気になるグッズを衝動買い |
第40回:とにかく小さくてかわいいヤツ シリコンプレーヤー「パナソニック SV-SD80」 |
AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。 |
■気楽に使えるプレーヤーってないの?
最近、ポータブル用にメインで使っているプレーヤーといえばソニックブルーの「RioVolt SP250」。なによりもリモコンの液晶でトラック情報を確認できるのが便利です。
けれども、本体をカバンにしまっていたとしても、やはりコードが邪魔。人ごみの中で聞いているようなときには、コードを引っ掛けられたりして、ヘッドフォンがいきなり落ちてしまう、なんてこともございました。ううむ、お気に入りなんだけど、自分の場合、休日には「カバンも持たずに気楽に外出」って場合も多いんだよね。そんなときはカバンが必須な「RioVolt」は持ち歩けません。
カバンがなくても使えるプレーヤーはないもんかなぁ、と思いいろいろ検討してみました。まずはMD。まあ、ケツポケットには入るので、カバンはなくても大丈夫ですが、それでもコードは邪魔。人ごみで引っ掛けられる可能性はございます。
次いで、シリコンMP3プレーヤー。ソニックブルー「Rio600」は少々大きめで、D.N.A「PDA-03 Mark2」は小さくてまさに条件にぴったりなんだけど、液晶表示部がついてないのがなぁ。しかも使用メディアがMMCだし。
ほかにもいろいろ検討してみましたが、イマイチ物欲がそそられない。まあ、「RioVolt」使いやすいんでいいかな、などと保留していると、まさに条件ぴったりな製品がリリースされたのであります。それがパナソニックのシリコンプレーヤー「SV-SD80」なのであります。
■小さきことは良きことかな
この「SV-SD80」、ありていに言ってしまえばSDメモリカードをメディアに使用するメモリプレーヤー。しかし、その魅力はそのサイズにあるのです。なんと外形寸法43.3×17.3×44.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量約26g(本体のみ)と驚きの小ささ。しかも、再生時間が長い。最大の再生時間は、なんと50時間。こちらは本体内蔵の充電池と単4型アルカリ電池の併用時の数字だが、本体充電池の再生時間も18時間と驚異的。え? このサイズでそんなに長時間再生ができるんですか?
まあ、数字だけ列記されてもイメージしにくかったのですが、イベントで実物を見たときにびっくり。ホントに小さいんですわ。感覚としては、体積比で比較してRioVoltのリモコン部並み。思わず「本体につながるケーブルはどこ?」とボケてみたくなりました。
実物を見て11月10日の発売日に買うぞ~、と決心を固めたけれども、これがうっかり忘れていたんでありますよ。池袋の量販店で実物を見て発売を知ったという次第でございます。けど、このお店では「見本品です」ということで、まだ売ってませんでした。しゃあないなぁ、秋葉原行きますか。
……が、秋葉原はどこに行っても品切れでした。っていうか、品切れなら店頭に飾っとくなよ~、などと泣きが入ります。まあ、小さくて目を引く製品だからね。売れ筋なんでしょう。ふう、最後の砦の新宿に行くべ。と、その前に。「SV-SD80」にはSDカードがついておらず、入出力端子もヘッドフォン×1オンリーなので別途リーダ/ライタが必要なんだよね。
別途購入したSDカードとリーダ/ライタ |
で、新宿に行ったところ、最初の店であっさり発見。ああ、秋葉原を駆け回ったあの時間は無駄だったのか……。ただし、お値段は21,800円。むむ、秋葉原では19,800円が中心だったから1割ほど高めかな。まあ、ポイント還元10%やってるお店だから実質同等だし、すぐ手に入るんだからここでいいか。じゃ、これ下さい。
と店員さんに話しかけたところ、「PCレコーディングキットはお持ちですか?」 と聞いてきました。とりあえず「リーダ/ライタ持ってるからいいです」と断わると、「転送ソフトがないと再生できませんよ」と親切に教えてくれました。でも、「PCレコーディングキット」のお値段7,000円だしなぁ、2万以上出した後で7,000円を足すのはつらい。ということで「再生できなかったらまた買いにきます」と告げ、なんとかゲットとあいなりました。不安を残しつつも……。
■さまざまな工夫を感じられる同梱物
では、内容を確認してみましょう。プレーヤー本体のほかには、充電スタンド、ニッケル水素充電池、ACアダプタ、乾電池ケース、ステレオイヤフォンと延長コード、ネックストラップが同梱。いやはや、店頭で確認したとはいえ、やはり本体は小さく、同梱品の中でも目立たない存在であります。
同梱品にも小さなプレーヤーを実現した工夫が現われてます。まず、目を引いたのが充電池。形はMDやCDプレーヤーなどで使われているガム形充電池なのだけれども、違うのは長さ。とても短いのです。これまでに見慣れないものだけに、調べてみると新開発したものとか。ううむ、力入れてるなぁ。
乾電池ケースも独創的。こちらは、なんと本体をすっぽり覆うタイプ。本体が小さいからこそ、こういう選択になったのかと。ケースにはヘッドフォン端子部に穴が空いており、ケース上からでも本体のボタンが押せるようなギミックもあり。液晶部はもちろんシースルーで、表示の確認も出来ます。
接合部には薄いながらもゴムパッキンがついており、小雨程度ならば防水効果も期待できそう。おまけに本体に付いていないクリップも装備しております。ううむ、どちらかというとこのケースに入れた状態での使用を想定しているのかな? まあ、ケースを付けるとより一層ダサいのは愛嬌ということで……。
ネックストラップがついているのは、首からぶら下げる以外に装着の方法がないからだと思われます。あとは上着のポケットに入れておくくらい? 付属のステレオヘッドフォンのケーブル長は50cm程度なので、延長ケーブルはそのために装備されているのかと。ううむ、さすが松下様。細かいところまで気が使われております。
同梱品一覧。意外とおまけが多い | 手にもったところ。本当に小さい | 乾電池ケースを付けた状態。外観は好みの問題かと…… |
充電池は本体側面から挿入 | SDカードは下面から。このボディにバネ式ギミックを搭載 | 充電スタンド。ヘッドフォンをつけたまま充電可能 |
■不安的中。普通のリーダ/ライタでは転送できません!
さて、それではSDにファイルを転送してみますか。「SV-SD80」の対応フォーマットは、AAC/MP3/WMA。グリーンハウス製リーダ/ライタにSDカードを差し込んで、PCにはUSBで接続っと。ふむ、Windws XPでは挿すだけで認識してくれるんだ。関心関心。AACでエンコードされたファイルは持っていないので、とりあえずMP3/WMAから適当に見繕ったファイルをドラッグ&ドロップでSDカードに転送。操作はWindowsのデスクトップ操作で普通に転送できました。ま、当然ですわな。転送したファイルをSD側から再生して、転送を確認、っと。ふむ、ばっちり。
で、このSDカードをプレーヤー本体に挿入。本体のスロットはバネ式で、押し込むとロック、挿入時に再度押し込むことでリリースというタイプ。この小さなボディにそんなギミックを入れ込んだことも驚き。それはそれとして、再生はいかに?
……結果から言いますと、ダメでございました。再生できませんでした。液晶部にはエラーメッセージが表示され、再生される気配は全くなし。ううむ、これは「PCレコーディングキット」を買ってこなくてはなるまいて。親切に教えてくれた店員さん、あなたは正しかったです。
ということで、買ってきました「PCレコーディングキット」。キットの内容は、CDリッピング/転送ソフト「SD-Jukebox2.3」などを収録したCD-ROM×1枚と、USB接続のSDカードリーダ/ライタという構成。対応OSはWindows 98/98 SE/Me/XPで、お値段は7,000円ナリ。ううむ、グリーンハウス製リーダ/ライタの分、約3,000円が無駄になったか……。まあ、いい勉強になったとあきらめます。
■セキュア化はめんどくさい……
ということで、「SD-Jukebox」をPCにインストール。ソフトのインターフェイスは、まあ普通のMP3プレーヤーソフトと大差なく、ほぼ直感的に理解できます。機能面でもプレイリストの編集機能などを搭載。普通のソフトという感じ。
違うのは、セキュア関連の機能。CDからのリッピングはAACのみ対応しており、デフォルトではリッピングされた時点でセキュアAACとして保存されます。既存のMP3ファイルも、「SV-SD80」で再生するには「SD-Jukebox」でセキュア化する必要があり。むむ、だったらCDからリッピングする手間と大差ないわな。それならば、直接手持ちのCDからリッピングすることが多くなりそう。
ところで、リリース当初対応が謳われていたWMAには現時点では対応しておらず、今度アップデータで提供される予定なんだとか。うがぁ、ってことは、現時点でWMAは再生不可ってことですか? なんだかサギっぽいじゃないですか? まあ、WMAもセキュア化が必要でしょうから、多分既存のファイルを活かす機会もないのでしょうが……。
気を取り直して、作成したファイルを転送するべ。転送は「SD-Jukebox」の「SDへ転送」ボタンを押すことで可能になるのだけれども、SDカードが接続されていない状態では非アクティブになっております。接続したままになっていたグリーンハウス製のリーダ/ライタにSDを差し込んでみたところ、反応無し。あれ? おかしいな?
しばらく挿したり抜いたりを繰り返してみましたが、やはり反応無し。もしや、と思って「PCレコーディングキット」に同梱のリーダ/ライタに差し替えてみたところ、あっさり認識。スゲェ、ここまで著作権保護にこだわってるんですか。大企業ならではの気遣いはさすがです。
企業として著作権を尊重する姿勢は非常に評価できますが、「ドラッグ&ドロップで当たり前に転送」なんていいかげんな環境に慣れているユーザーの立場でモノを言わせてもらえれば、めんどくさいデス。手持ちのMP3ファイルをセキュア化していく手間は考えるだけでげんなりします。ううむ、「本当にお気に入りの曲」だけをキメ撃ちでCDからセキュアAACにリッピングしていく、という使い方が中心になりそうですな。
■本体操作は快適。音質もそこそこ
ふう、紆余曲折ありましたが、ようやく再生できる環境が整いましたぜ。改めて、SDカードを挿し込んで、再生ボタンをポチッとな。
おお、再生してますよ。AACの音は初体験だけれども、「整っていて聞きやすい」という印象でしょうか。多少帯域がまとまっている印象はあるものの、MP3のように「ばっさりと切られた」ような印象もなく、WMAのように「すっきりと細くなった」印象もございません。なんというか、「ノイズのないカセットテープ」という感じでしょうか。う~ん、長時間聞いていてもそれほど疲れませんよ、この音は。
一緒に転送したセキュアMP3の音は、AACと比較すると少々劣って感じます。やはり、ばっさり切られた帯域があるだけに、丸くなりすぎている印象。なんというか、デジタルって感じ。
しばらく聞いていたところ、どうもホワイトノイズがうっすらと乗っていることに気づきました。けれども、「静かな室内では聞き取れる」というレベル。これだけ小型なプレーヤーであれば、外出時に使用することが多くなると思うのですが、騒音の多い外ではほとんど気にならないです。まあ、問題ないかと。
実際にネックストラップに付けて、外で聞いてみたけれども、ホワイトノイズはほとんど感じません。そのままてくてく歩きながらリスニングを続けてみると、曲間のブランクはあるけれど、0.1秒程度なので、ライブ録音ソース以外で気になることはないでしょう。ふむ、優秀、優秀。
基本操作ボタンは、再生/停止、早送り、巻き戻しを液晶部の下に、本体下面に+/-のボリュームを配置。動作スピードは快適で、スキップは押してからすぐに反応するという印象。キュー/レビューも可能で、当然のように音付きであります。おお~、優秀、優秀。なによりも、首からぶら下げているからアクセスが容易で、ボリュームのコントロールからスキップ、停止に至るまでの操作がすぐにできるのがよろしい。ああ、小さきことは良きことかな。
特筆すべきは、モードセレクトスイッチがついていることでしょう。こちらのスイッチをスライドすることによって、プレイリストの選択や、イコライザの設定、おまけに時計表示まで出来てしまうのであります。まあ、イコライザは「電車ポジション」と低音強調機能「S-XBS」2段階だけで、かけてもそれほど違わないんですが。
それと、標準で表示される情報はタイトル名だけで、アーティスト情報はモード切替で表示されるのは気になるところ。まあ、タイトルで大抵のことはわかりますが。一番の不満点といえば、バックライトがないことでしょう。夜には使えませんな~。
とはいえ、それ以外に気になるところは特になく、外出時のリスニングを堪能させていただきました。
ネックストラップで首に下げた状態 | 時計表示 | プレイリスト表示時 |
■使いやすくて大満足。けれどもセキュア化が……
小型プレーヤーということで、操作性は当初こそ期待していなかったものの、宿命ともいえる少ないボタンをモード切り替えというシステムを使うことでうまく処理していらっしゃいます。
プレイリスト再生も可能なところなんて、よくもまあ、ここまで詰め込んだ、と思います。漢字表示には対応しないものの、カタカナは表示できるところもナイス。その上再生時間は長く、通勤/通学用途で使うのであれば、3~4日程度は本体の充電池のみで使えそう。充電もスタンドに設置するだけで非常に簡単。わお、パーフェクトなプレーヤーじゃないですか。
音質は、うっすらとホワイトノイズは感じるものの、騒音が多い外で聞く分には全く問題ないでしょう。それよりも、MP3よりも聴きやすいAACで音楽が聴けるメリットの方が大きいです。まあ、騒音の多い外で聞く分には大差はないですが。
唯一の気になる点といえば、セキュア化されたファイルしか再生できないこと。ファイル転送がめんどくさいので、「気軽に音楽をチョイス」という使い方はちょっと難しいと思います。けれども、「本当にお気に入りの曲をいつでも持ち歩ける」ことは大きなメリット。
重量もほとんど感じられず、ネックストラップで首からぶら下げていれば手軽にアクセス可能。プレーヤーとしては、突っ込み入れるところがほとんど思いつかないくらい完成されていると感じました。ホント、すごいよ、コレ。
けれども、やはり気軽にファイル転送できるプレーヤーも欲しくなってみたり。同じSDメモリカードをメディアに使うアイ・オーのMP3プレーヤー「HyperHyde Exrouge」なんてのも12月中旬に出るみたいですね。ううむ、こっちも小型で使いやすそう。しかも日本語表示対応だし、32MBメディア同梱モデルで16,800円と価格もお安め。コレもいいなぁ……。
□松下のホームページ
http://www.panasonic.co.jp/
□「SV-SD80」の製品情報
http://www.matsushita.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn010918-3/jn010918-3.html
□「PCレコーディングキット」の製品情報
http://www.matsushita.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn010918-4/jn010918-4.html
□関連記事
【9月18日】松下、連続約50時間再生のSDメモリープレーヤー
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010918/pana1.htm
(2001年11月27日)
[fujiwa-y@impress.co.jp]
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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp