|
第3回:高いけど、特典てんこもり! |
怒涛のように発売されつづけるDVDタイトル。本当に購入する価値のあるDVDはどれなのか? 「買っとけ!DVD」では新旧かかわらず、厳正なる“独断と偏見”に基づいて、毎週金曜日に“買い”なDVDタイトルを紹介します。週末の購入プランの参考になれば幸いです。 |
「ラヂオの時間」の舞台は、ラジオ局のスタジオ。というよりも、スタジオ以外の場面はほとんどのない。その閉ざされた空間の中で、シナリオコンテストで優勝した主婦(鈴木京香)のシナリオが、初めて生放送のラジオドラマになる。しかし、そのシナリオが、主演女優(戸田恵子)のわがままから、共演俳優やスタッフを巻き込んで、どんどん変わっていく。
生放送なのに、ありとあらゆるトラブルが発生。そのトラブルに翻弄される主婦、俳優、スタッフ達。そのさまを面白く描きながら、それでいてリアルさを失わないところが、三谷幸喜の凄さだろう。
と、ここまででおわかりのように「ラヂオの時間」は、三谷幸喜お得意の密室劇である。
主演は鈴木京香。出演者は西村雅彦、唐沢寿明、モロ師岡など、脇役も含め三谷作品でお馴染みの役者が多い。そのため、危なげない演技で展開していく。脚本も緻密な計算で組み立てられており、ある意味予想通りに進み、最後はほっとできる結末、シーンが用意されている。ちなみに、渡辺 謙、桃井かおり、市川染五郎、宮本信子といった豪華ゲストが、ちょこっと顔を出していたりする。
本編の長さが104分ということもあって、映画としてはなんとなく小品な印象がぬぐえない。やはり、三谷幸喜は、天才劇作家であっても、天才映画監督ではないようだ。見終わった後は、シリーズもののテレビドラマを最終回まで見終えた感じだった。
また、場面がほとんどスタジオに限られることもあるが、画面がスクリーン向きではない。実際、自宅で25インチのスタンダードテレビ(CRT)と、液晶プロジェクタで16:9の80インチスクリーンに投影して試聴したが、25インチテレビのほうが画面のおさまりがよかった。
まず、日本語音声しかないのに音声トラックが4トラックも収録されている。内訳は、本編音声(5.1chドルビーデジタル)、笑い声つき音声(2.0chサラウンド)、三谷監督の音声解説(モノラル)、ラジオ弁天OA音声(モノラル)。2000年9月21日当時の邦画タイトルとしてはめずらしくオーディオコメンタリが収録されているのが注目される。聞き役は元フジテレビのアナウンサー八木亜希子。
また、5.1chは劇場公開時の4chドルビーSR音声から、瀬川徹夫氏(録音)がリミックスしている。もちろん、題材が題材だけにぐるぐる回るような迫力はないが、スタジオ内の雰囲気をうまく再現した臨場感あるサラウンドとなっていて好印象。笑い声つき2chは三谷幸喜監督が挿入位置を指定し、瀬川徹夫氏がリミックスするコリよう。しかし、個人的には本編音声と笑い声のマッチングがよくないように感じた。ただ、試みとしては非常に面白いもの。
映像の方も、高間賢治撮影監督の監修のもとでテレシネされてスクイーズで収録されている。ただし、元々抜けのいい画質を目指しているわけではないので、パット見でとりたてて高画質には感じない。しかし、温かみのある色合いで、見疲れない画質になっている。
さらに、邦画なのに英語と日本語の字幕まで入っている。そして、この日本語字幕は誰がしゃっべいるのか、役名まで表示されるので、音声をまったく聞かなくても、今、誰がしゃべっているのがわかる。
また、このDVDで驚くのは特典の多さ。メイキング、ミタニの時間、予告編など計87分44秒もの映像特典に加え、キャラクター別の見せ場チャプタなど、遊び心に富んだ内容となっている。
ということで、本編の音声を変えて4回(計116分)、映像特典87分44秒をあわせると、すべてを見るのに8時間23分44秒かかることになる。充実しているのは嬉しいけれど、全部見るのは大変なDVDである。
□東宝のホームページ
http://www.toho.co.jp/
□製品情報
http://www.toho.co.jp/park/video/new/radio/
(2001年3月23日)
[furukawa@impress.co.jp]
00 | ||
00 | AV Watchホームページ | 00 |
00 |
ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp