■ 初の「ワンセグ専用テレビ」登場 2006年4月のワンセグ本放送開始以来、携帯電話を皮切りに、パソコンと接続するUSBチューナや、ポータブルDVDプレーヤー、ポータブルビデオプレーヤー、カーナビなど様々な製品が発売されている。 そんな中、BLUEDOTが発表したのは、“ワンセグ専用”のテレビ「BTV-400K」だ。ワンセグ放送のみが楽しめる専用端末は初という。専用テレビらしく、メモリーカードスロットは備えておらず、録画機能も無いなど、機能的にはシンプルだ。 店頭予想価格は約3万円。ただワンセグが視聴できるだけ、という機能からすると、携帯電話やポータブルプレーヤーと比較すると割高にも感じる。 考えてみればこうした「専用機」は、放送開始後に真っ先に出そうなものだが、ワンセグの場合は、携帯電話やポータブルプレーヤーの付加機能として展開されてきた。それだけに初の専用機の使い勝手は気になるところだ。
■ 高級感あるデザインと薄さが魅力
解像度480×272ドットの4インチワイド液晶ディスプレイを搭載。“テレビ”らしく前面のほとんどが液晶表示部で、その右脇にタッチパネル式の操作ボタンを備える。その下に電源ボタンを配している。 外形寸法は70×126×11mm(縦×横×厚さ)。スペックからもわかるが、本体を手にとった際の最初の印象は「薄い」ということ。ポータブルビデオプレーヤーやゲーム機などとは比較にならない。携帯電話と比較しても現在ワンセグ最薄を謳うソフトバンクのSamsung製端末「805SC(今春発売予定)」の13.5mmより薄い。 液晶サイズとしてイメージしやすいのはPSP(4.3型ワイド液晶搭載/厚さ23mm)だろうが、厚みは半分以下。重量も120gと4型液晶搭載機器としては軽量といえる。 デザインもかなり格好良く、青色に点灯するタッチパネル部や筐体の質感などなかなか高級感がある。ただし、液晶部が表面加工されていることもあり、少し滑りやすい。特に電車などでの利用を想定している場合は、落とさないよう付属のストラップを付けるなどの対応をしておきたい。
右側面にはイヤフォン端子を装備。さらに、ゴム製のカバーを開くと、主電源とUSB端子(mini-B)、サービス端子が現れる。USB端子は充電やファームウェアの更新などに利用する。上部にはロットアンテナを備えている。 背面にはバッテリ部を装着しているほか、モノラルスピーカーも内蔵。スピーカーの下にはコインや付属ストラップをテレビスタンドとして使うためのスリットを設けている。なお、左側の端子は将来発売予定の拡張バッテリ用端子。 同梱品はUSBケーブルやACアダプタ、ストラップ、イヤフォン、説明書など。
■ シンプルな機能と操作性 機能としては、非常にシンプル。同社でも、「電源ONですぐにワンセグが楽しめる。多数の機能の中からワンセグ機能を探し出す手間が不要」と、手軽さを前面に出してアピールしている。 起動時間は約10秒強~15秒。約6~8秒でBLUEDOTのロゴが現れ、その数秒後に番組が出画される。電源を投入するとタッチパネル部がブルーのLEDで照明される。
「テレビを見ること」に絞ったシンプルな製品なので、ユーザーが行なう操作としては、基本的にチャンネル切替とボリュームだけだ。いずれも液晶右脇のタッチパネルで操作する。タッチパネルは上からボリューム上/下、上/下方向ボタン(チャンネル切替)、決定ボタン、戻るボタンの6つを用意する。 [決定]ボタンを押すと、サブメニューが立ち上がり、各種設定が可能。サブメニューの[チャンネル登録]を選択することで、受信可能なチャンネル情報を自動取得できる。 選局操作は右タッチパネルの上/下カーソルを利用する。受信環境にもよるが、切替時間は6~10秒程度。もう少し早くなって欲しいとは思うが、パネルに触れるとすぐに切替先のチャンネル情報が表示されるため、実際の切替時間ほど待たされている印象はない。このあたりの作り込みも良くできている。 ただし、特に右手で持ちながら見ている場合は、どうしてもタッチパネルに触れてしまう。そのため誤ってチャンネルを切り替えてしまったり、ボリュームが急に大きくなってしまったり、ということになりがちだ。こうした操作ミスを防ぐためにHOLD機能も備えており、電源ボタンを短く押すことで、HOLDのON/OFF切替が可能となる。なお、長押しすると電源がOFFになってしまうので、注意が必要だ。 サブメニューでは、チャンネル一覧/番組ガイド/チャンネル自動登録/設定/音声設定/音声多重/字幕の設定の各項目が用意される。サブメニューを呼び出して、タッチパネルの上/下キーを用いて任意の機能を選択、決定ボタンを押すと各機能の設定が可能となる。 チャンネル一覧では、登録中のチャンネルが確認できるほか、カーソルキーで各チャンネルの選曲が可能となっている。設定では、液晶の明るさが10段階で設定できるほか、時刻や受信強度の画面表示のON/OFFが切り替えられる。 機能はシンプルなので操作として戸惑うところはほとんどない。ただし、サブメニューがタッチパネル部と同系の青色で表示されるので、誤ってサブメニューをタッチしてしまうこともあった。このあたりは慣れが必要かもしれない。
EPGや字幕表示、音声多重放送に対応。番組ガイドから視聴中のチャンネルのEPG情報を確認でき、詳細情報もチェックできる。音声多重放送の主/副音声の切替もサブメニューから行なえる。なお、データ放送には対応していない。
■ 画質は良好。移動中の受信性能はもう一歩 受信感度はなかなか良好で、編集部のある東京 千代田区のビル内では、東京MXを含む全てのチャンネルが視聴可能。画面に表示される受信強度を見ると、3目盛りのうち1つしか表示されていないこともあるが、それでも音声も映像もとぎれることなく視聴できた。 東京 調布市の自宅でもほぼ全てのチャンネルが受信可能。チャンネルによっては時折とぎれることもあり、また、電波が弱いためかチャンネル切替にかかる時間が編集部での利用時より若干長く感じたが、視聴にはさほど影響ない。
ただし、移動中の受信についてはかなり厳しい。主に京王線の電車内でテストしたが、環状8号線より遠くなると、停車時以外はほとんど入らない。見通しのよい高架などではきちんと視聴できることもあるが、それ以外ではかなり不安定だ。 環状8号線以西で、都心に近づくとそれなりに受信でき、特に停車時には大抵受信/表示可能となるが、時間帯や社内の混雑状況にもよって不安定な時もある。問題なく視聴できる、というほどは安定していない。窓際の席など比較的受信環境が良い環境を選べばそれなりに視聴できる、という印象だ。 受信環境がしっかりしていれば、画質は良好だ。ワンセグ放送の320×240/320×180ドの映像よりも高解像度な液晶を搭載しているが、スケーリング品質も良い。ワイドショー番組の右上に表示されていた「生む機械発言」という細かい文字も判読でき、新聞読みのコーナーでも新聞のアップの文字がそのまま読めた。 バックライトの輝度も部屋の環境にあわせて調節できる。画質に大きな不満はないが、液晶表面にコーティングが施されていることから、写り込みがかなりある。視聴時にはさほど気にならないが、正対して視聴しながら、チャンネル切替を行なうと一瞬黒画面になり、自分の顔がしっかり見えるほど写り込んでしまう。 画質モードやバックライト輝度以外の画質調整機能は備えていない。アスペクトモードなども無く、放送をそのまま表示するだけだが、番組視聴中に決定ボタンに触れるとサブメニューが立ち上がるほか、チャンネル名や番組名などの情報を液晶下部に表示できるので、簡単に視聴中の番組を確認することができる。
また、本体右脇には主電源スイッチを備えており、主電源の入/切のほか、液晶ディスプレイをOFFにして、テレビの音声だけを聞くことも可能となっている。 電源はリチウムポリマー充電池で、連続視聴可能時間は約4時間。充電所要時間は3時間。また、将来提供予定の大容量バッテリーを背面に付ければ10時間超の視聴が可能になるとしている。 【訂正】
■ セカンドテレビに最適 既に多くのワンセグ対応機器が市場に出ているが、「ワンセグ専用テレビ」というコンセプトで製品化している点は非常にユニーク。また、本体の仕上げやインターフェイスもしっかりしている。 ポータブル用としては移動時の受信感度がもう一歩ではあるものの、薄さと画面の大きさは魅力的。ワンセグケータイの画面に物足りなさを感じる人にとっては面白い選択肢になるだろう。また、もう少し受信性能が良ければ、車の後部座席用テレビとしても非常に魅力的。 一番しっくり来るのは、家庭内のセカンドテレビとしての活用かもしれない。持ち運びしやすく、画面もケータイより迫力があり、画質も良好。パソコンでの作業中やベッドに入りながらの視聴、さらにリビングのチャンネル争いに敗れた際のバックアップテレビなど、さまざまな活用が考えられそうだ。 □BLUEDOTのホームページ (2007年2月9日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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