そこで気になるのは、提供される番組と価格、そして対応するハードだ。これまで三洋電機のチューナ内蔵テレビしか発表のなかった対応ハードも、駆け込みで松下電器産業が単体チューナを発表。HDDレコーダとして使える受信端末「epステーション」も、5月には店頭で入手できる予定だ。 とはいえ、現状ではチャンネル数が7チャンネルと少ない上、対応ハードもほとんど選択肢がない状況。そのためか、110度CSデジタル放送についての情報もあまり目にすることはない。そこでAV Watchでは、対応機器と放送開始当初のチャンネルについてまとめてみた。
■ 110度CSデジタル放送とは 110度CSデジタル放送は、BSデジタル放送用のBSAT-2aと同じ東経110度方角に静止する人工衛星「N-SAT-110」を利用する衛星放送。アンテナを合わせる方向と角度がBSデジタルと同じため、BSデジタル/110度CSデジタル共用のアンテナを用意すれば、1台のアンテナで両放送を受信できる。ただし、周波数が違うため、従来のBSデジタル用アンテナ(コンバータ)は使用できないという。 放送形態は、「プラットワン」と「スカイパーフェクTV! 2」がプラットフォームとなり、総務省(旧郵政省)の認可を受けた認定事業者の委託放送業務を行なうというもの。'99年9月22日から10月19日にかけて行なわれた放送事業社の募集には41社もの申請があり、新らしい放送メディアにかける期待の高さをうかがわせた。 3月1日に放送開始されるのは、プラットワン系の有料放送7チャンネルと無料放送1チャンネルのみ。プラットワンはその後、3月から4月にかけてチャンネルを増やし、5月までには有料34チャンネル、無料8チャンネル、PPV4チャンネルを用意するという。委託放送事業社としてエントリーしているのは、株式会社シーエス日本、株式会社CS-WOWOW(シーエス・ワウワウ)、株式会社スペーステリア、株式会社メガポート放送、日本メディア-ク株式会社、日本ビーエス放送株式会社、イーピー放送の7社。シーエス日本の母体は日本テレビになる。 一方、スカイパーフェクトTV!系の「スカイパーフェクトTV! 2」は、5月から無料放送を開始し、有料放送は7月ごろに始まる予定。委託放送事業社には、フジテレビ、TBSといったキー局や、ディスカバリージャパン、ファミリー劇場などの衛星放送大手が名を連ねている。
□BS/広帯域CSデジタル放送運用規定(ARIB)
■ 110度CSデジタル対応単体チューナ 110度CSデジタル放送の視聴には、対応チューナとテレビ、あるいは対応チューナ内蔵テレビが必要となる。基本的には、従来のBSデジタルチューナやチューナ内蔵テレビは使用できない。また、アンテナも専用のBSデジタル/110度CSデジタル共用タイプを設置する必要がある。 現在発表済みの単体チューナは、松下電器産業株式会社の「TU-BHD250」と、マスプロ電工株式会社の「BCT300」の2機種のみ。姉妹機の関係にあると思われ、発売日はBHD250が3月1日、BCT300が4月中旬を予定している。どちらもオープンプライスで、店頭予想価格はともに7万円前後と見られる。 両機種ともi.LINKを装備し、D-VHSとの接続も可能。D4出力端子や光デジタル出力端子も備え、AAC 5.1chのストリーム出力も可能。BSデジタルと110度CSデジタルの切り換えはリモコンからワンボタンで行なえる。
現状で選べるのはこの2モデルのみ。スカイパーフェクTV!の本放送が7月なので、それまでには各社の対応を望みたい。 なお、epの蓄積型チャンネルに対応する「epステーション」も単体チューナとして利用できる。60GB、または80GBのHDDを搭載したBSデジタル/110度CSデジタル両用のチューナで、価格は79,800円~83,800円。発売は5月を予定し、4機種がラインナップする。詳細は「イーピー、蓄積型双方向放送『ep』を4月1日に開始」に掲載している。
また、衛星ダウンロードサービスなどを使い、既存のBSデジタルチューナを110度CSデジタル対応品にアップグレードする動きもある。松下電器は既発売の「TU-BHD200」を対象としたアップグレードサービスを計画、サービス開始は4月中旬以降を予定している。 また、ソニーマーケティング株式会社もアップグレードを検討しているという。対象機種は「2001年発売の第2世代機」としており、2001年12月発売の「DTS-BX500」が該当する。衛星ダウンロードを使用し、開始時期は未定。決定次第、同社のホームページなどで案内するとしている。
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■ 110度CSデジタル対応チューナ内蔵テレビ 一方、110度CSデジタルチューナ内蔵テレビは、三洋電機株式会社の「C-28DS1」、「C-32DZ20」、「C-36DZ20」と、松下電器の「TH-24D25」が3月1日に発売される。価格は、三洋電機の3機種がオープンプライスで、TH-24D25が154,000円となっている。
三洋電機の36DZ20と32DZ20は、D4入力が可能な36型と32型のワイドテレビ。店頭予想価格は36DZ20が40万円前後、32DZ20が30万円前後と見られる。i.LINKを2端子搭載し、D4入力も2系統装備する。 28DZ20は、BSデジタルチューナを内蔵しながらも、D1表示に特化した28型ワイドテレビ。1080i/720p/480p/480iの各信号に対応するが、表示はすべて480iにダウンコンバートされる。 松下電器のTH-24D25は、T(タウ)フラットブラウン管を採用する24型ワイドテレビ。こちらも表示はD1までで、BSデジタル放送の1080iや720pはすべて480iにダウンコーンバートする。そのほか、SDメモリーカードスロットを装備している。
なお、BSデジタルチューナ内蔵テレビについても、松下電器とソニーがアップグレードサービスを表明している。機種は、松下電器が「TH-36D20」、「TH-32D20」、「TH-28D20」の3機種。ソニーは「KD-36HD800」、「KD-32HD800」、「KD-28HD800」が対象と見られる。開始時期は、松下電器が4月中旬以降としており、ソニーは未定。 また、松下電器はプラズマテレビの「TH-50PH50」、「TH-42PM50」、「TH-37PM50」、「TH-50PH3」も対象としており、7月中旬以降の実施を予定。さらに、D-VHSデッキの「NV-DHE10」、「NV-DH1」、HDDビデオレコーダの「NV-HDR1000」についても7月中旬以降にバージョンアップを行なうという。
□BSデジタルチューナアップグレードサービスの案内(松下電器)
■ 現行機種のアップグレード状況
■ BSデジタル/110度CSデジタル共用アンテナ また、110度CS放送を受信するには専用アンテナも必要になる。現在発表済みのBSデジタル/110度CSデジタル放送用のアンテナとしては、マスプロ電工の「BC45K」(オープンプライス)、「BC75K」(9万円)、「BC100K」(135,000円)、「BC120K」(18万円)、TDKマーケティング株式会社の「BCS-45DHV*KITB」(オープンプライス)、松下電器の「TA-BCS40R1」「TA-BCS45G1」(ともにオープンプライス)などがある。 従来のCS用アンテナ同様、40~45型の取り付け部材付きが売れ筋になると見られ、店頭では1万円前後になる見込み。
■ 放送内容
3月1日から放送を開始するのは、プラットワン系の有料7チャンネルと無料1チャンネル。そのうち、無料チャンネル(001ch)はEPGチャンネルとなっている。
放送開始は3月1日午前10時から。ただし、シーエス日本の各番組は午後12時からのスタートとなる。また、CS-WOWOWは3月21日から放送開始となるが、PPVは4月から行なわれる。3月1日放送のチャンネルは以下の通り。
○電波少年的放送局(006ch、800円)
○NNN24(005ch、600円)
○サイエンス・教育チャンネル(009ch、600円)
○ミュージックジャパンTVプラス(008ch、900円)
○ブルームバーグテレビジョン(007ch、800円)
○データカレッジ(010ch、300円)
○プロモチャンネル(001ch、無料)
上記の様に、プラットワンの有料番組は300円~900円。このほかに2,000円の加入料と月額300円の基本料が必要になる。さらにCS-WOWOWのPPV料金がこれに加わる。なお、特定のチャンネルを組み合わせた「パック料金」も導入される。
パック料金は、BBTV(085ch)以外の有料チャンネルをすべて含む「プラワンパック」が1,600円。シーエス日本の計7chすべてが見られる「CS日本パック」が1,300円、メガポートの計3chをパックにした「メガポート・パック」が250円、スポーツTivi!(966ch)とニュースTivi!(967ch)をパックにした「Tivi! パック」が230円。
プラットワンへの加入は、プロモチャンネル(001ch)からリモコンで行なうほか、電話や郵送による申し込みも行なえる。プロモチャンネルからの申し込みは3月25日から、郵送による申し込みは3月1日から開始される。また、4月1日からはインターネット上からの受け付けも行なうという。
現在プラットワンでは、加入料を無料にするキャンペーンを実施中。また、4月1日からは最長2週間、PPVを除くすべてのチャンネルを無料で視聴できる「お試し視聴」が可能になるという。
一方、スカイパーフェクトTV!系は5月ごろから無料放送を開始し、有料放送は7月ごろに始まる予定。
(2002年2月28日)
[orimoto@impress.co.jp]
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