■ DivX対応DVDプレーヤーのニューフェイス 今回取り上げるのは、株式会社サードウェーブのPCパーツショップ「DOS/Vパラダイス」で先月より販売開始された低価格DVDプレーヤー「TW-3108」。
サードウェーブの販売するプレーヤーとしては、「NExtWave」ブランドのDVDプレーヤー「Win3023DH」が記憶に新しい。「Win3023DH」は、プログレッシブ出力やアナログRGB出力、リージョンフリーなどの高機能/高付加価値な低価格プレーヤーとしてだけではなく、その独特の日本語表示でも注目を集めたプレーヤーだけに、新製品にも期待がかかる。 「TW-3108」の特徴は、DivXやXviDなどの圧縮映像フォーマットに対応していること。DivX対応プレーヤーとしては、長瀬産業が販売している「DVD-V880」や、バーテックスリンクの「KiSS DP-450」などがあるが、この「TW-3108」は、販売価格19,800円とDVD-V800の25,000円強、DP-450の4万円台後半の実売価格と比較してかなり低価格。かつ、XviDも正式サポートしている模様。近年人気の高いDivX対応DVDプレーヤーだけに、本機の実力を早速テストした。
■ ちょっと変わった本体仕様
外観は、基本的にオーソドックスなDVDプレーヤーのだが、やや気になるのがトレー脇のボタン。これは画面表示切替ボタンとなっており、出力がコンポーネント、S映像、コンポジットなどに切り替わる。なお、その際NTSCのほか、PALも選択できる。 なお、初期出荷バージョンは、出荷状態でPALになっているために、NTSCへの設定変更が必要。方法は本機のFAQのページに記載されている。 再生ボタンなどそれぞれの操作ボタンは、独特のクリック感のあるもので、少し安っぽい印象を受ける。
出力端子は、コンポーネント×1、S映像×1、コンポジット×1、光デジタル×1、同軸デジタル×1、アナログ音声×1が利用できる。日本では特に使い道が無いと思うが、SCART端子も装備している。
■ 画質は今ひとつで、メインDVDプレーヤーとしては物足りない
早速、三菱の28型テレビ「28W-HR1」にコンポーネントで接続。 リモコンの[SETUP]ボタンからメニューを辿ることで、テレビ設定や音声出力設定、映像出力設定などが行なえる。設定画面を一目見てわかるのは、長瀬産業(MOMITSU製)の「DVD-V880」と同じインターフェイスとなっていること。デコーダチップに、DVD-V880と同じSigma Designの「EM8500」を利用していることからも、同様のプラットフォームを利用していると推測される。 ただし、DVD-V880で装備していたDVI端子は「TW-3108」には無いので、DVIの項目は選択不能となっている。変わったところでは、映像出力にHDコンポーネント出力の項目があること。1080i/720p/480pと選択できるのだが、DVDについては480i/pのみで、720pなどにアップコンバートして出力することはできない。
基本操作はリモコンで行なえるが、セットアップ用の十字キーとENTERキーがセンターの大きな位置を占めている。もちろん設定はしやすいのだが、その割を食って再生ボタンや、チャプタ送り/戻り、早送り/戻しなどのボタンが小さくなっていてやや使いにくい。つい早送りしようとして、チャプタを送ってしまうというミスをやりがちだ。 DVDの視聴を行なってみると、特に赤がきつめで、全体的に色が濁りがち。ノイズの発生も多く、低価格DVDプレーヤーとしてもあまりよくない部類に入ると思う。「DVD-V880」と同等のデコーダチップを採用しているはずだが、比較的好印象だった「DVD-V880」と比べると、DVD再生に限っていえばだいぶ負けている印象。NExtWave「Win3023DH」に比べてもノイズ量はやや多く感じた。 ローエンド製品も最近はクオリティの向上が著しく、2万円程度の国産メーカー製品も高画質化している。そうした状況を鑑みると、「TW-3108」のDVDビデオプレーヤーとしての力不足は否定できないと思う。 しかし、Spirited Away(千と千尋の神隠しのリージョン1 米国版)、Le Voyage de Chihiro(フランス版)の再生は行なえるなど、リージョンフリーかつ、PAL対応というメリットがある。DivX対応などセカンドDVDプレーヤーとしての機能を見れば「全部入り」ともいえる。そうした状況を照らし合わせながら、DivXなどの再生機能をチェックしてみたい。 ■ DivX再生の実力は?
なお、日本語の表示には対応しないため、ファイル名が[??]と表示されてしまうが、ファイルの再生自体は行なえる。オーディオはMP3のみで、WMAやOggVorbisは再生できない。
本題ともいえるDivXの再生だが、DivX 5.02/5.03/5.05で、さまざまなビットレートのDivXファイルが特に問題なく再生できた。ただし、DivXで音声をPCMにしていると音の出力がされないので、MP3音声にしておく必要がある。 また、DivXの早送り/戻しは、ボタンを押すと60秒後の映像にスキップするという仕様になっている。なお、XviDについては、今回テストしたファイルでは音が出ないことがあった。また、DivX3やMicrosoft MPEG-4には対応していない。 MPEGファイルの再生にも対応しているが、720×480ドット/15Mbpsなど高ビットレートのファイルでは一部にコマ落ちが見られる。
■ まとめ メインのDVDプレーヤーとしてはやや力不足と感じたが、DivXユーザーには低価格な選択肢が増えたと言えそうだ。リージョンフリーのセカンドプレーヤーとして活用するといった利用には十分な性能を持った製品だ。 ただ、「DVD-V880(約26,000円)」はリージョン固定だったが、画質の差やDVI出力などの特徴と比較して、6,000円程度の価格差というのはかなり微妙な選択。そういう意味では、「これだ」という決定打にかける印象もある。個人的にはネットワーク対応などそろそろ新しい切り口のDivXプレーヤーが登場してくれると面白いのだが。 ■ 分解してみた
トレーをあけて筐体内をチェック。ネジをはずすだけで、簡単に上蓋があけられる。中身は至ってシンプルなもので、ドライブと電源、小さなメイン基板の3つのコンポーネントで構成されている。 DVD-V880とほぼ同じ構成で、DVDデコーダチップも同様のSigma Design製の「EM8500」。Kiss 「DP-450」をはじめ、現在発売しているDivX対応DVDプレーヤーのほとんどがこれを採用している。
□サードウェーブのホームページ (2003年7月4日)
[usuda@impress.co.jp]
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