第19回:10年の歳月を経て再び登場フィギュアもついてます「ふしぎの海のナディア DVD-BOX」 |
怒涛のように発売されつづけるDVDタイトル。本当に購入価値のあるDVDはどれなのか? 「週刊 買っとけDVD!!」では、編集スタッフ各自が実際に購入したDVDタイトルを、思い入れたっぷりに紹介します。ご購入の参考にされるも良し、無駄遣いの反面教師とするも良し。「DVD発売日一覧」とともに、皆様のAVライフの一助となれば幸いです。 |
ふしぎの海のナディア DVD-BOX |
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(C)NHK・総合ビジョン・東宝 |
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価格:58,000円 発売日:2001年10月30日 品番:KIBA9609~9618 仕様:片面2層 10枚組み 収録時間:約998分(本編) 画面サイズ:4:3 字幕:なし 音声:日本語(ドルビーデジタルモノラル、一部ステレオ/5.1ch) 発売元:株式会社総合ビジョン 販売元:キングレコード株式会社 |
今回は'90年にNHKで放映されたアニメ「ふしぎの海のナディア」を全話収録し、特典をつけたDVD-BOX「ふしぎの海のナディア DVD-BOX」。が、それにしても高い。単にDVDとして見ると、58,000円という価格は高いと思う。なにせ映画DVDが2,000円から買えてしまうご時世なのだから。低価格化したDVDの状況を考えてか、高額な商品となったこのDVD-BOXは完全予約販売。もちろん、自分も予約して入手している。しかし店舗によっては店頭在庫が残っているところもあるようで、探せばまだ購入も可能かもしれない。
そんな訳で買ってしまった「ふしぎの海のナディア DVD-BOX」。なぜこれだけ高額なDVDを買ってしまったかといえば、ひとえに自分が「ナディアが好き」だからだ。放映直前は「ガンダム」を見ていた程度で、それほどアニメに興味を持っていなかったけれども、友人にこの作品を薦められ、視聴したところ大ハマリ。毎週毎週エアチェックをしては繰り返し視聴していたものだ。
作品はジュール・ベルヌ作「海底二万マイル」を原案としているもの。オープニングテロップにも「海底二万マイル」と明記されていたが、共通点といえば「ノーチラス号」、「ネモ船長」という名前と、「海の怪物」という呼び名、あとは戦艦と戦うシーンがあるくらい。作中には同じベルヌ作の「神秘の島」も取り入れられているが、共通点は薄く、作品自体は「名作を下敷にしたオリジナル」と言っていいだろう。
その「オリジナル」を制作したスタッフが凄い。総監督は、ご存知の通り「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明氏が勤め、平成「ガメラ」シリーズや「さくや妖怪伝」の特技監督の樋口真嗣氏が23話からの監督。そのほかにも平成「ガメラ」のデザイン、「青の6号」監督を担当した前田真宏氏や、「フリクリ」を監督した鶴巻和哉氏などが制作に参加。この作品以後に大きな仕事をした錚々たるスタッフで作られている。
しかし、放映当時は各氏とも「知る人ぞ知る」という感じで、それほど有名ではなかったように思う。実際、自分も視聴当初は制作者の名前など気に留めていなかった。しかし、その後の作品で一躍有名になってしまった。
「大ハマリ」してしまった秘密は、まずなによりも面白かったからだ。キャラクター、ストーリーの魅力はもとより、本編の雰囲気を壊さない程度に織りこめられたパロディ、「かっこよさ」と「レトロ」を交錯させたメカニックデザイン。とにもかくにも制作者の「パワー」を感じられ、自分はそれに魅了されてしまったようだ。
放映直後には全話を収録し、特典映像を追加した「ふしぎの海のナディア LD-BOX」が発売された。しかし、LD-BOXの価格は確か7万円以上したと記憶している。当時はLDプレーヤーも持っていなかったし、学生だったのであわせて10万円以上の出費はとてもできなかった。「買えねぇよ!」と内心で悪態をつきつつ、いつか購入しようと思っていたものだ。しかし、LD-BOXは次第に店頭から姿を消していった。
けれども、今回ついにDVDとしてリリース。しかもDVD-BOXにはLD-BOXに収録された映像特典が収録され、その他「5大特典」が収録されているという。それで価格はLD-BOXよりも安い58,000円。しばらく迷いはしたものの、ついに予約して購入してしまったのである。
■ アナログのノスタルジーを高画質で
DVD-BOXに収録されている素材は、投稿されたイラストを写しながらナレーションが流れる次回予告や、番組宣伝スポット、特典映像の「バラエティビデオ」には放映時に本編終了後流された各キャラのイメージソングも収録されていて、放映時の素材をほぼ網羅している。放映時に視聴していた人も納得できる内容だろう。
本編のソースは、'91年に発売された「ふしぎの海のナディア LD-BOX」と同じものを使用。各ディスクに4話づつ、最終巻のみ3話収録している。アナログソースを使っているため、画質が気になるところであるが、特に前回の回想シーンではフィルムデュープ時のフォーカスムラ、ゴミや画面揺れなどが目立つ。しかし、これは放映時と同じ。
本編では一部にゴミ、画面揺れがあったものの、通常の視聴には問題ないレベル。逆に、デジタル制作された最近のアニメのようなエッジのジャギー感は薄く、フィルムソースならではのナチュラル画質を堪能できた。輪郭もフィルムソースの範囲内で非常にシャープ。各ディスクの収録時間も2時間弱と少ないため、ビットレートは高く設定されいるようだ。
また、放映時に気になっていた各話の彩度ムラも、ある程度調整されているようだ。完全とは言いがたいが、通して視聴した際でもさほど気にはならなかった。
音声は、本編は放映時と同じくモノラルで収録されているが、オープニング、エンディングはステレオで収録。オープニング、エンディングともに自分の中では名曲となっているので、満足している。
DVDメニューは、最近はやりの映像メニューではなく静止画。しかし、各話ごとにページが用意され、各話に関連のあるイラストを挿入。また、チャプターは細かく設定されていて、アイキャッチが多い回ではそのアイキャッチごとにチャプターが設定されている。なかなかこだわった作りだと感じた。
■ フィギュアなど特典も満載
BOXの特典は、貞本義行監修の「新作ナディアフィギュア」、スタッフインタビューなどを収録した「豪華特製ブックレット」、放送当時のイラストを収録した「ナディア画集」、ディスクの盤面は「ピクチャーレーベル」、5.1ch仕様で再編集した「NADIA MECHANIC ANTHOLOGY」、LD-BOX特典映像「ナディアおまけ劇場」、「LD-BOXプロモーション映像」を収録した映像特典ディスクの「5大特典」を収録している。
なんといっても目玉はフィギュア。主人公ナディアが藤椅子に座った図をモデル化し、ライオンのキングも同梱。製作は有名な海洋堂。それが塗装済みの完成品として封入されていた。パッケージを手渡されたとき、段ボールに入っていたため驚いたが、その半分以上はこのフィギュアのためのスペース。ブリスターに封入されていて、輸送時の破損にも気を使っているようだ。さて、その出来はというと、人によっては「作りが甘い」と言う人もいるようだが、自分は十分に満足している。もっとも、もったいなくてまだビニールを開けてはいないけれども。
ブックレットの内容は多彩。スタッフインタビュー、各話の解説、果ては放映当時の世相の解説や、作中で使用されているパロディのネタ元まで解説してくれている。特に設定画などは初めて見たものも多く、「メカキング」や「グラタン2号」が詳細に設定されていたことに思わず笑ってしまった。いや、隙なく作られていたことにも感心したけれど。
スタッフインタビューも興味深く、「南の島編」についての庵野監督の言葉に「ああ、やっぱりそうだったのね」と納得。当時の状況を確認して、よくぞあれだけのクオリティを保てたものだと思った。……それでも一部は保てなかったようだけれども、インタビューを読んで納得はした。
「ナディア画集」は放映当時のサントラCDやアニメ誌などに使用されたイラストを収録。すでに見たものも多いが、一覧できるメリットは大きいし、何よりも現在では掲載ソースを入手することはほぼ不可能。個人的にはキャラの表情が特に現われている前田氏のイラストが気に入った。
各ディスクのピクチャーレーベルは、誰が描いているか定かではないが、キャラクターデザインの貞本氏のテイストを十分に感じられる。各ディスクの収録エピソードに合わせ、パステル調でノスタルジーの感じさせるものになっている。ディスクの確認も容易で、39話もの大ボリューム作品を管理するのにも便利だ。
そして、映像特典ディスク。LD-BOXの特典だった「ナディアおまけ劇場」は、思っていたよりボリュームは少なかったけれども、大いに笑わせてもらった。ファンサービスとして満足できるものになっている。
「バラエティビデオ」は、現在絶版となっているもので、各キャラの声を担当した声優や監督などのスタッフが実写で出演。声優はあまり詳しくないので、絵で見ていたキャラと同じ声で話している声優に違和感を感じてしまったが、放映時のイメージソングを聞くことができて満足している。
「LD-BOXプロモーション映像」は、まさにプロモーション映像で、正直あまり面白いものではないけれども、店頭用の非売品だったそうだ。すべてを網羅したいマニアの心をくすぐる特典だと思う。
そして、5.1ch収録の「NADIA MECHANIC ANTHOLOGY」。これは「ナディア」に登場するメカのシーンを再編集して、5.1chで収録したもの。本編ではモノラルだった音声が、5.1chで立体的になると臨場感がまるで異なってくる。特に戦艦の砲撃シーンは秀逸。艦に直撃した砲弾の金属音と、砲撃の音の位置関係が理解できた。
そのほかにもオープニング、エンディングのノンテロップバージョンも収録されていて、ファン、そしてマニアの要求を満足させてくれる特典だと感じている。
■ 単体パッケージもリリース
店頭在庫が残っている可能性があるとはいえ、DVD-BOXは予約限定商品のため、これから確実に入手できなくなる。が、しかし、「ふしぎの海のナディア」自体は単体パッケージで10枚までリリースされる。最終巻となる「ふしぎの海のナディアVOL.10」は12月29日の発売。各巻4話収録で価格は各巻5,800円。最終巻のみ3話収録で4,800円となっている。
フィギュアなどの特典はないものの、「ナディア」を見たいのならばそちらを揃えてみるのもいいかもしれない。
●このDVDについて |
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□キングレコードのホームページ(スターチャイルド)
http://www.starchild.co.jp/
□「ふしぎの海のナディア」の製品情報(スターチャイルド)
http://www.starchild.co.jp/special/nadia/index.html
(2001年12月21日)
[furukawa@impress.co.jp]
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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp