■ にわかに注目が集まる、パソコン対応ディスクライブラリ
最近になって、にわかに注目を集めているのが、PCで管理できるディスクライブラリシステム。特に、4月に発売されたイメーションの「Disk Stakka」は、好調な売れ行きを示しているという。 実はこの種の製品自体は、Dacal Technologyの「Dacal CD Library DC-101」という製品が2001年ごろには出回っていた。しかし、その当時は、まだ個人でパソコンでディスクを管理したいという人は多くはなかったのだろう。注目は集まったものの、それほど売れたという記憶はない。 しかし最近では、DVDレコーダで録画したDVDや、記録型DVDドライブが安くなったことで、所蔵するディスクが増え、それを何とか管理したいという思う人が増えていることは間違いない。 そんな市況の中、サンコー有限会社の直販サイト「レアモノショップ」で、「DC300 CD Library II」(以下DC300)が、7月9日から13,800円で発売された。これは、ハードウェア自体は、Dacal TechnologyのDC-101の後継モデル「Dacal CD Library II」で、日本語マニュアルを添付するなど、ローカライズして、レアモノショップで販売されている。 ディスクの収納枚数はDisk Stakkaの100枚に対し、150枚収納可能など仕様的には上回っており、反響が高かったようだ。製品購入ページには「発売初日より大反響があり、予想よりも猛烈に早く売り切れとなった」と書かれている。次回入荷は7月末を予定しているとのことだ。
■ コロン、と出てくるディスク
本体カラーはオフホワイト。外形寸法は370×390×180mm(幅×奥行き×高さ)で、なかなか存在感がある。重量は、電源がACアダプタ式なので、それほど重くなく約2.5kg(編集部実測値)だった。 本体左側に操作パネルがと表示パネルがあり、パソコンと接続していなくても、ディスク番号を入力することで取り出すことができる。ちなみに、手書きで記入できる紙のリストも付属している。
スロット部にはシャッターも装備しており、これを開けないと動作しない。このシャッターには鍵が付いており、鍵をロックすれば勝手にディスクが取り出されることを防ぐことができる。 デザインだけ見ると、するっと出入りするスロットイン方式のように見えるが、実は違っている。アーム部分にディスクを置くと、それが倒れて中にディスクが押しこまれる。出てくる時には、アーム部分が下に降りて、そこにディスクが転がり出てくるようなイメージだ。動画を用意したので、詳しくはそちらを見てほしい。
なお、構造上、収納できるディスクは12cm径のもののみ、8cmのシングルや、変型ディスクは使用できない。
実測でディスク「1」を取り出した状態から、ほとんど真裏にあるディスク「76」が出てくるまでに約7秒かかった。1回の操作で、何枚も取り出すことはあまりないだろうから、それほど不満に感じることはないだろう。 DC300をパソコンと接続すると、USB Human Interface Device(HID)として認識されるので、基本的にOSが標準で持っているドライバで動作する。電源スイッチは特になく、ACアダプタをつなぎ、パソコンと接続すると使用できるようになる。しばらく、使用していないと自動的に電源が切れる。
■ CDDBにも対応した管理データベースソフト
DC300には、管理ソフトとして「CD Library」が付属する。対応OSは、Windows Me/2000/XP、Mac OS X 10.2以降。日本語、英語のほか、スペイン語、イタリア語、フランス語、ドイツ語、中国語、韓国語の多言語対応となっている。 なお、CD Libraryは、通常使用する分には問題ないが、DC300がパソコンに接続していないと起動できないようになっている。なお、今回はWindowsで試用した。 基本的な使い方としては、CD Libraryにデータを登録し、DC300にそのディスクをセット、というのを繰り返していく。ディスクが必要になった時は、CD Libraryを起動して検索。表示された該当するディスクの行をダブルクリックすると、DC300がガッガガガッーと、大きな音を立てて回転し、該当するディスクスロットで停止。コロッとディスクが出てくる。 ディスクの登録はもちろん、手入力でも可能だが、音楽CDならパソコンのドライブにディスクを入れて、CDDBを使用して曲名を簡単に登録できる。また、データCD/DVDなどはディスクの構成(フォルダやファイル名)を1クリックで登録可能。こうやって登録しておけば、音楽CDなら曲名で、データディスクならフォルダ名やファイル名で後から検索できる。 ただ、CDDBで曲名やアルバム名が簡単にリマークフィールドに登録されるのはいいのだが、タイトル(名前)フィールドは自動登録されないので、手入力するか、コピー&ぺーストする必要がある。データCDでもタイトルフィールドは手入力となってしまう。音楽CDならアルバム名、データCDならボリューム名が自動登録されると便利だろう。
また、DVDビデオのデータベースには対応(そもそもほとんどないが)していないので、DVDビデオに関しては手入力することになる。オンラインDVDショップや、弊誌のDVD発売日一覧などで検索して、仕様なども含めてコピー&ぺーストしておくと、後から検索もしやすい。もちろん、DVDレコーダでTV番組を録画したディスクも、自動登録はできないので、EPGサイトなどからコピー&ペーストすることになる。 さらに、CD Libraryには画像を登録する機能もあり、ジャケット写真などを登録しておけば、画像からディスクを探すこともできる。しかし、なぜかスキャナーが必須になっているため、今回はこの機能は試せなかった。スキャナーでジャケットなどを読み込んで登録するという主旨なのだろうが、手元にある画像ファイルが使用できると、活用範囲が幅が広がると思うのだが……。 ちなみに、Mac版だと画像に加え、動画も登録できるとのこと。Mac版だとカード型表示もできるようで、全体的にWindows版より使いやすそうだ。 CD Libraryには、そのほかにもデータベースのバックアップ機能があるほか、第三者に勝手にデータベースを見られないようにパスワードも設定できる。また、データベースをプリントアウトすることも可能。複数のディスクを選択すると、1枚ディスクが排出されるごとに3~5秒停止して、次のディスクが排出される「マルチセレクション機能」も装備している。 なお、手動で抜いてしまって、CD Libraryと齟齬が出てしまったのを修正することもできる。これをしておけば、CD Library上で空きスロットが確実に確認できる。ただし、すべてのスロットをチェックするため、かなり時間がかかる。
CD Libraryには、ディスクデータベース機能として思いつくような機能は、ほとんど搭載されている。しかし、使い勝手については荒削りなところもあり、説明書を見ずに直感的に操作するのは難しいかもしれない。
■ 150枚で足りる人向け?
現在、3年ほど前に購入した、米Sonyの300+1枚ディスクチェンジャ「DVP-CX860」を、いまだに使っている。プログレッシブにも対応していないので、機能としては1万円もしないDVDプレーヤーにも負けているのだが、チェンジャの便利さから離れられないでいる。 DVP-CX860を購入したときにも、ディスクチェンジャが日本で発売されないのかと切に願ったのだが、5枚程度のチェンジャは出るものの100枚以上のチェンジャはその気配すらない。300枚でもまったく足りずに、その数倍の量のディスクが積んである状態ではあるのだが、それでもチェンジャの利便性は高いと実感している。 そんなこともあって、再生機能もないディスク収納機が150枚しか入らないのは残念に思う。ディスクを円状に収納するタンブラー式の場合、枚数が増えれば増えるほど、一枚当たりに割り当てられる角度が減る。制御に必要な精度が上がるので、コストに跳ね返るのかもしれない。 しかし、こういった機器を必要とする人にとっては、150枚というのは導入するのを悩む枚数だと思う。個人的には仕事での必要もあってセルDVDだけで、正確な数はわからない(途中で数えるのをやめてしまったので)が2,000枚はないとしても、1,500枚は軽く超えている。 セルDVDを1,000枚以上持っている人は、まだ多くはないだろうが、音楽CDなら1,000枚を超えている人はたくさんいると思う。また、DVD/HDDレコーダで、DVDにテレビ番組を残している人だと、一層のDVDには長時間入らないので、あっという間に枚数が増えてしまっているだろう。 DC300を増設していけばいいのだろうが、外形寸法が370×390×180mm(幅×奥行き×高さ)もあるので、日本の住宅事情では2台置くのも難しいかもしれない。1,000枚収納しようと思うと、7台必要になる。スタックは3台までなので、高さ54cmのタワーが2つと、もう1台並ぶことになるので、現実的ではない。 ということで、購入する前には「150枚でいいのか?」、150枚以上なら「複数台置けるのか?」、「データを登録するのに挫折しないか」など、よく検討したい。その条件さえ合えば、実際の機能として、パソコンで検索して指令を出すと、ぐるりと回ってディスクが出てくるというのは、それだけで楽しい。 できれば、DVDに対応したディスク読み取り装置が付いてれば、パソコンのドライブにディスクを入れて登録して、取り出してDC300に入れ直すという手間がなくなる。さらに、そのまま、USB接続の光学式ドライブとしてパソコンでDVDを再生する。そんな使い方が可能になる。記録型DVDドライブが1万円を切る現在、素人考えでは、それほど価格を上げずに読み取り機能をつけられないものかと期待するのだが……。
□レアモノショップのホームページ (2004年7月29日) [AV Watch編集部/furukawa@impress.co.jp]
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