電池パック「NVP-DP20」(10,290円)を利用する必要がある。いずれも、12月より発売され、電池パック「NVP-DP20」は単3電池×4本を収納し、電池駆動でナビやワンセグ視聴が可能となる。つまり単体でポータブルワンセグ受信機として利用する際には、電池パックを併用する必要がある。電池パックでのワンセグの連続視聴時間は、充電池「エネループ」利用時で約180分。 電池パックはスタンド型なのだが、専用のコネクタではなく、ACアダプタ同じ入力端子から電源を供給する。そのためスタンドに載せた後、電池パックからのケーブルをACアダプタ用のDC端子に接続する必要があるので、装着時の格好がイマイチで持ち運び時の取り回しもあまり良くない。
■ 普通のワンセグプレーヤー。画質は良好
ナビとワンセグの切り替えもタッチパネルから行なう。ナビの画面上をタッチすると右上に「ワンセグ」のボタンが表示され、同ボタンに触れるとワンセグモードに切り替わる。 本体上部にロッドアンテナを装備。チャンネル/地域情報設定はメインメニューから手動で行なう。基本的には全てタッチパネルを見ながら操作を行なうこととなる。 地域から県名を選択すると、自動スキャンを実行。視聴可能なチャンネルが登録される。GPSが入っているので、地域情報を検出し、自動的にチャンネル設定を行なったりするのか? などと期待していたが、そうした連係機能はない。
基本はカーナビなので、放送区域をまたいで利用されることも多いだろう。そうした利用パターンに備えて、[自宅登録]機能が用意されている。例えば、東京千代田区が自宅として、静岡までドライブした際には静岡でワンセグを見るために再度チャンネル設定が必要となる。そこから東京に戻った場合に再度チャンネルスキャンなどを行なわずに、ワンボタンでいつものチャンネルに戻せる、という機能だ。 ワンセグ視聴機能はシンプル。ワンセグモードに切り替えてから、パネルをタッチすると専用メニューがOSD表示されるため、そこでチャンネルとボリュームを操作するだけだ。SDメモリーカードスロットも備えているが、SDカードは地図データ更新用で、録画などは行なえない。また、MP3の再生機能なども備えておらず、試しにMP3ファイル入りのSDカードを挿してみたが、何も起こらなかった。 チャンネルはOSDから順送り式に切り替えるが、メニュー画面からチャンネルリストを呼び出して、任意のチャンネルを選択することも可能だ。チャンネル切り替え時間は約4~6秒。使ってみるとやや遅くは感じるが、大きなストレスとはならず、我慢できるレベルだ。番組表や字幕表示機能を装備しているが、視聴予約などは行なえない。また、データ放送用ブラウザも備えていない。
液晶は4.5型/400×234ドットのタッチパネル式。画質は良好で、大きな映像の乱れも見られない。もちろん、ビットレートの低いH.264映像なので、輪郭がざわつくものの、映画の字幕表示やスポーツなどでも問題なく利用できる。 サッカーを見てみても、ゲームの進捗をしっかり理解できる。フィールド全体の引きの画面などだと厳しいが、それでもボールを見失うことは無く、画面上のスコアもきっちり確認できる。
ただ、タッチパネル液晶のためか、やや発色が淡く、やや白っぽくみえることも。gigabeat V(V30E)と比較してみたが、gigabeat Vの方が、色再現という点では好ましい。ただ、写り込みは少なく、視野角も十分広いので、気軽に視聴できる。パソコンで作業しながら、スタンドに設置してデスクトップで視聴する、といった利用であれば十分な表示品質だ。 画質設定機能はほとんど用意されておらず、「ディマー設定」の項目で、輝度を選択できる程度。なお、画面サイズの変更もできず、全画面表示のみとなる。例えばナビとの2画面同時表示や、ワンセグの音声だけを出力しながらナビを利用するといった応用はできない。GPSナビとワンセグ端末を一体化しているものの、連携して動作する機能は備えていない。このあたりは両機能の融合による新たな提案に期待したいところだ。 内蔵スピーカーは出力1Wのモノラル。音質はしっかりしており、大きな不満は感じない。なお、音声/映像入出力は備えていない。 せっかくのポータブル型ということで、電車にも持ち込んでみた。本体重量が290g、さらにバッテリパックの重量もあるので、正直立ちながら見るというのはかなり厳しい。席に座れれば安心して見られるが、やはり携帯電話やgigabeat Vと比較すると取り出すのは億劫。京王線内で利用してみたが、受信はできるものの立ち位置などによっては画面も乱れがちだ。 また、ポータブル用途としては、約180分というワンセグ視聴時のバッテリ駆動時間も若干心許なく感じてしまう。やはり基本は車載、もしくは据え置きスタンドを利用しながら見るのがいいだろう。
■ GPSナビ機能も搭載
もちろん、カーナビとしても利用できる。従来の「ゴリラ」シリーズは地図データの収録にHDDやDVDを採用していたが、ミニゴリラは1GBのフラッシュメモリを内蔵し、地図データを圧縮収録することで、本体の小型化を実現している。 ナビのメインメニューを立ち上げると、目的地の設定が可能。目的地は「地図から」、「住所」、「施設50音」、「自宅」、「電話番号」、「周辺施設」、「登録地点」、「目的地履歴」、「ジャンル」、「緯度経度」、「マップコード」の各項目から選択できる。あとは、「ルート」で適したルートをおすすめしてくれる。なお、音声による目的地設定機能などは備えていないので、タッチパネルを見ながら操作する必要がある。 ナビ機能としてはシンプルで、音声ガイドや交差点の拡大表示機能などを搭載する。ワンセグとナビの連携機能などは特に備えていない。また、急加速などを警告し、環境に配慮した運転かどうか診断する「エコドライブII」なども搭載する。
■ ユニークな融合製品だが、現時点ではカーナビの付加機能 ワンセグとカーナビの融合製品だが、機能的に互いに連携するわけではない。現時点ではあくまでも2つの機能を統合し、それぞれの機能を使い分けながら、利用する製品だ。そうした意味では、やはりカーナビを買う際の付加機能として、ポータブルかつワンセグ対応にどこまで魅力を感じるかということになるだろう。 電車などでの利用は敷居が高く、ナビとワンセグを「どこでも使える」という意味では、ワンセグケータイを選択した方がいいだろう。ただし、車載用途での使い勝手や、大画面での操作性などは携帯に比べるべくもない。融合製品としては価格もこなれており、ワンセグ/ナビ、それぞれのより使い勝手を求めるのであれば、「NV-SD10DT」は非常にユニークな選択肢になるだろう。 □三洋電機のホームページ (2006年11月24日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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