気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】

第75回:USBストレージにもなるMP3/WMAプレーヤー
クリエイティブ「NOMAD MuVo(64MB)」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

ちっこいプレーヤーがまた欲しくなってみたり

 圧縮音楽フォーマットプレーヤーってのはいいものですなー。できればいつでも持ち歩いていたい。しかし、気軽に持ち歩けるプレーヤーというのは意外と少なく、これまでに試したプレーヤーでサイズ的に満足できるのはシリコンプレーヤー2機種のみ。

 圧縮音楽フォーマット対応CDプレーヤーは、CD-Rに大量の曲を入れられて、気分に合わせて好きな曲を選べるので、カバンを持ち歩くときには最適なのだけれども、休日に町を歩いたりするときはカバンを持たないまま出かけたりすることもあるッスよ。カバン邪魔くさいんで。

 で、満足できるシリコンプレーヤーというのは、松下の「SV-SD80」 とアイ・オー・データの「Hyper Hyde Exrouge」な訳ですが、サイズ的には満足できても、セキュア化の手間が面倒だったり、WMAの再生に対応していなかったり、デザインがちょっと気に食わなかったりで、結局あまり使ってません。ということで、なんかないかなーと思っていたところ、クリエイティブからよさげなブツが発売されました。それがMP3/WMAプレーヤー「NOMAD MuVo(64MB)」でございます。

 簡単に説明すると、「MuVo」は64MBのUSBストレージとして動作する「MuVo Memory」と、電池パックの2ピース構造のMP3/WMA対応プレーヤー。MuVo Memoryはストレージクラスに対応しており、PCのUSBポートに差し込めばリムバーブルドライブとして使用できる。というブツ。うーん、いいかも。液晶表示部はついてないからタグ情報は表示できないけど、これなら転送の手間も少なくて済みそうだし、サイズ的にもなかなかいい感じ。おまけにWMAの再生にも対応してるじゃないですか。

 ということで買ってきました。お値段16,800円ナリ。パッケージは一見紙製の通常タイプですが、中は全面接着のブリスターで梱包。泣きながらカッターで切り取りつつ、梱包物を取り出しましたとも。

 で、同梱品はというと、MuVo Memoryと電池バックはあらかじめ一体化した状態で入っており、それ以外は単4型アルカリ電池×1、ネックストラップ×1、ステレオイヤフォン×1、Windows 98/98 SE用のUSBストレージドライバと、MuVo Memoryのフォーマッタを収録したCD-ROM×1枚という構成。非常にシンプルですな。

 電池パックを付けたサイズは、握りこぶしにちょうど収まる程度で多少大きめながら、プレーヤーとしてはなかなか小型。ネックストラップも付属しているので、首から下げての使用にもよいかと。操作ボタンはMuVo Memoryに装備されているものの、単体での再生はできず、必ず電池パックにつなぐ必要アリ。MuVo Memoryには、電池パックのガイドに対応する溝が彫ってあり、電池パック側のUSBポートに差し込む際にも問題は感じません。んー、ハードウェア的には良くできてるんじゃないでしょうか。

パッケージ。一見普通のパッケージだが、中はブリスター 同梱品一覧。必要最小限の構成かと 「MuVo Memory」と電池パックの合体状態。握りこぶしにちょうど収まる感じ

MuVo Memoryを切り離した状態。操作ボタンはすべてこちら側 電池パック単体。こちらはUSBポートと電池収納部を持つのみ 電池パックの電池収納部。電池を入れることを考えると、これくらいのサイズ増大は仕方ないかも


転送速度は少々遅め? でも便利なストレージ

 マニュアルは1枚を折りたたんだ紙に4カ国語の解説を印刷したユニバーサル仕様。読んでみると、プレーヤーソフトはあらかじめメモリ内に書き込まれており、不測の事態で壊れてしまった場合も付属のCD-ROMに収録されているフォーマッタソフトでフォーマットを行なうことで復元可能とか。

 で、さらに読み進めると、ふむふむ、音楽ファイルはルートに置かないと認識されないということですか。ま、容量的にそれほど多くの曲は入らないからこんなもんでしょう。ほかの記述は、リピートモードの設定などを除いてボタンのアイコンから想像できるような内容。さすがに機能は少ないようです。

 では、電池パックからMuVo Memoryを取り外して、USBポートに挿してっと。Windows XPではドライバの検索を行なっていると思われるしばらくのタイムラグの後、ちゃんとUSBストレージとして認識。ためしにWindows Meでもやってみましたが、まったく問題ありませんでした。

 何もファイルを入れていない、フォーマット時の使用可能容量は約60.4MB。ま、プレーヤーソフトが入ってるから多少のロスはありますわな。

 ということで、曲を転送することにしますかねー。プレーヤーのサポート対象ビットレートとされているのは32~320kbpsのMP3ファイル(VBR対応)と、64~192kbpsのWMAファイル。WMAはエンコードするWindows Media Playerがそれ以外のビットレートに対応していないので問題ないけど、MP3ファイルはそれ以下にもエンコードできるからなー。ということで24kbpsのファイルなんかも混ぜて、いろんなビットレートのファイルを入れてみました。

 合計25MB程度のファイルを転送するのにかかった時間は1分30秒ほどで、転送速度は約2.2Mbps。ちょっと遅いけれども、待てない範囲ではありません。ちなみに、デバイス内にあるMP3ファイルをPC上で再生しても転送はちゃんと間に合ってました。

 確かに転送速度は低いとは思いますが、容量は64MBですからなー、128MB版の発売も予定されていますが、転送容量から単純計算すると、128MB全容量を転送するのに必要な時間は約7分45秒。ちょっと気になるかな。

 なによりもWindowsw環境PCのほとんどで、USBポートに差し込むだけで使用できるってのがよろしい。USBストレージは今回初めて使用したけれども、一昔前のフロッピーディスク感覚ですな。現在はほとんどのPCにUSBポートが付いているし、OSもドライバを必要としないWindows Me/2000/XPがかなり普及してますし(もっとも、ドライバが必要なWindows 98/98 SEは現在でもガンガン使われてるけど)。

 ちゅうことで、電池パックに戻して、プレーヤーとしての使い勝手を試してみますかね。

USBポート接続状態。接続時にLEDは赤く点灯し、アクセス時には点滅する USBストレージとしてのプロパティ。使用できる容量は60.4MB


プレーヤーとしてはどうなのよ?

 電源は、再生/停止ボタンを2秒程度長押しすることで投入。投入後はLEDが緑に点灯して、再生状態を示してくれます。再生/停止ボタンは、+スキップ/サーチボタンとつなっがっているなので、慣れるまではそちらを押してしまうこともありました。が、ストラップで下げた状態で一番上に来るボタンなので、慣れてしまえば手探りでも操作可能。問題ありません。

 お、音がでましたよ。最初に再生されたのは、最初に転送したファイル。再生曲順はファイルネームではなく、転送順に準拠です。もちろん、フォルダ内に置いた曲はまったく再生せず。んー、まあ液晶表示部ついてませんからなー。

 どのビットレートでも再生に問題はなし。サポート外となっている24kbpsのファイルもフツーに再生できました。ただし、曲の頭にいわゆるプチノイズが載ってしまい、トラック連続再生時の曲間ブランクは0.5秒ほど発生。んー、完璧ではありませんなー。

 で、プレーヤーとしての基本的な機能はというと、+/-のスキップボタンでスキップ、このボタンを長押しすることでサーチも可能。ですが、残念ながら無音。リピートモードは1曲だけを繰り返すトラックリピートと、選択したA、B間をリピートするAB間リピートの2モードを用意。トラックリピートはA-Bボタンを長押しで移行。するとLEDが緑に点滅して、リピートに入ります。

 AB間リピートはリピートポイントでフェードイン/フェードアウトしてくれるから、唐突な印象をあまり感じず、サビの部分を聞き込むにはなかなかよろしいかと。しかし、オールリピートは搭載せず。すべてのトラックの再生が終わると、一時停止状態になり、手動で再生ボタンを押す必要があります。

 んー、やはりオールリピートは欲しかったかなー。けれども、一時停止状態からは再生ボタンを押すだけですぐに再生してくれるので、多少手間が増える程度。一時停止状態が5分ほど続くと自動的に電源を落としてくれるので、思わぬ電池の消耗を抑制するための配慮なのかもしれんなー、と想像してみたり。

 意外だったのは、一旦電源を切ってもボリューム値がリジュームされること。ボリュームは電子式な上、ステップ数がかなり多いので最小から最大にするのに押しっぱなしで10秒程度かかるので、この配慮はうれしいかも。

 しかし、曲はリジュームされず、一番最初の局に戻ります。スキップ、サーチでお目当ての場所を探す必要があります。せっかくボリューム値がリジュームされるのだから、ついでに曲もリジュームもしてくれるとありがたかったりするわけで。んー、しかしファイルの入れ替えが頻繁に行なわれるとの想定から、あえて対応していないんですかね?

 電池持続時間は、厳密には測定してませんが、カタログスペックの12時間よりちょっと低めの11時間程度の様子。休日に街を歩きながらのリスニングだと、2日程度は持つと思われるので、再生時間はこれで問題ないでしょう。他のプレーヤーと比較しても結構長めの再生時間。電源も入手しやすい単4型乾電池だから、手ぶらで街を歩いていてもコンビニですぐに入手できるから安心。

 ちなみに、電池切れで停止してすぐに再生しても30秒程度で切れてしまいますが、3時間ほど放置しておけば、5分ほど再生は可能でした。けど、ま、素直に電池換えるのがいいでしょうなー。5分だと最後まで聴けない曲もぼちぼちあるし。

再生時には緑に点灯。リピート再生時は点滅する MuVo Memory側面にはボリュームとリピートボタンを装備 ヘッドフォン出力もMuVo Memory側の上面に


機能は控えめながら、非常に使えるキーホルダー

 プレーヤーとして見ると、液晶表示部がついておらず、タグ情報が付いていないのが最大の欠点。けれどもMP3、WMAの再生には対応しているので、手持ちのファイルのほとんどを再生することができて、しかも転送はドラッグ&ドロップでルートにコピーするだけ。曲管理が大変ラクなプレーヤーだと感じました。

 ストレージデバイスとして見ると、容量はわずかに64MB、転送速度800kbpsと、それほど性能が高いわけではありません。けれども、いざ使ってみると、その利用用途はなかなか広いです。使い勝手としては、MP3などほとんど普及していなかった5年ほど前、HDDの容量もそれほど大きくなかった時代のFDのような感覚でしょうか?

 MPEG映像ファイルなどは容量的にちょっときついものの、MP3ファイルや、デジカメで撮影したJPEG画像など、ちょっとしたデータを持ち歩くためのメディアとしてはかなりいい感じ。で、それにプレーヤー機能が付いているから持ち歩く際の意味も生まれるというもの。

 液晶表示部がないのは確かに残念だけど、128kbps以上の高ビットレートで収録することの多い圧縮音楽の現状を考えると、64MBに入れられる曲は多くて15曲程度。お気に入りの曲をセレクトして、随時持ち歩く、ってユースには最適かと。この程度の曲数なら曲順も記憶しておけるだろうし、液晶がなくても不都合はないのでは?

 液晶表示部がないから、個人的にはネックストラップでいつでも目の前に置いておくよりも、どちらかといえばベルト穴に通すカラビナ型キーホルダーに装着してベルトに下げたほうがよさそうなブツと感じました。鍵類と一緒にすることで、家を出る時に持ち忘れることも少ないし。

 付属のステレオイヤフォンもケーブル長は1m程度。ケツの方に取り回しても問題ないでしょう。手探りでの操作もできるし、ネックストラップで運用するよりも歩いていても気にならず。液晶がないのは確かに残念だけど、逆にこんな使い方ができるのがよろしいかと。

 ステレオイヤフォンはパンツのポケットにしまっておき、運用上の欠点はLEDで動作の確認がしにくくなるという問題もありますけどね。ま、音が出れば確認できるっしょ。ということで、多少大きいけれどもプレーヤーとしても、ちょっとしたストレージデバイスとしても使用可能な「非常に使えるキーホルダー」として使用していきたいと考えてます。

□クリエイティブのホームページ
http://japan.creative.com/
□製品情報
http://japan.creative.com/products/digitalaudio/muvo/
□関連記事
【7月23日】クリエイティブ、USBメモリとして使用可能なMP3/WMAプレーヤー
―ケーブル、専用転送ソフト不要
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020723/creative.htm

(2002年8月13日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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